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技能実習生の一時帰国|3号移行前の1か月以上の義務的帰国と自己都合帰国の手続き

技能実習生の一時帰国が義務になるのは、第3号技能実習に進む場合だけです。技能実習法施行規則10条2項3号トにより、第2号技能実習の終了後から第3号技能実習の開始後1年以内のどこかで、連続して1か月以上本国に帰国しなければなりません。帰国期間に出国日は算入されず、分割した帰国を合算することも認められません。この一時帰国の往復旅費は監理団体(企業単独型は実習実施者)の負担です。一方、1号・2号の途中や3号で義務を果たした後に家族の事情などで帰る「自己都合」の一時帰国は、休暇とみなし再入国許可の扱いで、義務的帰国とは手続も費用のルールも違います。

一時帰国が義務になるのは3号に進むときだけ

技能実習運用要領(令和8年4月、出入国在留管理庁・厚生労働省編)は、3号へ移行する技能実習生について「第2号技能実習の終了後、第3号技能実習を開始するまでの間又は第3号技能実習開始後1年以内に、技能実習生は必ず1か月以上の一時帰国をしなければなりません」と書いています。

この義務は、技能実習の基本方針で「母国の家族と離れている期間が長期化するという問題もあることから」設けられたものです。同じ基本方針は、2号から3号に進む段階で本人に異なる実習先を選ぶ機会を与えることも定めています。一時帰国は、家族と過ごす期間であると同時に、次の実習先を選び直す節目として位置づけられています。

したがって、2号を修了して帰国する人、2号修了後に特定技能1号へ移る人には、この義務はありません。よくある質問の「技能実習から特定技能へ移行するには一時帰国が必要か」への答えは「不要」です。特定技能への移行要件は技能実習から特定技能への移行は可能?で扱っています。3号そのものの要件は技能実習3号とは?優良要件150点の内訳と移行手続き・経過措置で扱います。

義務的帰国の二つのタイミング

施行規則10条2項3号トは、次のどちらかに当たることを3号の計画認定の基準にしています。

  1. 第2号技能実習の終了後、本国に1か月以上帰国してから第3号技能実習を開始する
  2. 第2号技能実習の終了後引き続き第3号技能実習を開始し、開始から1年以内に実習を休止して、1か月以上1年未満の期間一時帰国した後、休止している実習を再開する

1のパターンは、2号と3号の間に帰国をはさむ形です。2のパターンは、2号から途切れずに3号を始め、3号の1年目のどこかで実習を休止して帰る形です。2のパターンでは帰国期間に上限(1年未満)があり、1年以上帰ると要件を満たしません。

どちらを選ぶかは、繁忙期の人員配置、本人の希望、航空券の価格などで決めることになります。2号と3号の間に雇用の空白を作りたくない場合は2のパターン、2号の修了を区切りに帰国してから3号を始めたい場合は1のパターンになります。どちらを選ぶかで社会保険の扱いが変わります(後述)。

帰国時期は計画に書き、変えるときは説明書を付ける

3号の技能実習計画の認定申請を、本国に帰る前に出す場合は、計画に「帰国の予定がある」旨を記載します。その後に一時帰国の時期を変えるとき、外国人技能実習機構(以下「機構」)への届出は不要です。ただし、地方出入国在留管理局は在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請の審査で、計画どおりに一時帰国したかを確認します。帰国時期を変えた場合は、その旨の説明書(様式自由)を申請に添付する必要があります。

1か月の数え方|出国日は数えない

運用要領は、一時帰国期間の数え方を具体的に示しています。

  • 出国する日(日本の空港・港で出国の確認を受けた日)は算入しない
  • 例:1月1日に出国確認を受けた場合、2月1日以降に上陸許可を受ける必要がある
  • 1か月以上「連続」して帰国する必要があり、分割した帰国を合算することは認められない

たとえば1月1日に出国して1月31日に日本へ戻ると、1か月に1日足りず、要件を満たしません。年末年始に2週間、夏に2週間と分けて帰国しても、合わせて1か月にはなりません。帰りの航空券は、上陸許可日が出国日の翌月の同じ日以降になるように取ってください。

期間を満たさないまま3号を続けてしまうと、在留資格の手続の段階で計画どおりの帰国がなかったことが明らかになります。技能実習計画の認定基準に関わる事項であるため、帰国日程は監理団体と実習実施者の両方で確認しておくべきです。

旅費は監理団体(企業単独型は実習実施者)の負担

施行規則10条2項3号トに規定する一時帰国について、運用要領は、本国への帰国旅費と日本への渡航旅費の両方を、団体監理型は監理団体、企業単独型は実習実施者の負担としています。一時帰国を確実に実施させるための規定です。技能実習生に負担させることはできません。

細かい点が二つあります。

一つは、2号終了後に帰国する1のパターンで日本へ戻る渡航旅費を、3号を行わせる監理団体等が負担するのは、2号の実習中に3号の計画認定申請を出した場合に限られることです。何年も前に2号を終えて帰国した人が改めて3号を希望する場合にまで負担を求めるのは合理的でない、という理由です。

もう一つは、2号と3号で実習先が変わる場合の分担です。2号終了後の帰国旅費は2号の監理団体等、3号開始前の日本への渡航旅費は3号の監理団体等が負担します。本人が実習先を変える機会を与えるという制度の趣旨から、この分担はよく起こります。

一時帰国中の在留資格

一時帰国の間も在留資格を保つには、出国時にみなし再入国許可(出国の日から1年以内、在留期限がそれより前に来ればその日まで)か、再入国許可を受けて出国する必要があります。運用要領は、一時帰国の期間が長いなどの理由で在留資格を失った後に3号として入国する場合は、1号と同じく在留資格認定証明書の交付申請から手続をやり直すと説明しています。

帰国中に在留期限が来る日程は避けるのが原則です。2号の在留期限と3号への在留資格変更許可申請のタイミングは、帰国日程を決める前に監理団体と確認してください。みなし再入国許可の仕組みは再入国許可とみなし再入国許可の違いで解説しています。

有給休暇・給与・社会保険の扱い

義務的帰国の1か月をどう処理するかは、雇用契約を続けたまま休ませるか、2号の雇用契約をいったん終えるかで変わります。ここは技能実習法の規定ではなく、労働基準法と社会保険各法の一般原則で考える部分です。

雇用契約を続けたまま休む場合(主に2のパターン)

3号の実習を休止して帰国する期間は、雇用契約が続いたままの休業・休暇になります。年次有給休暇は本人の権利であり、一時帰国の期間に有給休暇を充てるかどうかは本人が選べます。有給休暇の残日数で足りない部分は、無給の休暇(休職)として扱うのが一般的です。会社が一方的に有給休暇を消化させることはできません。

健康保険・厚生年金保険は、雇用関係が続く限り被保険者資格も続きます。無給の期間があっても、標準報酬月額にもとづく保険料は発生するため、本人負担分をどう徴収するか(帰国前の給与から控除する、復帰後に精算するなど)を事前に書面で合意しておく必要があります。雇用保険料は賃金に対してかかるため、賃金の支払がない月は発生しません。住民税(特別徴収)も、無給期間の扱いを本人と確認しておきます。

2号の雇用契約をいったん終える場合(1のパターン)

2号の雇用契約が終了すると、健康保険・厚生年金保険の資格を喪失します。ところが1か月程度の帰国では住民票を残したまま出国することが多く、日本に住所がある扱いのままです。この場合、原則として帰国期間中は国民健康保険と国民年金の加入対象になります。3号の雇用契約の開始日を2号の終了日の翌日にそろえるか、空白期間の加入手続をどうするかは、市区町村の窓口と監理団体に確認してください(公式資料では未確認)。

旅費以外の費用

義務的帰国の旅費は前述のとおり監理団体等の負担ですが、帰国中の給与の支払義務まで生じるわけではありません。雇用条件書(参考様式)には、休暇を一時帰国に充てる場合の旅費支給の有無を書く欄がありますが、この欄は施行規則10条2項3号トの一時帰国を除く、自己都合の帰国を想定したものです。

自己都合の一時帰国の手続

家族の病気・冠婚葬祭・出産などで、1号・2号の途中や3号の義務的帰国とは別に帰国を希望されることがあります。技能実習法に一時帰国を禁じる規定はなく、本人が休暇を使って帰国することはできます。手続は帰国の期間と理由で分かれます。

短期間の帰国は、年次有給休暇やその他の休暇で処理し、みなし再入国許可で出国します。旅費の支給は雇用条件書の定めによります。

実習ができない期間が長くなる場合は、技能実習を行わせることが困難になったとして、実習実施者が監理団体へ速やかに通知し、監理団体が機構の地方事務所・支所に技能実習実施困難時届出書を提出します(技能実習法33条)。運用要領によれば、事由が発生してから1か月以内に解消して再開する場合は理由書を出して再開でき、その期間は実習期間に含まれます。1か月を超えて再開する場合は、再開前に技能実習計画の変更認定が必要で、中断期間は実習期間に含まれません。再開時には人数枠の基準を満たしている必要があり、人数枠の特例は使えません。

出国時の在留手続による違いも運用要領が整理しています。再入国許可(みなし再入国許可を含む)で出国し期限内に戻る場合は、変更認定の後、特段の手続は不要です。再入国許可を受けずに出国した場合や、期限を過ぎた場合は、在留資格認定証明書の交付を受け、査証を取り直す必要があります。途中帰国の手続と費用は公式案内をご確認ください。

妊娠・出産で帰国する場合

妊娠・出産を理由とする解雇その他の不利益な取扱いは、男女雇用機会均等法違反です。本人が母国での出産を希望して帰国する場合は、技能実習実施困難時届出書を提出し、本人作成の「妊娠等に関連した技能実習期間満了前の帰国についての申告書」(参考様式第1-42号)を監理団体等で保管します。再開する場合は、この申告書の写しを理由書に代えて変更認定申請に使えます。再開の時期と連絡先を帰国前に共有しておくことが、運用要領でも望まれるとされています。

2027年4月以降の3号と一時帰国

育成就労制度は2027年4月1日に施行されますが、経過措置により、施行日時点で2号を1年以上行っている人などは、施行後も3号へ移行できます。3号へ移る以上、1か月以上の一時帰国の義務も従前どおり適用されます。3号への移行が残る最後の世代の実習生を抱える会社は、2027年から2028年にかけて義務的帰国の日程調整が続く点に注意してください。制度移行の全体像は【2027年4月施行】育成就労制度とは?にまとめています。

よくある質問

技能実習生の一時帰国は義務ですか?

3号に進む場合だけ義務です。2号終了後から3号開始後1年以内に、連続1か月以上本国へ帰国しなければなりません。1号・2号の実習生や、2号修了後に特定技能へ移る人には、一時帰国の義務はありません。

技能実習生の一時帰国の期間は?

義務的帰国は連続1か月以上です。2号終了後に帰国する場合は上限の定めがありませんが、在留資格を失わないようみなし再入国許可の期限(1年)と在留期限の範囲に収める必要があります。3号開始後に休止して帰国する場合は1か月以上1年未満です。出国日は数えません。

技能実習生の一時帰国の費用は誰が負担するのでしょうか?

3号移行のための義務的帰国は、往復とも監理団体(企業単独型は実習実施者)の負担です。自己都合の一時帰国の旅費は、雇用条件書で支給すると定めていなければ本人負担になります。

技能実習生は一時帰国を拒否できますか?

3号に進む場合、1か月以上の一時帰国は計画認定の基準であり、帰国しなければ3号を続けられません。本人が帰国を望まない事情がある場合は、監理団体を通じて機構の地方事務所に早めに相談し、本人の意思と事情を書面に残してください。個別の事情で判断が変わることがあります。

帰国日程は「3号の計画」と一緒に決める

技能実習生の一時帰国は、3号移行のための義務的帰国と、それ以外の自己都合の帰国とで、根拠も費用負担も手続も違います。実務で問題になりやすいのは、義務的帰国の1か月が1日足りない、分けて帰って合算しようとした、帰国時期を変えたのに説明書を付けなかった、旅費を本人に負担させた、といった形式面の抜けです。

筆者は、3号の計画認定申請を準備する段階で、出国日と上陸予定日、旅費の負担者、帰国中の社会保険料の扱いを一枚にまとめ、監理団体・実習実施者・本人の三者で確認しておくことをすすめます。帰国日程は航空券の手配ではなく、3号の計画の一部として決めるものだからです。

根拠資料


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