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技能実習3号とは?優良要件150点の内訳と移行手続き・経過措置

技能実習3号は、技能実習2号を修了した実習生が、4年目と5年目の2年間、より高い水準の技能を身につけるために行う実習の段階です。3号に進むには、実習生本人が技能検定3級等の実技試験に合格し、1か月以上の一時帰国をすること、受入れ企業が「優良な実習実施者」(150点満点の6割以上)であること、監理団体が一般監理事業の許可を受けていることが必要です。加えて、2027年4月1日の育成就労制度の施行に伴う経過措置により、施行後に3号へ移行できるのは、施行日の時点で2号を1年以上行っている人、つまり遅くとも2026年4月1日までに2号を始めた人に限られます。

技能実習3号とは|4年目・5年目の「熟達」の段階

ここでいう技能実習3号(第3号技能実習)とは、技能実習法が定める3つの段階のうち最後の段階を指します。出入国在留管理庁・厚生労働省の制度概要資料(令和8年4月1日改訂版)は、各段階の目標を次のように定めています。

  • 第1号(1年目):技能検定基礎級またはこれに相当する技能実習評価試験の実技試験・学科試験への合格など
  • 第2号(2〜3年目):技能検定3級またはこれに相当する評価試験の実技試験への合格
  • 第3号(4〜5年目):技能検定2級またはこれに相当する評価試験の実技試験への合格

実習の期間は、第1号が1年以内、第2号・第3号が2年以内です。3号の在留資格は、企業単独型が「技能実習3号イ」、団体監理型が「技能実習3号ロ」になります。

3号は、2号の移行対象職種のすべてにあるわけではありません。2号移行対象職種のうち、3号が整備されていない職種・作業は3号の対象外です。自社の職種が3号の対象かどうかは、機構が公表している移行対象職種・作業の一覧で確認します。

3号に移行するための要件

3号の要件は、実習生本人に関するもの、受入れ企業(実習実施者)に関するもの、監理団体に関するものに分かれます。

対象 主な要件
実習生本人 第2号を修了し、2号の目標(技能検定3級等の実技試験合格)を達成していること。第2号修了後に1か月以上、または第3号開始後1年以内に1か月以上1年未満、一時帰国すること
実習実施者 優良な実習実施者の基準(150点満点の6割以上)に適合していること。受入れ人数枠を超えないこと
監理団体 一般監理事業の許可を受けていること(団体監理型の場合)
経過措置 2027年4月1日時点で第2号の活動を1年以上行っていること(施行日以降に3号へ移行する場合)

このほかに、第3号の技能実習計画の認定を受ける必要があります。計画の認定基準には、前段階(第2号)で定めた目標が達成されていることが含まれるため、3級の実技試験に不合格のままでは3号の計画は認定されません。

一時帰国が必要な理由

3号の要件の中で質問が多いのが一時帰国です。制度概要資料は、第3号の技能実習生について「第2号終了後に1か月以上、又は第3号開始後1年以内に1か月以上1年未満帰国していること」を計画の認定基準の一つとしています。

技能実習制度の目的は、日本で修得した技能を母国に移転することです。筆者は、3年間の実習の後にいったん帰国させることで、母国とのつながりを保ち、技能移転という制度の目的に沿った実習であることを確保する趣旨だと理解しています。帰国の時期は、2号の修了直後に1か月以上帰国する方法と、3号を開始してから1年以内に1か月以上1年未満の帰国をする方法から選べます。繁忙期に1か月以上抜けられると困る企業は、後者を使って帰国時期をずらすことを検討できます。一時帰国の手続の詳細は技能実習生の一時帰国|3号移行前の1か月以上の義務的帰国と自己都合帰国の手続きで扱います。

優良な実習実施者の要件|150点満点の内訳

3号の受入れで企業側の最大の壁になるのが、優良な実習実施者の基準です。技能実習法9条10号と主務省令が定めるこの基準は、次の6項目の合計点が満点(150点)の6割、つまり90点以上であることを求めています(厚生労働省資料「技能実習制度における優良な実習実施者及び監理団体(一般監理事業)の要件」)。

  1. 技能等の修得等に係る実績(最大70点):過去3技能実習事業年度の基礎級程度の技能検定等の合格率(95%以上で20点、75%未満で−20点)、2・3級程度の実技試験の合格率(80%以上で40点、50%未満で−40点)、直近3年間の2・3級の学科試験の合格実績(2人以上で5点)、技能検定の実施への協力(5点)
  2. 技能実習を行わせる体制(最大10点):直近3年以内に技能実習指導員・生活指導員の全員が講習を受講していること(各5点)
  3. 技能実習生の待遇(最大10点):1号実習生の基本給の最低額と最低賃金の比較(115%以上で5点)、各段階の昇給率(5%以上で5点)、住環境の向上の取組(5点)
  4. 法令違反・問題の発生状況(最大5点):直近3年以内の改善命令(改善未実施で−50点、改善実施でも−30点)、失踪ゼロで5点・失踪の割合に応じて最大−10点、責めによるべき失踪があれば−50点
  5. 相談・支援体制(最大45点):母国語相談のマニュアル(5点)、すべての母国語で相談できる相談員の確保(5点)、他社で実習継続が困難になった実習生の受入れ(基本人数枠以上で25点)、実習先変更支援サイトへの受入れ可能人数の登録(10点)
  6. 地域社会との共生(最大10点):日本語学習の支援(4点)、地域交流の機会(3点)、日本文化を学ぶ機会(3点)

この配点から、90点に届くかどうかを左右する項目が見えてきます。最も配点が大きいのは①の技能検定の合格率で、2・3級の実技試験の合格率が80%以上あれば、それだけで40点になります。次に大きいのが⑤の相談・支援体制で、他社で実習が続けられなくなった実習生を受け入れた実績は25点になります。逆に、④で改善命令を受けていると30点から50点が差し引かれ、他の項目で取り返すことはほぼできません。

筆者は、3号を検討する企業は、申請の半年以上前に監理団体と一緒にこの表で自己採点をしてみることを勧めます。合格率の計算は、分母が2号・3号の修了者数、分子が「(3級合格者数+2級合格者数×1.5)×1.2」という独特の式になっているため、感覚で見積もると外れることがあります。

監理団体の一般監理事業の許可

団体監理型の場合、監理団体が一般監理事業の許可を受けていなければ3号の実習監理はできません。一般監理事業の許可も、監理団体としての優良要件(150点満点の6割以上)を前提にしています。監理団体の許可区分の確認方法は技能実習生の監理団体の選び方|一般監理・特定監理の違いと行政処分の確認方法で解説しています。

3号の受入れ人数枠

優良な実習実施者は、受入れ人数枠が拡大されます。団体監理型の場合、制度概要資料の人数枠は次のとおりです。

  • 通常の実習実施者:第1号は基本人数枠、第2号は基本人数枠の2倍
  • 優良基準に適合する実習実施者:第1号は基本人数枠の2倍、第2号は4倍、第3号は6倍

基本人数枠は常勤職員の総数で決まり、30人以下なら3人、31〜40人なら4人、41〜50人なら5人、51〜100人なら6人です(常勤職員数に技能実習生は含めません)。ただし、第1号は常勤職員の総数、第2号は総数の2倍、第3号は総数の3倍を超えることはできません。常勤職員20人の企業で優良に適合した場合、基本人数枠3人の6倍で第3号は18人までとなる計算ですが、常勤職員数の3倍(60人)の上限には触れません。

3号に移行する手続きの流れ

2号から3号へ移る手続は、おおむね次の順で進みます。

  1. 2号修了の半年程度前:技能検定3級等の実技試験を受検させ、合格を確認します。
  2. 2号修了の数か月前:優良要件への適合を示す書類を添えて、第3号の技能実習計画の認定を機構に申請します。2号から3号への移行の際は、実習生本人が3号の実習先を選ぶこともでき、機構は「実習先変更支援サイト」で3号の受入れを希望する監理団体の情報を提供しています。
  3. 計画の認定後:一時帰国の時期に応じて、2号修了後に帰国させるか、3号開始後1年以内の帰国を予定します。
  4. 地方出入国在留管理局への申請:在留資格「技能実習3号ロ」への在留資格変更許可申請(国内から移行する場合)または在留資格認定証明書交付申請(一時帰国中の再入国に合わせる場合)を行います。

3号の計画を認定申請するときは、機構の審査期間と一時帰国の日程を逆算して準備する必要があります。帰国中に計画の認定や在留資格の手続が遅れると、再入国の日程がずれ込みます。

2027年4月以降も3号に移行できるか|経過措置

育成就労制度の施行後も、施行日に実習中の人は技能実習を続けられますが、3号への移行には条件が付きました。厚生労働省のリーフレットと機構のお知らせ(2026年1月16日)によれば、施行日以降に2号から3号に移行するには、2027年4月1日の時点で2号の活動を1年以上行っていることが必要で、1年以上かどうかは2号への在留資格変更許可日から数えます。そのため、遅くとも2026年4月1日には2号の活動を始めている必要があります。

この条件を満たす実習生は、施行日の後であっても、改正法附則9条3項の経過措置により3号の計画認定を受けて3号に進めます。2026年4月1日に2号を始めた人の場合、2号の修了は2028年3月頃で、3号を終えるのは2030年春頃になります。これが制度上、最も遅い3号の修了時期の目安です。

一方、2026年4月2日以降に2号へ変更した実習生は、3号に進めません。2号修了後に日本で働き続けるには、特定技能1号への移行を検討することになります。技能実習2号を良好に修了した人が試験を免除されて特定技能1号に移る道は、育成就労制度の施行後も当分の間は残ると出入国在留管理庁は説明しています(育成就労制度Q&A)。経過措置の全体像は技能実習はいつ廃止?2027年4月以降の経過措置と今の実習生の扱いで整理しています。

技能実習3号と特定技能1号の違い

2号を修了した実習生の次の進路は、3号か特定技能1号かの選択になります。両者の主な違いは次のとおりです。

項目 技能実習3号 特定技能1号
目的 技能の母国への移転(人材育成) 人手不足分野での就労
期間 2年以内 通算5年(原則)
一時帰国 1か月以上が必要 不要
転職 原則不可(3号移行時に実習先を選ぶことは可) 同じ分野内で可能(在留資格変更許可が必要)
受入れ側の条件 優良な実習実施者と一般監理事業の監理団体 受入れ機関の基準と支援体制、分野別協議会への加入
人数枠 基本人数枠の6倍まで 介護・建設を除き、事業所ごとの上限なし

3号の利点は、同じ企業で慣れた実習生に2年間続けてもらえる点と、転職による人材流出の心配が小さい点です。一方、特定技能1号は通算5年まで在留でき、分野によっては2号に進めば在留期間の上限がなくなります。2号修了時に特定技能1号に移り、そのまま長期の雇用を目指す企業は多く、3号を経由すると、3号の2年間は特定技能の通算5年とは別に数えられるという違いもあります。制度の比較は技能実習と特定技能の違いとは?、移行の手続は技能実習から特定技能への移行は可能?で解説しています。

よくある質問

技能実習3号の要件は何ですか?

実習生本人は、2号を修了して技能検定3級等の実技試験に合格し、1か月以上の一時帰国をすることが必要です。受入れ企業は優良な実習実施者(150点満点の6割以上)であること、監理団体は一般監理事業の許可を受けていることが必要です。2027年4月1日以降に3号へ移行する場合は、同日時点で2号を1年以上行っていることも要件になります。

技能実習3号はいつなくなりますか?

2027年4月1日の育成就労制度の施行で、新たに3号に進める人は経過措置の対象者に限られます。対象者は遅くとも2026年4月1日までに2号を始めた人なので、最後の3号実習生が修了するのは2030年春頃が目安です。

技能実習3号の給与はいくらですか?

法令で決まった金額はありません。日本人と同等以上の報酬であることが求められ、優良要件の配点でも、各段階の昇給率が5%以上あると加点されます。3号は4年目・5年目の実習生なので、同程度の経験を持つ日本人の賃金との比較が基準になります。

技能実習3号の途中で特定技能に変更できますか?

3号の途中で特定技能1号に変更することは可能とされていますが、特定技能の要件(試験の合格または技能実習2号の良好修了、受入れ機関の基準など)を満たす必要があります。個別の事情で判断が変わるため、変更の時期は監理団体と相談して決めてください。

3号を選ぶかは「優良の点数」と「残りの時間」で決まる

技能実習3号は、優良な実習実施者として評価された企業だけが使える段階で、要件の中心は企業側の実績にあります。技能検定の合格率、指導員の講習受講、相談体制、改善命令の有無は、どれも申請の直前に整えられるものではありません。2026年9月の時点で3号を検討できるのは、2026年4月1日までに2号を始めた実習生を抱える企業に限られます。該当する実習生がいる企業は、優良要件の自己採点と2号修了日からの逆算を、今のうちに監理団体と進めておく必要があります。該当しない企業にとっては、2号修了後の選択肢は特定技能1号です。育成就労制度の下での受入れの設計は【2027年4月施行】育成就労制度とは?で扱っています。

根拠資料