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経営管理ビザの「常勤職員」とは|週30時間・年217日と数えられない人(出向・派遣・就労資格者)

経営管理ビザでいう常勤職員とは、週5日以上かつ年間217日以上勤務し、週の労働時間が30時間以上ある職員を指します。そのうえで、数えてよいのは日本人、特別永住者、永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者の在留資格を持つ人だけです。技術・人文知識・国際業務(技人国)や特定技能で働く外国人社員は、どれだけフルタイムで働いていても常勤職員には数えません。

2025年10月16日施行の上陸基準省令の改正で、常勤職員1人以上の雇用は、資本金等3,000万円以上とあわせて満たすべき必須の要件になりました。改正前は「常勤職員2人以上」か「資本金500万円以上」のどちらかでよかったため、常勤職員を雇わずに申請する形が一般的でした。この前提が変わったことで、「誰を雇えば1人と数えてもらえるのか」が、事業計画の段階から詰めておくべき論点になっています。

判断の物差しは、入国・在留審査要領 第12編(開示版)の第1節第3「常勤の職員」(1-4〜1-7)と、第10節「経営・管理」の用語の意義(10-5)に書かれています。以下、この2か所の記述を軸に、数えられる人と数えられない人の線を引いていきます。

この記事でわかること

  • 常勤職員の3つの物差し(週5日・年217日・週30時間、年次有給休暇、雇用保険)
  • 技人国・特定技能の外国人社員を数えない理由と、日本語要件との違い
  • 在籍出向・派遣・請負の人を数えない理由と、移籍出向・建設業の請負の扱い
  • 常勤職員の立証資料と、既に経営管理ビザを持つ人の経過措置

2025年10月の改正で、常勤職員は「必須」になった

ここでいう上陸基準省令とは、在留資格ごとに、日本に入国・在留するための基準を定めた法務省令を指します。経営・管理の基準は第1号から第5号まであり、事業の規模を定めているのが第2号です。改正後の第2号は、イ(常勤職員が従事していること)とロ(事業に投下された財産の総額が3,000万円以上であること)の両方を満たすことを求めています。

審査要領ではこう書かれている(第12編 10-4)

「その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する常勤職員(法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。」

第2号イの条文。審査要領は続けて「イ及びロのいずれにも該当する必要がある」と整理しています。

改正前の基準は、審査要領の末尾(10-28)に「旧基準(令和7年10月16日省令改正前)」として参考掲載されています。比べると、常勤職員の位置づけが変わったことがよく分かります。

旧基準(〜2025年10月15日) 新基準(2025年10月16日〜)
常勤職員 2人以上の常勤職員、資本金等500万円以上、これらに準ずる規模のいずれか 1人以上の常勤職員の雇用が必須
資本金等 500万円以上(上記の選択肢の1つ) 3,000万円以上(常勤職員と両方必要)
数えられる人の範囲 別表第一の在留資格の人を除く 同じ(別表第一の在留資格の人を除く)

人数は「2人以上」から「1人以上」に減りましたが、選択肢の一つだったものが必須条件になったので、負担はむしろ増えています。数えられる人の範囲は旧基準と同じ括弧書きのまま残っています。改正前に資本金500万円で申請していた人の多くは、常勤職員の定義を細かく確認する必要がなかったため、この範囲の線引きは実務でまだ十分に知られていません。

改正は事業所の要件にも波及しています。審査要領は「常勤職員の雇用が必須となったこともあり、自宅兼事業所とするような形態は基本的に想定されず」(10-17)と書き、職員が働ける独立した事業所を求めています。改正全体の内容は【2025年10月16日施行】経営管理ビザ厳格化の新基準と経過措置|資本金3,000万円・常勤職員・日本語要件で整理しています。

「常勤」を判断する3つの物差し

第10節は、常勤の職員の意味について「第1節第3を参照」(10-5)とだけ書いています。第1節第3は、経営・管理、興行、留学に共通する定義として、常勤の職員を次のように定めています。「休日その他勤務を要しない日を除き、一定の勤務計画の下に毎日所定の時間中、常時その職務に従事」し、「職務に応じた給与等が設定されていること」です。そのうえで、パートタイマーと区別するための具体的な物差しを3つ挙げています。

審査要領ではこう書かれている(第12編 1-5)

「労働日数が週5日以上、かつ、年間217日以上であって、かつ、週労働時間が30時間以上の者」

物差し 内容(1-5) 実務での確認方法
(1) 勤務日数・時間 週5日以上、かつ年間217日以上、かつ週30時間以上 雇用契約書・労働条件通知書の所定労働日と所定労働時間
(2) 年次有給休暇 入社日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した職員に10日以上の年次有給休暇が与えられること 就業規則の年休規定
(3) 雇用保険 雇用保険の被保険者で、週の所定労働時間が30時間以上。短期雇用特例被保険者(期間工・季節労働者)と日雇労働被保険者を除く 雇用保険の資格取得の手続

3つの物差しは、同じ人を別々の角度から見ています。(1)は勤務の量、(2)は労働基準法上のフルタイム並みの待遇、(3)は社会保険上の扱いです。出入国在留管理庁の改正ページのQ&Aも、常勤性の判断として同じ3点を挙げています。

数字で見ると、週4日勤務の人は週30時間を超えていても(1)を満たしません。週5日でも1日5時間の人は週25時間で、やはり届きません。審査要領自身が注で1日8時間・週40時間の法定労働時間(労働基準法第32条)に触れており、それに近い働き方が想定されています。アルバイトやパートを複数人雇って合計時間で1人分にする、という数え方はこの定義からは出てきません。

数えられない人① 技人国・特定技能など「別表第一」の外国人

誤解がいちばん多いのがここです。入管法の別表は、在留資格を2つのグループに分けています。別表第一は、技人国、特定技能、企業内転勤、技能、高度専門職、留学、家族滞在など、日本で行う活動の内容によって決まる在留資格です。別表第二は、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4つで、身分や地位にもとづく在留資格です。

審査要領ではこう書かれている(第12編 10-5)

「外国人の場合は、特別永住者又は日本人の配偶者等、永住者等の居住資格をもって在留する外国人であることが必要である。」

第2号イの括弧書き「法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く」の説明として書かれています。

このため、技人国で採用した営業担当や、特定技能で雇った調理スタッフは、週40時間働く正社員であっても常勤職員の1人には数えられません。家族滞在の在留資格を持つ経営者の配偶者、留学生のアルバイトも同じく別表第一なので対象外です。逆に、同じ外国籍の人でも、永住者や定住者であれば数えられます。判断の基準は国籍ではなく、その人の在留資格です。

ここで重要なのは、日本語要件(第3号)の「常勤職員」とは範囲が違うという論点です。第3号は、経営者か常勤職員のどちらかが日本語教育の参照枠B2相当の日本語能力を持つことを求めています。こちらの常勤職員について、審査要領は「2号イと異なり、在留資格による制限はないことに留意する」(10-6)と書いています。

第2号イ(事業の規模) 第3号(日本語能力)
求めること 常勤職員が従事していること 経営者または常勤職員のどちらかがB2相当
技人国の外国人社員 数えない B2相当があれば該当しうる
常勤の定義 第1節第3の3つの物差し 同じ(非常勤は除く)

つまり、日本語が堪能な技人国の社員は、日本語要件を満たす人にはなれても、常勤職員要件を満たす人にはなれません。常勤職員として日本人を1人、日本語要件はN2を持つ技人国の社員で、という組み合わせは成り立ちますが、技人国の社員1人で両方を満たすことはできません。日本語要件の詳しい扱いは経営管理ビザの日本語要件|B2相当が必要なのは申請者か常勤職員かで扱っています。

数えられない人② 在籍出向・派遣・請負で働く人

第1節第3の3は、雇用形態の面からも線を引いています。「出向」のうちの「在籍出向」、「派遣」、「請負」の形で働いている人は、実際に働いている事業所の常勤の職員とは見ない、というものです。理由は、いずれも働いている事業所との間の労働契約が弱い、あるいは存在しないことにあります。

形態 扱い 審査要領の理由(1-5〜1-7)
在籍出向 出向先の常勤職員に数えない 退職や解雇に関する事項は、基本的に出向元が労働契約の当事者のまま
移籍出向(転籍・転属) 出向先の常勤職員に数えてよい 出向元との労働契約を解消し、従業員としての地位が出向先に移る
労働者派遣 派遣先の常勤職員に数えない 派遣先と労働者の間に雇用関係がない
請負 注文主の常勤職員に数えない 派遣よりもさらに契約関係が希薄

グループ会社から日本法人に社員を在籍出向させて常勤職員要件を満たそうとする相談がありますが、この表のとおり認められません。出向先の常勤職員として数えるには、移籍出向(転籍)として出向先と労働契約を結び直す必要があります。人材派遣会社からフルタイムの派遣社員を受け入れる形も、同じ理由で数えられません。

請負には一つだけ例外があります。企業間の1年以上継続した請負契約にもとづき、工事の一部または全部を請け負った企業に6か月以上継続してフルタイムで雇用されている人は、注文主の常勤職員と「見る場合がある」(1-7)とされています。建設業・造船業に多い重層的な請負構造を踏まえた扱いで、自動的に数えられるわけではありません。

申請人本人と「本邦に居住する」の要件

第2号イの条文は「その経営又は管理に従事する者以外に」と書いているので、申請人本人は常勤職員に含まれません。共同経営者として経営・管理の在留資格を申請するもう一人の役員も、経営又は管理に従事する者なので、筆者は同じ扱いになると読んでいます。

もう一つの条件は「本邦に居住する」ことです。海外の親会社に在籍したまま日本の業務を手伝う人は、この条件からも外れます。

立証資料と、更新でも見られる点

常勤職員の雇用は、申請書の記載だけでなく資料で確認されます。審査要領は、所属機関がカテゴリー3または4の場合の確認方法も定めています。「常勤職員の賃金支払に関する文書」と「住民票、在留カード又は特別永住者証明書の写し」によって、常勤職員が属していることを確認するとしています(10-8)。住民票や在留カードで居住と在留資格を、賃金支払の文書で実際に雇っていることを確かめる組み立てです。

  • 雇用契約書・労働条件通知書(所定労働日数・所定労働時間が分かるもの)
  • 常勤職員の賃金支払に関する文書
  • 常勤職員の住民票、在留カードまたは特別永住者証明書の写し

審査は許可を受けた時点で終わりません。在留期間の更新でも、カテゴリー3・4では「常勤職員の賃金支払に関する文書」と住民票等の提出が求められます(10-12)。申請のときだけ雇い、許可後に退職したまま補充していなければ、更新の段階で要件を満たさないことが明らかになります。更新の審査全体は経営管理ビザの更新|審査のポイントと必要書類、経過措置中(2028年10月まで)の注意点で扱っています。

個人事業主の場合の3,000万円の計算にも職員の給与が関わります。審査要領は、個人事業の投資額に「役員報酬及び常勤・非常勤を問わず、当該事業所において雇用する職員に対して1年間に支払われる報酬に係る経費」を含めるとしています(10-5)。こちらは投資額の計算の話なので、常勤職員要件とは別に整理してください。なお、法人の3,000万円に給与を合算することはできません(改正ページのQ&A)。

既に経営管理ビザを持っている人の経過措置

出入国在留管理庁の改正ページのQ&Aによると、施行日の前日までに受け付けて審査中だった申請には旧基準が適用されます。既に経営・管理で在留している人は、施行から3年となる令和10年10月16日までの更新であれば、新基準を満たさないことだけを理由に不許可にはしないとされています。3年経過後も、経営状況が良好で、法人税等を納め、次回更新までに新基準を満たす見込みがあれば総合的に判断し、「一律に不許可処分となるものではありません」との説明です。

ただし、同じQ&Aは、新基準に適合しない場合には経営・管理からの永住許可を認めないとも明記しています。永住を視野に入れている経営者にとっては、経過措置の期限を待たずに常勤職員を確保しておく理由になります。経過措置の読み方は経営・管理ビザの経過措置とは?2028年10月までに企業が備えるべきことを解説で詳しく書いています。

よくある質問

Q. 技人国の在留資格を持つ外国人社員は、経営管理ビザの常勤職員に数えられますか?

数えられません。第2号イの常勤職員からは、技人国や特定技能など入管法別表第一の在留資格で在留する人が除かれています。外国人であれば、特別永住者か、永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者の在留資格を持つ人である必要があります。ただし日本語要件(第3号)の常勤職員には在留資格による制限がないため、B2相当の日本語能力があれば日本語要件を満たす人にはなれます。

Q. パートやアルバイトを2人雇えば、常勤職員1人分になりますか?

なりません。常勤職員は1人ごとに、週5日以上かつ年間217日以上で週30時間以上の勤務、年次有給休暇の付与、雇用保険の被保険者であることで判断します。複数の短時間勤務者の労働時間を合計する考え方は、審査要領の定義にありません。

Q. グループ会社から出向してきた社員は常勤職員になりますか?

在籍出向であれば数えられません。退職や解雇に関する事項は出向元が契約当事者のままだからです。出向元との契約を解消して出向先と労働契約を結ぶ移籍出向(転籍)であれば、出向先の常勤職員として数えてよいとされています。派遣社員と請負の労働者も数えられません。

Q. 既に経営管理ビザを持っていますが、常勤職員がいません。次の更新は不許可になりますか?

令和10年10月16日までの更新であれば、新基準を満たさないことだけを理由に不許可にはしないと公表されています。その後も経営状況や納税状況、次回更新までに新基準を満たす見込みを踏まえた総合判断です。ただし新基準に適合しない場合は、経営・管理からの永住許可は認められません。

採用を決める前に確認しておくこと

常勤職員要件で許可が止まる原因は、たいてい採用した後に気づく点にあります。候補者が見つかったら、雇用契約を結ぶ前に次の順で確認してください。まず在留カードで在留資格を見て、別表第一の資格であれば常勤職員には数えないと判断します。次に雇用契約書の所定労働日数と労働時間が週5日・年217日・週30時間を満たしているか、雇用保険の加入手続を取るかを確かめます。最後に、出向や派遣の形になっていないかを確認します。

日本語要件を誰で満たすか、3,000万円をどう示すかは、この確認と同時に設計する必要があります。新基準の要件全体は【2025年改正対応】経営管理ビザの要件とは?資本金・常勤職員・日本語・経歴・事業計画の確認で一覧にしています。採用予定者の在留資格や雇用形態で判断に迷う場合は、雇用契約を結ぶ前にご相談ください。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第2章第1節第3「常勤の職員」1-4〜1-7
  • 同 第10節「経営・管理」10-4〜10-6(第2号・第3号、用語の意義)、10-8、10-12、10-17、10-28(旧基準)
  • 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」(Q&A 令和8年6月26日更新)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html
  • 出入国在留管理庁「『経営・管理』の許可基準の改正等について」(令和7年10月10日公表、同月30日更新)https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf