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経営管理ビザの更新と税金・社会保険の未納|公租公課の確認はどこまで及ぶか

経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)の更新で確認される公租公課は、申請人個人の住民税にとどまりません。審査の対象は、申請人が運営する会社や個人事業の国税・地方税、労働保険、健康保険・厚生年金保険の加入と保険料の納付にまで及びます。法人事業税・個人事業税の納付状況まで資料を求める点は、同じ就労系の特定技能より範囲が広い扱いです(入国・在留審査要領 第12編(開示版)10-12〜10-13、10-20)。

未納があれば直ちに不許可、という構造にはなっていません。高額・長期の未納は消極的な要素として評価され、不履行が疑われる場合は2週間を目安に是正状況の確認書を求められ、手続中であれば在留期間「4月」で様子を見る扱いがあります。例外は、消費税の不正還付で重加算税を受けた場合です。こちらは「原則として不許可」と書かれています。

2026年6月には、入管庁の公表資料が相次いで改訂されました。関係機関から提供された納税情報をもとに許否を判断する場合があることや、所得税・法人税等の重加算税も「特に消極的な要素」とすることが明記されています。更新の審査が厳しくなったと言われる理由の一つは、この公租公課の確認にあります。

この記事でわかること

  • 更新で確認される公租公課の範囲(個人・会社・従業員)
  • 事業税まで求められる理由と、更新時に出す資料の期間
  • 未納が見つかったときの流れ(2週間の確認書、在留期間「4月」)
  • 重加算税を受けた場合の扱いと、2026年6月の公表資料の改訂点

確認の範囲は「自らの運営する機関」まで

ここでいう公租公課とは、税金と、社会保険・労働保険の保険料のように法律で納付が義務づけられている負担をまとめて指します。経営・管理の更新で公租公課の確認が広く及ぶのは、審査要領がこの在留資格の人を、事業を運営する立場として扱っているからです。

審査要領ではこう書かれている(第12編 10-12)

「在留資格「経営・管理」で在留する外国人は、事業の運営を適正に行うことが求められ、自らの運営する機関(個人事業を含む。以下同じ。)が、次のとおり各種公的義務の履行に関する法令を遵守する必要がある。」

このあとに(ア)租税関係法令、(イ)労働関係法令・社会保険関係法令が続きます。

審査要領と、入管庁の改正ページQ&A(問26)が挙げている項目を並べると次のとおりです。

区分 確認される内容 出典
国税 法人は源泉所得税・法人税・消費税。個人は申告所得税・相続税・贈与税等 10-12、Q&A 問26
地方税 住民税、事業税等。法人事業税と個人事業税(法定業種に限る)の納付資料も求める 10-12、10-20
労働関係法令 雇用する従業員(アルバイトを含む)の労働条件が労働関係法令に適合していること 10-12
労働保険 適用事業所である場合の加入手続と保険料の納付 10-12
健康保険・厚生年金保険 適用事業所である場合の加入手続、従業員の資格取得手続、保険料の納付 10-12〜10-13

表の中で見落とされやすいのは、従業員に関する項目です。アルバイトを含む従業員の労働条件と、従業員の社会保険の資格取得手続が、経営者本人の更新審査の中で確認されます。従業員の手続漏れは、会社の問題であると同時に、経営者の在留の問題として扱われます。役員として事業活動をしている人は、管理業務を行っている場合でも経営者と判断して差し支えないとされています(10-20)。

事業税まで求められる理由

特定技能の審査では、法人事業税・個人事業税の納付状況の資料は求められていません。経営・管理だけがこれを求める理由を、審査要領は注で説明しています。

審査要領ではこう書かれている(第12編 10-20)

「「経営・管理」で在留している者は、自らが事業の経営又は管理に関与しており、その納税を適切に行い又は把握していることが求められるためである。」

事業税は、事業活動が地方団体の行政サービスを受けることから、その経費を分担すべきだという考え方で課される税だと、同じ注は述べています。経営者であれば、会社の納税を自分で行うか、少なくとも把握しているはずだという前提です。税理士に任せているから知らなかった、という説明は、この前提と正面からぶつかると筆者は見ています。

公租公課の確認は、特定技能の審査要領の項目(第18節の3「特定技能」第2の3(1)ア)を参照する形で組み立てられています。特定技能では所属機関が雇用主として確認を受けますが、経営・管理では申請人本人が事業の運営者として確認を受ける、という違いがあります。

更新時に出す資料と、さかのぼる期間

確認の出発点は、更新申請に添付する「在留資格「経営・管理」の申請に当たっての説明書(参考様式)」です(10-20)。審査官はこの説明書で公租公課の履行状況を確認し、疑義があれば追加の資料を求めます。期間と省略の扱いは次のとおりです。

  • カテゴリー3・4の会社:初回更新時に、前回許可以降の履行状況に係る資料を全て確認する(10-20の注)
  • カテゴリー1・2の会社:特段の疑義が認められない限り、確認を省略して差し支えない(10-20)
  • 提出の範囲:労働保険、社会保険、国税、地方税のうち「納付が義務づけられているものは全て提出が必要」(Q&A 問26)

初回更新時の注には続きがありますが、黒塗りで読めません。2回目以降の更新でどこまでさかのぼるかは、開示された範囲からは確定できない【要確認】というのが正確なところです。更新時にはこのほか、直近年度の決算文書、住民税の課税(非課税)証明書、常勤職員の賃金支払に関する文書なども求められます(10-12)。更新全体の書類は経営管理ビザの更新|審査のポイントと必要書類、経過措置中(2028年10月まで)の注意点で扱っています。

未納が見つかったとき:2週間の確認書と在留期間「4月」

審査要領は、納税義務の不履行で刑を受けている場合に限らず、次の場合も消極的な要素として評価するとしています(10-12)。「刑を受けていなくても高額の未納や長期間の未納などが判明した場合等」です。消極的な要素とは、許否を総合的に判断するときにマイナスに働く事情を指します。一度の納付遅れで結論が決まる書き方ではありません。

不履行やその疑いが見つかった後の流れは、10-20〜10-21に書かれています。

  1. 申請人に、追完書類として是正状況の確認書(任意様式)を求める。期限は2週間が目安
  2. 追完の結果により、「是正が認められる場合」「是正に向け手続中であると認められた場合」「是正が認められない場合(回答がない場合を含む)」の3つに分けて扱う

3つの区分の見出しは読めますが、それぞれの本文は黒塗りです。手がかりになるのは在留期間の表です。「4月」を決定する場合の一つとして、「公租公課の履行義務(経営する会社の義務を含む。)を果たしていない者であって、履行に向け手続中であることが認められるもの」が挙がっています(10-14)。4月の許可を受けた人は、次の更新時に「公的義務を履行していることを証する文書」の提出を求められます。提出がなければ、更新の可否を慎重に審査されます(10-13)。

ここで重要なのは、2週間という短い期限の中で「手続中」と認められる状態を作れるかという論点です。納付の約束だけでは手続中とは言いにくく、筆者は、分割納付の手続や納付の実績を書面で示せる状態にしてから確認書を出すべきだと考えています。滞納している社会保険料の扱いは社会保険料の滞納は在留資格の更新に影響する?企業が確認すべきポイントを解説もあわせて確認してください。

重加算税は別格に扱われる

一般の未納が総合判断の材料にとどまるのに対し、消費税の不正還付は結論の書き方が違います。国税庁は、在留資格を持つ外国人が経営や管理に関与する法人・個人事業主等に納税義務の悪質な違反があった場合、入管庁に情報を提供します(第12編 1-23)。そのうえで審査要領は、経営・管理の外国人が運営する企業等が消費税の不正還付に関して重加算税の賦課決定処分を受けた場合を取り上げています。処分が確定している場合は、「原則として在留期間更新許可申請を不許可とする」としています(1-24、10-12)。

本庁への請訓で例外を検討する道は残されていますが、審査要領は消費税不正還付を「国庫からの詐取ともいうべき特に悪質な事実」と表現しています(1-24)。影響は経営者本人にとどまりません。重加算税の賦課処分を受けた企業等への就職を目的とする認定・変更申請は原則として許可せず、既にその企業等で勤務している人の更新申請も同じように扱うとされています(1-25)。外国人の従業員を雇っている会社であれば、その従業員の在留にも響きます。ただし、この項の見出しと条件の一部は黒塗りで、どの処分がどこまで対象になるかは開示部分からは確定できません【要確認】。

2026年6月の改訂で、入管庁の「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」は、租税の項目を更新しました。高額・長期の未納を消極要素とするほか、「消費税の不正受還付や所得税・法人税等に関して重加算税賦課決定処分があった機関を運営する者」を「特に消極的な要素」として評価すると明記しています。審査要領が原則不許可としているのは消費税の不正還付の場合で、公表資料は所得税・法人税等の重加算税にまで対象を広げて書いている、という関係です。仕組みの全体は消費税の不正還付と在留資格|国税庁との情報連携で更新が原則不許可になる仕組みで扱っています。

2026年6月、情報連携がガイドラインに書かれた

「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」は、考慮事項の7番目に納税義務等の履行を挙げています。令和8年6月の改正で、ここに次の注書きが加わりました。「当庁からの求めに応じ、関係機関から提供を受けた納税義務等の履行状況に関する情報を踏まえ、許否判断を行う場合があります」。同じガイドラインは、国民健康保険料等の高額・長期の未納で悪質なものを、税の未納と同じように扱うとしています。

申請人が出した書類だけで納付状況が判断されるわけではない、ということです。説明書に書いた内容と、関係機関から提供された情報が食い違えば、その食い違いそのものが審査で問題になります。更新の相当性の考え方は在留期間更新の「相当の理由」とは|ガイドラインと審査要領で見る素行・納税・社会保険で整理しています。

経過措置の後は、納税が判断材料に入る

2025年10月16日より前から経営・管理で在留している人には、施行から3年(令和10年10月16日)までの更新について経過措置があります。その間の更新では、新基準を満たさないことだけを理由に不許可にはされません(改正ページQ&A 問1)。3年経過後に新基準を満たしていない場合も、経営状況が良好で、法人税等を納め、次回更新までに新基準を満たす見込みがあれば総合判断とされ、「一律に不許可処分となるものではありません」(問3)。

この総合判断の材料に、法人税等の納付が入っています。3,000万円や常勤職員の要件を満たすまでの猶予を得られるかどうかは、それまでの納税の記録にも左右される、と読むのが自然です。

よくある質問

Q. 経営管理ビザの更新では、会社の税金や社会保険まで確認されますか?

確認されます。審査要領は、経営・管理で在留する人に、自らが運営する機関(個人事業を含む)の国税・地方税の納付、労働関係法令の遵守、労働保険と健康保険・厚生年金保険の加入と保険料の納付を求めています。法人事業税や個人事業税(法定業種)の納付状況の資料も求められ、この点は特定技能の審査より範囲が広くなっています。

Q. 税金を滞納していると、経営管理ビザの更新は必ず不許可になりますか?

必ず不許可になるわけではありません。高額や長期の未納は消極的な要素として評価され、不履行が疑われる場合は2週間を目安に是正状況の確認書を求められます。是正に向けて手続中と認められれば、在留期間「4月」で許可し、次回の更新時に履行状況を確認する扱いがあります。ただし是正済み・手続中・未是正ごとの取扱いの本文は黒塗りで、詳細は開示されていません。

Q. 消費税の不正還付で重加算税を受けた場合はどうなりますか?

運営する企業等が消費税の不正還付に関して重加算税の賦課決定処分を受け、処分が確定している場合は、原則として更新不許可とされています。重加算税の賦課処分を受けた企業等に就職しようとする外国人の認定・変更申請や、既に勤務している外国人の更新申請も、原則として許可しない扱いです(対象範囲を定める部分の一部は黒塗り)。令和8年6月には、所得税・法人税等で重加算税を受けた機関の運営者も特に消極的な要素とすることが公表資料に明記されました。

Q. 更新のときに、どの期間の納付資料を出せばよいですか?

カテゴリー3・4の会社の場合は、初回更新時に前回許可以降の履行状況の資料を全て確認するとされています。入管庁のQ&Aも、労働保険、社会保険、国税、地方税について、納付が義務づけられているものは全て提出が必要としています。カテゴリー1・2の会社は、特段の疑義がない限り確認を省略して差し支えないとされています。

次の更新までに確認しておくこと

更新申請の準備に入る前に、前回許可以降の納付記録を、国税・地方税・労働保険・社会保険の4つに分けて一覧にしてください。法人事業税、従業員の社会保険の資格取得手続、アルバイトの労働条件は、経営者本人が把握していないことの多い項目です。未納や手続漏れが見つかった場合は、申請の前に納付か分割納付の手続を済ませ、その書面を手元にそろえておくと、確認書を求められても2週間の期限に間に合います。

税理士に会計を任せている会社でも、入管に説明するのは経営者本人です。更新が不許可になった場合の立て直しは経営管理ビザの更新が不許可になる理由|赤字・債務超過・税金未納の判断基準と再申請で扱っています。未納がある状態で更新期限が近づいている場合は、申請前にご相談ください。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第1節第10「国税庁との情報連携」1-23〜1-25
  • 同 第10節「経営・管理」10-12〜10-13(更新時の資料、公的義務の履行、4月の者の更新)、10-14(在留期間「4月」)、10-20〜10-21(公租公課義務履行状況の確認、是正状況の確認書)
  • 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」(Q&A 令和8年6月26日更新)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html
  • 出入国在留管理庁「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」(令和8年6月改訂)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan43.html
  • 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(令和8年6月最終改正)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html