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特定技能への変更申請|留学・家族滞在からの要件と必要書類、審査で見られる在留状況

留学生や家族滞在の外国人を特定技能で雇うときは、特定技能への在留資格変更許可申請が必要で、試験の合格と雇用契約だけでは許可されません。出入国在留管理庁の「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月)は、「留学」の在留資格で在籍状況が良好でなかった人について、原則として変更を許可する「相当の理由」がないとしています。家族滞在を含め、審査で実際に差が出るのは、これまでの在留資格で決められた範囲を守って暮らしてきたかどうか、特に資格外活動(アルバイト)の時間と税・年金の納付です。採用を決める前に、会社の側でこの2点を確かめておくことが、不許可を避けるいちばんの近道になります。

特定技能への変更申請とは|国内在住者を雇うときの手続

ここでいう在留資格変更許可申請とは、日本に住んでいる外国人が、今の在留資格を別の在留資格に切り替えるための申請を指します(入管法20条)。海外にいる人を呼ぶときの在留資格認定証明書交付申請とは別の手続で、国内の留学生、家族滞在の人、就職活動中の特定活動の人などを特定技能1号で雇う場合は、すべてこの変更申請になります。

申請するのは外国人本人ですが、受入れ機関の職員や登録支援機関、申請取次の行政書士が代わりに提出することもできます。提出先は、本人の住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で、福岡県内なら福岡出入国在留管理局です。オンライン申請も利用できます。

変更が許可されるかどうかは、2つの段階で判断されます。1つは特定技能1号の要件(在留資格該当性と上陸許可基準への適合)を満たすか、もう1つは変更を認めるのが適当といえる「相当の理由」があるか、です(入管法20条3項)。前者は試験・雇用契約・支援計画といった書類でそろえられますが、後者は本人のこれまでの在留状況で決まり、申請の時点で後から整えることはできません。この2段階の組み立ては在留資格該当性と上陸許可基準適合性の違いで解説しています。

特定技能1号に変更するための要件

本人の側で必要な要件は、どの在留資格から変わる場合も共通です。

  • 18歳以上であること
  • 健康状態が良好であること(健康診断個人票で確認)
  • 従事する分野の技能試験に合格していること
  • 日本語試験(国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上)に合格していること。介護分野は介護日本語評価試験も必要
  • 特定技能1号での在留期間が通算5年に達していないこと
  • 保証金の徴収や違約金の契約をされていないこと、送出しや採用にかかる費用の内容を理解していること

技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除されますが、留学生や家族滞在の人にはこの免除がないため、技能試験と日本語試験の両方に合格していることが前提になります。国内の試験は在留資格を持っていれば受験できるので、留学生や家族滞在の人が在留中に受験すること自体は問題ありません。

会社の側では、日本人と同等以上の報酬を定めた特定技能雇用契約、1号特定技能外国人支援計画(登録支援機関への委託も可)、分野ごとの協議会への加入などが必要です。分野によっては、建設分野の受入計画認定のように、申請前に別の手続が入ります。

運用要領が「原則として相当の理由なし」とする場合

運用要領は第4章第1節の【留意事項】で、特定技能への変更について、原則として相当の理由があるとは認められない場合を挙げています。

  1. 「留学」の在留資格を持つ人で、所属していた教育機関での在籍状況が良好でないもの(正当な理由がある場合を除く)
  2. 失踪した技能実習生(技能実習の活動をしないで在留していたことに正当な理由がある場合を除く)
  3. 「短期滞在」の在留資格を持つ人
  4. 活動計画の作成が求められる在留資格で、その計画の性格上、他の在留資格への変更が予定されていないもの(技能実習の途中など)

留学生の採用で問題になるのは1です。「在籍状況が良好でない」の中身について、運用要領は出席率の数値などの基準を示していません。手がかりになるのは、出入国在留管理庁の「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(令和8年6月改正)です。ガイドラインは考慮事項の3番目に「現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと」を置き、除籍・退学後も在留を続けていた留学生は、正当な理由がある場合を除き消極的な要素として評価すると明記しています。

この2つを合わせて読むと、審査で見られるのは、学校に通って学ぶという「留学」の活動を実際にしていたかどうかです。出席が極端に少ない、長期間学校に行っていない、学費を納めずに除籍になった、といった事情があれば、試験に合格していても変更は難しくなります。個々の留学生の出席率について何割を下回れば不許可といった数値は公表されておらず、学校単位の適正性を判断する資料に「6か月間の出席率の平均が7割を下回る」という例が出てくる程度です。

ここで重要なのは、学校を退学した留学生の扱いです。退学した時点で「留学」の活動はなくなり、正当な理由なく3か月以上その活動をしないで在留すると、在留資格の取消しの対象になります(入管法22条の4第1項6号)。退学してから時間が経つほど、特定技能への変更は説明がつきにくくなります。在学中に試験に合格して内定が出た場合は、卒業を待って変更するか、卒業見込みの段階で申請するかを学校とも相談して決めるのが無難です。

資格外活動の違反は課税証明書で表に出る

留学生と家族滞在の人に共通する最大の論点は、アルバイトの時間です。資格外活動の包括許可は1週28時間以内(留学生は長期休業期間中1日8時間以内)で、これを超えて働けば入管法19条1項の違反になります。

ガイドラインは考慮事項の4番目に「素行が不良でないこと」を置き、不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上看過できない行為は、初犯であっても素行不良と判断するとしています。28時間を超えた就労も素行の評価に含まれ、程度が大きく期間が長いほど重く見られます。違反の程度と罰則の関係は資格外活動違反とは|オーバーワークの発覚経路・罰則・更新不許可で整理しています。

変更申請で超過が発覚する経路は、申請書類そのものです。特定技能1号の変更申請用の提出書類一覧表(第1表、令和8年8月20日改定)では、国内に住む申請人について、次の書類を求めています。

  • 全ての納期が経過している直近1年度分の個人住民税の納税証明書と課税証明書
  • 課税証明書と同じ年の給与所得の源泉徴収票の写し
  • 国民健康保険に加入している場合は、資格情報の写しと直近1年度分の保険料(税)の納付証明書
  • 国民年金に加入している場合は、被保険者記録照会回答票と、24か月分の納付記録または領収証書の写し

課税証明書には、前年に複数の勤務先から受け取った給与の合計が載ります。週28時間で1年間働いた場合の給与収入は、時給1,200円なら約175万円(1,200円×28時間×52週)が上限の目安です。長期休業中の1日8時間を加えても、課税証明書の年収がこれを大きく超えていれば、どこかで28時間を超えていたことが数字から読み取れます。本人が1社ごとには守っていたつもりでも、掛け持ちの合算で超えていることがよくあります。

採用面接の段階で、会社が本人に前年の課税証明書を取ってきてもらい、年収を確認することを筆者は勧めています。過去の超過は申請の時点で消せないため、確認が早いほど、別の候補者を探す、採用時期を調整するといった判断に時間を使えるからです。

年金・住民税の未納は変更申請で必ず確認される

留学生は、20歳になると国民年金の加入義務があり、学生納付特例を申請していなければ未納が積み上がります。変更申請では24か月分の納付状況が確認され、未納がある場合は「公的義務履行に関する誓約書」(参考様式第1-26号)の提出が求められます。未納がある状態での申請の考え方は特定技能と国民年金・国民健康保険の未納で扱っています。

家族滞在の人は、扶養者である配偶者が会社員として厚生年金に加入していれば、国民年金の第3号被保険者になっていることが多く、年金の未納は起きにくい立場です。その一方で、第3号被保険者や健康保険の被扶養者でいられるのは年収が一定額(原則130万円)未満の場合なので、家族滞在の人の年収がこれを超えていれば、扶養の手続と資格外活動の両面で説明が必要になります。

住民税は、前年の所得に対して翌年6月から課税されます。留学生が卒業前にアルバイトをやめていても、住民税の納期が来ていれば納めている必要があります。納税証明書は「全ての納期が経過している直近1年度分」なので、申請月によってどの年度の証明書が必要になるかが変わる点にも注意してください。

留学・家族滞在・特定活動からの違い

変わる前の在留資格ごとに、審査で意識すべき点を整理すると次のとおりです。

現在の在留資格 試験 審査で特に見られる点
留学 技能・日本語とも必要 在籍状況(出席・学費・除籍・退学)、週28時間、国民年金の未納
家族滞在 技能・日本語とも必要 週28時間、年収と扶養の関係、扶養者の在留状況との整合
特定活動(就職活動・46号・移行準備など) 技能・日本語とも必要(技能実習修了者は免除あり) 特定活動で指定された活動を守っていたか、指定期間内の申請か
技能実習 2号良好修了なら免除 実習の修了の有無、途中での変更は原則不可
短期滞在 ― 原則として変更は認められない

家族滞在の人が特定技能に変わると、扶養を受ける立場から、自分の在留資格で働く立場に変わります。特定技能1号は家族の帯同が原則として認められないため、家族滞在の人に子どもがいて、その子も家族滞在で在留している場合は、扶養者である親(多くは技術・人文知識・国際業務などで働く配偶者)の在留資格で子の在留が続くかを確認しておく必要があります。

特定活動から変わる場合は、どの特定活動かで状況が違います。大学を卒業した留学生の就職活動のための特定活動や、本邦大学卒業者の特定活動(46号)からの変更は、指定された活動を守っていれば特段の障害はありません。技能実習修了者などで書類がそろうまでの間に使う移行準備の特定活動は特定活動から特定技能へ|移行準備の特定活動(6か月・就労可)の要件と試験未合格時の扱いで説明しています。

必要書類と申請の流れ

変更申請で使う書類は、出入国在留管理庁が公表する「特定技能1号」に係る提出書類一覧表(在留資格変更許可申請用)で決まります。申請人に関する第1表、所属機関に関する第2表(第2表の1〜3のいずれか)、分野に関する第3表の3つを組み合わせます。第1表の主な書類は次のとおりです。

  • 在留資格変更許可申請書(写真縦4cm×横3cm、6か月以内に撮影)
  • 特定技能外国人の報酬に関する説明書、特定技能雇用契約書・雇用条件書の写し
  • 雇用の経緯に係る説明書
  • 健康診断個人票と受診者の申告書
  • 1号特定技能外国人支援計画書
  • 住民税の課税・納税証明書、源泉徴収票、国民健康保険・国民年金の資料(前述)
  • 二国間取決の手続が必要な国籍の場合はその書類(変更申請用ではカンボジア、タイ、ベトナム)

技能試験と日本語試験の合格証明書は、第3表(分野別)に置かれています。会社側の登記事項証明書や納税証明書は第2表です。一覧表は年に数回改定されるため、申請のたびに最新版を取り直してください。

申請から許可までの流れは次の順になります。

  1. 試験の合格証明書と、本人の課税証明書・年金記録を確認する
  2. 雇用契約を結び、支援計画を作る(事前ガイダンスを実施)
  3. 分野ごとの協議会加入などを済ませる
  4. 在留期限内に変更許可申請を出す
  5. 許可後、手数料を納めて新しい在留カードを受け取り、就労を始める

出入国在留管理庁の統計(2026年7月許可分の全国平均)では、特定技能1号への在留資格変更は59.5日かかっています。手数料は許可のときに納め、2026年10月1日以降に受け付けた申請は許可される在留期間に応じた額(窓口で1年33,000円、1年超3年未満48,000円など)になります。9月30日までの受付分は従来の6,000円(オンライン5,500円)です。

審査中は新しい会社で働けない

運用要領は、在留資格変更許可申請中は、変更予定の就労先で就労活動は認められないと明記しています。留学生が卒業後に申請した場合、審査の約2か月間は内定先で働けず、卒業すると留学生のアルバイトもできなくなります。4月入社を予定するなら、この空白期間を前提に、申請の時期と本人の生活費の見通しを立てておく必要があります。

在留期限内に申請していれば、審査中に期限が過ぎても、処分の時か期限から2か月を経過する日のいずれか早い時までは、それまでの在留資格で在留できます(入管法20条6項の特例期間)。ただし、在留できることと働けることは別です。特例期間中の留学生が内定先で働けば不法就労になり、本人の変更が不許可になるだけでなく、会社も不法就労助長罪の対象になりえます。

よくある質問

留学から特定技能への変更はどうすればいいですか?

分野の技能試験と日本語試験に合格し、受入れ企業と特定技能雇用契約を結んだうえで、在留期限内に在留資格変更許可申請を出します。書類は変更申請用の提出書類一覧表で決まり、本人の課税証明書・年金記録なども必要です。在学中の出席状況と週28時間の順守が審査で見られます。

家族滞在ビザから特定技能ビザに変更するにはどうしたらいいですか?

手続は留学生と同じで、試験合格、雇用契約、変更許可申請の順です。家族滞在の人は技能実習の試験免除がないので、技能試験と日本語試験の両方が必要です。資格外活動の時間と年収が確認されるため、前年の課税証明書を先に確認してください。

特定技能の在留資格変更申請にかかる期間は?

2026年7月許可分の全国平均で59.5日です。書類の不足で資料提出通知が来ると、さらに延びます。分野の協議会加入に2〜3か月かかる分野もあるため、申請前の準備期間も含めて逆算してください。

特定技能 在留資格変更の料金は?

入管に納める手数料は、2026年10月1日以降に受け付けた申請から、許可される在留期間で変わります。窓口申請で1年なら33,000円、1年を超え3年未満なら48,000円です。9月30日までに受け付けた申請は6,000円(オンライン5,500円)です。行政書士や登録支援機関に依頼する場合の報酬は別にかかります。

在学中に特定技能に変更できますか?

試験合格と内定があれば申請はできますが、特定技能で働き始めるのは許可を受けた後です。在学中に学業を放棄して働く形になると、在籍状況が良好でないと評価されます。卒業の時期と就労開始日の関係は、個別の事情で判断が変わるため、申請前に確認しておくと安全です。

採用の判断は「試験の合格」の前に

留学生や家族滞在の人を特定技能で採用するとき、会社はまず試験の合否を気にします。しかし試験は受け直せる一方、在留状況は申請の時点で変えられません。変更申請で差が出るのは、本人の在籍状況、アルバイトの時間、税と年金の納付という、過去の事実です。

採用の手順としては、面接の段階で在留カードの資格外活動欄と前年の課税証明書、年金の納付状況を確認し、問題がないと分かってから試験の受験や雇用契約に進むのが合理的です。すでに特定技能で働いている人を他社から迎える場合は、手続が異なるため特定技能の外国人は転職できる?を参照してください。大学・専門学校を卒業した留学生なら、特定技能ではなく技術・人文知識・国際業務が選べる場合もあるので、留学から技術・人文知識・国際業務への在留資格変更ガイドと比べて検討してください。

根拠資料


在留資格の申請・採用のご相談は、保利国際法務事務所の無料相談へ。福岡出入国在留管理局への申請取次に対応しています。