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特定技能の指定書とは?どこにある・確認方法・転職や分野変更で変わる理由

特定技能の指定書とは、その外国人が特定技能の活動を行ってよい「本邦の公私の機関」(会社の名称と所在地)と「特定産業分野」を、法務大臣が個別に指定した書面です。様式は入管法施行規則の別記第31号の4様式で、1号にも2号にも交付されます。在留カードを見れば在留資格が「特定技能」であることは分かりますが、どの会社で、どの分野の仕事ができるのかは、指定書を見なければ分かりません。

転職や分野の変更で指定書が変わるのは、指定書に書かれた会社や分野そのものが変わるからです。審査要領は、所属機関や特定産業分野が変わる場合は「指定書の指定内容に変更が生じることから、在留資格変更許可申請を行わなければならない」とし、許可を受けると新しい指定書が作られます。同じ「特定技能」のままでも、転職は届出だけでは済まず、変更許可を受けるまで新しい会社では働けません。

この記事でわかること

  • 指定書に書かれていること(会社・所在地・特定産業分野)と、指定する理由
  • 指定書はどこにあるか、在留カードとの違い
  • 採用するときに指定書で確認すべき点
  • 転職・分野変更で指定書が変わる理由と、業務区分だけが変わる場合の扱い
  • 合併・法人化、2号への移行、外食業分野の停止措置と指定書

指定書は「どの会社で、どの分野か」を決める書面

入管法別表第1の2の表は、特定技能1号の活動を、法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づく活動と定めています。その中身は、法務大臣が指定する特定産業分野に属する技能を要する業務に従事する活動です。在留資格の定義そのものに「法務大臣が指定する」機関と分野が組み込まれているため、その指定の中身を示す書面が必要になります。これが指定書です。ここでいう指定書とは、法務大臣が個別に指定した本邦の公私の機関と特定産業分野を示す書面(入管法施行規則の別記第31号の4様式)を指します。

審査要領ではこう書かれている

入管法施行規則第31号の4様式による指定書をもって「特定技能1号」又は「特定技能2号」に定める活動を行うことのできる本邦の公私の機関及び特定産業分野を指定する(中略)「特定技能1号」又は「特定技能2号」において、特定技能所属機関又は特定産業分野の変更に伴い在留資格変更許可を受けた場合は、新たな指定書を作成し本邦の公私の機関及び特定産業分野を指定することとする。

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第18節の3 18の3-181

審査要領には、指定書の記載例も載っています(18の3-182)。特定技能1号の場合、「出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の特定技能の項の下欄第1号の規定に基づき、同号に定める活動を行うことのできる本邦の公私の機関及び特定産業分野を次のとおり指定します。」という文に続いて、次の項目が並びます。

記載項目 中身
本邦の公私の機関:氏名又は名称 雇用する会社(個人事業主の場合は氏名)
本邦の公私の機関:所在地 その会社の所在地
特定産業分野 従事できる分野。複数の分野を指定する場合は並べて記載

2号の指定書も構成は同じで、根拠が「下欄第2号」になる点だけが違います(18の3-182)。高度専門職1号など、ほかにも指定書が交付される在留資格がありますが、様式は別で、高度専門職は別記第31号の3様式とされています(第9節 9-3)。

分野は19に増えている

審査要領の開示版は、特定産業分野を16分野としています(18の3-1〜2)。その16分野は、介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業です。これに対し、令和8年8月の特定技能外国人受入れに関する運用要領では、リネンサプライ、物流倉庫、資源循環が加わった19分野が現行です。2号の対象は、このうち介護、リネンサプライ、自動車運送業、鉄道、物流倉庫、林業、木材産業、資源循環を除く11分野とされています。指定書の「特定産業分野」欄に入るのは、この現行の分野名です。分野の一覧は特定技能の分野・職種一覧【2026年最新】追加3分野と受入れ見込数を解説にまとめています。

指定書はどこにある?

指定書は、在留資格を決定する際に交付される書面です(第9節 9-3)。海外から呼び寄せる場合、審査要領は、在留資格認定証明書を交付するときに指定書を証明書の裏面左上にステープラーで留め、入国審査官の認証印で割り印するとしています(18の3-182)。国内で在留資格変更許可を受けた場合は、許可の際に新しい指定書が作成されます(18の3-181)。

本人の手元で探すときは、まず旅券(パスポート)と、許可を受けたときに受け取った書類を確認してください。上陸後や変更許可後に指定書がどのような形で本人に渡されるか(旅券に添付されるかなど)は、筆者が読んだ根拠資料には書かれていないため【要確認】としておきます。紛失した場合の再交付の手続も根拠資料に記載がなく、管轄の地方出入国在留管理局に問い合わせる必要があります【要確認】。

在留カードに記載される事項は入管法19条の4に定められており、在留資格、在留期間、就労制限の有無などは載りますが、所属機関の名称や特定産業分野はその中に含まれていません。在留カードだけで「特定技能だから自社でも働ける」と判断するのは誤りで、会社と分野は指定書で確かめるしかありません。

採用するときに指定書で確認すること

すでに特定技能で働いている人を採用する場面で、指定書は最初に見るべき書類です。筆者は、面接の段階で次の三点を確認するよう勧めています。

  • 指定書の会社名が、いまの勤務先と一致しているか(一致しなければ、前の転職で変更許可を受けていない可能性がある)
  • 指定書の特定産業分野が、自社で任せたい業務の分野と同じか(違えば分野の変更になり、その分野の技能試験と日本語試験の合格が必要)
  • 在留カードの在留期限と、通算5年の残り期間(1号の場合)

一点目は見落とされがちです。所属機関を変えたのに変更許可を受けず、前の会社の名前が書かれた指定書のまま働いていた場合、その期間は指定された活動の範囲外で働いていたことになります。採用する会社としては、その経緯を確かめないまま変更申請を出すと、審査の段階で説明を求められます。通算5年の数え方は特定技能1号の5年後はどうなる?通算5年の数え方(一時帰国・失業・産休育休)と在留を続ける方法を参照してください。

転職すると指定書が変わる理由

ここで重要なのは、同じ在留資格の中での移動でも変更許可が要る、という論点です。技術・人文知識・国際業務のように会社の指定がない在留資格では、転職しても在留資格の変更は通常要りません。特定技能は指定書で会社を特定しているため、会社が変われば指定の中身が変わり、在留資格変更許可が必要になります。

審査要領は、他の在留資格から特定技能に変更する場合、特定技能外国人が所属機関を変えて転職する場合、特定産業分野を変える場合のいずれも在留資格変更許可申請が必要だとしています。そのうえで、1号は通算在留期間が5年に限られていることから審査を迅速に行い、「特段の事情がある場合を除き、おおむね2週間以内に許否の判断を行う」としています(18の3-184〜185)。

ただし、公表されている実績は内部基準の目安とかけ離れています。出入国在留管理庁の在留審査処理期間(令和8年7月許可分)では、特定技能1号の変更許可の告知までの平均は59.5日、特定技能2号は51.6日でした。この数字は許可された案件だけの平均で、不許可や取下げを含みません。転職の時期を決めるときは、審査要領の2週間ではなく、公表実績の約2か月を前提に組むべきです。

資料 変更許可の期間
審査要領(内部基準、18の3-185) 特段の事情がある場合を除き、おおむね2週間以内に許否を判断
在留審査処理期間(令和8年7月許可分) 特定技能1号 平均59.5日/特定技能2号 平均51.6日

変更許可を受けるまでは、指定書に書かれているのは前の会社です。新しい会社で働き始めてよいのは許可を受けて新しい指定書が作られてからで、それより前に働かせると、指定された活動の範囲を外れた就労になります。受け入れる会社側の責任については不法就労助長罪とは?企業が問われる責任・罰則と防ぐための確認方法を解説で扱っています。転職の手続全体は特定技能の外国人は転職できる?在留資格変更許可の手続き・必要書類・審査期間にまとめています。

会社と本人の双方には、届出の義務もあります。本人は、前の会社との契約の終了と新しい会社との契約の締結を、それぞれ14日以内に届け出ます(入管法19条の16)。受入れ機関が行う随時届出は受入れ機関自身が出すもので、登録支援機関が代わりに出すことはできません(特定技能所属機関・登録支援機関による届出)。

分野を変える場合、業務区分だけを変える場合

同じ会社のまま別の特定産業分野の仕事に移る場合も、指定書の分野欄が変わるため在留資格変更許可が必要です(18の3-34、18の3-184)。移る先の分野の技能水準と日本語能力水準を試験等で証明し、会社もその分野の基準に適合している必要があります。

複数の分野の仕事をする形も認められています。複数の分野の技能水準と日本語能力水準を満たし、会社が各分野の基準に適合するときは、法務大臣が複数の分野を指定することで、それらの業務に従事できます。申請書の「従事すべき業務の内容」欄には、最上段に主たる分野、2段目以降に従たる分野を書くよう案内されています(18の3-3〜4)。指定書の記載例に「複数の特定産業分野を指定する場合」の欄があるのはこのためです(18の3-182)。

一方、会社も分野も同じで、分野の中の業務区分だけが変わる場合は、指定書の中身は変わりません。この場合は変更許可ではなく、特定技能雇用契約の変更として雇用契約に係る届出(入管法19条の18第1項1号)を行います。そして変更後の最初の在留期間更新許可申請のときに、新しい業務区分に応じた技能を持っているかが確認されます(18の3-34〜35)。

変わるもの 指定書 必要な手続
所属機関(転職) 新しく作成 在留資格変更許可
特定産業分野 新しく作成 在留資格変更許可
分野内の業務区分 変わらない 雇用契約に係る届出+次回更新時に技能を確認
1号から2号へ 新しく作成 在留資格変更許可

合併・法人化で会社の法人格が変わるとき

本人が転職しなくても、雇っている会社の法人格が変われば、指定書に書かれた「本邦の公私の機関」と実際の雇用主がずれます。審査要領は、個人事業主の法人化や法人の個人事業化は雇用契約の主体が変わるため在留資格変更許可申請が必要としています。また、個人事業主が亡くなった場合は契約が終了するため、新しい機関との契約と変更申請が必要としています。吸収合併では、消える側の法人が所属機関だった場合は変更申請が必要で、存続する側がもともと所属機関なら変更申請は不要です。新設合併は変更申請が必要で、吸収分割・新設分割は吸収合併に準じて扱います(18の3-190〜192)。

吸収合併で消える側の会社にいる外国人については、合併を議決した総会の議事録などで合併の確実性を示して事前に申請することが勧められています。そうして、合併と同じ日付で許可を受けられるようにすることが望ましいとされています(18の3-191)。令和8年8月20日の運用要領の改正でも、個人事業主の死亡・法人化や、吸収合併・吸収分割などで法人格が変わる場合は変更許可申請が必要になりえます。そのため、速やかに相談するよう求める記載が新設されました(新旧対照表)。組織再編の日程が決まった段階で、指定書の書き換えも日程に入れる必要があります。

指定書に関わる最近の変更

2号へ移るときも在留資格変更許可を受け、新しい指定書が作られます。令和8年8月20日から、2号の確認書類に「2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書」(参考様式第1-32号)が加わりました。あわせて、2号の通常業務は技能実習生や1号と同じ業務であってはならないとされています。指導業務・管理業務・自らの判断で行う専門的業務を行うとともに、分野ごとに定める人数以上を指導している必要があると明記されました(特定技能外国人受入れに関する運用要領 新旧対照表)。審査要領の開示版にはこの誓約書の記載はなく、公表資料が現在の基準です。2号の要件は特定技能2号の条件とは?対象分野・試験・1号からの移行手続きを解説で扱っています。

外食業分野では、令和8年4月13日から在留資格認定証明書の交付が一時停止され、同日以降に受理した外食業の1号への変更申請も原則不許可とされています。ただし、外食業の1号で在留している人の転職等は例外とされています。外食業の指定書を持つ人が別の外食事業者に移るための変更申請は、この停止の対象外です(特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について/在留資格認定証明書交付の一時停止措置について)。

技能実習から特定技能1号に移る人は、この移行で初めて特定技能の指定書を受け取ります。平成29年11月1日より前の在留資格「技能実習」の良好修了者などは、令和9年3月31日までは試験免除の扱いがありました。しかし、令和9年4月1日以降に上陸許可等を受ける場合は、技能試験と日本語試験の両方の合格が必要になります(技能実習法施行以前の「技能実習」等を修了した者が「特定技能1号」に移行しようとする場合の取扱いについて)。

なお、指定書で指定される所属機関は原則として一つです。例外として、親子会社間など密接に関係する所属機関の間で、分野別運用方針に明記されている場合に限り、在籍型出向による複数の機関との雇用契約が認められます(18の3-4)。

よくある質問

Q. 特定技能の指定書には何が書かれていますか?

特定技能の活動を行える本邦の公私の機関の名称と所在地、そして特定産業分野です。複数の分野が指定されている場合は並べて記載されます。在留カードにはこれらは載っていません。

Q. 特定技能の外国人が転職したら、指定書はどうなりますか?

所属機関が変わると指定書の指定内容が変わるため、在留資格変更許可申請が必要です。許可を受けると新しい会社を記載した指定書が作られます。許可前に新しい会社で働くことはできません。

Q. 同じ会社で業務区分だけが変わる場合も変更許可が必要ですか?

必要ありません。分野と所属機関が同じなら指定書は変わらず、雇用契約に係る届出を行い、変更後の最初の在留期間更新許可申請のときに新しい業務区分の技能が確認されます。

Q. 転職の変更許可はどのくらいで出ますか?

審査要領はおおむね2週間以内に判断するとしていますが、令和8年7月許可分の公表実績では、特定技能1号の変更許可の平均は59.5日でした。約2か月を見込んで日程を組むのが現実的です。

特定技能の人を採用する予定があるなら、まず候補者の指定書の会社名と分野を、いまの勤務先と自社の業務に照らして確認してください。会社名が一致しない、分野が違うといった点が見つかったら、変更申請を出す前に経緯と必要な試験を整理しておくと、約2か月の審査期間を無駄にせずに済みます。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第18節の3 特定技能 18の3-1〜4(分野・複数分野・在籍型出向)、18の3-34〜35(分野・所属機関・業務区分の変更)、18の3-181〜182(指定書の記載)、18の3-184〜185(変更許可と審査期間)、18の3-190〜192(法人格の変動)
  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第9節 高度専門職 9-3(指定書の交付)
  • 出入国在留管理庁 特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和8年8月)(https://www.moj.go.jp/isa/content/001468647.pdf)、新旧対照表(令和8年8月20日)(https://www.moj.go.jp/isa/content/001468648.pdf)
  • 出入国在留管理庁 特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について(https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/03_00001.html)/在留資格認定証明書交付の一時停止措置について(https://www.moj.go.jp/isa/03_00176.html)
  • 出入国在留管理庁 技能実習法施行以前の「技能実習」等を修了した者が「特定技能1号」に移行しようとする場合の取扱いについて(https://www.moj.go.jp/isa/10_00262.html)
  • 出入国在留管理庁 在留審査処理期間(令和8年7月許可分)(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00140.html)
  • 出入国在留管理庁 特定技能所属機関・登録支援機関による届出(https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri10_00002.html)