ここでいう手数料の切り替え時期とは、在留資格の変更・更新にかかる手数料が新しい金額に切り替わる2026年10月1日という境目を指します。9月30日までに受付されれば、旧料金(一律6,000円前後)のまま済みます。
あと1週間申請が遅れただけで、社員一人あたりの手数料が何倍にも跳ね上がる。9月30日と10月1日、たった1日の違いで負担額が変わる分かれ目が、今まさに来ています。全員が9月中に駆け込めるわけではありませんし、無理に急いで書類の不備を出しては本末転倒ですが、「間に合うなら間に合わせたほうが得」というのは単純な事実です。
この記事では、新料金がいつから適用されるのか、経過措置の考え方、そして企業が更新時期の調整を検討するうえでの実務的な判断ポイントを解説します。手数料の具体的な内訳については触れませんので、金額そのものを知りたい方は後述のリンク先を確認してください。
とくに人事・総務担当者にとって重要なのは、「対象になる社員がいるかどうか」を正しく見極めることです。全員が駆け込みの対象になるわけではありませんし、逆に対象なのに気づかず新料金のタイミングまで放置してしまうのも、もったいない話です。読み終えるころには、自社が今どう動くべきか判断できる状態になっているはずです。
この記事でわかること
- 新料金がいつから適用されるか(施行日と経過措置の考え方)
- 9月30日までの駆け込み申請で旧料金が使える条件
- 更新時期を早める・調整するうえでの実務的な判断ポイント
- 駆け込み申請の際に気をつけたい注意点
- 更新スケジュールを考えるうえでの企業側の準備
そもそも何がどう変わるのか(手数料改定の概要)
出入国在留管理庁は「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」で、在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請・永住許可申請の手数料を確定させました。窓口申請は在留期間に応じた段階制で上限75,000円、永住許可は上限20万円の段階制です。オンライン申請では収入印紙が使えなくなり、納付方法自体も変わります。
この記事のテーマは、あくまで「いつから変わるのか」「経過措置はどう働くのか」「駆け込みは間に合うのか」という時期の話です。新料金の内訳そのものをじっくり確認したい方は在留資格の変更・更新手数料はいくらになる?を先に読んでおくと、この記事の内容がより理解しやすくなります。
新料金は2026年10月1日から施行
出入国在留管理庁が確定させた新しい手数料は、2026年10月1日から施行されます。10月1日以降に受付される在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請・永住許可申請は、すべて新料金の対象になります。
ここで注意したいのは、「申請日」ではなく「受付日」を基準に考える必要がある、という点です。窓口に持ち込んだ日、あるいはオンラインで送信を完了した日が受付日になります。郵送で書類を送るケースなど、到着までにタイムラグがある場合は、余裕を持って早めに動く必要があります。
こうした施行日・経過措置の区切りは、行政手続きにはよくある設計です。制度が急に切り替わって、それまで準備していた人が不利益を被らないよう、一定の移行期間を設ける。今回の手数料改定も、その一般的な考え方に沿った経過措置になっています。「なぜ経過措置があるのか」を難しく考える必要はなく、「いつまでにどう動けば得か」だけを押さえておけば十分です。
9月30日までの経過措置と新旧料金の比較
2026年9月30日までに受付される申請については、経過措置として旧料金が適用される見込みです。これまでの手数料は、在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請ともに一律6,000円前後という水準でした。
| 受付時期 | 適用される料金 | 水準感 |
|---|---|---|
| 〜2026年9月30日受付 | 旧料金 | 一律6,000円前後 |
| 2026年10月1日〜受付 | 新料金 | 在留期間・申請方法に応じた新体系 |
新料金の具体的な金額(窓口申請の上限額、永住許可の段階制など)については、この記事では詳しく触れません。確定した金額そのものは在留資格の変更・更新手数料はいくらになる?で整理しているので、そちらをあわせて確認してください。ここで押さえてほしいのは、「9月末までか、10月以降か」で負担額がはっきり変わるという事実そのものです。
あくまで計算上のイメージですが、窓口申請の新料金は在留期間の長い区分で上限75,000円になります。旧料金の一律6,000円前後と比べると、区分によっては十倍以上の開きが出る計算です。永住許可にいたっては上限20万円ですから、旧料金との差はさらに大きくなります。この差額を知っているかどうかで、「多少無理をしてでも9月中に動くべきか」の判断が変わってきます。
駆け込み対応が向いている企業・向いていない企業
すべての企業が駆け込み対応に動くべきかというと、そうとは限りません。次のような企業は、駆け込みを積極的に検討する価値があります。
- 在留期限が2026年10月〜2027年初頭に集中している外国人社員が複数いる
- 雇用契約書・在職証明など必要書類がすでに整っている、またはすぐ揃えられる
- 総務・人事担当者が手続きに慣れており、短期間での対応が可能
逆に、書類の整備が遅れている、あるいは担当者が入管手続きに不慣れで時間がかかりそうな企業は、無理に9月中を狙う必要はありません。旧料金と新料金の差額よりも、不備による差し戻しや不許可のリスクのほうが、結果的に高くつくことが多いからです。「間に合わなければ新料金でいい」というくらいの余裕を持って臨んだほうが、判断としても健全です。
駆け込み申請は可能か?在留期間更新のタイミング
「社員の在留期限は12月なのに、9月中に更新申請できるのか」という質問をよく受けます。在留期間更新許可申請は、原則として在留期限の3ヶ月前から受付が可能です。在留期限が12月末の社員であれば、9月中の受付にも間に合う可能性があるということです。
在留期限の3ヶ月以上前だと、まだ受付してもらえません。「社員全員を駆け込みで」というのは現実的ではなく、対象になるのは在留期限が年内〜年明け早々に来る社員に限られます。人事担当者は、まず社員一人ひとりの在留期限を洗い出すところから始める必要があります。
具体的に整理すると、2026年9月23日時点でこの記事を読んでいるなら、9月30日までに受付を終えるには、在留期限がだいたい2026年12月末までの社員が対象になります。逆に言えば、在留期限が2027年1月以降の社員は、いくら急いでも制度上受付してもらえないので、駆け込みではなく通常のスケジュールで、新料金を前提に準備を進めるしかありません。
駆け込みの対象になりやすいケース
在留期限が2026年10月〜2027年初頭に到来する社員/永住許可申請を予定していて書類がほぼ揃っている方
駆け込みが難しいケース
在留期限がまだ半年以上先/必要書類(雇用契約書・決算書類等)の準備が間に合っていない
駆け込み申請、メリットとデメリットを整理する
駆け込み申請には「旧料金で済む」という分かりやすいメリットがある一方、当然デメリットもあります。判断に迷っている企業のために、両面を整理しておきます。
駆け込み申請のメリット
旧料金(一律6,000円前後)で済む/新料金への切替に伴う社内対応をまだ考えなくてよい/早めに更新手続きが完了し、社員の在留期限に余裕ができる
駆け込み申請のデメリット
対象になるのは在留期限が近い社員に限られる/窓口が混雑し、書類準備を急がされやすい/急ぐあまり書類の不備が起きるリスクがある
この表からわかるとおり、駆け込み申請のデメリットの多くは「急ぐこと」そのものから生まれています。裏を返せば、余裕を持ったスケジュールで動ける社員については、駆け込みのデメリットはほとんど気にする必要がありません。対象者を早めに絞り込んで、その人たちだけ優先的に準備を進めればよいだけの話です。
駆け込み申請で気をつけたいこと
ここで一つ、はっきり述べておきたいことがあります。駆け込み申請だからといって、審査が甘くなったり雑になったりすることはありません。むしろ、「間に合わせよう」と焦って書類の準備が雑になると、不許可のリスクのほうが上がります。手数料を数万円節約するために不許可になって余計な時間とコストがかかったら、本末転倒です。
- 必要書類は通常の申請と同じ水準で揃える(駆け込みだから省略していいものはない)
- 9月末は窓口が混雑しやすいので、可能な限りオンライン申請や早めの持ち込みを検討する
- 在留期限の3ヶ月前ルールを踏まえ、対象者を早めに洗い出しておく
とくに気をつけたいのが窓口の混雑です。制度改正の締切が近づくと、駆け込みで申請する人が増えるのは毎回のことです。窓口で長時間待たされたあげく、当日中に受付が終わらない、という事態も起こり得ます。9月30日ぎりぎりに動くのではなく、少なくとも1〜2週間の余裕を持って窓口に向かうか、オンライン申請への切り替えを検討したほうが安全です。
実際、当事務所でも制度改正のタイミングでは駆け込みの相談が集中する傾向があります。当事務所の関連ブログ記事でも、こうした制度改正時の実務対応について詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。関連するコラム一覧
窓口申請でもオンライン申請でも経過措置の考え方は同じ
「オンライン申請なら特別扱いになるのか」という質問も受けますが、そういうことはありません。経過措置の基準は、あくまで受付日が9月30日以前か、10月1日以降かです。窓口申請でもオンライン申請でも、受付日が9月30日までに収まれば旧料金が適用される見込みです。
ただし、オンライン申請は書類のデータ化や利用者登録など、事前準備に一定の時間がかかります。「9月30日に間に合わせよう」と思って初めてオンライン申請の準備を始めると、登録や書類データ化の途中で期限を過ぎてしまうリスクがあります。オンライン申請で駆け込みを狙うなら、遅くとも9月中旬までには準備を始めておく必要があります。
企業が今のうちにやっておくべきこと
更新時期の調整は、社員個人がどうこうできる話ではなく、企業側が主導して動くべき話です。人事・総務担当者は、次の項目を今のうちに済ませておく必要があります。
- 在留期限の一覧化:外国人社員全員の在留カードを確認し、在留期限を一覧にまとめる
- 駆け込み対象者の抽出:在留期限が3ヶ月以内に迫っている、または近く迫る社員を洗い出す
- 必要書類の早期準備:雇用契約書・決算書類・在職証明などを前倒しで揃える
- 社内周知:対象になる社員本人にも、手数料が変わること・急いで動く理由をきちんと説明する
- 対象外の社員への説明:駆け込みの対象にならない社員にも、新料金がいつから適用されるかをあらかじめ伝えておく
⑤を忘れがちですが、これも実は重要なポイントです。「なぜあの人だけ急いで手続きしたのに、自分は何も言われないのか」と社員間で温度差が生まれると、余計な不安や不公平感につながりかねません。対象・対象外にかかわらず、全員に同じ情報を一度は共有しておくのが、無用な誤解を避けるコツです。
とくに④の社内周知は見落とされがちです。手数料の話は会社と入管の間だけで完結するものではなく、最終的には社員本人の在留カードや資金負担にも関わってきます。「なぜ急に更新の話をされたのか分からない」と社員が不安にならないよう、駆け込みの背景と旧料金・新料金の違いを、簡単でいいので説明しておく必要があります。
「何人が対象になるのか分からない」という段階でも構いません。まずは在留カードの写しを集めて期限を並べてみるだけでも、優先順位がはっきり見えてきます。
更新以外の手続きへの影響も考えておく
今回の経過措置は在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請・永住許可申請が対象です。更新のことだけを考えがちですが、留学生の新卒採用に伴う在留資格変更や、他の在留資格からの切替を予定している企業も、同じ考え方で時期を検討する余地があります。
たとえば、留学生を10月1日採用で内定しているものの、卒業証明書が9月中に揃う見込みがあるなら、9月30日までに変更許可申請を受付してもらえれば旧料金が適用される可能性があります。卒業証明書の発行時期は学校次第で会社側の努力だけではどうにもならない部分もありますが、間に合いそうなら早めに動く価値はあります。
転職者を受け入れる場合も同様です。前職を退職して新しい会社で就労を続けるにあたり、在留資格変更や就労資格証明書の取得を検討しているなら、旧料金が適用されるうちに動けるかどうかを、採用担当と本人とで早めにすり合わせておく必要があります。知らないまま10月を過ぎてしまうのが、いちばんもったいないパターンです。
注意:駆け込みを急ぐあまり、卒業証明書や在職証明といった必要書類が未完成のまま申請してしまうと、逆に審査が長引いたり不備で差し戻されたりするリスクがあります。焦って書類を出すより、確実に揃ってから出すほうが結果的に早く終わることも多いです。
専門家に依頼する場合のスケジュール感
「自社だけで9月中に間に合わせるのは不安だ」という場合は、行政書士などの専門家に依頼するのも一つの選択肢です。ただし、駆け込みの依頼が集中しやすい時期なので、依頼するなら早めに動く必要があります。
9月最終週になって「今から間に合わせてほしい」と相談されても、書類の収集・作成に必要な最低限の時間は確保できません。専門家に依頼する場合でも、遅くとも2〜3週間前には相談を始めておくのが現実的なラインです。書類がすでにほぼ揃っている状態であれば、もう少し短い期間でも対応できる場合はありますが、余裕を見て動くに越したことはありません。
オンライン申請と窓口申請、どちらを選ぶべきか
駆け込みを検討するうえで、もう一つ判断材料になるのが申請方法の選択です。窓口申請は、担当者がその場で書類の不備を指摘してもらえることがある一方、混雑時期は待ち時間が長くなります。オンライン申請は、混雑の影響を受けにくい反面、初めて使う場合は事前準備に時間がかかります。
すでにオンライン申請の環境が整っている企業であれば、9月末の駆け込みはオンラインのほうが効率的です。逆に、初めてオンライン申請を使う企業が、この9月末という限られた時間の中で急に切り替えようとするのは、あまり得策ではありません。今回は使い慣れた窓口申請で乗り切り、10月以降落ち着いたタイミングでオンライン申請への切り替えを検討する、という進め方でも十分です。
よくある質問
Q. 旧料金が適用されるのはいつまでの申請ですか?
2026年9月30日までに受付された在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請は、経過措置として旧料金(一律6,000円前後)が適用される見込みです。10月1日以降の受付分から新料金に切り替わります。
Q. 在留期限が10月以降の社員も、9月中に更新申請できますか?
在留期間更新許可申請は、在留期限の3ヶ月前から受付可能です。在留期限が10月以降でも、要件を満たせば9月30日までに受付してもらえる可能性があるので、早めに準備を進めておくとよいです。
Q. 駆け込み申請をすると審査が雑になりませんか?
そういうことはありません。駆け込み申請であっても審査基準自体は変わらないので、通常どおり必要書類をきちんと揃えて申請することが大切です。ただし窓口が混雑しやすい時期になるため、余裕を持ったスケジュールをおすすめします。焦って書類の不備を出すくらいなら、多少手数料が上がっても丁寧に準備したほうが結果的に早く済むこともあります。
Q. 手数料の具体的な金額を知りたい場合はどうすればいいですか?
新料金の内訳(窓口申請・永住許可の金額など)については、確定した内容を別記事で詳しく整理しています。時期の判断と金額の把握は分けて確認することをおすすめします。
Q. 在留期限がまだ半年以上先の社員は何もしなくていいですか?
在留期限の3ヶ月以上前は更新申請を受付してもらえないため、9月末までの駆け込みは対象外です。この場合は無理に急がず、新料金を前提とした資金計画に切り替えて、通常どおりのスケジュールで準備を進めるのが現実的です。
まとめ
手数料が変わるのは2026年10月1日からで、9月30日までに受付されれば旧料金が適用されます。対象になるのは、在留期限が3ヶ月以内に迫っている社員です。焦って書類を雑に揃えるくらいなら、間に合わなくても丁寧に準備したほうがいいですが、間に合う社員がいるなら、動かない理由はありません。まずは在留期限の一覧化から始めてください。
手数料の金額差そのものは、後から見れば「数万円の話」かもしれません。しかし、企業として制度改正のたびにこうした期限管理を後手に回していると、いつか手数料以外の、もっと重い場面(更新期限そのものを過ぎてしまう、といった話です)でも同じように後手を踏むことになりかねません。今回の駆け込み対応を、社内の期限管理体制を見直すきっかけにしてください。
9月30日という締切は、もう目前です。「まだ大丈夫」と後回しにしたくなる気持ちは理解できますが、動くなら今週中に在留期限の確認から始めたほうがいいです。判断に迷う社員が一人でもいるなら、早めに専門家に相談して、間に合うかどうかを確認しておくことをおすすめします。
たとえ今回の駆け込みに間に合わなかったとしても、それで終わりではありません。新料金のもとでも、更新手続き自体は今までどおり進められますし、審査基準が厳しくなるわけでもありません。焦って結論を出すより、社員の在留期限とじっくり向き合う姿勢のほうが、長い目で見れば信頼につながります。
依頼するかどうかで迷っている方は在留資格の申請は行政書士に依頼すべきかと行政書士に依頼する費用の相場も参考にしてください。