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特定技能外国人の健康診断は必要?健康診断個人票の項目・有効期間・受診のタイミング

特定技能外国人の健康診断は必要です。上陸基準省令は特定技能1号の要件として「健康状態が良好であること」を定めており、入国・在留審査要領 第12編(開示版)18の3-7は、これを健康診断個人票(参考様式第1-3号)で確認するとしています。

受診のタイミングは、本人がどこにいるかで変わります。海外から呼び寄せる在留資格認定証明書交付申請では、申請日の3か月前から申請日までの受診が必要です。技能実習などから変更する場合は、申請日前1年以内の定期健康診断の結果で代えられる場合があります(18の3-8)。

健康診断は、許可を取るための一度きりの書類でもありません。受入れ後も、雇入れ時と定期の健康診断を実施することが特定技能所属機関の基準に組み込まれています(18の3-45)。申請時の書類、受入れ後の実施義務、病気や怪我で働けなくなったときの扱いまで、順に整理します。

この記事でわかること

  • 健康診断個人票と受診者の申告書の扱い(18の3-7〜18の3-8)
  • 「3か月以内」と「1年以内」の使い分けと、受診のタイミング
  • 検査項目の確認方法と、労働安全衛生規則の雇入れ時健診の項目
  • 受入れ後に会社が負う健康状況の把握と定期健康診断の義務
  • 病気・怪我で休業したときの届出と、通算5年との関係

「健康状態が良好であること」は上陸基準の一つ

特定技能1号の上陸基準省令には、18歳以上であること、技能水準と日本語能力が試験等で証明されていること、通算在留期間が5年に達していないことなどと並んで、「健康状態が良好であること」が置かれています。技能実習2号を良好に修了した人は技能試験・日本語試験が免除されることがありますが、健康状態の要件は免除の対象ではありません(18の3-5)。

審査要領は、この要件の趣旨を次のように説明しています。

審査要領ではこう書かれている(第12編 18の3-7)

「特定技能外国人が、在留資格『特定技能』に係る活動を安定的かつ継続的に行うことが見込まれるだけの健康状態にあることなどを求めるもの。」

「健康診断個人票に申請人が本邦において安定的かつ継続的に就労活動を行うことについて健康上の支障はない旨の記載があれば、明らかな疑義がある場合を除き、基準に適合しているものとして取り扱って差し支えない。」

ここで重要なのは、審査官が自ら検査結果の数値を評価するのではなく、医師が「就労に健康上の支障はない」と判断しているかを見る、という論点です。検査値に多少の異常があっても、それだけで基準不適合とされる書き方にはなっていません。逆に、医師の所見欄の書き方があいまいだと、「明らかな疑義」の有無を確かめるために追加の資料を求められる余地が残ります。

特定技能2号の上陸基準にも、18歳以上であることと並んで健康状態の要件があります(18の3-157〜18の3-158)。1号から2号に移るときも、健康状態は改めて見られる前提で準備してください。

提出するのは健康診断個人票と受診者の申告書

審査要領が立証資料として挙げているのは、次の2つです(18の3-8)。

  • 健康診断個人票(参考様式第1-3号)
  • 受診者の申告書(参考様式第1-3号(別紙))

健康診断個人票は、医療機関に記入してもらう診断結果の様式です。受診者の申告書は、本人が健康状態について申告する別紙です。どちらも出入国在留管理庁が公表している参考様式で、医療機関が独自の書式で健康診断書を出すこともあります。

独自の書式で提出した場合、審査要領18の3-7〜18の3-8は、健康診断個人票に掲げる項目が網羅されているかを確認するとしています。そのうえで、項目に漏れがあれば、その項目を追加で受診したうえで健康診断書を提出するよう求めます。追加受診になれば、その分だけ申請が遅れます。最初から参考様式第1-3号を医療機関に渡し、その様式に記入してもらうのが最も手戻りの少ない方法です。

健康診断個人票の項目をどう確認するか

審査要領は、健康診断個人票の項目そのものを本文に列挙していません。項目は参考様式第1-3号の中に書かれているため、受診前に最新の様式をダウンロードし、医療機関と項目を突き合わせるのが確実です。

参考になるのが、日本の事業者が労働者を雇い入れるときに行う健康診断の項目です。審査要領18の3-45は、受入れ後の健康状況の把握の内容として「労働安全衛生法に定める雇入れ時の健康診断」の適切な実施を挙げています。その項目は、労働安全衛生規則43条で次のとおり定められています。

No. 雇入れ時の健康診断の項目(労働安全衛生規則43条)
1 既往歴及び業務歴の調査
2 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
4 胸部エックス線検査
5 血圧の測定
6 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
7 肝機能検査
8 血中脂質検査
9 血糖検査
10 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無)
11 心電図検査

健康診断個人票の項目がこの11項目とどこまで一致するかは、様式そのもので確かめてください【要確認】。審査要領18の3-8は、技能実習等からの変更で定期健康診断の結果を使う場合に、健康診断個人票と「同一の項目の受診内容であること」を確認するとしています。日本の健康診断の結果を流用する場面では、項目の一致が審査の前提になっているということです。

有効期間:3か月以内と1年以内の使い分け

健康診断の結果には、申請日から逆算した期限があります。審査要領18の3-8の整理は、申請の種類によって次のように分かれます。

申請の種類 受診の時期 提出するもの
在留資格認定証明書交付申請(海外から呼び寄せ) 申請日の3か月前から申請日まで 健康診断個人票、受診者の申告書
「技能実習」等からの在留資格変更許可申請 申請日の1年前から申請日までの定期健康診断で代用可(同一項目・特段の異常なしが条件) 定期健康診断の結果、受診者の申告書
特定技能1号からの転職(在留資格変更) 「技能実習」等の「等」に含まれるかは審査要領の文言からは断定できない【要確認】 健康診断個人票、受診者の申告書(定期健康診断での代用の可否は要確認)

審査要領ではこう書かれている(第12編 18の3-8)

「『技能実習』等からの在留資格変更許可申請においては、申請日の1年前から申請日までに、労働安全衛生法に基づき定期健康診断を受診しているとして当該診断結果が提出されている場合には、健康診断個人票と同一の項目の受診内容であることが確認でき、かつ、医師の所見欄に特段の異常がある旨の記載が認められなければ、改めて健康診断を受診させなくても差し支えない。」

1年以内の定期健康診断で足りる扱いには、条件が三つ重なっています。労働安全衛生法に基づく定期健康診断であること、健康診断個人票と同じ項目がそろっていること、医師の所見欄に特段の異常の記載がないことです。一つでも欠ければ、改めて受診することになります。受診し直さない場合でも、受診者の申告書は提出を求められます。

技能実習生を自社で特定技能に切り替える会社は、実習中の定期健康診断の実施日と項目を先に確認しておくと、受診の手間と費用を省ける場合があります。技能実習からの移行手続全体は技能実習から特定技能への移行は可能?「良好に修了」の判断・試験免除と2027年4月の変更点で扱っています。

受診のタイミングを決めるときの注意点

海外から呼び寄せる場合、受診日の起点は在留資格認定証明書交付申請の申請日です。書類の準備が遅れて申請日がずれ込むと、受診から3か月を超えてしまい、受診をやり直すことになります。健康診断は、他の書類がほぼそろい、申請日の見通しが立った段階で受けるのが合理的です。

見落としやすいのが、入国後の雇入れ時健康診断との関係です。在留資格認定証明書は交付日から3か月以内に日本に入国する必要があり(18の3-130)、申請から交付までの審査期間もかかります。労働安全衛生規則43条は、医師の健康診断を受けてから3か月を経過しない人を雇い入れる場合に、その結果を証明する書面を提出したときは、相当する項目の健康診断を省略できるとしています。申請用の健康診断から入社まで3か月を超えていれば、この省略は使えず、入社時に改めて雇入れ時健康診断を行うことになります。

申請用の健康診断と雇入れ時の健康診断は、根拠も目的も別のものです。前者は入管の上陸基準を満たすための立証資料、後者は労働安全衛生法上の事業者の義務です。筆者は、受入れのスケジュールを組む段階で、両者を一回の受診で兼ねられるかどうかを確認するよう勧めています。

受入れ後の「健康状況の把握」は会社の基準

健康診断は、本人の上陸基準としてだけでなく、受け入れる会社の基準としても現れます。特定技能基準省令は、特定技能雇用契約の基準の一つとして、所属機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講じることとしていることを求めています。

審査要領ではこう書かれている(第12編 18の3-45)

「『健康状況の把握のための措置』とは、労働安全衛生法に定める雇入れ時の健康診断や雇用期間中の定期健康診断を適切に実施すること、健康状況に問題がないかを定期的に特定技能外国人から聞き取りを行う等の措置を講ずることをいう。」

審査では、雇用条件書(参考様式第1-6号)に、雇入れ時の健康診断と定期健康診断を実施する旨が書かれているかを確認します。雇用条件書の様式を自社で書き換えて使う場合でも、この条項を落とさないようにしてください。

申請時だけの確認では終わりません。審査要領18の3-45が想定するのは、特定技能外国人から健康診断を受けられなかったという申告があった場合や、病気・怪我を理由とする受入れ困難に係る届出があった場合です。このとき入管は、必要に応じて会社に定期健康診断書の写しの提出を求め、健康状況の把握が適切に行われているかを確認します。健康診断の未実施は、本人の申告から発覚することがあるということです。

雇入れ後の定期健康診断と結果の通知

受入れ後の健康診断は、日本人の従業員と同じ労働安全衛生法のルールに従います。主なものは次のとおりです。

健康診断 頻度・時期 根拠
雇入れ時の健康診断 常時使用する労働者を雇い入れるとき(3か月以内の健診結果の提出で相当項目は省略可) 労働安全衛生規則43条
定期健康診断 1年以内ごとに1回 労働安全衛生規則44条
特定業務従事者の健康診断 深夜業などの特定業務への配置替えの際と、6か月以内ごとに1回 労働安全衛生規則45条
結果の通知 健康診断を受けた労働者に遅滞なく通知 労働安全衛生法66条の6

外食業や宿泊、介護など、夜勤や深夜の勤務がある分野では、特定業務従事者の健康診断の対象になるかを確認してください。結果の通知は、本人が内容を理解できることが前提になります。生活オリエンテーションや相談対応を本人が十分に理解できる言語で行うことが求められている趣旨からすれば、健康診断の結果についても、必要に応じて説明を補うのが筋だと筆者は考えます。

病気・怪我で働けなくなったら

受入れ後に病気や怪我で長く休むことになった場合、会社には届出の義務が生じます。出入国在留管理庁の「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」は、許可後に1か月以上活動できない事由(私傷病を含む)も受入れ困難に係る届出の対象としています。提出は、事由が生じた日から14日以内に求められます。

本人にとっては、休業期間と通算5年の関係が問題になります。病気や怪我(労災を含む)による休業は、原則1年以下(労災は3年以下)で、連続して1か月を超える場合に限り、通算在留期間から除くことができます(18の3-19、出入国在留管理庁「通算在留期間(特定技能1号)」)。数日の自宅療養や、通院しながらの勤務は除外されません。除外を受けるには、通算5年に達する概ね3か月前に、申立書と疎明資料をつけて申請します。

審査要領18の3-21〜18の3-22は、申立書に書かれた休業期間が、会社の出した受入れ困難に係る届出の内容と一致するかを確認するとしています。届出を怠っていると、本人が休業期間の除外を求める段階で説明がつかなくなります。休業期間の扱いは特定技能1号の5年後はどうなる?通算5年の数え方(一時帰国・失業・産休育休)と在留を続ける方法で詳しく扱っています。

治療のために帰国することになった場合の費用にも、特定技能ならではの基準があります。帰国費用は原則として本人が負担します。ただし、本人が負担できないときは、帰国の原因(行方不明の場合を除く)を問わず、会社が費用を負担し、航空券の予約・購入を含む必要な措置を講じる必要があります(18の3-43〜18の3-44)。病気による帰国も、この「原因を問わず」に含まれます。雇用条件書には、この帰国担保措置の条項が入っていることが確認されます。

医療を受けるための情報提供も支援の一部

健康状態を保つには、健康診断だけでなく、体調を崩したときに医療機関にかかれることが前提になります。1号特定技能外国人支援の生活オリエンテーションでは、入国後(国内での変更の場合は許可後)遅滞なく、少なくとも8時間以上、本人が十分に理解できる言語で情報を提供しなければなりません。その中に医療に関する事項が含まれています(18の3-140〜18の3-143)。

  • 医療機関の利用方法(症状別の医療機関、受診方法、保険証を持参することなど)
  • アレルギーや宗教上の理由で治療に制限がある場合は、医療機関にその旨を説明すること
  • 通訳人が配置されている病院や、医療通訳サービスを導入している病院の名称・所在地・連絡先
  • 予期せぬ病気や怪我に備え、医療通訳雇入費用等をカバーする民間医療保険への加入案内
  • 急病その他の緊急時の対応(119番などの連絡方法、救急医療機関の連絡方法)

健康保険・厚生年金保険の手続(会社が適用事業所の場合)や、国民健康保険の手続(適用事業所でない場合)の情報提供も、生活オリエンテーションの項目です。健康診断で見つかった所見を受診につなげられるかどうかは、この情報提供の質に左右されます。生活オリエンテーションの全体像は特定技能の生活オリエンテーションとは?必要な時間(8時間)と説明事項、事前ガイダンスとの違いで扱っています。

費用と受診場所

審査要領は、申請用の健康診断の受診場所や費用の負担者を定めていません。健康診断個人票の項目を満たし、医師が記入したものであれば、国内の医療機関でも本国の医療機関でも受診はできます。本国で受診する場合は、参考様式第1-3号を事前に送り、その様式への記入を依頼しておくと、項目の漏れによる追加受診を防げます。なお、受入れ後の雇入れ時・定期健康診断は、労働安全衛生法上、実施する義務が事業者にあります。

支援の費用との関係にも触れておきます。1号特定技能外国人支援に要する費用は、名目を問わず本人に負担させてはならないとされていますが、ここでいう「支援に要する費用」は義務的支援の費用を指します(18の3-90)。申請用の健康診断の費用が義務的支援の費用に当たるかは、審査要領に明示がありません【要確認】。筆者は、費用を本人負担とする場合は、事前ガイダンスと雇用条件書でその旨を明示し、合意を記録しておくよう勧めています。

よくある質問

Q. 海外から特定技能外国人を呼ぶ場合、健康診断はいつ受ければよいですか?

在留資格認定証明書交付申請の申請日の3か月前から申請日までに受診している必要があります(審査要領18の3-8)。それより前に受けた健康診断の結果は使えないため、申請日から逆算して受診日を決めてください。

Q. 技能実習生を特定技能に切り替える場合も、健康診断を受け直す必要がありますか?

申請日の1年前から申請日までに労働安全衛生法に基づく定期健康診断を受けていて、健康診断個人票と同じ項目がそろい、医師の所見欄に特段の異常の記載がなければ、受け直さなくても差し支えないとされています。その場合も、受診者の申告書(参考様式第1-3号(別紙))は提出します。

Q. 病院の独自様式の健康診断書でも提出できますか?

提出はできますが、健康診断個人票(参考様式第1-3号)に掲げる項目が網羅されているかを確認され、漏れがあればその項目を追加で受診して健康診断書を出し直すよう求められます。最初から参考様式を医療機関に渡して記入してもらうほうが確実です。

Q. 受入れ後も健康診断を受けさせる必要がありますか?

必要です。特定技能所属機関の基準として、雇入れ時の健康診断と雇用期間中の定期健康診断を実施することが求められ、雇用条件書にもその旨の記載が必要です。日本人と同じく、労働安全衛生法上の事業者の義務でもあります。

受診の前に会社がそろえておくもの

特定技能外国人の健康診断で手戻りを防ぐには、受診の前に三つを用意してください。一つ目は最新の健康診断個人票(参考様式第1-3号)と受診者の申告書で、これを医療機関に渡して記入してもらいます。二つ目は申請日の見込みで、海外からの呼び寄せなら受診日がその3か月前より後になるよう調整します。三つ目は、技能実習生などを切り替える場合の直近の定期健康診断の結果票で、実施日が申請日前1年以内か、項目がそろっているかを確認します。あわせて、雇用条件書に雇入れ時と定期の健康診断の条項が入っているかを見直しておけば、申請と受入れ後の両方に備えられます。特定技能の受入れ全体の流れは特定技能とは?【2026年最新】1号・2号の違い・対象分野・受入れ手続きを完全解説で確認できます。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第18節の3「特定技能」18の3-5〜18の3-8、18の3-19、18の3-21〜18の3-22、18の3-43〜18の3-45、18の3-90、18の3-130、18の3-140〜18の3-143、18の3-157〜18の3-158
  • 出入国在留管理庁「通算在留期間(特定技能1号)」https://www.moj.go.jp/isa/10_00233.html
  • 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri10_00002.html
  • 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月)https://www.moj.go.jp/isa/content/001468647.pdf
  • 出入国在留管理庁「特定技能制度」トップページ https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html
  • 労働安全衛生法66条の6、労働安全衛生規則43条〜45条