建設業の中には、業者数が少ない「レア」な分野も存在します。これらの業種は、特定の専門技術や限定的な市場ニーズに支えられているため、競争は少ないものの、貴重な存在です。今回は、許可業者数が少ない5つの業種と、その背景や今後の展望についてご紹介します。

 

しゅんせつ工事業

   

許可業者数：およそ 約900業者

理由
しゅんせつ工事は、河川や港湾、湖沼の底を掘削して、船舶の航行を可能にしたり、水害防止を目的としたりする工事です。特殊な船舶や機械が必要で、技術も専門的であるため、参入が難しく、業者数は限られています。

展望
しゅんせつ工事は、港湾の拡張や河川の浚渫工事などで重要な役割を果たします。気候変動による洪水対策や海洋環境保全のニーズが高まる中で、しゅんせつ工事の需要は引き続き増加する見込みです。

 

水道施設工事業

許可業者数：およそ 約1,500業者

理由
水道施設工事業は、水道管の敷設や上下水道の整備を専門とする業種です。公共インフラに特化しているため、発注元が主に地方自治体や公共団体に限られ、仕事のスケールが大きくなることから、業者数は少数にとどまっています。

展望
水道管の老朽化が問題視されており、これに伴う更新工事の需要が今後増加すると予測されています。また、持続可能な水資源管理や災害対策としての水道インフラ整備も重要になり、水道施設工事業の業者は今後も活躍が期待されます。

 

消防施設工事業

許可業者数：およそ 約1,800業者

理由
消防施設工事業は、建物に設置される消火設備や火災報知器、避難設備の設置を行います。専門性が高く、建物の安全基準を満たすために厳しい規制が課されているため、許可業者は限られています。

展望
高齢化社会における福祉施設や介護施設の増加、また災害に強い街づくりの推進により、今後も需要が見込まれます。また、オフィスビルやマンションの防災強化が進む中で、新築やリノベーションに伴う工事の需要も継続するでしょう。

 

鋼構造物工事業

許可業者数：およそ 約2,000業者

理由
鋼構造物工事業は、鉄骨や鋼材を使った建造物の設置や補修工事を専門とする業種です。高い技術力が必要で、特に大規模な建築物や橋梁の工事に多く用いられるため、業者数は比較的少ない状況です。

展望
都市部での再開発や耐震補強のニーズが増加しているため、鋼構造物工事の需要は増加しています。特に、都市部の高層建築やインフラの耐震化が進むにつれて、この分野の専門業者は今後も必要とされるでしょう。

 

板金工事業

許可業者数：およそ 約2,500業者

理由
板金工事業は、建物の屋根や外壁などに金属を加工して取り付ける工事を行います。住宅や商業施設の一部として行われることが多いですが、建物の規模やデザインによって必要とされる範囲が限られているため、業者数が少なくなっています。

展望
環境問題への対応として、耐久性や断熱性に優れた建材への需要が高まっています。特に、エコ住宅やリノベーション市場の拡大に伴い、板金工事の技術は今後も求められるでしょう。

 

よくある質問（FAQ）

Q1. 業者数が少ない建設業種で仕事を受注するためのコツは？

専門性の高い業種では、信頼性や技術力が非常に重視されます。資格取得や技能向上を図り、過去の実績を積み重ねることで、競合が少ない中でも安定した受注を確保できるでしょう。

Q2. なぜ一部の建設業種は業者数が少ないのですか？

特定の建設業種は、専門技術や設備が必要であるため、参入障壁が高いことが主な理由です。また、公共事業に依存する分野や、ニッチな市場に特化した業種では、需要が限られているため業者数が少なくなります。

Q3. 少ない業者数でも需要が増加している業種はありますか？

消防施設工事業や水道施設工事業など、インフラや安全に関わる業種は需要が安定しており、特にインフラの老朽化対策や防災関連の需要は今後も拡大すると予想されます。

 

まとめ

日本で許可業者数が少ない建設業種は、専門的な技術や特定のニーズに応じた工事を行うため、参入が難しい分野です。しかし、インフラ整備や防災対策、エコ建材の普及など、これらの業種は今後も一定の需要が期待されています。少ない競争の中で専門性を高めることが、成功の鍵となるでしょう。

福岡や他の地域での建設業許可取得に関しては、専門家のサポートが不可欠です。ご不明な点があれば、ぜひ保利国際法務事務所までご相談ください。

 

出典 建設業許可申請等の手引き 国土交通白書 建設業を巡る現状と課題（第25回基本問題小委員会　配付資料1）