永住申請を行政書士に依頼する費用の相場は、報酬だけで10万円から20万円未満が中心です。日本行政書士会連合会(日行連)が2026年1月に実施した令和7年度報酬額統計調査では、永住許可申請の報酬の平均は145,323円、最も多かった金額は10万円で、回答141件のうち68.1%が10万円以上20万円未満に収まっていました。これとは別に、国に納める手数料が2026年10月1日受付分から20万円(許可時に納付)になり、証明書の実費が数千円かかります。
永住申請の費用は「手数料」「実費」「報酬」の3つに分かれる
永住申請にかかる費用は、支払先の違う3つの層でできています。
- 手数料:国に納める。許可されたときに収入印紙で納付し、不許可なら納付しない
- 実費:市区町村・税務署などに払う証明書の交付手数料、写真代、郵送料、交通費
- 報酬:行政書士に依頼した場合に、その事務所に払う
このうち自分で申請しても避けられないのが手数料と実費で、依頼するかどうかで変わるのは報酬だけです。「永住申請 費用」で検索すると、事務所の料金表に手数料や実費を含めた総額が書かれていることもあれば、報酬だけのこともあります。見積もりを比べるときは、どの層までを含んだ金額かをまず確認してください。手数料の改定の経緯と他の在留手続の額は【2026年10月確定】在留資格の変更・更新手数料はいくらになる?で解説しています。
検索上位に並ぶ料金ページの中には、手数料を「8,000円」と書いたままのものが今も残っています。8,000円は2025年3月までの額で、2025年4月1日に1万円、2026年10月1日受付分から20万円へと2度変わりました。古い料金表の総額をそのまま信じると、予算を20万円近く見誤ることになります。
行政書士報酬の相場|日行連調査で平均14.5万円・最頻値10万円
日行連は数年おきに会員向けの報酬額統計調査を行い、結果を公表しています。令和7年度調査(2026年1月実施、消費税込み・立替金は含まない)の永住許可申請の結果は次のとおりです。
| 報酬額 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
| 5万円未満 | 4 | 2.8% |
| 5万円〜10万円未満 | 15 | 10.6% |
| 10万円〜15万円未満 | 55 | 39.0% |
| 15万円〜20万円未満 | 41 | 29.1% |
| 20万円〜25万円未満 | 19 | 13.5% |
| 25万円〜30万円未満 | 2 | 1.4% |
| 30万円以上 | 5 | 3.5% |
回答141件の平均は145,323円、最小値は1万円、最大値は44万円、最頻値は10万円(18件)でした。
同じ調査で、在留資格の変更許可申請(就労資格)の平均は103,167円、在留期間更新許可申請(就労資格)は56,204円です。永住の報酬は変更申請より4万円ほど高く、更新申請の2.5倍程度という位置にあります。永住の書類は住民税5年分、年金・医療保険2年分と、さかのぼる期間が長く、納付日まで確認する必要があります。筆者は、この確認作業の量の差がそのまま報酬に表れていると見ています。
分布で注目したいのは、20万円以上が18.4%ある点です。報酬額は事務所ごとに自由に決められるため、同じ永住申請でも、経営者の申請、高度人材ポイントの立証、家族の同時申請、不許可歴のある再申請などは加算の対象になりやすく、基本料金より高くなります。反対に5万円未満の回答は、書類の点検だけを請け負う簡易なプランと考えられます。
地域による違いも気になるところです。報酬は法令で地域別に決まっているものではなく、日行連の調査も全国集計で、都道府県別の数字は公表されていません。「永住申請 大阪」「永住申請 福岡」のように地域名で探す人が多いのは、申請先の地方出入国在留管理局に通える事務所を探しているからだと考えられます。申請取次の行政書士に依頼すれば本人が入管に出向く必要がなくなるため、地域より、申請先の局での取次経験があるかどうかを見るほうが実益があります。在留資格の手続全般の報酬の見方は在留資格申請を行政書士に依頼する費用の相場は?で整理しています。
報酬に含まれるもの|何に対して払うのか
永住申請の報酬で行政書士が引き受ける作業は、おおむね次のとおりです。事務所によって含む範囲が違うため、見積もりの段階で1つずつ確認します。
- 要件の事前確認:在留年数、住民税・年金・医療保険の納付日、在留期間、刑罰歴、収入の安定性
- 必要書類の案内と取得の代行:委任状で取れる証明書の取得
- 申請書・理由書の作成:就労資格や定住者からの申請では理由書が必要
- 身元保証書の準備:身元保証人への依頼方法の助言
- 申請取次:地方出入国在留管理局への申請書類の提出
- 審査中の対応:資料提出通知が届いたときの追加書類の作成
- 結果の受領:許可時の手数料納付と在留カードの受取り
このうち金額に差が出やすいのは、事前確認の深さと、審査中の追加資料への対応が報酬に含まれるかどうかです。永住の審査は、永住者への変更で処分までの平均が2026年7月に310.2日かかっており、その間に追加資料を求められることがあります。追加対応が別料金の事務所では、最初の見積もりより総額が増えます。審査期間の実績は永住権申請の期間はどのくらい?審査期間の実績約300日と結果ハガキ・申請中の在留期限で詳しく扱っています。
不許可だった場合の扱いも事務所で分かれます。報酬の一部返金、再申請の報酬減額、返金なしのいずれかを定めていることが多く、条件は契約書で確認してください。行政書士法10条の2は、行政書士に事務所の見やすい場所へ報酬の額を掲示するよう義務づけており、料金表を見せてもらうのは依頼者の当然の権利です。
手数料と実費|2026年10月1日から永住の手数料は20万円
永住許可の手数料は、2026年9月30日までに受け付けた申請は1万円、2026年10月1日以後に受け付けた申請は20万円です(出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」)。基準になるのは受付日で、9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月以降になっても1万円のままです。手数料は許可されたときに収入印紙で納めるもので、不許可なら納付は生じません。
ここで押さえておきたいのは、手数料が申請者1人ごとにかかる点です。夫婦と子ども1人の3人で同時に永住を申請して全員が許可されれば、手数料だけで60万円になります。改定前は3人で3万円でしたから、家族申請ほど改定の影響が大きくなります。なお2026年6月5日に公布された入管法等改正法(令和8年法律第32号)は、永住許可の手数料の上限を30万円と定めました。現在の20万円はその範囲内で政令が定めた額です。
実費は、日本国内の証明書だけならおおむね数千円に収まります。福岡市に住む就労資格の会社員が単身で申請する場合の例を示します。
- 住民票の写し(世帯全員)1通:300円
- 住民税の課税(所得)証明書・納税証明書 各5年分:300円×10通=3,000円
- 国税5税目の納税証明書(その3)1通:書面請求400円(e-Tax請求は370円)
- 年金の記録:ねんきんネットの画面印刷なら0円
- 写真(縦4cm×横3cm):数百円〜千円程度
合計で5,000円前後です。これに身元保証人の身分事項を証する書類、郵送料、交通費が加わります。本国の出生証明書や婚姻証明書が必要になるのは主に配偶者や定住者の区分で、その場合は取得費用と翻訳代が別にかかります。
総額の目安|在留資格別・家族構成別の試算
ここまでの3層を合計すると、行政書士に依頼した場合の総額は次のようになります。報酬は日行連調査の中心帯(10万〜20万円)、実費は国内書類のみで算出しています。
| ケース | 手数料 | 報酬の目安 | 実費 | 総額の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 就労資格の会社員・単身 | 20万円 | 10万〜20万円 | 約5,000円 | 約30万〜40万円 |
| 日本人の配偶者・単身 | 20万円 | 10万〜20万円 | 数千円+本国書類 | 約30万〜40万円 |
| 就労資格の夫婦+子1人 | 60万円 | 基本報酬+家族加算 | 1万円前後 | 70万円台後半〜90万円程度 |
| 自分で申請・単身 | 20万円 | 0円 | 約5,000円 | 約20万5,000円 |
家族の加算額は事務所によって幅が大きく、1人あたり数万円のところが多い印象ですが、統計はありません。表の家族申請の総額は、基本報酬15万円前後に加算を乗せた筆者の概算です。
自分で申請した場合との差は、報酬の10万〜20万円です。改定前は手数料が1万円で、報酬が総額の大半を占めていました。改定後は手数料が総額の半分以上を占めるようになり、「報酬を払うかどうか」の判断は、20万円を払って不許可になるリスクをどう見るかという問いに変わっています。
依頼する価値が高いケース|納付遅延・転職・在留期間
報酬の10万〜20万円を払う価値があるかどうかは、申請が書類の整合だけで通るか、説明や時期の判断が要るかで決まります。後者に当たる典型は次の4つです。
1つ目は、住民税・年金・医療保険の納付遅延がある場合です。永住許可に関するガイドライン(2026年2月24日改訂)は、公的義務について、申請時点で納付済みであっても当初の納付期限内に履行されていない場合は原則として消極的に評価すると書いています。遅延が1回あるだけで申請を見送るべきかは、遅延した時期、回数、理由によって判断が分かれます。遅延がある人ほど、申請書を作る前の時期の見立てに報酬を払う意味があります。確認の年数は、住民税が直近5年(日本人の配偶者等は3年)、年金と医療保険が直近2年です。自分で点検する方法は永住許可申請セルフチェックシートの使い方|7項目の読み方と「いいえ」の判断基準で項目ごとに解説しています。
2つ目は、直近に転職した場合です。永住の要件に「転職後何年」という基準はありません。ただ、独立生計要件は将来の生活の安定を見るものなので、転職直後で新しい勤務先の収入が課税証明書にまだ表れていない時期は、収入の安定性を別の資料で説明する必要が出てきます。転職の間の数週間に国民年金・国民健康保険の手続が抜けていた、所属機関の届出(入管法19条の16、14日以内)を出していなかった、というように、転職は納付遅延と届出漏れを同時に生みやすい出来事でもあります。
3つ目は、在留期間が最長になっているか微妙な場合です。現在の在留期間が3年以上であることが求められ、2027年3月31日までは3年が最長の在留期間として扱われます。在留期間1年の人は、申請しても書類上で要件を欠いていることが明らかです。
4つ目は、経営者・個人事業主と家族の同時申請です。経営者は会社の決算書類や法人の納税状況まで確認の範囲が広がり、家族申請は手数料が人数分かかるため、不許可のときの損失が大きくなります。
反対に、会社員で転職歴がなく、住民税と社会保険が給与天引きで、在留期間が3年以上ある人は、自分で申請しても書類がそろいやすい類型です。入管庁の提出書類一覧とセルフチェックシートで全項目を確認でき、不安な点が残らなければ、報酬を払わない選択は十分に合理的です。個別の事情によって見通しは変わるため、迷う項目があるときだけ相談を使う、という中間の選び方もあります。
行政書士の選び方|見積もりで確かめる5点
料金の安さより先に、見積もりの範囲と経験の中身を見ます。
- 報酬に含まれる範囲(理由書、証明書の取得代行、追加資料への対応、許可後の受領)が書面で示されているか
- 家族の同時申請、経営者、高度人材などの加算額と、不許可時の返金・再申請の扱いが明記されているか
- 申請取次の届出をしており、申請先の地方出入国在留管理局への取次に対応しているか
- 相談の段階で、納付記録や在留期間から「今申請すべきか、待つべきか」を説明できるか
- 手数料20万円への改定、2026年8月に公表されたガイドライン改定案(日本語能力などの要件)の内容を踏まえた説明ができるか
2026年1月1日施行の改正行政書士法は、行政書士でない者が「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」官公署に提出する書類を作成することを禁じる趣旨を19条に明記しました。人材紹介会社や知人が「手続サポート料」の名目で永住申請の書類を作ることは、この規定に触れるおそれがあります。依頼先が行政書士登録をしているかは、日行連の会員検索で確認できます。
ガイドライン改定案については、2026年9月29日時点で確定版が公表されていないため、確定後の要件と施行日は現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。改定の方向性は【2026年10月改定】永住許可の要件厳格化で何が変わる?で扱っています。
よくある質問
日本の永住申請の費用はいくらですか?
2026年10月1日以後に受け付けた申請は、国の手数料が20万円(許可時に納付)です。自分で申請すれば、これに証明書の実費が数千円加わるだけです。行政書士に依頼する場合は報酬が加わり、日行連の令和7年度調査では平均145,323円、最頻値10万円でした。単身の会社員なら総額30万〜40万円が目安です。
永住申請が不許可になったら手数料や報酬は戻りますか?
手数料は許可されたときに納めるものなので、不許可なら20万円の負担は生じません。証明書の実費は戻りません。行政書士の報酬は事務所の契約によって、一部返金、再申請の減額、返金なしのいずれかが定められていることが多いため、依頼前に書面で確認してください。
家族で同時に申請すると手数料はどうなりますか?
手数料は許可を受ける1人ごとにかかります。夫婦と子ども1人の3人が全員許可されれば60万円です。行政書士の報酬は、2人目以降を加算方式にしている事務所が多く、1人分の報酬の3倍にはならないのが一般的です。
会社が社員の永住申請費用を負担してもよいですか?
負担すること自体を禁じる規定はありません。ただ、永住は社員本人の身分に関する申請で、会社の業務に必要な就労資格の更新とは性質が異なります。会社が負担した場合の税務上の扱い(給与課税の要否)は、負担の趣旨によって変わるため、顧問税理士への確認をお勧めします。(公式資料では未確認)
9月30日までに申請すれば手数料は1万円のままですか?
9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月以降になっても1万円です。基準は受付日なので、窓口の混雑も見込んで早めに受付を済ませてください。永住許可申請は在留申請オンラインシステムの対象外です。
20万円を払う前に、申請の時期を決める
手数料が20万円になったことで、永住申請の費用の中心は国に払う手数料に移りました。報酬を払うかどうかを迷う人ほど、見るべきは報酬額そのものより、今の記録で申請して通る見込みがどの程度あるかです。納付遅延が直近にある人、転職したばかりの人、在留期間が3年に届いていない人は、申請を急ぐより、条件が整う時期を見定めるほうが結果的に安く済みます。
まずは直近5年の住民税、直近2年の年金・医療保険の納付日を手元の記録で確かめ、在留カードの在留期間を確認してください。そのうえで、すべて問題がなければ自分で申請し、1つでも判断に迷う項目があれば、その項目だけでも専門家に見てもらうのが費用対効果の高い進め方です。永住の要件そのものは永住権の条件とは?素行善良・独立生計・国益の3要件と原則10年在留にまとめています。
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根拠資料
- 報酬額の統計(日本行政書士会連合会・令和7年度報酬額統計調査の結果、2026年1月実施)
- 令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について(出入国在留管理庁)
- 永住許可申請(出入国在留管理庁)
- 永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)(出入国在留管理庁)
- 在留審査処理期間(出入国在留管理庁)
- 行政書士法(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法(e-Gov法令検索)
- 税務証明・閲覧の概要(福岡市・2026年5月21日更新)
- 書面の納税証明書を受け取る場合について(国税庁 e-Tax)
在留資格の申請・採用のご相談は、保利国際法務事務所の無料相談へ。福岡出入国在留管理局への申請取次に対応しています。