特定技能の外国人は一時帰国できます。受入れ機関には、本人が一時帰国を希望したときに必要な有給休暇を取得させることが、特定技能雇用契約の基準として求められています(特定技能基準省令1条1項5号)。業務上やむを得ない事情があって希望日に休ませられない場合でも、代替日を提案するなどの措置が必要で、一時帰国の休暇を取ったことを理由に不利益に扱えば、基準に適合しないものとして扱われます。
本人の側で押さえておくべきことは二つです。出国の日から1年以内に戻るならみなし再入国許可で出国でき、それを超えるなら事前に再入国許可を取る必要があります。そして、一時帰国で日本を離れていた期間も、特定技能1号の通算5年の在留期間に含まれます。
この記事でわかること
- 一時帰国の休暇について受入れ機関が負う義務と、審査要領・運用要領の記載
- 休暇を断れる「業務上やむを得ない事情」の範囲と代替日の提案
- 年次有給休暇を使い切った人から申出があった場合の扱い
- みなし再入国許可・再入国許可と、通算5年への算入
- 渡航費や空港送迎は会社が負担すべきか
一時帰国の休暇は雇用契約の基準の一つ
特定技能の外国人と受入れ機関が結ぶ雇用契約を、特定技能雇用契約と呼びます。この契約は、報酬が日本人と同等以上であることやフルタイムであることなど、特定技能基準省令1条が定める基準に適合していなければなりません。一時帰国の休暇は、その基準の一つとして条文に書かれています。
審査要領ではこう書かれている
(特定技能基準省令第1条第1項)5号 外国人が一時帰国を希望した場合には、必要な有給休暇を取得させるものとしていること。
出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第18節の3 18の3-40
審査要領は、この基準の内容を次のように説明しています。本人から一時帰国の申出があった場合に、何らかの有給の休暇を取得できるよう配慮を求めるもの、というのがその内容です(18の3-40)。事業の正常な運営を妨げる場合など、業務上やむを得ない事情があるときは除かれます。ここでいう有給休暇とは、労働基準法39条の年次有給休暇を含む有給休暇一般を指します(18の3-40)。会社が独自に設けた特別休暇でも、有給であれば当たります。
申請の段階で確認されるのは、申請書(所属機関等作成用)の記載と、雇用条件書(参考様式第1-6号)の「VI 休暇」欄です。一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得させる旨が書かれていなければ、基準に適合していることを確認できません(18の3-40)。立証資料は雇用条件書の写しです(18の3-41)。
年休を使い切った人から申出があったら
年次有給休暇は、労働基準法39条により、雇入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に10日が与えられるのが出発点です。入社から間もない人や、すでに年休を使い切った人から一時帰国の申出があることは珍しくありません。
この場面について審査要領は、既に年次有給休暇をすべて取得した人から一時帰国の申出があった場合にも、追加的な有給休暇の取得や無給休暇の取得ができるよう「配慮が望まれる」と書いています(18の3-40)。2026年8月に改定された特定技能外国人受入れに関する運用要領も、年休を使い切った場合も追加の有給か無給の休暇に配慮することが望まれるとしており、審査要領と同じ内容です。
「望まれる」という表現は、義務ではなく配慮の要請です。ただ、年休が残っていないことだけを理由に一律に断ると、一時帰国の申出をどう扱ったかを後で説明しにくくなります。筆者は、就業規則に一時帰国の場合の無給休暇の扱いを定めておき、年休の残日数にかかわらず申出を受け付ける仕組みにすることを勧めています。
断れるのは「業務上やむを得ない事情」がある場合だけ
受入れ機関が希望日の休暇を認めなくてよいのは、業務上やむを得ない事情がある場合に限られます。審査要領はその中身をかなり狭く定義しています。
審査要領ではこう書かれている
業務上やむを得ない事情とは、当該外国人が従事する業務が代替性を有さない業務であって、休暇取得希望日において当該外国人以外に担当可能な者がおらず、当該希望日以外に代替日を設けることが不可能であることについて合理的な理由があるものをいう。
出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第18節の3 18の3-41
分解すると、①その人の業務に代替性がないこと、②希望日にほかに担当できる人がいないこと、③希望日以外に代替日を設けることが不可能であることに合理的な理由があること、の三つがそろう必要があります。繁忙期で人手が足りない、という程度では①と②を満たすかどうかが問われ、③まで満たすことはさらに難しくなります。
そして、やむを得ない事情があって希望日に休暇を取らせるのが難しい場合でも、代替日を提案するなどの代替措置を講じなければなりません(18の3-41)。運用要領も、認めない場合は代替日を提案するとしています。「今月は無理」で話を終わらせず、「来月のこの週なら取れる」と具体的な日を示すことが求められます。断ることが許されるのは希望日であって、一時帰国そのものではありません。
休暇を理由にした不利益扱いは基準不適合
審査要領は、本人が一時帰国のために休暇を取得したことを理由に就労上の不利益な扱いをした場合は、本基準に適合しないものとして取り扱うとしています(18の3-40)。運用要領も、休暇取得を理由に不利益に扱えば基準不適合となりうると書いています。帰国から戻った人の配置を理由なく変える、昇給や手当の査定で一時帰国を理由に減点する、といった扱いがこれに当たりえます。
一時帰国の休暇が認められなかったという申告が外国人からあった場合、入管は受入れ機関から事情を聴き、必要に応じて指導と助言を行います(18の3-41)。定期面談の場で本人が話すこともありえます。支援責任者や支援担当者は、面談で違反を知ったときに届出と通報をする立場にあります。定期面談の仕組みは特定技能の定期面談とは?3か月に1回の実施方法・オンラインの条件・報告書で扱っています。
休暇の取得状況は帳簿に残す
受入れ機関は、特定技能外国人の活動状況に関する帳簿を作り、雇用契約の終了日から1年以上、事業所に備え置かなければなりません。その記載事項に「一時帰国休暇を含む休暇取得状況」が含まれています(18の3-87〜89)。申出の日、希望日、実際に取得した日、代替日を提案した場合はその経緯を記録しておけば、申告があったときに説明できます。
出国の手続:みなし再入国と再入国許可
在留資格をもつ外国人が、在留資格を失わずに出国して戻ってくるための仕組みが、再入国許可です。再入国許可には1回限りと数次の2種類があり、あらかじめ地方出入国在留管理局に申請して許可を受けます(再入国許可申請の手続ページ)。これとは別に、出国の日から1年以内に再入国する場合は、事前の許可を受けずに出国できる制度があります。これを、みなし再入国許可と呼びます(在留期間が3月以下の人と短期滞在の人は除く。出入国審査・在留審査Q&A)。
| 場面 | 使う制度 |
|---|---|
| 出国の日から1年以内に戻る一時帰国 | みなし再入国許可(事前の申請なし) |
| 1年を超えて日本を離れる可能性がある | 再入国許可(1回限り・数次)を事前に取得 |
| 在留期間更新の申請中に出国する | 再入国許可(みなし再入国を含む)で出国できるが、在留期限から2か月を経過する日までに再入国して処分を受ける必要がある |
更新申請中の出国について、出入国審査・在留審査Q&A(Q23・Q61)は上の表のとおり案内しています。在留期限の直前に更新を申請し、そのまま一時帰国する予定を組むと、戻る日によっては処分を受けられなくなります。一時帰国の予定がある人は、更新申請の時期と帰国の日程を先に並べて確認してください。再入国許可とみなし再入国許可の違いは再入国許可とみなし再入国許可の違い|長期出張・一時帰国で在留資格を失わないためにで詳しく扱っています。
なお、生活オリエンテーションで伝えるべき法的保護の情報には、みなし再入国制度が含まれています(18の3-144)。入国時に一度説明を受けていても、初めての一時帰国の前に改めて確認しておくと、出国時の手続で迷いません。
一時帰国の期間は通算5年に含まれる
特定技能1号には、通算して5年という在留の上限があります。審査要領は、再入国許可(みなし再入国を含む)による出国期間も通算に計上するとしています(18の3-18〜20)。出入国在留管理庁の通算在留期間のページ(2026年6月17日更新)も、通算には就労していない期間や、みなし再入国を含む再入国出国期間を含めると案内しています。
通算から除かれるのは、上陸拒否などのやむを得ない事情で再入国できなかった期間、産前産後休業と育児休業、病気・怪我による休業(原則1年以下、労災は3年以下で、連続1か月を超えるもの)です。いずれも通算5年の満了前(概ね3か月前)に、申立書と疎明資料をつけて申請する必要があります(通算在留期間のページ)。自分の意思で一時帰国した期間は、この除外には当たりません。一時帰国を長く取るほど、日本で働ける残りの期間は短くなります。
通算期間は、出入国記録の開示請求で自分で計算します。窓口や電話では算定してもらえません(通算在留期間のページ)。5年の数え方と除外の申請は特定技能1号の5年後はどうなる?通算5年の数え方(一時帰国・失業・産休育休)と在留を続ける方法にまとめています。
長すぎる出国は更新の審査で問われうる
通算期間とは別に、出国が長いこと自体が審査で問題になる可能性もあります。審査要領の総論は、中長期在留者が再入国許可(みなし再入国を含む)で出国した場合を扱っています。「その期間が長期間にわたり、かつ、正当な理由がないとき」は、在留資格に応じた活動を行っていたとは認めないとしています(第1節 1-28)。ただ、何日以上を長期間とするかという具体的な基準は、開示版では黒塗りで読めません。数週間の一時帰国で問題になることは考えにくいものの、数か月に及ぶ場合は、休暇の理由と期間を説明できる資料を残しておくべきです。
1か月以上活動できない事由が生じたときの受入れ困難の届出(事由が生じた日から14日以内)について、届出のページは生産縮小、休業、妊娠・出産・育児、私傷病などを例に挙げています。ただし、長期の一時帰国がこれに当たるかは書かれていません【要確認】。長く日本を離れる予定がある場合は、出国前に管轄の地方出入国在留管理局に確認しておくと安全です。
渡航費や空港送迎は会社が負担するのか
一時帰国の航空券代を受入れ機関が負担しなければならない、という基準は、根拠資料には見当たりません。審査要領が受入れ機関に費用の負担を求めているのは、雇用契約が終わった後の帰国です。帰国費用は原則として本人が負担します。ただし、本人が負担できないときは、帰国の原因を問わず受入れ機関が費用を負担し、航空券の予約・購入を含む必要な措置を講じる必要があるとされています(帰国担保措置、18の3-43〜45)。これは契約終了時の帰国の話で、戻ってくることが前提の一時帰国とは場面が違います。
空港送迎も同じ整理です。1号特定技能外国人支援計画の義務的支援には入国時と出国時の空港送迎がありますが、審査要領は「本支援には、一時帰国の際の出入国は対象とならない」と明記しています(18の3-134)。一時帰国の渡航費や送迎を会社が負担するかどうかは、雇用契約や社内規程で決める事柄です。負担する場合は、その内容を雇用条件書や規程に書いておくと、外国人の間で扱いに差が出ません。
旅券を預かって送り出すことはできない
一時帰国の前後で、受入れ機関が旅券や在留カードを預かる運用をしている例があります。審査要領は、受入れ機関の欠格事由となる不正行為の類型として、旅券・在留カードの取上げを挙げ、逃走防止を名目とするものも含むとしています(18の3-78〜85)。不正行為は雇用契約の締結日前5年以内とその後にあれば欠格事由になり、その間は特定技能外国人を受け入れられなくなります。
「戻ってこないと困るから」という理由で旅券を預かることは、一時帰国の場面でも正当化されません。定期面談で旅券や在留カードの取上げを知った支援責任者・支援担当者には、地方出入国在留管理局への通報が求められています(18の3-151)。欠格事由の全体は特定技能の受入れ機関の欠格事由|刑罰歴・不正行為5年・役員の確認を参照してください。
一時帰国のまま戻らないとき
一時帰国した人が、家族の事情などで日本に戻らず退職することもあります。この場合、受入れ機関は受入れ困難の届出を出します。届出のページは、退職するかどうかにかかわらず、受入れの継続が困難になった時点で届け出るよう案内しています。この届出は受入れ機関が自ら行い、登録支援機関が代わりに出すことはできません(特定技能所属機関・登録支援機関による届出)。戻るかどうか分からない状態が続くときも、連絡が取れなくなった時点で管轄の地方出入国在留管理局に相談しておくべきです。
退職して帰国する場合の費用については、先に触れた帰国担保措置の考え方が当てはまります。本人が帰国費用を負担できないときは、帰国の原因を問わず受入れ機関が負担し、航空券の予約・購入を含む措置を講じる必要があります(18の3-43〜44)。すでに本国にいる人の場合は問題になりにくいものの、日本に荷物や住居が残っていれば、住居の解約や口座の閉鎖の手続を本人とどう進めるかを決めておく必要があります。生活オリエンテーションでは、出国などで口座が不要になるときは閉鎖の手続を行うよう伝えることになっています(18の3-140)。
技能実習から移るとき、いったん帰国する必要はあるか
技能実習を修了した人が特定技能1号に移るとき、帰国は必須ではありません。国内にいるまま在留資格変更許可申請で移ることができ、その場合は入国時の空港送迎が客観的に明らかに不要として支援の対象から外れます(18の3-132〜133)。健康診断も、申請日の1年前から申請日までの定期健康診断の結果で足りる場合があります(18の3-6〜8)。
いったん帰国して在留資格認定証明書で入国し直す場合は、扱いがいくつか変わります。健康診断は申請日の3か月前から申請日までに受けたものが必要になり(18の3-6〜8)、入国時の送迎も義務的支援になります。住居については、実習中の社宅が生活の本拠として続いていて、そこに引き続き住むことを希望する場合に限り、寝室1人当たり4.5㎡以上で要件を満たすものとして扱われます(18の3-135)。帰国を挟むかどうかは本人の希望で決まりますが、受入れ機関の準備の量はこの選択で変わります。
よくある質問
Q. 特定技能の外国人は一時帰国できますか?
できます。受入れ機関には、本人が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得させることが雇用契約の基準として求められています。業務上やむを得ない事情があるときでも、代替日の提案などの措置が必要です。
Q. 年次有給休暇が残っていない場合、一時帰国の申出は断ってよいですか?
一律に断ることは勧められません。審査要領と運用要領は、年休を使い切った人から申出があった場合も、追加の有給休暇や無給休暇を取得できるよう配慮することが望まれるとしています。
Q. 一時帰国の期間は特定技能1号の通算5年に含まれますか?
含まれます。みなし再入国許可を含む再入国許可による出国期間は通算に計上されます。上陸拒否などで再入国できなかった期間は除かれますが、自分の意思で一時帰国した期間は除外の対象になりません。
Q. 一時帰国の航空券代や空港送迎は会社が負担しなければなりませんか?
根拠資料には、一時帰国の渡航費を会社に負担させる基準は見当たりません。空港送迎の義務的支援も、審査要領が一時帰国の際の出入国は対象外と明記しています。負担するかどうかは雇用契約や社内規程で決めます。
受入れ機関の方は、まず雇用条件書の「VI 休暇」欄に一時帰国の場合の有給休暇の定めがあるかを確認し、年休を使い切った人の申出をどう扱うかを就業規則で決めておいてください。外国人本人は、戻る日が出国から1年以内か、更新申請の時期と重なっていないかを、航空券を買う前に確認することが先です。
根拠資料
- 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第18節の3 特定技能 18の3-6〜8(健康診断)、18の3-18〜20(通算在留期間)、18の3-40〜41(一時帰国休暇の取得)、18の3-43〜45(帰国担保措置)、18の3-78〜85(不正行為)、18の3-87〜89(活動状況に関する帳簿)、18の3-132〜135(送迎・住居)、18の3-140・144(生活オリエンテーション)、18の3-151(定期面談での通報)
- 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第1節 1-28(長期間の出国)
- 出入国在留管理庁 特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和8年8月)(https://www.moj.go.jp/isa/content/001468647.pdf)
- 出入国在留管理庁 通算在留期間(特定技能1号)(https://www.moj.go.jp/isa/10_00233.html)
- 出入国在留管理庁 特定技能所属機関・登録支援機関による届出(https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri10_00002.html)
- 出入国在留管理庁 出入国審査・在留審査Q&A(Q23・Q61)(https://www.moj.go.jp/isa/immigration/faq/kanri_qa.html)
- 出入国在留管理庁 再入国許可申請(https://www.moj.go.jp/isa/immigration/procedures/16-5.html)