外国人社員の雇用保険の加入条件は日本人と同じで、1週間の所定労働時間が20時間以上、31日以上の雇用見込みがあれば、国籍や在留資格にかかわらず被保険者になります。例外として被保険者にならないのは、昼間の学生(留学生を含む)、ワーキングホリデーで来日した人、外国公務員と外国の失業補償制度の適用を受けていることが立証された人です。加入させる外国人については、雇用保険被保険者資格取得届の17欄から23欄に在留カードの番号や在留資格を書くことで、ハローワークへの外国人雇用状況の届出を兼ねることになります。
外国人も雇用保険の加入条件は日本人と同じ
雇用保険は、適用事業に雇用される労働者を、本人の意思にかかわらず原則として被保険者とする制度です。厚生労働省の「雇用保険事務手続きの手引き」は、在日外国人について「日本国に在住し合法的に就労する外国人は、国籍(無国籍を含む)を問わず被保険者となります」と整理しています。
加入の要件は次の2つです。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 同一の事業主に31日以上雇用されることが見込まれること
「所定労働時間」とは、就業規則や雇用契約書で、通常の週に勤務すべきとされている時間を指します。実際の残業時間は含みません。31日以上の雇用見込みは、期間の定めがない雇用であれば雇入れの当初から、31日未満の契約でも更新する旨の明示や同様の契約での更新実績があれば、雇入れの当初から見込みありと判断されます。
在留資格による区別は、原則としてありません。技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能、企業内転勤、日本人の配偶者等、永住者、定住者、家族滞在のアルバイトなど、就労が認められた在留資格で上の2要件を満たせば加入です。本人が「帰国するから入りたくない」と言っても、加入を省略することはできません。
技能実習生も受入れ企業と雇用関係にあるため被保険者になります。ただし、入国当初に雇用契約に基づかない講習(座学)が行われる場合、その講習期間中は受入れ企業と雇用関係にないため、被保険者になりません。講習が終わり、雇用契約に基づく実習が始まった日が資格取得日です。
雇用保険の適用除外になる外国人
雇用保険の適用除外のうち、外国人雇用で問題になるのは次の3つの類型です。
| 類型 | 扱い | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 昼間の留学生 | 被保険者にならない | 学校教育法1条の学校・専修学校・各種学校の学生(雇用保険法6条4号)。夜間・定時制・通信制は対象外で、例外あり |
| ワーキングホリデー | 被保険者にならない | 在留資格「特定活動」(ワーキングホリデー)。旅券の指定書で確認 |
| 外国公務員、外国の失業補償制度の適用者 | 被保険者にならない | 外国の失業補償制度の適用を受けていることが「立証された」場合に限る |
留学生(昼間学生)の扱いと例外
留学生のアルバイトは、資格外活動許可による週28時間以内の就労で、所定労働時間が20時間を超えることもあります。それでも、大学・専門学校・日本語学校(各種学校として認可されたもの)の昼間課程に在学している限り、学生として適用除外です。
ただし、厚生労働省の手引きは、昼間学生でも次の人は被保険者になるとしています。
- 卒業見込証明書を持ち、卒業前に就職して、卒業後も引き続き同じ事業所で働く予定の人
- 休学中の人(休学の事実を証明する文書が必要)
- 事業主の命令または承認を受けて、雇用されたまま大学院などに在学する人
- 出席日数を課程修了の要件としない学校に在学し、同じ事業所で同種の業務に就く他の労働者と同様に勤務できると認められる人(証明する文書が必要)
外国人雇用で実際に出てくるのは一つ目の例外です。留学生を内定後の2月や3月から入社扱いにし、卒業後もそのまま勤務する場合は、卒業前であっても雇用保険に加入させます。在留資格はその時点ではまだ「留学」で、就労は資格外活動許可の範囲に限られます。フルタイムで働かせるのは、卒業後に技術・人文知識・国際業務などへの変更が許可されてからです。留学生アルバイトの保険の扱いは公式案内をご確認ください。
ワーキングホリデー
ワーキングホリデーで来日した人は、在留資格「特定活動」で、休暇を主目的とした滞在中に旅行資金を補う範囲で働くことが認められています。厚生労働省の手引きはワーキングホリデーを被保険者にならない類型に挙げており、所定労働時間が20時間以上でも加入しません。雇用保険の資格取得届は出さず、代わりに外国人雇用状況届出書(様式第3号)を雇入れの翌月末日までに提出します。
同じ「特定活動」でも、特定活動46号(本邦大学卒業者)や、ミャンマー人の緊急避難措置の特定活動などは通常どおり加入の対象です。在留カードの在留資格欄が「特定活動」とだけ書かれている場合は、旅券に貼られた指定書で活動の中身を確かめてから判断します。
外国の失業補償制度の適用を受けている人
企業内転勤などで海外の親会社から日本に来ている社員のうち、本国の失業補償制度(失業保険)の適用を引き続き受けていることが立証された人は、日本の雇用保険の被保険者になりません。立証がなければ、原則どおり加入です。
年金や健康保険の二重加入を調整する社会保障協定は、雇用保険を対象にしていません。「社会保障協定の適用証明書があるから雇用保険も不要」という理解は誤りで、雇用保険は本国の失業補償制度の適用を個別に立証できるかどうかで判断します。立証の方法は管轄のハローワークに確認してください。
雇用保険資格取得届の記入例|外国人欄(17〜23欄)
外国人を雇用保険に加入させるときは、雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)を、資格取得日の属する月の翌月10日までに事業所管轄のハローワークに提出します。日本人と共通の1欄から16欄に加え、外国人の場合は17欄から23欄を記入します。この欄を記入すれば、労働施策総合推進法28条の外国人雇用状況の届出を別に出す必要はありません。「外交」「公用」の在留資格の人と特別永住者は、外国人欄の記入も雇用状況の届出も不要です。
令和2年(2020年)3月1日以降の雇入れ・離職から、届出に在留カード番号を記載することになりました。現在の様式(2021年9月版)では18欄が「在留カードの番号」です。古い様式を使うと在留カード番号欄がないため、ハローワークインターネットサービスから最新の様式を入手して使います。
| 欄 | 記入内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 4 被保険者氏名(カナ) | 住民票または在留カードの氏名の読み方をカタカナで。姓と名の間を1枠空ける | グエン バン アン |
| 17 被保険者氏名(ローマ字) | 在留カードの記載どおりの順序で、アルファベット大文字 | NGUYEN VAN AN |
| 18 在留カードの番号 | 在留カード右上の12桁の英数字(英字2桁・数字8桁・英字2桁) | AB12345678CD |
| 19 在留期間 | 在留期間の満了日(西暦) | 2029年3月31日まで |
| 20 資格外活動の許可の有無 | 家族滞在など、資格外活動の許可を得て働く人は「1 有」 | 2 無 |
| 21 派遣・請負就労区分 | 派遣・請負で主として当該事業所以外で就労する場合は「1」、それ以外は「2」 | 2 |
| 22 国籍・地域 | 在留カードの国籍・地域 | ベトナム |
| 23 在留資格 | 在留カードまたは旅券の上陸許可証印の記載どおり | 技術・人文知識・国際業務 |
記入例の氏名と番号は架空のものです。23欄は、在留資格が「特定技能」の場合は分野を、「特定活動」の場合は活動類型も併せて書くよう、徳島労働局の記入例で求められています。例えば「特定技能第1号(ビルクリーニング)」「特定活動(EPAに基づく看護師又は介護福祉士(候補者))」といった書き方です。
よくある記載ミス
資格取得届の外国人欄で起きやすいミスには、共通のパターンがあります。
- 18欄に旅券番号を書いてしまう。在留カード番号は英字2桁・数字8桁・英字2桁の12桁で、旅券番号とは桁数も並びも違う
- 18欄のアルファベットの「O」と数字の「0」、「I」と「1」を取り違える。在留カードの原本を見て一文字ずつ確認する
- 19欄に在留期間の「3年」「5年」と書く、または許可年月日を書く。書くのは満了日である
- 17欄のローマ字を、社内で使っている呼び名や、パスポートと違う順序で書く。在留カードの記載順が基準
- 23欄に「就労ビザ」「特定技能」とだけ書き、分野や活動類型が抜ける
- 家族滞在の配偶者をパートで雇う際に、20欄を「無」にする。家族滞在で働くには資格外活動許可が必要で、許可があれば「有」
在留カード番号の転記ミスは、ハローワークから入管へ情報が提供される過程で照合がとれない原因になります。雇用状況の届出が入管の在留審査でどう使われるかは外国人雇用状況の届出とは?で解説しています。
雇用保険に加入しない外国人の届出|様式第3号
雇用保険の被保険者にならない外国人を雇う場合も、外国人雇用状況の届出は必要です。留学生のアルバイト、ワーキングホリデー、週20時間未満のパートなどがこれに当たります。外国人雇用状況届出書(様式第3号)を、雇入れ・離職ともに翌月末日までにハローワークに提出します。
届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりした場合は、30万円以下の罰金の対象です。厚生労働省のページには、令和9年(2027年)4月1日から使う様式第3号の新様式が掲載されていますが、欄の変更内容は現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。
加入する外国人と加入しない外国人とで、届出の様式と期限が違う点が実務上の混乱の元になります。被保険者は資格取得届(様式第2号)を翌月10日まで、資格喪失届(様式第4号)を離職の翌日から10日以内に出し、被保険者でない外国人は様式第3号を雇入れ・離職ともに翌月末日までに出します。同じ月に入社した留学生アルバイトと正社員でも、提出する書類と期限が別になるということです。
雇用保険資格喪失届の記入例と退職時の注意点
外国人社員が退職したときは、雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)を、離職の翌日から10日以内に提出します。喪失届にも外国人用の欄があり、在留カード番号、在留資格、在留期間などを記入することで、離職時の外国人雇用状況の届出を兼ねます。本人が離職票の交付を希望する場合は、離職証明書も併せて提出します。
退職時に確認しておきたいのは、在留カード番号と在留期間が入社時から変わっていないかです。在留期間の更新や在留資格の変更があると、在留カードは新しい番号で再交付されます。入社時の番号のまま喪失届を書くと、照合できない届出になります。更新のたびに人事台帳の在留カード番号を書き換える運用にしておくと、このミスは防げます。
退職した外国人社員は、本人が14日以内に入管へ所属機関に関する届出を出す必要があります。就労系の在留資格の人が退職後3か月以上、正当な理由なく就労活動を行わないでいると、在留資格の取消しの対象になり得ます(入管法22条の4第1項6号)。会社が行う届出と本人の手続の全体は外国人社員が退職・解雇したら?にまとめています。
外国人でも失業給付は受けられるか
外国人も雇用保険の被保険者であった以上、失業給付(基本手当)を受ける資格は日本人と同じ基準で判断されます。原則として離職前2年間に被保険者期間が12か月以上(倒産・解雇などの場合は離職前1年間に6か月以上)あり、ハローワークで求職の申込みをして、働く意思と能力があることが条件です。
外国人に特有の論点は、在留資格との関係です。基本手当は日本国内で求職活動を続けることが前提なので、帰国してしまえば受給できません。また、日本での就労が認められる在留資格を持っていることが、「働く能力」の前提になります。就労系の在留資格の人は、失業給付を受けながら転職活動を続けることはできますが、上で触れた3か月の取消事由との関係で、長く無職のままでいることには在留上のリスクがあります。個別の状況によって判断が変わるため、離職した本人には、ハローワークと入管の両方の手続を早めに確認するよう伝えてください。
2028年10月から週10時間以上に適用拡大
2024年の雇用保険法改正により、令和10年(2028年)10月1日から、被保険者の要件が「週所定労働時間20時間以上」から「10時間以上」に広がります。施行日の時点で週所定労働時間が10時間以上20時間未満の人は、施行日に被保険者の資格を取得する扱いです(厚生労働省 職業安定分科会雇用保険部会資料、2026年3月11日)。
外国人雇用で影響が大きいのは、家族滞在の配偶者や、資格外活動許可で短時間働く人です。これまで週20時間未満のため様式第3号で雇用状況を届け出ていた人の一部が、施行日から雇用保険の被保険者になり、資格取得届で届け出ることになります。昼間学生の適用除外の扱いに変更があるかは現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認くださいが、改正の議論は所定労働時間の要件を中心に進んでいます。短時間で外国人を雇っている事業所は、2028年10月を前に、対象者の洗い出しと、雇用保険料の負担額の試算をしておくのが安全です。
よくある質問
雇用保険に入れない外国人は?
昼間の留学生、ワーキングホリデーで来日した人、外国公務員と外国の失業補償制度の適用を受けていることが立証された人は被保険者になりません。このほか、日本人と同じく週所定労働時間20時間未満の人、31日以上の雇用見込みがない人も加入しません。
週28時間働く外国人は雇用保険に加入できますか?
在留資格によります。留学生は昼間学生として適用除外のため、週28時間働いても加入しません。家族滞在などで資格外活動許可を得て週20時間以上・31日以上の雇用見込みで働く人は、加入が必要です。この場合、資格取得届の20欄を「1 有」にします。
雇用保険に外国人を加入させるには、どんな書類を添付すればいいですか?
資格取得届そのものに在留カードの写しの添付は求められていませんが、記載内容の確認のため、ハローワークから賃金台帳・労働者名簿・出勤簿などの持参を求められる場合があります。在留カードの原本で17欄から23欄の内容を確認し、写しを社内で保管しておくのが実務の基本です。
特定技能外国人の雇用保険はどうなりますか?
特定技能外国人は受入れ機関と直接の雇用契約を結ぶため、要件を満たせば通常どおり加入します。23欄には「特定技能第1号(分野名)」のように分野まで記入します。労働保険や社会保険の適用を適正に行っていることは、受入れ機関の基準の一つとして在留審査でも確認されます。
雇用保険の外国人の名前はどう書きますか?
4欄のカナ氏名は住民票または在留カードの読み方で、姓と名の間を1枠空けます。20文字を超える場合は残りを備考欄に書きます。姓がなく名だけの場合は、任意の箇所にスペースを入れ、備考欄にその旨を書きます。17欄のローマ字氏名は、在留カードの記載順どおり大文字で書きます。
雇用保険の手続を在留管理の台帳とつなげる
外国人の雇用保険は、加入の要件そのものは日本人と変わりません。違いは、適用除外の判断に在留資格の中身が関わることと、資格取得届・喪失届が入管への情報提供につながる外国人雇用状況の届出を兼ねていることです。17欄から23欄の記載は、在留カードを一文字ずつ転記する作業で、ここでの誤りは会社の届出の信頼性を下げます。
人事担当者がまず整えるべきなのは、在留カード番号、在留資格、在留期間の満了日を、雇用保険の手続と同じ台帳で管理する仕組みです。更新や変更のたびに台帳を書き換えておけば、喪失届の記載ミスも、在留期限の見落としも同時に防げます。2028年10月の適用拡大で対象者が増える前に、短時間で働く外国人の所定労働時間と在留資格を一覧にしておくことを勧めます。
根拠資料
- 「外国人雇用状況の届出」について(厚生労働省)
- 雇用保険事務手続きの手引き 第4章 被保険者について(厚生労働省)
- 雇用保険被保険者資格取得届の記入例(徳島労働局)
- 令和6年雇用保険制度改正(令和10年10月1日施行分)について(厚生労働省 職業安定分科会雇用保険部会・2026年3月11日)
- 雇用保険法(e-Gov法令検索)
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