本文へ移動
保利国際法務事務所 外国人採用・就労ビザ相談室
保利国際法務事務所の外国人採用・就労ビザLPへ 電話で無料相談 050-5526-5506 いますぐ無料相談フォームへ
保利国際法務事務所 外国人採用・就労ビザ相談室

福岡市スタートアップビザとは?経営管理ビザへの切替えと2025年改正後の資本金要件

福岡市スタートアップビザは、福岡市が外国人の起業準備活動計画を事前に確認し、その確認をもとに在留資格「特定活動」で当初1年間、最長2年間の在留を認める制度です。ここでいう起業準備活動とは、事業所の確保、会社の設立、従業員の雇用など、経営・管理の要件を満たすための準備を指します。福岡市の公式ページは、正式名称を「スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業)」としています。期間中に事業所の確保、会社の設立、従業員の雇用を進め、経営・管理の要件を満たした時点で、福岡出入国在留管理局に在留資格の変更を申請します。

切替えの先にある経営・管理の基準は、2025年10月16日に大きく変わりました。資本金等は500万円から3,000万円以上に引き上げられ、常勤職員1人以上の雇用、日本語能力、経歴(修士等の学位または経営・管理の経験3年以上)、専門家が確認した事業計画書が必要になっています。スタートアップビザは準備の期間を与える制度で、この基準を緩める制度ではありません。

以下では、福岡市の公式ページ(2025年10月17日更新)と出入国在留管理庁の公表資料を根拠にします。あわせて入国・在留審査要領 第12編(開示版)10-23〜10-25(地方公共団体の起業支援)を参照し、制度の流れと、経営管理ビザへ切り替えるときの論点を整理します。

この記事でわかること

  • 福岡市スタートアップビザの対象者・対象事業・申請の流れ
  • 経営管理ビザへの切替えで満たすべき2025年改正後の基準
  • スタートアップビザの期間を経営経験3年に数えられるか
  • 2025年10月15日以前に確認を受けた人の旧基準の扱い
  • 自治体の起業支援で3,000万円を補える取扱い(10-23〜10-25)

制度の仕組み:市の確認と入管の審査の2段階

福岡市の公式ページによれば、スタートアップビザは「事前に福岡市が事業計画等を確認することで、特例的に在留資格「特定活動」」が認められる制度です。対象者は福岡市内で起業を志す外国人で、事業は次の5つの産業に当てはまるものに限られます。

対象産業 福岡市が例示する事業
知識創造型産業 フィンテック、半導体関連、ソフトウェア開発、コンテンツ制作、ロボット関連等
健康・医療・福祉関連産業 創薬ベンチャー、医療技術開発、再生医療、福祉用機器開発等
環境・エネルギー関連産業 グリーンテック、クリーンエネルギー開発、次世代蓄電技術、地球情報システム等
物流関連業 グローバルSCMサービス、3PLサービス、国際宅配、ドローン物流開発等
貿易関連業 市内産品の海外販路開拓に資する事業、博多港・福岡空港の機能を活用する事業等(新規性や市内事業者の成長への大きな寄与が必要)

申請から経営管理ビザまでの流れは、福岡市のページでは5つのステップで示されています。

ステップ 内容
1 事前相談・申請 外国人起業家向けのワンストップ支援センター(Global Business Support、GBS)に相談し、申請書類一式を提出する
2 審査・確認証明書の交付 福岡市が審査し、事業計画について中小企業診断士に意見を聴く。認められれば「起業準備活動確認証明書」を交付(手数料1件300円)
3 スタートアップビザの取得 証明書を添えて福岡出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付を申請し、在外公館で査証を受けて「特定活動」で上陸する
4 起業準備活動 当初1年間、最長2年間の期間中に、事業所の確保、会社の設立、従業員の雇用などを行う。少なくとも1か月に1回、福岡市またはGBSの面接を受ける
5 経営管理ビザへ 期間中に経営・管理の要件を満たしたら、在留資格変更許可を申請する。満たせなかった場合は、期間が2年に至るまで6か月の更新を申請できる

市のQ&Aによれば、証明書の有効期間は発行から3か月で、その間に入管へ申請する必要があります。市の審査は書類受理から概ね1か月、入管の手続は通常1〜3か月程度と市は案内しています。市の証明書を受けても入管の審査があるため、認定が確実になるわけではなく、否認された場合の理由は開示されません。

制度の対象になるのは、新たに自ら事業を始める経営者・経営幹部です。既存の会社を引き継ぐ人、経営に携わらない家族や従業員は対象外で、共同創業の場合は一人ずつ申請します(市のQ&A)。

期間中は働いて資金を貯めることはできない

市のQ&Aは、スタートアップビザの在留期間は起業準備活動のためのもので、就労(資格外活動)は原則として認められないとしています。1年間の生活と起業準備に必要な資金(資本金等を含む)があらかじめ確保されていなければ、確認は困難とされています。新規申請の提出書類にも、設立しようとする法人の資本金等の額(3,000万円以上)に相当する資産の証明として、預金通帳の写しなどが挙げられています。筆者は、3,000万円の資金計画が申請の時点で固まっていることが、この制度を使う前提条件だと考えています。

経営管理ビザとの違い

スタートアップビザと経営管理ビザは、在留資格も審査の窓口も異なります。

項目 福岡市スタートアップビザ 経営管理ビザ
在留資格 特定活動 経営・管理
在留期間 当初1年間、最長2年間(更新は6か月) 5年・3年・1年・4月・3月
事前の確認 福岡市の起業準備活動確認(中小企業診断士の意見聴取を含む) なし(事業計画書の専門家確認が必要)
事業所・常勤職員・3,000万円 期間中に満たせばよい 申請時に満たす(会社設立前の申請は4月)
就労 原則不可 経営・管理の活動

市のQ&Aは、すでに経営・管理の要件を満たしていると考える場合は、直接入管で経営管理ビザを申請して差し支えないとしています。会社の登記前であっても、定款などで設立予定を示して経営・管理を申請でき、その場合は在留期間4月が決定されます(審査要領10-14)。資金と人材の準備が整っている人は、スタートアップビザを経ずに在留期間4月の経営管理ビザとは|会社設立前の申請と許認可の方法を選ぶこともできます。

切替え時に満たすべき2025年改正後の基準

スタートアップビザから経営・管理に変更するときは、改正後の基準がそのまま適用されます。出入国在留管理庁の改正ページが示す新基準は次の5つです。

基準 内容
常勤職員 1人以上。日本人、特別永住者、永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者に限り、別表第一の在留資格の外国人は含めない
資本金等 3,000万円以上。法人は払込済資本の額または出資の総額。資本準備金等は含めず(問7)、給与や事務所費の合算も不可(問8)
日本語能力 申請者か常勤職員のいずれかがB2相当(JLPT N2以上、BJT 400点以上、中長期在留20年以上、日本の大学等の卒業など)
経歴 博士・修士・専門職学位、または経営・管理の経験3年以上(起業準備の特定活動の期間を含む)
事業計画書 中小企業診断士・公認会計士・税理士(日本の資格に限る)の確認を受ける

福岡市のページの本文は、経営管理ビザの要件を「1人以上の常勤職員を雇用する」と説明しています。一方、同じ市のQ&A(質問2)には「2人以上の常勤従業員の雇用」という記載が残っています【要確認】。上陸基準省令と出入国在留管理庁の公表資料は、改正後の常勤職員を1人以上としているため、本記事は1人以上を前提にしています。市のQ&Aの記載は、改正前の表現が残ったものと筆者は読んでいます。

3,000万円の数え方には、新株予約権の扱いという論点もあります。公表資料(外国人経営者の在留資格基準の明確化について)は、返済義務のない払込金で、将来資本金に計上するものは3,000万円に算入できるとしています。その場合は、J-KISS型の投資契約書等、払込みを証する通帳等、資本金に計上する旨の誓約書が必要です。スタートアップの資金調達とは相性のよい取扱いです。詳しくは経営管理ビザの資本金3,000万円はどう数える?出資金・借入金・新株予約権の扱い【2025年10月改正】で扱っています。

事業計画書の専門家確認について、市の審査で行われる中小企業診断士の意見聴取が、経営・管理の申請で求められる専門家確認を兼ねるかどうかは、公表資料にも市のページにも書かれていません【要確認】。変更申請の段階で、改めて確認を受けた事業計画書を用意する前提で準備するのが安全です。

スタートアップビザの期間は経営経験3年に数えられる

新基準の第4号は、学位がない人に「事業の経営又は管理について三年以上の経験」を求めています。その括弧書きが、起業準備の特定活動の期間を経験に含めています。

審査要領ではこう書かれている(第12編 10-7、第4号ロ)

「事業の経営又は管理について三年以上の経験(特定活動の在留資格(法第七条第一項第二号の告示で定める活動のうち本邦において貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動を含む活動を指定されたものに限る。)をもって本邦に在留していた期間がある場合は、当該期間を含む。)を有していること。」

審査の段階では、この期間をFEISで確認するとされています(10-10)。

ここで重要なのは、スタートアップビザの期間を足しても、それだけでは3年に届かないという論点です。福岡市のスタートアップビザは最長2年間なので、学位がない人は、母国などでの経営・管理の経験を少なくとも1年分は別に示す必要があります。2年間を使い切ってから変更を申請する場合でも、残りの期間は本邦外の経歴などで埋めることになります。経歴で基準を満たすのか、関連分野の修士等の学位で満たすのかは、スタートアップビザを申請する前に確かめておくべき点です。

2025年10月15日以前に確認を受けた人は旧基準

出入国在留管理庁の改正ページのQ&Aは、特定活動44号(スタートアップビザ)について、確認証明書の交付が2025年10月15日以前であれば旧基準を適用するとしています(問32)。旧基準の第2号は、常勤職員2人以上、資本金等500万円以上、これらに準ずる規模のいずれかでよいとするものでした(審査要領10-28)。

この経過措置が自分に当たるかは、確認証明書の交付日で決まります。福岡市の制度が特定活動の何号として指定されているかは、在留カードとともに交付される指定書の記載で確認できます。44号に当たるかどうか、指定書と確認証明書の交付日をあわせて確かめてください。既存の在留者向けには、2028年10月16日までの更新は新基準を満たさないことだけを理由に不許可にしないという経過措置があります(問1)。ただし、旧基準で経営・管理に変更した人のその後の更新にこれがどう適用されるかは、公表資料に個別の記載がありません【要確認】。経過措置の全体は【2025年10月16日施行】経営管理ビザ厳格化の新基準と経過措置|資本金3,000万円・常勤職員・日本語要件で整理しています。

自治体の起業支援で3,000万円を補える取扱い

審査要領には、地方公共団体が実施する起業支援の対象になった人について、事業規模の判断を緩める取扱いがあります(10-23〜10-25)。

審査要領ではこう書かれている(第12編 10-23)

「地方公共団体が申請人に代わり負担していると認められる金額を最大で年間200万円まで考慮し、申請人が投下している金額と合わせて3,000万円以上となる場合は、基準第2号ロに適合するものとして取り扱う。」

対象は、地方公共団体の起業支援対象者として認定され、地方公共団体が所有または指定するインキュベーション施設に入居し、事業所の経費(専有スペースの賃料、共有スペースの利用料)やコンサルタント利用料を地方公共団体が申請人に代わって負担していると認められる場合です。

負担額は、同等の民間施設やコンサルタントを使った場合の金額と、申請人の負担額との差額で計算します。審査要領の例では、民間施設の賃料が月8万円で申請人の負担が月1万円なら、月7万円(年84万円)を自治体の負担と認め、資本金等は2,916万円以上でよいとされています(10-25)。起業支援にインキュベーション施設への入居が含まれない場合は対象外です(10-24)。

この取扱いを受けるには、地方公共団体が発行した文書で、次の事項を示す必要があります(10-24)。

  • 申請人の国籍・地域、氏名、生年月日
  • 起業支援事業の名称と予算額
  • 地方公共団体が認定した申請人の事業内容の詳細
  • 地方公共団体が提供する支援の内容(インキュベーション施設への入居、コンサルタントの利用機会の提供等)
  • 民間の施設やコンサルタントを利用した場合の金額とその積算根拠
  • 申請人の負担額
  • 支援の始期と終期

その地方公共団体の文書が初めて提出された場合、地方局は負担を認めてよいかを本庁(在留管理課就労審査係)に照会し、認められたものは入管WANに掲示されます。認められた場合は、地方公共団体が起業支援対象者として認定・支援していることをもって、事業計画の具体性と合理性を満たすものとして扱われ、在留期間は1年です。支援が終わった後の更新では、基準への適合を改めて審査します(10-24〜10-25)。

福岡市のスタートアップビザの支援内容に、この取扱いの前提となるインキュベーション施設への入居と自治体による経費の負担が含まれるのかは、市の公式ページにも公表資料にも書かれていません。福岡市の文書が本庁で認められているのかについても、記載はありません【要確認】。補えるのは多くても年200万円なので、3,000万円の大部分を自己資金等で用意する必要がある点は変わりません。

変更申請はいつ出すか

スタートアップビザから経営・管理への変更は、申請から許可までに時間がかかります。出入国在留管理庁の公表資料では、2026年7月許可分の経営・管理の変更は、許可までの平均が194.5日でした(在留審査処理期間)。在留期間の満了日までに申請していれば、処分が出るか満了日から2か月を経過するまでのいずれか早い時まで在留を続けられる仕組みがありますが、それを超える審査期間には対応できません。筆者は、会社の設立と常勤職員の採用が済んだ段階で、残りの在留期間に余裕があるうちに変更を申請することをおすすめしています。福岡出入国在留管理局への申請の流れは福岡出入国在留管理局への行き方・予約方法|混雑状況と九州各県の管轄を解説で案内しています。

よくある質問

Q. 福岡市スタートアップビザの在留期間はどのくらいですか?

福岡市の公式ページによれば、当初1年間、最長2年間です。期間中に経営・管理の要件を満たせなかった場合は、期間が2年に至るまで6か月の更新を申請できます。

Q. スタートアップビザを使えば資本金3,000万円は不要になりますか?

不要にはなりません。スタートアップビザは準備の期間を認める制度です。経営管理ビザに変更するときは、資本金等3,000万円以上、常勤職員1人以上、日本語能力、経歴、専門家が確認した事業計画書という改正後の基準を満たす必要があります。福岡市の新規申請の提出書類にも、3,000万円以上に相当する資産の証明が挙げられています。

Q. スタートアップビザの期間は経営経験3年に含まれますか?

含まれます。上陸基準省令の第4号は、起業準備の活動を指定された特定活動で在留していた期間を、経営・管理の経験に含めるとしています。ただし福岡市のスタートアップビザは最長2年間なので、学位がない場合は、それ以外の経営・管理の経験を少なくとも1年分示す必要があります。

Q. 2025年10月以前にスタートアップビザを取った場合、切替えは旧基準ですか?

出入国在留管理庁の改正ページのQ&Aは、特定活動44号(スタートアップビザ)について、確認証明書の交付が2025年10月15日以前であれば旧基準を適用するとしています。確認証明書の交付日と、在留カードとともに交付される指定書の記載を確認してください。

Q. スタートアップビザの期間中にアルバイトはできますか?

福岡市のQ&Aは、この在留期間は起業準備活動を行うためのもので、就労(資格外活動)は原則として認められないとしています。1年間の生活と起業準備に必要な資金は、あらかじめ確保しておく必要があります。

申請の前に確かめておくこと

福岡市スタートアップビザを検討する段階で、次の3点を確かめてください。事業が市の5つの対象産業に当てはまるか。3,000万円の資金と1年分の生活費を、申請の時点で証明できるか。経歴の要件を、修士等の学位で満たすのか、スタートアップビザの期間を含めた3年の経営・管理の経験で満たすのか。3点目で経験が足りない場合、スタートアップビザを使っても経営管理ビザに進めない可能性があります。福岡で外国人の在留手続を進める企業向けの全体像は福岡で外国人を採用したい企業へ|就労ビザ・特定技能の相談先と手続きの流れにまとめています。

根拠資料

  • 福岡市「スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業)」(2025年10月17日更新)https://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/r-support/business/R7nd/startupviza_2.html
  • 福岡市「スタートアップビザに関するQ&A」(2025年10月17日更新)https://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/r-support/business/R7nd/startupvizaqa_2.html
  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第10節「経営・管理」10-7(第4号)、10-10(経歴の審査)、10-14(在留期間)、10-23〜10-25(地方公共団体が実施する起業支援の対象となった者の取扱い)、10-28(旧基準)
  • 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」(Q&A 令和8年6月26日更新)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html
  • 出入国在留管理庁「『経営・管理』の許可基準の改正等について」(ガイドライン)https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf、改正概要 https://www.moj.go.jp/isa/content/001448231.pdf
  • 出入国在留管理庁「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan43.html
  • 出入国在留管理庁「在留審査処理期間(令和8年7月許可分)」https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00140.html