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共同経営者2人で経営管理ビザは取れる?複数役員の在留と報酬

共同経営者2人がそれぞれ経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)を取ることはできます。ここでいう共同経営者とは、同じ会社で役員として事業の経営や管理にともに従事する複数の人を指します。条件は3つあります(入国・在留審査要領 第12編(開示版)10-16)。事業の規模から見て2人とも経営を主な活動とする合理的な理由があること、2人の業務内容が明確に分かれていること、2人ともその対価として相当の報酬を受けることです。入管庁の公表資料は、「役員に就任しているということだけでは」経営・管理に該当しないと書いています。

役員の人数そのものに上限はありません。審査要領は、人数だけを理由に不許可とすることはできないとする一方、「慎重な審査を要する」と書いています。2人で3,000万円を出し合う場合は、事業に使う財産が基準と乖離していないかも確認されます。

この記事でわかること

  • 複数人に経営・管理が認められる3つの条件
  • 2人で3,000万円を出資する場合に確認されること
  • 役員報酬の決め方と、議事録による確認
  • 常勤職員・日本語・経歴の要件を2人でどう満たすか
  • 海外に住む共同経営者の在留資格

複数人に経営・管理が認められる3つの条件

審査要領は、複数の人が経営や管理に従事する場合の考え方を、次のように書いています。

審査要領ではこう書かれている(第12編 10-16)

「複数の者が事業の経営又は管理に従事している場合には、それだけの人数の者が事業の経営又は管理に従事することが必要とされる程度の事業規模、業務量、売上げ、従業員数等がなければならず、これらから見て、申請人が事業の経営又は管理に主たる活動として従事すると認められるかどうかを判断する。」

そのうえで、次の条件が満たされている場合には、それぞれの外国人について経営・管理に該当するとしています。入管庁の「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」も、同じ3つを挙げています。

条件 審査要領の記述(10-16) 準備しておく説明
① 合理的な理由 事業の規模や業務量等の状況を勘案して、それぞれが経営又は管理を主たる活動として行うことに合理的な理由がある 売上げ、従業員数、店舗・拠点の数、取引の量
② 業務内容の明確さ それぞれの外国人ごとに従事する業務の内容が明確になっている 担当部門、決裁権限、職務分掌
③ 相当の報酬 それぞれが経営又は管理に係る業務の対価として相当の報酬の支払を受ける 役員報酬を決議した議事録

3つの条件は、どれも「2人目がいなくても回るのではないか」という問いに答えるためのものです。ここで重要なのは、①の合理的な理由を、将来の見込みだけでなく数字で示せるかという論点です。開業直後の小さな事業に経営者が2人いると、1人分の業務量しかないと見られやすくなります。筆者は、事業計画書の段階で、2人それぞれが担当する部門の売上げや業務量の見込みを分けて書くことを勧めています。

人数に上限はないが、慎重に審査される

役員の人数について、審査要領は10-16で次のように整理しています。入国・在留を認める役員の人数に制限はありません。在留資格該当性や基準適合性が認められない場合、在留状況に問題がある場合など在留を認めるべき相当の理由がないときを除き、「人数の観点から不許可・不交付とすることはできない」。ただし、前記の3つの条件の観点から「慎重な審査を要する」とされています。

この記述の直前には黒塗りの部分があり、判読できる末尾は、「…の有無や報酬額については、株主総会議事録や取締役会議事録などを確認する」という一文です。何の「有無」を確認するのかは読めません【要確認】。少なくとも、報酬額が議事録で確認されることは、開示部分から確かめられます。

2人で3,000万円を出し合えるか

共同出資そのものは、審査要領が想定している形です。10-16は、共同出資で会社が運営される場合は、前記の①〜③の観点から確認するとしています。そのうえで、「申請に係る事業の用に供される財産(資本金の額及び出資の総額を含む。)が基準と乖離しているものでないことを確認する」としています。

確実にいえるのは次の2点です。

  • 3,000万円は1社の資本金で満たす。複数の会社の資本金を合算することはできない(改正ページQ&A 問11)
  • 資本準備金・資本剰余金・利益剰余金は含めない(同 問7)。返済義務のある借入金を資本金とすることは違法とされている(10-5)

分からないのは、「基準と乖離しているものでないこと」が経営者1人あたりの金額を指すのかどうかです。審査要領の開示部分にも公表資料にも、1人あたり3,000万円が必要とする記述はなく、逆に1社3,000万円で何人でもよいとする記述もありません【要確認】。筆者は、2人で申請するなら、資本金の額だけでなく、事業規模全体が2人の経営者を必要とする水準にあることを①の説明とあわせて示すべきだと考えています。

出資の割合も見られます。審査要領は、比較的小規模の事業で申請人の他に経営に従事する者がいるときは、「投資の割合や業務内容をそれらの者と比較することも必要である」としています(10-2)。一方の出資がごくわずかで、業務も補助的であれば、その人は名ばかりの経営者と見られるおそれがあります。資金の出所の考え方は名ばかり経営者と資金の出所|経営管理ビザで「実質的に経営に従事」と認められる条件で扱っています。

役員報酬は議事録で決めておく

③の相当の報酬は、2人それぞれについて確認されます。報酬額の確認資料は、役員の場合、役員報酬を定める定款の写しか、役員報酬を決議した株主総会の議事録の写しです(10-11)。2人の報酬に大きな差がある場合、低い側が経営を主な活動としているのかが問われることになります。

「相当の報酬」の金額の目安は、審査要領にも公表資料にもありません。経営者の報酬は、管理者に求められる「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」(基準第5号)とは別の要件です。筆者は、2人の報酬を、それぞれの担当業務の重さと事業の収益見込みから説明できる水準に置き、事業計画書の人件費と一致させておくことを勧めています。

常勤職員・日本語・経歴は誰で満たすか

2025年10月の改正後の基準は、2人の関係で扱いが分かれます。

要件 共同経営での扱い 根拠
常勤職員1人以上 共同経営者は数えない。日本人・特別永住者・居住資格の外国人を別に雇う 基準第2号イ、10-5
日本語(B2相当) 申請者か常勤職員のどちらか。共同経営者の日本語力で満たせるかは【要確認】 基準第3号、10-5〜10-6、改正ページ
経歴 2人それぞれが修士等の学位か3年以上の経営・管理経験を持つ 基準第4号、10-7
資本金等 1社で3,000万円以上。共同出資は基準との乖離を確認 基準第2号ロ、10-16

常勤職員については条文の文言が明確です。第2号イは「その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する常勤職員」が従事して営まれる事業であることを求めています(10-5)。共同経営者は経営に従事する者なので、常勤職員には数えられません。常勤職員の範囲は経営管理ビザの「常勤職員」とは|週30時間・年217日と数えられない人(出向・派遣・就労資格者)で扱っています。

日本語要件は書き方に幅があります。改正ページは、申請者か常勤職員のどちらかと説明しています。審査要領は「所属機関の経営者又は常勤職員のうちいずれかの者」と書き、日本語能力を持つ者が法人の経営者である場合の立証資料として登記事項証明書を挙げています(10-5、10-9)。日本語能力のある共同経営者がいれば、もう一方の申請でも要件を満たすと読める余地はありますが、公表資料はそこまで書いていません。実務では、申請者本人か常勤職員で満たす形を基本にするのが確実です。詳しくは経営管理ビザの日本語要件|B2相当が必要なのは申請者か常勤職員かで整理しています。

経歴要件は、申請人ごとに確認されます。一方がMBAを持ち、もう一方は学士だけで経営経験もない、という組み合わせでは、後者は第4号を満たしません。

海外に住む共同経営者の在留資格

共同経営者の1人が海外に住み、必要なときだけ来日する形もあります。審査要領は、日本法人の経営者に就任し、日本法人から報酬が支払われる場合は、会議や連絡業務で短期間来日するときでも「経営・管理」の在留資格に該当するとしています(10-3)。経営者に就任していない場合や、就任していても日本法人から報酬が支払われない場合は、「短期滞在」で入国して会議に参加します。

無報酬であれば常に短期滞在でよい、とまでは言えません。第1節の報酬の項は、日本で収入を伴う事業を運営する活動をしていれば無報酬でも該当しうるとしています。例外として挙げられているのは、海外の親会社で主に勤務する取締役が日本子会社の無報酬の代表取締役を兼ね、大きな商談のため短期間滞在する場合です(1-4)。海外の共同経営者の来日の頻度や日本での役割が大きくなるほど、経営・管理の取得を検討する必要が出てきます。

よくある質問

Q. 共同経営者2人がそれぞれ経営管理ビザを取ることはできますか?

できます。条件は、事業の規模や業務量から見て複数人が経営に当たる合理的な理由があること、それぞれの業務内容が明確であること、それぞれが経営の対価として相当の報酬を受けることなどです。これらを満たせば、各人に経営・管理が認められます。役員に就任しているということだけでは該当しないとされています。

Q. 2人で1,500万円ずつ出資して、資本金3,000万円にしてもよいですか?

1社の資本金が3,000万円以上であれば、複数人で出資すること自体は審査要領で想定されています。ただし共同出資の場合は、事業の用に供される財産が基準と乖離していないかを確認するとされています。経営者1人あたりの金額の目安は開示部分に書かれていないため、事業規模と人数の釣り合いを説明できるようにしておく必要があります。

Q. 共同経営者は常勤職員の人数に数えられますか?

数えられないと考えるべきです。基準省令は、常勤職員を経営又は管理に従事する者以外の者としています。常勤職員は別に1人以上必要で、その人は日本人、特別永住者、または永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者で在留する人に限られます。

Q. 海外に住む共同経営者も経営管理ビザが必要ですか?

日本法人の経営者に就任し、日本法人から報酬が支払われる場合は、会議や連絡業務で短期間来日するときでも経営・管理に該当するとされています。経営者に就任していない場合や、日本法人から報酬が支払われない場合は、短期滞在で入国して会議に参加します。

2人で申請する前に決めておくこと

最初に作るべきなのは、2人の職務分掌表です。営業と管理、国内と海外、店舗運営と財務といった形で担当を分け、それぞれの担当部門の売上げや業務量の見込みを事業計画書の数字と結びつけます。そのうえで、出資の割合、役員報酬の額、日本語要件と常勤職員を誰で満たすかを決め、報酬は株主総会で決議して議事録に残してください。

1人が経営・管理、もう1人は管理者として申請するなど、役割によって組み立てを変える方法もあります。管理者として申請する場合の要件は部長・支店長として経営管理ビザを取る|管理者の報酬要件と「事業の管理」で扱っています。2人の役割分担が決まらない段階でも、事業計画書を書く前にご相談ください。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第1節第2「報酬」1-4(収入を伴う事業を運営する活動)
  • 同 第10節「経営・管理」10-2(投資割合と業務内容の比較)、10-3(短期滞在との関係)、10-5〜10-7(第2号〜第4号)、10-9(日本語能力の立証資料)、10-11(役員報酬の確認資料)、10-16(複数の経営者、共同出資、役員の人数)
  • 出入国在留管理庁「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」(令和8年6月改訂)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan43.html
  • 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」(Q&A 令和8年6月26日更新)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html