在留期間「4月」の経営管理ビザは、会社の登記を済ませる前に申請した人などに決定される、最も短い在留期間です。ここでいう4月とは、中長期在留者となり住民票が作成される最短の月単位の在留期間を指します。入国・在留審査要領は、4月を決定する場面を3つに限っています(第12編(開示版)10-14)。①法人で事業を始めようとしていて登記事項証明書を出していない場合と、②公租公課の義務を果たしていないが改善に向けて手続中の場合です。③必要な許認可をまだ取得しておらず、在留許可の前には取得できない合理的な事情がある場合も、4月が決定されます。
筆者は、4月の許可を、準備の時間を与えるための暫定的な許可と捉えています。更新の際には登記事項証明書や許認可の取得状況を確認され、出せなければ、最初の申請で出した事業計画書との整合性まで含めて「慎重に審査する」とされています(10-13)。4か月の間に、会社の設立、事業所の契約、常勤職員の採用、許認可の取得までを進める必要があります。
ここでは、審査要領の10-10〜10-14、10-16、10-21〜10-23と、2025年10月改正後の公表資料をもとに、4月の経営管理ビザの仕組みと、4か月の使い方を整理します。
この記事でわかること
- 在留期間「4月」が決定される3つの場合
- 「4月」という期間が設けられた経緯
- 会社設立前の申請で確認される資料と、許認可の例
- 4月の在留中にやるべきことと、更新で見られる点
「4月」が決定される3つの場合
経営・管理の在留期間は、5年・3年・1年・4月・3月のいずれかです。審査要領の在留期間の表は、4月を決定する場合を次のとおり定めています(10-14)。
| 区分 | 4月が決定される場合 | 更新時に確認されるもの |
|---|---|---|
| ① 会社設立前 | 新たに事業を法人で行おうとしていて、入管法施行規則別表第3の資料のうち登記事項証明書の提出がないもの | 登記事項証明書 |
| ② 公租公課の手続中 | 公租公課の履行義務(経営する会社の義務を含む)を果たしていないが、改善に向け手続中であると認められるもの | 公的義務を履行していることを証する文書 |
| ③ 許認可の取得前 | 事業に必要な許認可を取得しておらず、在留許可を受ける前に取得できない合理的な事情があるもの | 許認可の取得状況 |
検索で「4ヶ月の経営管理ビザ」と調べる人の多くは、①の会社設立前の申請を想定しているはずです。この記事も①を中心に扱い、③の許認可は後半で、②の公租公課は要点だけ触れます。②の詳しい扱いは経営管理ビザの更新と税金・社会保険の未納|公租公課の確認はどこまで及ぶかにまとめています。
なお、審査要領には別の場面で4月を決める規定もあります。中長期在留者からの更新申請では、就労予定期間が残り3月未満の場合でも、中長期在留者から外れないよう、原則として「3月」ではなく「4月」を決定するとされています(10-14)。この記事の4月とは趣旨が異なります。
なぜ「4月」なのか:制度ができた経緯
審査要領は、4月の在留期間が設けられた理由を、経緯から説明しています(10-22〜10-23)。現行の在留管理制度が導入されたのは、2012年(平成24年)7月です。それ以前は、日本で会社をつくって在留資格(当時の「投資・経営」)を得ようとする人は、短期滞在(90日)で入国していました。そのうえで外国人登録をして、その住居地で会社設立の登記をしていました。新しい制度では中長期在留者でなければ在留カードも住民票もないため、短期滞在の人は居住地を証明できず、法人設立の準備が難しくなりました。
これを受けて、2014年(平成26年)6月の規制改革実施計画で、設立の意思やほぼ確実な設立の見込みが書類で確認できれば、登記事項証明書がなくても入国を認めることが検討事項になりました。その結果、入管法施行規則別表第3は、法人の登記が完了していないときは「定款その他当該法人において当該事業を開始しようとしていることを明らかにする書類の写し」で足りるとしました。
審査要領ではこう書かれている(第12編 10-23)
「法人が設立されていない不安定な状態で長期の滞在を認めることは適当ではないことから、中長期在留者となり住民票が作成される最短の月単位の期間である「4月」の在留期間を決定することとなったものである。」
この経緯からわかるのは、4月が「住民票をつくって会社を登記するための期間」として設計されているという点です。在留カードを受け取り、住居地の届出をして住民票がつくられれば、その住所で印鑑登録をし、会社の設立手続を進められます。4月は、事業を軌道に乗せる期間としては想定されていません。
会社設立前の申請で確認される資料
会社の登記前に申請する場合、審査要領は基準ごとに、登記事項証明書の代わりとなる資料を定めています(10-10〜10-11)。
| 確認する事項 | 登記前に提出する資料 | 出典 |
|---|---|---|
| 法人の登記が予定されていること | 定款その他当該法人を設立しようとしていることを明らかにする書類の写し | 10-10 |
| 事業所の確保(第1号) | 賃貸借契約を結んでいない場合は、賃貸を検討している物件を説明する資料(場所、広さ、予算等が記載されたもの) | 10-10〜10-11 |
| 規模(第2号) | 定款その他の書類の写しで、設立に際して出資される金額を確認 | 10-11 |
| 日本語能力(第3号)・経歴(第4号) | 登記済みの場合と同じ(試験の合格証明、学位や職歴の証明等) | 10-11 |
審査要領は、登記事項証明書がないことを理由に門前払いしないよう、審査する側に念を押しています。
審査要領ではこう書かれている(第12編 10-16)
「株式会社等を設立する準備を行う意思があること株式会社等の設立がほぼ確実に見込まれることが提出書類から確認できた場合は、登記事項証明書の提出を不要としていることから(後記第2の6参照)、登記事項証明書(登記簿謄本)の提出がないことのみをもって不交付(不許可)処分を行うことのないよう留意する。」
同じ箇所で、個人事業は登記が必要とされていないことにも触れています。
ここで重要なのは、登記が免除されているだけで、基準そのものは免除されていないという論点です。定款に記載する出資額は3,000万円以上でなければならず、資本準備金に回す額は数えません(改正ページQ&A 問7)。事業所も、賃貸借契約の使用目的を事業用とし、名義を法人等にすることが求められます。自宅兼事業所は原則として認められません(10-16〜10-17、問20)。公表資料「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」も、使用目的を事業用とし名義を法人等にするよう求めています。契約前の物件資料で申請した場合も、実際に契約する物件がこの条件を満たすかは更新の際に確かめられます。事務所の条件は経営管理ビザの事務所要件|自宅兼事務所は原則不可、バーチャルオフィス・シェアオフィスの扱いで詳しく扱っています。
新規の申請では、事業計画書について中小企業診断士・公認会計士・税理士(日本の資格に限る)の確認を受けることも義務になっています(改正ページ、改正ガイドライン)。3,000万円の数え方は経営管理ビザの資本金3,000万円はどう数える?出資金・借入金・新株予約権の扱い【2025年10月改正】で整理しています。
登記前の申請で、常勤職員1人以上(第2号イ)をどの時点の、どの資料で確認するのかは、審査要領の登記前の審査のポイントにも公表資料にも明示がありません【要確認】。筆者は、採用予定者と条件の目途がついていれば、その内容を事業計画書の雇用計画に具体的に書き込むようにしています。
許認可が在留許可の後でないと取れない場合
業種によっては、営業許可や免許がなければ事業を適法に営めません。審査要領は、許認可を取得していなければ「在留資格に該当する活動を行うものとは認められない」とし、申請に当たっての説明書(参考様式)と営業許可証等で取得状況を確認するとしています(10-21)。そのうえで、在留許可を受けてからでないと許認可を取得できない合理的な事情があり、その他の要件を満たしている場合は、4月を決定し、次回の更新で取得状況を確認します。公表資料も、許認可が在留許可の後でないと取れない場合は、理由書を出せば次回の更新時に確認するとしています(改正ページQ&A 問28)。
審査要領が例として挙げる許認可には、次のようなものがあります(10-21〜10-22の一覧から主なもの)。
| 業種 | 区分 | 許可等をする機関 |
|---|---|---|
| 宅地建物取引業 | 免許 | 都道府県 |
| 古物営業 | 許可 | 公安委員会 |
| 風俗営業 | 許可 | 公安委員会 |
| 飲食業・食料品製造業 | 許可等 | 保健所 |
| 建設業(軽微な工事を除く) | 許可 | 都道府県 |
| 労働者派遣事業・有料職業紹介事業 | 許可 | 労働局 |
| 一般旅客・一般貨物自動車運送事業 | 許可 | 運輸局 |
| 産業廃棄物処理業 | 許可 | 都道府県 |
一覧には有効期間の欄もありますが、開示版のOCRでは読み取れない箇所があるため、この表では省いています。前回の申請で許認可の取得を確認済みで、事業内容に変更がなければ、更新のたびに改めて確認することはしないとされています(10-21)。
飲食店を開く場合の流れで考えると、4月の許可を受けて入国し、店舗の賃貸借契約と内装工事を進め、保健所の営業許可を取り、その許可証を更新申請に添える、という順序になります。4か月の中に工事期間と保健所の検査が入るため、筆者は、物件の候補と工事の見積りを認定申請の段階で固めておくことをおすすめしています。
4月の在留中にやること
4月の在留期間は、次の更新申請までの準備期間です。審査要領は、4月が決定された人の更新について次のように定めています(10-13)。
審査要領ではこう書かれている(第12編 10-13)
「在留期間の更新時に「登記事項証明書」や「公的義務を履行していることを証する文書」の提出を求め、その提出がない場合は、在留資格認定証明書交付申請時に提出された資料(事業計画書や法人を設立しようとしていることを明らかにする資料等)との整合性等、在留期間の更新の可否を慎重に審査する。」
会社設立前の申請で4月を受けた場合に、4か月の間に進める主な手続を、筆者が目安とする順序で並べると次のとおりです。
| 時期の目安 | 手続 | 更新で示すもの |
|---|---|---|
| 入国直後 | 住居地の届出、住民票の作成、印鑑登録 | 住民票 |
| 前半 | 定款の作成、資本金の払込み、設立登記 | 登記事項証明書、貸借対照表の資本金 |
| 前半〜中盤 | 事業所の賃貸借契約(事業用・法人名義) | 賃貸借契約書 |
| 中盤 | 常勤職員の採用、社会保険・労働保険の手続 | 賃金支払の文書、住民票・在留カードの写し |
| 中盤〜後半 | 必要な許認可の取得 | 営業許可証等 |
| 在留期限まで | 在留期間更新許可申請 | 事業計画書との整合性を説明する資料 |
更新の申請が遅れると、準備が整っていても手続が間に合わなくなります。出入国在留管理庁が公表した2026年7月許可分の実績では、経営・管理の更新は許可までの平均が43.9日でした(在留審査処理期間)。入管法には、いわゆる特例期間の仕組みがあります。在留期間の満了日までに更新を申請していれば、処分が満了日までに出なくても、処分の時か満了日から2か月を経過する日のいずれか早い時まで、引き続きその在留資格で在留できます。この仕組みに頼る前提で予定を組むのは避け、登記と事業所の契約を早めに終え、残りの期間に余裕を持って更新を申請することが、4月の期間を使い切るうえでの基本です。
更新で決定される在留期間は、経営する機関がカテゴリー4(カテゴリー1〜3のいずれにも該当しない団体・個人)であれば、4月・3月に当たる場合を除き1年とされています(10-14)。更新の審査全体は経営管理ビザの更新|審査のポイントと必要書類、経過措置中(2028年10月まで)の注意点で扱っています。
手数料は在留期間で変わる
2026年10月1日から、変更・更新の手数料は許可される在留期間に応じた額になりました。4月は「3月超6月以下」に当たり、窓口18,000円・オンライン15,000円です。1年の許可であれば窓口33,000円・オンライン27,000円になります(出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」)。国内で在留資格を変更して4月を受け、続けて1年の更新を受ける場合は、1年足らずの間に2回分の手数料がかかる計算です。なお、2026年9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月1日以降でも改定前の額です。
よくある質問
Q. 4ヶ月の経営管理ビザとは何ですか?
経営・管理の在留期間のうち最も短い月単位の期間で、会社の登記前に申請した場合、公租公課の不履行を改善する手続中の場合、在留許可の後でないと許認可を取れない場合に決定されます。中長期在留者として住民票をつくり、会社の設立手続を進められるようにするために設けられた期間です。
Q. 会社を設立する前に経営管理ビザを申請できますか?
できます。法人の登記が完了していない場合は、定款その他法人を設立しようとしていることを明らかにする書類の写しで審査され、在留期間は4月が決定されます。ただし資本金3,000万円や事業所などの基準そのものは免除されません。
Q. 4月の後の更新で登記事項証明書を出せないとどうなりますか?
審査要領は、登記事項証明書や公的義務を履行していることを証する文書の提出がない場合、認定申請時の事業計画書や設立予定を示す資料との整合性などから、更新の可否を慎重に審査するとしています。4か月の間に登記を済ませておくことが前提です。
Q. 飲食店の営業許可は在留資格を取る前に必要ですか?
在留許可を受けてからでないと許認可を取得できない合理的な事情があり、その他の要件を満たしていれば、在留期間4月が決定され、次回の更新時に許認可の取得状況が確認されます。改正ページのQ&Aも、理由書を出せば次回の更新時に確認するとしています。
4月の許可を受ける前に決めておくこと
4月の許可を受けたら、その日から次の更新までの時間は4か月しかありません。認定申請の段階で、定款の案と出資額、事業所の候補物件、常勤職員の採用の目途、必要な許認可とその取得にかかる期間の4点を決めておいてください。これらが事業計画書に具体的に書かれていれば、更新の際に「計画どおりに進めた」ことを示す資料がそのまま揃います。経営・管理の要件全体は【2025年改正対応】経営管理ビザの要件とは?資本金・常勤職員・日本語・経歴・事業計画の確認で確認できます。
根拠資料
- 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第10節「経営・管理」10-10〜10-11(会社設立前の審査のポイント)、10-13(4月の者の更新)、10-14(在留期間の表)、10-16〜10-17(登記事項証明書の不提出、事業所)、10-21〜10-22(許認可の取得状況と許認可の例)、10-22〜10-23(在留期間「4月」の新設の経緯)
- 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」(Q&A 令和8年6月26日更新)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html
- 出入国在留管理庁「『経営・管理』の許可基準の改正等について」(ガイドライン)https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf、改正概要 https://www.moj.go.jp/isa/content/001448231.pdf
- 出入国在留管理庁「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan43.html
- 出入国在留管理庁「在留審査処理期間(令和8年7月許可分)」https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00140.html
- 出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」https://www.moj.go.jp/isa/01_00644.html