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外国人社員を自宅待機させるときの在留資格|休業中のアルバイトと在留期限

会社の都合で外国人社員を自宅待機させても、社員の在留資格は在留期限までそのまま維持されます。待機中のアルバイトは、会社が「会社都合で待機となった旨」と「復職・職務内容が決まっている旨」の2通の説明書を用意すれば、資格外活動許可として1週28時間以内で認められます。待機の終わりが申請日から90日より先になる場合はアルバイトの許可は出ず、在留資格「特定活動」への変更で対応します。

待機中に在留期限が来る場合は、残りの待機期間が1か月以内なら在留期間の更新、1か月を超えるなら特定活動への変更、と道が分かれます。いずれも根拠は、入国・在留審査要領 第12編の第8「雇用状況の悪化に伴う外国人の在留に関する取扱い」の2(1-18〜1-19)です。どの手続でも、会社が書く説明書が社員の在留を左右します。

この記事でわかること

  • 自宅待機中の外国人社員の在留資格が維持される根拠
  • 待機中のアルバイト許可に必要な2通の説明書と、許可が出ない2つの場合
  • 待機が90日を超えるときの「特定活動」と在留期間4月・5月・6月の決め方
  • 待機中に在留期限が来たときの「1か月」の分かれ目
  • 特定技能の社員を待機させるときの届出と【要確認】の点

「待機」とは、雇用を続けたまま働かせない状態

ここでいう待機とは、雇用契約は続いているものの、会社の指示で社員が就労しない状態を指します。受注の急減や工場の稼働停止など、会社側の事情による自宅待機が典型です。審査要領の第8は、雇用先の倒産・業務縮小等により自己の都合によらない理由で解雇、雇止め「又は待機」を通知された就労資格(特定技能を含む)の外国人を対象にしています。待機は解雇・雇止めと並ぶ柱として、2の項目にまとめて書かれています。

会社の側から見ると、待機は労務管理の問題でもあります。使用者の責に帰すべき事由で休業させる場合、会社は休業期間中、平均賃金の100分の60以上の休業手当を払わなければなりません(労働基準法26条)。社員の収入が減るため、生活費を補うアルバイトの需要が生まれます。審査要領の待機の取扱いは、この状況を想定しています。

「待機中の者については、現に有する在留資格のまま、在留期限まで在留を認める。」

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版) 1-18(第8 2(1)ア)

待機中の社員は、技人国などの業務を実際には行っていません。在留資格に対応する活動をしていること、つまり在留資格該当性の観点では空白の期間ですが、審査要領は会社都合の待機であれば在留期限まで今の在留資格のままでよいと整理しています。社員本人が慌てて在留資格を変える必要はありません。

待機中のアルバイト:会社が出す2通の説明書

技人国などの就労資格の人が、コンビニや飲食店など在留資格に当たらない仕事で報酬を得るには、資格外活動許可が必要です。第8の2(1)イは、待機期間中の生活費を補う目的のアルバイトについて、次のように定めています。

「当該外国人が雇用先企業の都合により待機となった旨の説明書及び次の復職・職務内容等が決定している旨の説明書が提出されれば、復職後の職務内容が明らかに在留資格該当性がないと判断される場合及び待機期間満了日が当該資格外活動申請の日から90日を超える場合を除き、(以下略)」

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版) 1-18(第8 2(1)イ)

項目 審査要領の取扱い(1-18)
会社が出す書類 ①会社都合で待機となった旨の説明書 ②次の復職・職務内容等が決定している旨の説明書
許可しない場合 復職後の職務内容が明らかに在留資格該当性がない場合/待機期間満了日が申請日から90日を超える場合
審査する要件 第10編に定める資格外活動許可の一般原則のうち1・4・5
許可の範囲 1週について28時間以内(勤務先を特定しない包括許可)
許可の期限 待機期間の満了日、または在留期限のうち、先に来る日

注記では、待機期間中であることが立証されれば、一般原則のうち2の要件には適合していなくてよいとされています。一般原則の中身は第10編に書かれており、開示された第12編の範囲には含まれていません。

ここで重要なのは、2通目の説明書、つまり復職と復職後の職務内容が決まっていることを示す書類です。この取扱いは、待機が終われば元の在留資格の仕事に戻ることを前提にしています。そのため、復職後の仕事が「明らかに在留資格該当性がない」場合、たとえば技人国の社員が待機明けに製造ラインの作業に回る予定であれば、アルバイトの許可は出ません。説明書には、復職予定日と、復職後に担当する業務の内容を、在留資格との関係が読み取れる程度に具体的に書く必要があります。

説明書の様式は審査要領に示されていません。筆者は、少なくとも次の事項を会社名義で書くことをすすめています。

  • 待機の理由(受注減、設備停止など会社側の事情であること)
  • 待機の開始日と満了予定日
  • 復職予定日と復職後の所属部署
  • 復職後に担当する業務の内容

許可後のアルバイトは週28時間が上限です。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について(令和8年4月改定)は、資格外活動で恒常的に週28時間を超えるアルバイトをしていた場合は素行が善良とはみなさないとしています。待機明けの在留期間更新で問題にならないよう、会社からも本人に上限を伝えておくべきです。アルバイト全般のルールは技術・人文知識・国際業務の外国人はアルバイト・副業できる?資格外活動許可を解説で扱っています。

待機が90日を超えるなら「特定活動」へ

待機期間の満了日が資格外活動許可の申請日から90日を超える、と会社が説明した場合は、アルバイトの許可ではなく在留資格の変更で対応します。第8の2(1)ウは、待機期間の通算が一定の日数以内であることを確認し、資格外活動などの在留状況に問題がなければ、今の在留資格から「特定活動」への変更を認めるとしています。

在留期間の決め方には、特徴的なルールがあります。

「在留期間は、待機期間の残余の期間に応じて月単位で決定するが、中長期在留者から除外されることのないよう、「4月」、「5月」又は「6月」のうち待機期間の満了の日又は当該満了の日を超える最も短期の在留期間を決定する。」

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版) 1-19(第8 2(1)ウ)

中長期在留者とは、在留カードの交付対象となる外国人のことで、在留期間が3月以下の人は含まれません(入管法19条の3)。待機の残りが2か月程度であっても在留期間を3月以下にすると、在留カードを持つ地位から外れてしまいます。それを避けるため、最短でも4月とし、4月・5月・6月のうち待機の満了日に届く最も短い期間を選ぶ仕組みです。たとえば、変更許可の時点で待機の残りが4か月半であれば、4月では満了日に届かないため5月が選ばれる、という考え方になります。

指定される活動は「雇用先企業から待機を命ぜられた者が復職するまでの間に行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)」です。そして、この特定活動の許可を受けた人から待機の継続を理由に更新申請があっても「これを認めないものとする」とされています。特定活動の間のアルバイトと再入国許可は、解雇後の就職活動の特定活動(1(1)エ)に準じて判断されます。こちらの詳細は会社都合で解雇された外国人の在留資格はどうなる?就職活動の特定活動とアルバイトで説明しています。

待機期間の「通算」の日数は原本で確認が必要

特定活動への変更の条件である待機期間の通算日数について、OCRで読み取った審査要領の記載には食い違いがあります。

場面 OCRで読める日数 補足
待機期間満了日が申請日から90日を超える場合(2(1)ウ) 「380日以内」 同じ趣旨の2(2)イとの対比で、誤読の可能性あり
在留期限時点で残りの待機期間が1か月を超える場合(2(2)イ) 「180日以内」 前後の文脈と整合する

開示版の写しを文字認識した結果、2(1)ウは「380日」と読めますが、同じ趣旨を定めた2(2)イは「180日」です。【要確認】2(1)ウの日数は、原本で確認するまで断定できません。筆者は、両者とも180日である可能性が高いと考えていますが、申請の組み立てでは、待機の通算が180日を超える見込みの時点で個別に確認することをおすすめします。

待機中に在留期限が来るとき

待機が長引くと、その途中で社員の在留期限が来ることがあります。第8の2(2)は、在留期限が来た時点での残りの待機期間で、扱いを二つに分けています。

在留期限の時点の状況 手続 確認されること
残りの待機期間が1か月を超えない旨を会社が説明 在留期間更新許可申請を受け付ける 本人の復職を確認したうえで更新の許否を判断
残りの待機期間が1か月を超える予定 「特定活動」への変更を許可 待機期間の通算が180日以内であること、資格外活動等の在留状況に問題がないこと

分かれ目は「1か月」です。残りの待機が1か月以内であれば、会社の説明をもとに更新申請を受け付け、復職を確認したうえで判断するとされています。更新申請中に待機が明けて復職した事実を示せるよう、復職日の記録を残しておくことが大切です。在留期間の更新は在留期限までに申請する必要があり、申請の時期の考え方は在留資格の変更・更新はいつまでに申請する?申請期限と標準処理期間を解説で説明しています。

残りの待機が1か月を超える場合の特定活動は、在留期間と指定活動が2(1)ウと同じです。4月・5月・6月のうち待機満了日に届く最短の期間が決まり、その後の待機継続を理由とする更新は認められません。

家族滞在の配偶者・子も同時に変更する

社員が特定活動に変わる場合、家族滞在で在留している配偶者と子についても、同時に特定活動への変更申請を行うよう指導するとされています(2(2)エ)。家族に指定される活動は、待機の特定活動で在留する本人の扶養を受ける配偶者または子として行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)です。会社が本人の手続だけを支援して家族の申請が漏れると、家族が在留資格に合わない状態になりかねません。

特定技能の社員を待機させる場合

第8の対象には特定技能も含まれるため、待機中の在留、アルバイト、特定活動への変更の枠組みは特定技能の社員にも使えます。そのうえで、特定技能所属機関には別の届出義務があります。出入国在留管理庁の定期届出のページは、許可後に1か月以上活動できない事由(生産縮小、休業、妊娠・出産・育児、私傷病等)を受入れ困難の届出の対象とし、事由が生じた日から14日以内に出すよう求めています。1か月以上の自宅待機を命じるなら、この届出を忘れないでください。

特定活動の間の資格外活動は1(1)エに準じるとされているため、特定技能の人については、特定技能の在留期間中に付与した資格外活動許可の期間と合算して90日以内に調整する扱いも同じようにかかると筆者は読んでいます。

もう一つの論点は、特定技能1号の通算在留期間(上限5年)です。公表されている通算から除く期間は、再入国できなかったやむを得ない期間、産前産後・育児休業、病気・怪我の休業に限られています。【要確認】会社都合の待機期間は、この除外の列挙に入っていません。通算5年の数え方は特定技能1号の5年後はどうなる?通算5年の数え方(一時帰国・失業・産休育休)と在留を続ける方法で扱っています。

待機が解雇に変わったら

待機を続けた結果、復職させられずに解雇・雇止めに至ることもあります。その場合は、第8の2(待機)の取扱いから、1(解雇・雇止め)の取扱いに移ります。就職活動のアルバイトは会社都合の解雇を証する文書とハローワークカード等で、在留期限後は就職活動の特定活動(6月、特定技能は4月)で、という流れです。会社には、退職の届出と、会社都合であることが分かる退職証明書の発行が求められます。企業側の手続は外国人社員が退職・解雇したら?企業に必要な届出と手続きを解説にまとめています。

よくある質問

Q. 自宅待機中の外国人社員は、在留資格を変更する必要がありますか?

在留期限までは変更の必要はありません。審査要領は、会社都合で待機となった人について「現に有する在留資格のまま、在留期限まで在留を認める」としています。待機の満了日が申請日から90日を超える場合や、待機中に在留期限が来る場合に、特定活動への変更が問題になります。

Q. 待機中の社員がアルバイトをするには、何が必要ですか?

資格外活動許可が必要です。会社都合で待機となった旨の説明書と、次の復職・職務内容等が決まっている旨の説明書を提出すれば、1週28時間以内で、勤務先を特定しない形で許可されます。復職後の職務内容が明らかに在留資格に当たらない場合と、待機期間の満了日が申請日から90日を超える場合は許可されません。

Q. 待機の特定活動の在留期間は何か月ですか?

4月、5月、6月のうち、待機期間の満了日に届く最も短い期間が決まります。3月以下にしないのは、中長期在留者から外れないようにするためです。待機の継続を理由とする更新は認められません。

Q. 待機中に在留期限が来る場合はどうなりますか?

残りの待機期間が1か月を超えない旨を会社が説明すれば、在留期間更新許可申請が受け付けられ、復職を確認したうえで判断されます。1か月を超える予定であれば、待機期間の通算が180日以内であることなどを確認して、特定活動への変更が許可されます。

待機を命じる前に会社がそろえるもの

外国人社員に自宅待機を命じるときは、まず社員ごとに在留期限を一覧にし、待機の満了予定日と並べてください。待機の終わりが90日以内で在留期限より前なら資格外活動許可、90日を超えるなら特定活動への変更、待機中に在留期限が来るなら残り期間1か月を境に更新か特定活動、と使う手続がこの表から決まります。

どの手続でも、会社都合の待機であることと、復職後の職務内容を示す説明書が軸になります。復職後の業務が在留資格に合うかどうかに不安がある場合は、待機を命じる前の段階で専門家に相談しておくと、手続の選択を誤らずに済みます。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第2章第1節 第8 1-16〜1-19(情報公開請求による開示版。2(1)ウの待機期間通算日数はOCR上「380日」、2(2)イは「180日」で、原本確認が必要)
  • 出入国在留管理庁「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」(令和8年4月改定)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan69.html
  • 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(受入れ困難の届出)
  • 出入国在留管理庁「通算在留期間(特定技能1号)」
  • 労働基準法26条/出入国管理及び難民認定法19条の3