会社の倒産や業務縮小で解雇・雇止めされた外国人は、いま持っている在留資格のまま、在留期限まで日本で就職活動を続けられます。生活費を補うアルバイトも、資格外活動許可を受ければ1週28時間以内で認められます。在留期限までに次の勤務先が決まらないときは、在留資格「特定活動」(在留期間6月、特定技能の人は4月)に変更して就職活動を続ける道があります。ただし、この特定活動は更新できません。
根拠は、出入国在留管理庁の内部基準である入国・在留審査要領 第12編の「第8 雇用状況の悪化に伴う外国人の在留に関する取扱い」(1-16〜1-18)です。この取扱いの対象として書かれているのは「自己の都合によらない理由」で職を失った人だけで、自己都合退職は含まれていません。会社都合であることをどう示すかが、すべての手続の入り口になります。
この記事でわかること
- 会社都合で職を失った人が在留期限まで日本にいられる根拠
- 就職活動中のアルバイト(資格外活動許可)の条件と許可の期限
- 在留期限後の「特定活動」の在留期間と、更新できない理由
- 帰国準備の「短期滞在」90日と、家族滞在の配偶者・子の扱い
- 留学生の卒業後の就職活動とは別の取扱いであること
対象になるのは「会社都合」で職を失った就労資格の人
審査要領の第8は、雇用状況の悪化という本人に責任のない事情で在留の前提が崩れた人を、一定期間救済する仕組みです。
「雇用先の倒産・業務縮小等により、自己の都合によらない理由で解雇、雇止め又は待機(以下「解雇等」という。)を通知され、経済的に困難な状況下に置かれている「技術・人文知識・国際業務」等の就労資格(「特定技能」の在留資格を含む。)を有する外国人については、下記のとおり取り扱う。」
出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版) 1-16(第8 柱書き)
対象者の条件は、本人の都合によらない理由であること、解雇・雇止め・待機のいずれかを通知されていること、就労資格を持っていることの3つです。括弧書きで「特定技能」も含むと明記されているため、特定技能1号・2号の人もこの取扱いの対象になります。
反対に、転職を考えて自分から辞めた人は、第8の文言には入っていません。自己都合で退職した人が在留期限まで日本にいられないという意味ではありませんが、この記事で紹介するアルバイトの包括許可や特定活動への変更は、会社都合であることを前提とした扱いです。退職証明書の離職理由の記載で、使える制度が変わります。
なお、第8のうち「待機」、つまり雇用は続いているが会社の指示で働けない状態の扱いは、別の項目(2)に分けて書かれています。自宅待機については外国人社員を自宅待機させるときの在留資格|休業中のアルバイトと在留期限で扱います。
在留期限までは、いまの在留資格のままでいい
解雇・雇止めの通知を受けた人のうち、日本で就職活動を続けたい人について、審査要領は最初にこう書いています。
「就職活動中の者については、現に有する在留資格のまま、在留期限まで在留を認める。」
出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版) 1-16(第8 1(1)ア)
この一文の意味を理解するには、在留資格該当性という考え方を押さえておく必要があります。ここでいう在留資格該当性とは、日本で行っている活動が、その在留資格に対応する活動に当たっていることを指します。会社を辞めれば在留資格該当性は一時的に欠けますが、第8の1(1)アは、就職活動中であれば在留期限まで今の在留資格のままでよいと整理しています。
入管法には、就労資格の人が正当な理由なく3か月以上その活動をしていない場合に在留資格を取り消せる規定があります(入管法22条の4第1項6号)。出入国在留管理庁の「出入国審査・在留審査Q&A」(Q77)は、「正当な理由」があれば取消しの対象にならないとし、その例に退職後の会社訪問など具体的な就職活動を挙げています。取消しの仕組み全体は在留資格の取消しとは?取消事由と外国人を雇用する企業への影響を解説で説明しています。
退職した本人には、入管への届出義務も生じます。就労資格の中長期在留者は、勤務先との契約が終了した日から14日以内に、契約機関に関する届出を出入国在留管理庁長官に出さなければなりません(入管法19条の16)。在留期間の更新・変更のガイドラインも、考慮事項に「入管法上の届出義務の履行」を挙げています。会社側の届出は外国人社員が退職・解雇したら?企業に必要な届出と手続きを解説にまとめています。
就職活動中のアルバイトには資格外活動許可が要る
コンビニや飲食店のアルバイトは多くの場合、技人国の活動に当たらないため、働くには資格外活動許可が必要です。第8の1(1)イは、会社都合で解雇・雇止めされた人が、就職活動期間中の生活費を補う目的でアルバイトをする場合の許可の条件を定めています。
| 項目 | 審査要領の取扱い(1-16〜1-17) |
|---|---|
| 提出を求める書類 | 雇用先の都合で解雇・雇止めされたことを証する文書 |
| 確認すること | ハローワークが交付するハローワークカード等で、就職活動中であること |
| 審査する要件 | 第10編に定める資格外活動許可の一般原則のうち1・4・5 |
| 許可の範囲 | 1週について28時間以内(包括許可) |
| 許可の期限 | 許可の日から90日、または現に有する在留期間の満了日のうち、先に来る日 |
ここでいう包括許可とは、勤務先を一つずつ特定せず、時間の上限の範囲で働くことを認める形の許可を指します。
注記にも実務上の意味があります。会社が倒産していて解雇の証明書を出してもらえない場合は、本人が任意の様式で書いた申立書で差し支えないとされています。ハローワークカード等を持っていない場合も同じ扱いです(注①)。また、就職活動を続けていることが立証されれば、一般原則のうち2の要件には適合していなくてよいとされています(注②)。一般原則の中身は第10編に定められており、開示された第12編には書かれていません。筆者は、原則2は本来の在留目的の活動が行われていることにかかわる要件で、就職活動中の人には満たせないために外されていると読んでいます。
90日の期限が来ても再就職先が決まっていない場合は、改めて資格外活動許可を申請できます。この場合は「上記イに従い改めて審査を行い、許否を決定する」(注④)とされ、自動的に延びるわけではありません。
ここで重要なのは、アルバイトの時間管理です。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について(令和8年4月改定)は、在留資格変更の審査で考慮する例として、資格外活動で恒常的に週28時間を超えるアルバイトをしていた場合は素行が善良とはみなさないと書いています。就職先が決まって技人国などに変更するとき、失業中のアルバイトの働き方がそのまま審査されます。生活が苦しい時期ほど、週28時間の上限を守ることが次の許可につながります。副業・アルバイトの一般的なルールは技術・人文知識・国際業務の外国人はアルバイト・副業できる?資格外活動許可を解説を参照してください。
在留期限を過ぎても探すなら「特定活動」6月
在留期限までに次の勤務先が見つからない人のために、第8の1(1)ウは在留資格「特定活動」への変更を認めています。条件は、在留期限が来る前から就職活動をしていたことが確認されること、そして在留状況に問題がないなど、許可することが相当であることです。
「当該外国人が、在留期限の到来後も継続就職活動を行う目的で在留を希望する場合は、上記アにより在留期限到来前から就職活動を行っていることが確認され、在留状況に問題がない等許可することが相当であるときは、在留資格「特定活動」(在留期間は6月)への在留資格の変更を許可する。」
出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版) 1-17(第8 1(1)ウ)
在留期間は6月です。ただし特定技能の人に変更を許可する場合は4月とされています。指定される活動は「就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)」です。特定活動は、法務大臣が個々の外国人について活動を指定する在留資格で、その内容は指定書に書かれます。
そして、この特定活動には更新がありません。審査要領は、この特定活動の許可を受けた人から就職活動の継続を理由に更新申請があった場合は「これを認めないものとする」と書いています。在留期限までの残り期間に6月を足した期間が、職を探せる上限です。更新の許否が法務大臣の広い裁量に属し、外国人に更新を受ける権利はないことは、マクリーン事件の最高裁大法廷昭和53年10月4日判決(民集32巻7号1223頁)が示しています。
ここで重要なのは、「在留期限到来前から就職活動を行っていること」という条件です。期限が迫ってから慌てて活動を始めた人は、この条件の立証に苦労します。解雇の直後からハローワークに登録し、応募や面接の記録を残しておくことが立証資料になります。
令和8年10月1日から、変更・更新の手数料は許可される在留期間で変わります。9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月1日以降でも旧手数料(窓口6,000円・オンライン5,500円)です。
| 許可される在留期間 | 窓口 | オンライン | この記事での該当 |
|---|---|---|---|
| 3月以下 | 10,000円 | 10,000円 | 短期滞在(90日)への変更 |
| 3月超6月以下 | 18,000円 | 15,000円 | 特定活動(6月・4月)への変更 |
特定活動の間のアルバイトと一時帰国
特定活動に変わった後も、生活費を補うアルバイトは資格外活動許可を受ければできます。第8の1(1)エは、継続就職活動を行う間の必要経費を補う目的のアルバイトについて、一般原則1・2・4・5の要件と、1週28時間以内であるかを審査して許可すると定めています。解雇直後の包括許可と違い、ここでは原則2も審査対象に入っており、注①で「継続就職活動を行っていることを要する」と念を押しています。就職活動をしていない期間のアルバイトは、この許可の趣旨から外れます。
特定技能から特定活動に変わった人には、別の制限があります。審査要領は、特定技能の在留期間中に資格外活動許可を付与した期間と合算して90日以内となるよう調整して許可するとしています。
就職活動中に一時帰国したい場合の再入国許可は、第10編第8章の規定に従うとだけ書かれています。第10編の中身は開示された第12編に含まれていないため、ここでは詳細を示せません。出国の前に在留期限と再入国の予定を確認してください。
家族滞在の配偶者・子はどうなるか
技人国などで働く人に扶養されている配偶者と子は、在留資格「家族滞在」で在留していることが多いはずです。扶養者が特定活動に変わると、家族側の在留の前提も変わります。
そこで第8の1(1)オは、特定活動への変更を希望する人に家族滞在の配偶者・子がいる場合、配偶者と子についても同時に特定活動への変更申請を行うよう指導すると定めています。家族に指定される活動は、就職活動の特定活動で在留する本人の扶養を受ける配偶者または子として行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)です。本人だけ変更して家族の手続を忘れると、家族が在留資格に合わない状態で在留を続けることになりかねません。申請は家族分をそろえて同じ時期に出すのが基本です。
帰国を選ぶ場合は「短期滞在」90日
就職活動をせずに帰国の準備をしたい人については、第8の1(2)が別の取扱いを定めています。雇用先企業からの退職証明書など、会社都合で解雇・雇止めされたことを示す証明書が提出された場合は、在留資格「短期滞在」(在留期間は90日)への変更を許可するというものです。
ここでは、就職活動の特定活動と違い、任意の様式による申立書で足りるとの注記は置かれていません。会社都合であることを示す証明書の提出が要件として明記されているため、会社が存続している場合は、退職証明書の離職理由の欄に会社都合であることを書いてもらうよう依頼しておくべきです。
申請で使う書類
審査要領が提出や確認の対象として挙げている書類は、次のとおりです。
- 雇用先の都合で解雇・雇止めされたことを証する文書(退職証明書等)。入手が難しい場合は、本人の任意様式の申立書(資格外活動許可の場面)
- ハローワークが交付するハローワークカード等、就職活動中であることを示す資料。所持していない場合は申立書
- 在留期限より前から就職活動をしていたことを示す資料(特定活動への変更の場面)
- 家族滞在の配偶者・子がいる場合は、その人たちの在留資格変更許可申請の書類一式
次の勤務先が決まったら何をするか
在留期限内に、前と同じ種類の仕事で再就職が決まった場合は、在留資格は技人国のままで働けます。本人は新しい契約について14日以内に届出を出し、業務が在留資格に当たるか不安があれば就労資格証明書で確認します。
特定活動に変わった後に就職が決まった場合は、そのまま働き始めることはできません。特定活動の指定活動は報酬を受ける活動を除いているため、技人国などへの在留資格変更許可を受けてから就労します。変更の審査では、新しい勤務先での業務が在留資格に当たるか(在留資格該当性)、学歴や報酬などの基準を満たすか(上陸許可基準適合性)、そして解雇後の在留状況が見られます。
変更の標準処理期間は1〜2か月です(入管庁「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について」令和8年7月)。内定が出たら、期限内の変更申請を最優先にしてください。
留学生の「卒業後の就職活動」とは別の取扱い
「特定活動 就職活動」と検索すると、上位に並ぶのは大学や専門学校を卒業した留学生が、卒業後も日本で就職活動を続けるための特定活動の情報です。この記事で扱っている会社都合の解雇後の特定活動とは、対象者も根拠も異なります。
| 比べる点 | 会社都合で解雇・雇止めされた人 | 卒業後も就職活動を続ける留学生 |
|---|---|---|
| もとの在留資格 | 技人国などの就労資格(特定技能を含む) | 留学 |
| 審査要領の位置 | 第12編 第2章第1節 第8(1-16〜1-18) | 特定活動の節(第21節第2の8。15-15〜15-17で準用先として言及) |
| 前提となる事情 | 自己の都合によらない解雇・雇止め | 学校の卒業 |
| 在留期間 | 6月(特定技能は4月) | 【要確認】本記事の根拠資料の範囲外 |
| 更新 | 就職活動の継続を理由とする更新は認めない | 【要確認】本記事の根拠資料の範囲外 |
留学生向けの取扱いの要件や在留期間は、開示版の審査要領のうち本記事が根拠とした範囲に含まれていないため、ここでは断定しません。留学生向けの条件を自分に当てはめないよう注意してください。留学から就労資格への切替えは留学から技術・人文知識・国際業務への在留資格変更ガイド|手順・必要書類・不許可対策で扱っています。
よくある質問
Q. 自己都合で退職した場合も、在留期限まで日本にいられますか?
審査要領第8のアルバイトの包括許可や特定活動への変更は、会社都合の解雇・雇止めを前提にした取扱いで、自己都合退職は対象として書かれていません。ただし入管庁のQ&Aは、退職後に具体的な就職活動をしていれば「正当な理由」があり、在留資格の取消しの対象にならないと説明しています。
Q. 解雇後のアルバイトは何時間まで認められますか?
資格外活動許可を受けたうえで、1週28時間以内です。許可の期限は、許可の日から90日か、在留期間の満了日のどちらか早い日です。
Q. 就職活動の特定活動は更新できますか?
できません。審査要領は、就職活動の継続を理由とする更新申請は「これを認めないものとする」と定めています。在留期間は6月(特定技能の人は4月)なので、その間に就職先を決め、就労資格への変更申請を出す必要があります。
Q. 会社が倒産して解雇の証明書がもらえません。どうすればよいですか?
資格外活動許可の申請では、解雇等を証する文書を雇用先から入手するのが難しい場合、本人が任意の様式で書いた申立書で差し支えないとされています。ハローワークカード等を持っていない場合も同様です。
解雇を告げられたら、最初の2週間でやること
解雇や雇止めの通知を受けたら、まず会社に退職証明書を依頼し、離職理由が会社都合と書かれているかを確認してください。同時に、14日以内の契約機関に関する届出を済ませ、ハローワークで求職の手続をします。この3つがそろえば、アルバイトの資格外活動許可も、在留期限後の特定活動への変更も、立証の土台ができます。
在留期限まで3か月を切っている場合や、家族滞在の家族がいる場合は、書類をそろえる前に一度専門家に期限と手順を確認することをおすすめします。
根拠資料
- 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第2章第1節 第8 1-16〜1-18(情報公開請求による開示版、一部黒塗り。第8に黒塗りはなし)
- 出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q77 https://www.moj.go.jp/isa/immigration/faq/kanri_qa.html
- 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(令和8年6月改正)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html
- 出入国在留管理庁「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」(令和8年4月改定)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan69.html
- 出入国在留管理庁「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について」(令和8年7月)https://www.moj.go.jp/isa/content/001344550.pdf
- 出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」https://www.moj.go.jp/isa/01_00644.html
- 出入国管理及び難民認定法 19条の16、22条の4第1項6号/最高裁大法廷昭和53年10月4日判決(民集32巻7号1223頁)