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自動車整備士を技人国で雇える条件|2級整備士とキャリアアップ計画

外国人の自動車整備士を技術・人文知識・国際業務(技人国)で雇えるのは、近い将来に自動車整備主任者として働くことが予定されている場合に限られます。審査要領は、自動車整備の知識・経験・技能を要する活動は基本的には「特定技能」で行うのが適当としています。例外として技人国を許可し得るのは、二つの条件を満たす場合です。一つは、認証工場での整備のできばえの確認を含む診断・点検や、資格のない整備工・3級自動車整備士の指導・監督が職務に含まれることです。もう一つは、専ら分解・洗浄・部品交換等に従事するものでないことです(入国・在留審査要領 第12編(開示版)15-14)。

本人は2級自動車整備士の資格を持っていることが基本です。持っていない場合でも、日本の自動車整備専門学校を修了した専門士で、修了後1年の間に2級を取る見込みがある人は対象になります。大学等の機械工学科・自動車科などを卒業し、原則として採用後3年の間に2級を取ることがキャリアアッププランで示されている人も同様です。申請時にはキャリアアッププランを出し、更新のたびにその達成状況と業務内容が確認されます。

この記事でわかること

  • 自動車整備で技人国が「例外的に」認められる業務の範囲
  • 申請人の要件:2級整備士、整備専門学校の専門士、機械系学科の卒業者
  • キャリアアッププランの位置づけと、更新での確認
  • 特定技能・技能実習の経験が実務経験に数えられない理由

原則は特定技能、技人国は例外という整理

技人国の業務は、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務でなければならず、経験を積めば身につく知識で足りる仕事は該当しません(15-2)。自動車整備は、多くの作業が経験によって習熟していくものです。そのため審査要領は、整備の仕事を担う外国人の受入れは原則として特定技能で行う、という立場をとっています。

審査要領ではこう書かれている(第12編 15-14)

「自動車整備に関する相当程度の知識、経験、技能を必要とする活動は、その活動目的に応じて、基本的には在留資格『特定技能』で行うのが適当であると考えられる。」

そのうえで審査要領は、自動車整備主任者が従事するような業務に限って、技人国を例外的に許可し得るとしています。ここでいう自動車整備主任者とは、審査要領の記述に即していえば、認証工場で整備のできばえを確認し、診断・点検の判断を担う立場の人を指します。出入国在留管理庁の「在留資格『技術・人文知識・国際業務』と『特定技能』の違いについて」(令和8年1月現在)も、自動車整備の分野で技人国に当たる業務を「整備士の指導監督・整備主任者」と整理しています。

特定技能の側では、自動車整備は19の特定産業分野の一つで、2号の対象分野にも含まれています(特定技能外国人受入れに関する運用要領、令和8年8月)。整備作業そのものを担う人材を受け入れるなら特定技能、整備主任者として現場を管理する人材なら技人国、という役割分担です。特定技能の全体像は特定技能とは?【2026年最新】1号・2号の違い・対象分野・受入れ手続きを完全解説で確認できます。

技人国で認められる業務の範囲

審査要領が例外として認める業務は、次の二つのいずれかが職務に含まれていることが条件です。あわせて、専ら分解、洗浄、部品交換等に従事するものでないこと、近い将来に自動車整備主任者として従事することが予定されていることが求められます(15-14)。

区分 業務の内容
職務に含まれていること(いずれか) ①認証工場における整備のできばえの確認を含む診断、点検といった、関連知識に基づく判断を要する業務
②資格のない整備工や3級自動車整備士の指導・監督を行う業務
中心であってはならない業務 専ら分解、洗浄、部品交換等に従事すること
将来の予定 近い将来に自動車整備主任者として業務に従事すること

ここで重要なのは、自動車整備主任者になる予定が、すべての申請人に共通する前提になっているという論点です。審査要領は、後で述べる(a)から(c)のどれに当たる場合でも、前提を念押ししています。それが「近い将来に自動車整備主任者として業務に従事することが見込まれることを前提に、在留資格該当性を認めるものである」という一文です(15-14)。2級の資格を持っているだけでは足りず、会社の中で整備主任者に就く道筋が用意されていることが求められます。

一方で、自動車検査員の資格の取得までは求められていません(15-14〜15-15 注1)。審査要領は、自動車検査員の資格は、2級自動車整備士を取得した後に自動車整備主任者として1年以上の実務経験を持つことが、資格取得に必要な教習の受講要件になっていると説明しています。

申請人の要件:2級整備士が基本

整備主任者として働くには一定の技能レベルが必要なため、審査要領は申請人について次の(a)を基本とし、(a)に当たらない場合は(b)又は(c)に当たれば在留資格該当性を認めるとしています(15-14)。

区分 要件 2級取得の期限
(a) 2級自動車整備士の資格を持っている 取得済み
(b) 本邦の自動車整備専門学校を修了した専門士 専門学校修了後1年の間に取得が見込まれる
(c) 大学等(短期大学、大学と同等以上の高等教育機関を含む)の機械工学科、精密機械学科、建設機械科、農業機械科、機械電気科、航空学科、航空機原動機科、造船学科、電気科、電子科、自動車科又は自動車整備科を卒業 原則として採用後3年の間に取得することがキャリアアッププランで示されている

(a)の理由について、審査要領は「3級自動車整備士等を指導・監督する立場であることから」と説明しています。3級の整備士を指導する人が2級を持っているという、資格の序列に沿った整理です。(c)の学科は、自動車に限らず、機械・電気・航空・造船まで広く列挙されています。

(c)には注2が付いており、採用後3年の期間を超える場合の条件が書かれています。ただし開示版のOCRでは、この注の年数と月数が本文の「採用後3年」と整合しない数字として読み取られており、読み違いの可能性があります。注2の具体的な年数・月数は原本で確認が必要なため、この記事では数字を示しません【要確認】。

なお、審査要領のこの項は、業務が技人国に当たるかどうか(在留資格該当性)についての整理です。筆者は、学歴・実務経験(基準省令第1号)と、日本人と同等額以上の報酬(第3号)の基準は、通常の技人国と同じく別に満たす必要があると読んでいます。(b)の専門士や(c)の大学卒業者は学歴要件の側でも説明がつきますが、(a)で申請する人は、学歴か10年の実務経験を別に確認することになります。要件の全体像は技術・人文知識・国際業務ビザの要件とは?学歴・実務経験・給与条件をわかりやすく解説で整理しています。

キャリアアッププランと立証資料

自動車整備業務で申請する場合、通常の技人国の提出書類に加えて、次の資料が求められます(15-15)。

  • 2級自動車整備士の資格を持っていることを証する文書((b)又は(c)に当たる場合を除く)
  • キャリアアッププラン(すでに自動車整備主任者として従事している場合を除く)

キャリアアッププランは、近い将来に少なくとも自動車整備主任者として業務に従事することが予定されていることを確認するための資料です。2級の取得時期、整備主任者に就く時期、その間の職務内容と、誰を指導・監督するのかを、時系列で具体的に書くことになります。

出入国在留管理庁が公表している許可・不許可事例(別紙3)には、次の許可例が挙がっています。自動車工学の大学を卒業したサービスエンジニアで、3年以内に2級整備士を取得し、その後3年以内に整備主任者になるキャリアプランが示されていた例です。(c)の類型で、2級の取得と整備主任者への就任の両方に期限が示されている点が参考になります。

更新ではプランの達成状況が確認される

在留期間の更新では、キャリアアッププランの達成状況と業務内容を確認したうえで、特段の問題がなければ許可して差し支えないとされています(15-15)。この記述の直後には、更新時の在留期間に関するとみられる部分がありますが、開示版では黒塗りとみられ、読むことができません。

期間内に2級を取得できなかった場合の扱いも書かれています。

審査要領ではこう書かれている(第12編 15-15)

「その理由を聴取の上、当該資格を取得できなかったことに正当な理由があり、かつ、次回更新時までに当初のプランから1年遅れて2級自動車整備士の資格を取得できる見込みがあると認められる場合、(中略)期間の更新を認めて差し支えない。」

(中略)の部分は開示版で黒塗りとみられ、判読できません。

猶予は当初のプランから1年遅れまでで、正当な理由の説明も必要です。試験に不合格だった経緯、次の受験の予定、会社が用意している学習支援などを、更新の申請時に示せるようにしておくべきです。

技人国の在留期間が一般にどう決まるかは技人国の在留期間5年・3年・1年はどう決まる?カテゴリーと審査要領の基準で扱っています。更新では業務内容も確認されるため、職務の中身がプランどおりに移っているかが問われます。分解・洗浄・部品交換ばかりを担当している状態が続けば、在留資格該当性そのものが疑われます。専門業務の比重を具体的に示すよう求められることもあります。

1日のタイムスケジュールの提出を求められたケース
入管から、対象者の1日の業務内容を時間単位で示すよう求められた案件がありました。専門業務が実際に主たる業務になっているかを確認するための資料要求で、どの粒度で業務を書き出せば審査官に伝わるかが結果を左右しました。

※上記は当事務所で取り扱った実際の相談内容をもとにしていますが、個別の状況により結果は異なります。同様の結果を保証するものではありません。

(a)〜(c)のどれにも当たらないとき

(a)から(c)のいずれにも当たらないケースの扱いも定められています。個別の事情から近い将来に自動車整備主任者として従事することが予定されていると評価するのが相当だと地方局が判断する場合は、事前に本庁在留管理課就労審査係に照会するとされています(15-15)。地方局だけで結論を出さない扱いなので、審査期間は通常より長くなると考えておくべきです。

元技能実習生・特定技能の整備士を技人国に切り替えられるか

技能実習や特定技能で自動車整備の経験を積んだ人を、技人国に切り替えたいという相談は少なくありません。審査要領は、特定技能外国人のキャリアアップは基本的に特定技能1号から2号への移行で行うこととされているとしています。そのため、特定技能1号から技人国に変更してキャリアアップを図ることは想定されていないという整理です(15-11〜15-12)。そのうえで、特定技能等の活動によって得た経験は、基本的には基準省令に定める実務経験とは評価しないとしています。

したがって、技能実習や特定技能での整備の年数を、技人国の10年の実務経験に数えることは原則としてできません。「基本的には」に続く部分は開示版で黒塗りとみられ、例外があるかどうかは読めません。切り替えを検討するなら、本人が(b)の専門士や(c)の学科の卒業者に当たるか、学歴要件を別に満たせるかを先に確認することになります。詳しくは特定技能から技人国へ変更できる?特定技能・技能実習の経験は実務経験に数えないで扱っています。

よくある質問

Q. 外国人の自動車整備士は技人国で雇えますか?

例外的に雇えます。審査要領は、自動車整備の相当程度の知識・経験・技能を要する活動は基本的には特定技能で行うのが適当としています。条件は、認証工場での整備のできばえの確認を含む診断・点検や、資格のない整備工・3級自動車整備士の指導・監督が職務に含まれることです。加えて、専ら分解・洗浄・部品交換等に従事するものでなく、近い将来に自動車整備主任者として従事する予定がある場合に限り、技人国を許可し得るとしています。

Q. 2級自動車整備士の資格を持っていないと申請できませんか?

2級自動車整備士の資格を持つことが基本です。ただし、日本の自動車整備専門学校を修了した専門士で修了後1年の間に2級取得が見込まれる人も対象になります。大学等の機械工学科・自動車科などを卒業し、原則として採用後3年の間に2級を取得することがキャリアアッププランで示されている人も同様です。

Q. キャリアアッププランの期間内に2級を取れなかったら、更新は不許可になりますか?

直ちに不許可にはなりません。審査要領は、取得できなかった理由を聴取し、正当な理由があり、かつ次回の更新時までに当初のプランから1年遅れで2級を取得できる見込みがあると認められる場合は、更新を認めて差し支えないとしています。

Q. 特定技能の自動車整備で働いた経験は、技人国の実務経験になりますか?

基本的にはなりません。審査要領は、特定技能等の活動によって得た経験は、基準省令に定める実務経験とは評価しないとしています。特定技能外国人のキャリアアップは、1号から2号への移行で行うことが基本とされています。

整備士の採用を決める前に

外国人の整備士を技人国で採用するなら、まず会社として、その人を自動車整備主任者に就ける予定があるかを決めてください。予定がなく、整備作業を担ってもらうのが目的なら、特定技能を検討するほうが筋が通ります。予定があるなら、本人が(a)から(c)のどれに当たるかを確認し、2級の取得時期と整備主任者への就任時期を入れたキャリアアッププランを作ります。そのうえで、入社後の職務に診断・点検や3級整備士等の指導・監督が含まれるよう配置を組み、更新のたびにその実績を示せるよう記録を残してください。

キャリアアッププランの書き方や、(a)から(c)に当たらない場合の進め方で迷う場合は、採用を決める前にご相談ください。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第15節「技術・人文知識・国際業務」15-14〜15-15(自動車整備業務に従事するとして在留諸申請があった場合の審査上の留意点。注2はOCRの数字に読み違いの可能性、在留期間に関する部分は黒塗りとみられる)
  • 同 15-2(用語の意義)、15-11〜15-12(1号ハにおける「実務経験」の考え方)、15-19(審査のポイント)
  • 出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」別紙3(許可・不許可事例)https://www.moj.go.jp/isa/content/001413912.pdf
  • 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』と『特定技能』の違いについて」(令和8年1月現在)https://www.moj.go.jp/isa/content/001452975.pdf
  • 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月)https://www.moj.go.jp/isa/content/001468647.pdf