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短大・専門職大学・高専卒は「大学卒業」扱い?就労ビザの学歴要件

短期大学、専門職大学、専門職短期大学を卒業して学位を取った人は、就労ビザの学歴要件でいう「大学を卒業し」た者に当たります。高等専門学校(高専)の卒業者は「大学を卒業し」た者そのものではありませんが、「これと同等以上の教育を受け」た者として、同じく学歴要件を満たします。技術・人文知識・国際業務(技人国)の申請で、短大卒や高専卒であることだけを理由に学歴が足りないと扱われることはありません。

差が出るのは学歴要件の外側です。専攻と業務の関連性がどこまで緩やかに見られるか、「研究」の在留資格に使えるか、高度専門職のポイントで何点になるかは、学校の種類によって変わります。専門学校(専修学校の専門課程)の卒業者は、大学とは別の入口から学歴要件を満たす仕組みになっていて、判断の厳しさも異なります。

根拠は、入国・在留審査要領 第12編(開示版)の第1節第5「学歴」(1-10〜1-14)です。学校の種類ごとに、どの入口から要件を満たし、どこで扱いが分かれるのかを整理します。

この記事でわかること

  • 「大学を卒業し」の定義と、短大・専門職大学・専門職短期大学の位置づけ
  • 高専・省庁の大学校が「同等以上の教育」に当たる根拠
  • 専門学校卒(専門士・高度専門士)の要件と、大卒との判断の差
  • 学校の種類で変わる3つのこと(関連性・研究ビザ・高度専門職ポイント)

学歴要件の3つの入口

学歴要件を定めているのは、高度専門職、研究、教育、技人国の基準省令です。基準省令とは、在留資格ごとに入国・在留の基準を定めた法務省令を指します。審査要領は、これらの基準省令が学歴について3つの書き方をしていると整理しています。

審査要領ではこう書かれている(第12編 1-10)

「学歴について、『大学を卒業』、『これと同等以上の教育を受け』又は『本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る)。』のいずれかを求める規定がある」

入口 該当する学校の例 審査要領の該当頁
大学を卒業 4年制大学、短期大学、専門職大学、専門職短期大学、大学院 1-10
これと同等以上の教育 高等専門学校、省庁の大学校、外国の大学・短大に相当する教育機関、飛び入学者 1-10〜1-13
本邦の専修学校の専門課程を修了 日本の専門学校で専門士・高度専門士の称号を得た人 1-14

技人国の場合は、どの入口でも「従事しようとする業務に必要な技術若しくは知識に関連する科目を専攻して」いることが条件に加わります(15-8)。学歴要件を満たすかどうかと、専攻と業務の関連性があるかどうかは、別々に確認される点を先に押さえておいてください。技人国の要件全体は技術・人文知識・国際業務ビザの要件とは?学歴・実務経験・給与条件をわかりやすく解説で扱っています。

短大卒は「大学卒業」:基準は学位の取得

審査要領は「大学を卒業し」の意味を、学校の名前ではなく学位で定義しています。

審査要領ではこう書かれている(第12編 1-10)

「『大学を卒業し』とは、学士又は短期大学士(学士(専門職)又は短期大学士(専門職)を含む。)以上の学位を取得した者を言う。」

この定義から、短期大学を卒業して短期大学士の学位を得た人は、4年制大学の卒業者と同じく「大学を卒業し」た者に当たります。出入国在留管理庁の就労資格に関するQ&A(令和8年7月)も、日本の短期大学卒は「大学を卒業した者」に当たると答えています。

逆に言えば、学位を取っていなければこの入口は使えません。大学に在籍しただけ、あるいは中退した場合は、在籍年数が長くても「大学を卒業し」には当たりません。なお、日本の大学を卒業予定の留学生は、卒業見込みの段階でも在留資格変更許可申請ができます(同Q&A)。申請はできても、許可の前提は卒業して学位を得ることです。

専門職大学・専門職短期大学はどう位置づけられるか

専門職大学と専門職短期大学は、比較的新しい学校種です。審査要領は注で、その性格を次のようにまとめています(1-10)。

項目 専門職大学 専門職短期大学
位置付け 大学制度の中に位置付けられる高等教育機関 同左
修業年限 4年制 2年または3年制
学位 学士(専門職)=「学士」に相当 短期大学士(専門職)=「短期大学士」に相当
教育内容 卒業単位のおおむね3分の1以上を実習等に充て、長期の企業内実習を行う 同左
大学院への進学 既存の大学と同様に入学資格が得られる ―

学位がそれぞれ学士・短期大学士に相当するので、学歴要件の上では4年制大学・短大と同じ扱いです。実践的な教育が中心であることから専門学校と混同されがちですが、制度上は大学です。

専攻と業務の関連性でも、大学と同じ物差しが使われます。審査要領第15節は、専門職大学・専門職短期大学について次のように書いています。

審査要領ではこう書かれている(第12編 15-10)

「大学と同様に関連性の判断については柔軟に判断して差し支えない。」

高専卒は「同等以上の教育」として扱われる

高等専門学校は「大学」ではないため、「大学を卒業し」の定義には入りません。その代わり、審査要領は「これと同等以上の教育を受け」た者の例として、「短期大学卒業と同等である高等専門学校の卒業者」を挙げています(1-10)。根拠として参照されているのは、短期大学の専攻科への入学資格を定めた学校教育法施行規則第155条第2項で、その各号の一つに「高等専門学校を卒業した者」があります。

結果として、高専卒は学歴要件を満たします。専攻と業務の関連性についても、出入国在留管理庁の「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について(令和8年4月改定)は、大学(外国の大学を含む)と高専は柔軟に判断すると書いています。

一つだけ注意したいのは、基準省令が「大学を卒業した者」と明記している場面です。技人国の国際業務には、大学を卒業した人が翻訳・通訳・語学の指導に就く場合は3年の実務経験が要らないという特例があります(15-18)。短大卒は第1節第5の定義からこの「大学を卒業した者」に含まれると筆者は読んでいますが、高専卒がこの特例の対象になるかは、審査要領の記載からは読み切れません【要確認】。高専卒の人を翻訳・通訳で採用する場合は、実務経験の有無もあわせて確認しておくのが安全です。

防衛大学校・気象大学校などの大学校

省庁が設置する大学校も「同等以上の教育」に含まれます。審査要領は、教員に教育職俸給表(一)が適用される機関や、設備とカリキュラムの編成で大学と同等と認められる機関として、次の学校を列挙しています(1-12〜1-13)。

  • 水産大学校、海技大学校(分校を除く)、航海訓練所、航空大学校
  • 海上保安大学校、海上保安学校、気象大学校、防衛大学校、防衛医科大学校
  • 職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、航空保安大学校
  • 国立海上技術短期大学校(専修科に限る)、国立看護大学校

職業能力開発総合大学校・職業能力開発大学校・職業能力開発短期大学校については、修了証明書を交付された人は、修了したコースにかかわらず「同等以上の教育を受け」た者として扱うとされています。独立行政法人化などで名称が変わった機関もあるため、審査要領は名称変更に留意するよう注記しています。

専門学校卒は別の入口:専門士・高度専門士

日本の専門学校(専修学校の専門課程)の卒業者は、「大学を卒業」でも「同等以上の教育」でもなく、3つ目の入口から学歴要件を満たします。条件は、法務大臣の告示で定める要件を満たすことで、審査要領はその中身を次のように説明しています(1-14)。

称号 主な要件 使える在留資格
専門士 修業年限2年以上、授業時間数1,700時間以上、試験等による成績評価と卒業認定 技人国、教育
高度専門士 修業年限4年以上、授業時間数3,400時間以上、試験等による成績評価と卒業認定 技人国、教育、研究

ここでいう専修学校は「本邦に所在しているもの」に限られ、日本国内で教育を受けたことが前提です。審査要領は、外国で通信教育等により日本の専修学校の専門課程の教育を受けた場合は要件に当たらないと明記しています。「研究」の上陸許可基準に適合するには、専門士では足りず「高度専門士」が必要です。

ここで重要なのは、専門学校卒の場合、専攻と業務の関連性の判断が大卒より厳しいという論点です。審査要領は、専修学校は大学と設置目的が異なることから「原則として専修学校における専攻科目と従事しようとする業務については、相当程度の関連性を必要とする」(15-10)としています。例外は、文部科学大臣の認定を受けた学科(外国人留学生キャリア形成促進プログラム)の修了者で、こちらは柔軟に判断されます。詳しくは大卒と専門学校卒で違う「専攻と業務の関連性」|審査要領15-10の判断の差で扱っています。認定学科の修了者については文科省認定学科(キャリア形成促進プログラム)修了者の技人国|関連性要件の緩和を参照してください。

日本語学校(日本語教育機関である専修学校の専門課程)で専門士を得た人は、この入口を使えない扱いです(15-13)。日本語予備教育を目的とする課程で、業務に必要な技術・知識を修得したとは評価しにくいという理由です。

学校の種類で変わる3つのこと

学歴要件を満たすかどうかでは差がなくても、次の3つの場面では学校の種類が結果を左右します。

学校の種類 技人国の専攻と業務の関連性 「研究」の学歴要件 高度専門職の学歴ポイント(大卒相当10点)
4年制大学 比較的緩やか(15-10) 該当 該当(9-8〜9-9)
短期大学 比較的緩やか(15-10) 該当しない(短期大学を除く) 該当と読める(1-10の定義)
専門職大学・専門職短期大学 大学と同様に柔軟(15-10) 専門職大学は該当、専門職短期大学は短大と同じく除外と読める 該当と読める(1-10の定義)
高等専門学校 柔軟(公表資料) 審査要領に個別の記載なし 該当(9-8〜9-9)
専門学校(専門士) 相当程度の関連性が必要(15-10) 該当しない(高度専門士が必要) 該当しない
専門学校(高度専門士) 相当程度の関連性が必要(15-10) 該当 該当(9-8〜9-9)

「研究」の上陸許可基準は「大学(短期大学を除く。)を卒業し若しくはこれと同等以上の教育を受け」たことを求めています(1-13)。短大卒は技人国では大卒扱いでも、研究では基準を満たしません。高度専門職のポイント計算では、審査要領第9節が、大卒と同等以上の教育を受けた者に高専、防衛大学校等の各省所管の大学校、高度専門士を含めると書いています(9-8〜9-9)。専門士はここに入りません。

表のうち「該当と読める」「読める」と書いた欄は、審査要領が学校の種類ごとに直接書いていない部分で、第1節第5の定義からの筆者の読みです。研究や高度専門職で申請する場合は、個別に確認してください。

海外の短大・専門学校を卒業した場合

海外の学歴は別の物差しで判断されます。外国で学校教育14年の課程を修了した人は、短大卒と同等以上の学力があるとされる者の一つに挙げられています(1-12、学校教育法施行規則第155条第2項)。一方、出入国在留管理庁の就労資格Q&Aは、日本の専門学校にあたる外国の教育機関の卒業は基準に適合しないと答えています。専門学校卒の入口が「本邦の」専修学校に限られているためです。中国の専科などの扱いを含め、海外の学歴の評価は海外の大学・中国の専科の学歴はどう評価される?審査要領の学歴照会と偽造の確認で詳しく書いています。

よくある質問

Q. 短大卒でも技人国の学歴要件を満たしますか?

満たします。審査要領は「大学を卒業し」を学士または短期大学士以上の学位を取得した者と定義しており、短大卒の短期大学士もこれに含まれます。出入国在留管理庁のQ&Aも、日本の短期大学卒は「大学を卒業した者」に当たると答えています。専攻と業務の関連性は、4年制大学と同じく比較的緩やかに判断されます。

Q. 高専卒は大卒と同じ扱いですか?

学歴要件は満たします。高専卒は「大学を卒業し」た者ではありませんが、短期大学卒業と同等である高専の卒業者として「これと同等以上の教育を受け」た者に当たります。専攻と業務の関連性も柔軟に判断すると公表されています。ただし、大卒者が翻訳・通訳・語学指導に就く場合に実務経験が要らない特例が高専卒に及ぶかは、審査要領の記載からは読み切れません。

Q. 専門職大学を卒業した場合、専門学校卒と同じ扱いになりますか?

なりません。専門職大学は大学制度の中に位置付けられる学校で、学位の学士(専門職)は学士に相当します。学歴要件の上では4年制大学の卒業者と同じで、専攻と業務の関連性も大学と同様に柔軟に判断してよいとされています。

Q. 専門学校卒で技人国を取るには何が必要ですか?

日本国内の専修学校の専門課程を修了し、専門士または高度専門士の称号を得ていることが必要です。専門士は修業年限2年以上・授業時間数1,700時間以上などが要件です。そのうえで、専攻科目と業務には相当程度の関連性が求められます。文部科学大臣の認定学科の修了者は、関連性が柔軟に判断されます。

申請前に手元で確認すること

学校の種類による扱いの差は、書類の読み違いから問題になることが多い論点です。採用が決まったら、まず卒業証明書と学位記で、取得した学位の名称(学士、短期大学士、学士(専門職)など)を確認してください。専門学校卒の場合は、卒業証明書に専門士または高度専門士の称号が記載されているかを見ます。そのうえで成績証明書を取り寄せ、実際に履修した科目と予定している業務の関係を説明できるかを検討します。

留学生を新卒で採用する場合の手順は留学から技術・人文知識・国際業務への在留資格変更ガイド|手順・必要書類・不許可対策にまとめています。学歴の区分や専攻の説明で判断に迷う場合は、内定を出す前の段階でご相談ください。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第2章第1節第5「学歴」1-10〜1-14
  • 同 第15節「技術・人文知識・国際業務」15-8、15-10、15-13、15-18
  • 同 第9節「高度専門職」9-8〜9-9(学歴の項)
  • 出入国在留管理庁「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和8年7月)https://www.moj.go.jp/isa/content/001344550.pdf
  • 出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」(令和8年4月改定)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan69.html