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特定技能の受入れ機関の欠格事由|刑罰歴・不正行為5年・役員の確認

特定技能外国人を雇う会社(特定技能所属機関)になれない者の類型は、特定技能基準省令第2条第1項第4号が定めています。中心になるのは、一定の刑罰を受けて5年を経過しない者、特定技能雇用契約の締結日前5年以内とその後に出入国・労働関係法令に関する不正または著しく不当な行為をした者、技能実習の実習認定を取り消されて5年を経過しない者、暴力団員等の4つです。法人の場合は、役員のうち1人でも該当すれば法人そのものが欠格になります。

入管は、申請書の欠格事由欄、登記事項証明書、役員の住民票の写しで確認し、暴力団排除の観点からは都道府県警察本部にも照会します。欄を安易に「無」とすると、後で事実が分かったときに虚偽文書の行使として別の欠格事由に当たりえます。2026年4月には、特定技能の欠格事由に当たると認定された機関は、受入れ停止期間中、技術・人文知識・国際業務の外国人も原則として新たに受け入れられないことが公表されました。

この記事でわかること

  • 欠格事由の全体像(刑罰歴・行為能力・実習認定取消し・不正行為・暴力団)
  • 罰金刑で欠格になる法律と、執行猶予・裁判中の扱い
  • 5年以内の不正行為の類型(旅券の取上げ・報酬の不払い・届出違反など)
  • 役員の確認方法と、住民票の写しに代わる誓約書
  • 欠格が技人国の受入れにも及ぶ点(2026年4月〜)

欠格事由とは

ここでいう欠格事由とは、特定技能雇用契約の相手方になれない者を、法令であらかじめ類型として定めたものを指します。個別の事情を総合して判断する「相当性」の審査とは違い、当てはまれば基準に適合しないという性質のものです。受入れ機関が満たすべき基準は、特定技能雇用契約の適正な履行を確保するための基準として特定技能基準省令第2条に並んでおり、欠格事由はその第1項第4号に置かれています。

号 欠格事由 審査要領
イ 拘禁刑以上の刑に処せられ、執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 18の3-72
ロ 労働関係の法律の規定により罰金刑に処せられ、5年を経過しない者 18の3-72〜18の3-73
ハ 暴力団対策法、刑法の傷害・暴行・脅迫等の罪、暴力行為等処罰法の罪により罰金刑に処せられ、5年を経過しない者 18の3-74
ニ 健康保険法・厚生年金保険法・雇用保険法等の規定により罰金刑に処せられ、5年を経過しない者 18の3-74
ホ・ヘ 精神の機能の障害により契約の適正な履行に必要な認知等ができない者、破産して復権を得ない者 18の3-76
ト・チ 技能実習の実習認定を取り消されて5年を経過しない者、取り消された法人の当時の役員 18の3-76〜18の3-77
リ 特定技能雇用契約の締結日前5年以内またはその後に、出入国・労働関係法令に関し不正または著しく不当な行為をした者 18の3-78〜18の3-85
ヌ・ワ 暴力団員等、暴力団員等が事業活動を支配する者 18の3-85〜18の3-87
ル・ヲ 法定代理人が欠格の未成年者、役員に欠格者がいる法人 18の3-76、18の3-85

刑罰歴による欠格:拘禁刑は罪名を問わない

イの拘禁刑以上の刑は、罪の種類を問いません。これに対し、罰金刑で欠格になるのは、ロ・ハ・ニに列挙された法律や罪によるものに限られます。ロには、労働基準法、職業安定法、入管法の不法就労助長等の規定、最低賃金法、労働者派遣法、育児・介護休業法、技能実習法など、労働と外国人雇用に関わる規定が並んでいます(18の3-72〜18の3-73)。ハは暴力団対策法と、刑法の傷害、現場助勢、暴行、凶器準備集合、脅迫、背任の罪、暴力行為等処罰法の罪です。ニは健康保険法、厚生年金保険法、労働者災害補償保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律、雇用保険法などの規定です(18の3-74)。

社会保険や労働保険の規定による罰金が入っている点は見落としやすいところです。保険料の問題が刑事処分に至れば、受入れそのものができなくなります。

執行猶予と、裁判中の扱い

審査要領ではこう書かれている

4号イに関し、刑の執行を猶予された者は、執行猶予期間が経過すれば4号イに該当しないことに留意する。(中略)特定技能雇用契約の相手方になろうとする者が検察庁から起訴され、裁判中のため刑が確定していない場合については、今後、刑が確定した場合に欠格事由に該当する可能性があるため、在留資格認定証明書交付申請については、刑が確定するまで欠格事由に係る判断を留保する。

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第18節の3 18の3-75

起訴されて裁判中の場合、在留資格認定証明書の交付申請は、刑が確定するまで欠格の判断が止まります。海外から新たに呼び寄せる計画は、その間進まないと考えるべきです。

行為能力・破産・実習認定の取消し

ホとヘは、特定技能所属機関となるのに必要な能力を類型的に欠くと認められる者を外すものです(18の3-76)。破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない個人事業主は、受入れ機関になれません。

トとチは、技能実習とのつながりを見る欠格事由です。技能実習法の規定で実習認定を取り消された者は、取消しの日から5年を経過するまで特定技能雇用契約の相手方になれません。取り消されたのが法人の場合は、取消しの原因となった事項が発生した当時の役員も同じ扱いです。ここでいう役員には、取締役や執行役のほか、相談役、顧問など名称を問わず、それらと同等以上の支配力を持つと認められる者が含まれます(18の3-76)。

実習実施者として処分の手続中にある会社については、段階ごとの扱いが定められています(18の3-77〜18の3-78)。弁明の機会付与通知書が出た段階で、実習認定の取消しを受ける予定であれば、在留資格認定証明書の交付申請の審査は当面保留されます。その他の申請は、特例期間内に取消しの見込みがある場合を除き、通常どおり審査されます。改善命令を受ける予定の場合や、改善命令中の場合は、そのことだけで欠格にはならず、通常どおり審査されます。

5年以内の「不正又は著しく不当な行為」

実務で最も問題になるのが、リの不正行為です。特定技能雇用契約の締結日前5年以内と締結日以後に、出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為をした者は、相手方になれません(18の3-78)。審査要領が想定している類型は次のとおりです(18の3-80〜18の3-84)。

類型 審査要領の説明の要点
暴行・脅迫・監禁 刑事罰を受けたかどうかを問わない
旅券・在留カードの取上げ 本人の意思に反して保管すること。逃走防止の名目でも該当する
手当・報酬の不払い 金額・期間・認識等で評価し、計算の誤りは含まない。食費・住居費の控除額が適正でなければ賃金不払いに当たる可能性がある
私生活の自由の不当な制限 携帯電話を没収して外部との連絡を遮断する行為など
その他の著しい人権侵害 人権擁護機関で人権侵犯が認められた場合、本人の意に反して預貯金通帳を取り上げた場合など
偽変造文書・虚偽文書の行使・提供 欠格事由の有無を「無」と書いた申請書を出し、後に該当行為が発覚した場合を含む
保証金・違約金 一定期間の勤務を条件に貸付金の返済を免除する契約、途中退職で残額を一括返済させる契約も該当する
届出の不履行・虚偽の届出 失踪を届け出ず、摘発されて初めて判明した場合、再三指導を受けても届出をしない場合など
報告徴収の妨害・改善命令違反 報告や帳簿の提出を拒む、虚偽の答弁をする、改善命令に従わない場合
不法就労者の雇用・労働関係法令違反 不法就労をさせる行為やそのあっせん、外国人の就労に関する労働関係法令違反
技能実習での不正行為 実習実施者として不正行為をして受入れ停止となった場合
他の機関での不正時の役員等 別の機関が不正行為をした当時、その経営者・役員・管理者として外国人の受入れ等に従事していた場合
支援での隠蔽 定期面談などで違反を隠す目的で本人の意思表示を妨げる、相談記録書・定期面談報告書を作らない場合

このうち、会社が意図せずに当てはまりやすいのが、文書の類型です。

審査要領ではこう書かれている

在留資格認定証明書交付申請において、欠格事由に該当する行為の有無に関して「無」と記載した申請書を提出したところ、じ後、当局の調査によって当該行為が行われていたことが発覚した場合などは該当することとなることから、各種の申請及び届出においては、事実関係の確認を十分に行う必要がある。

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第18節の3 18の3-81

欠格事由欄は、社内で事実を確かめないまま「無」と書いてよい欄ではありません。とくに役員が多い会社や、グループ内で技能実習を受け入れていた会社は、過去5年の処分歴を洗い出してから記入してください。事実を隠す目的で入管の調査を拒んだり妨げたりすれば、それ自体が不正行為に当たります(18の3-82)。

一方で、入管から改善命令を受けたことだけで、直ちに欠格事由に当たるわけではありません。改善措置が終わっていない機関には、改善期限までに報告するよう指導したうえで通常どおり審査するとされています(18の3-85)。

法人は役員1人で欠格になる

ヲは、法人の役員のうちにイからルまでのいずれかに当たる者がいれば、法人そのものを欠格とする規定です(18の3-76)。代表者だけでなく、取締役全員が確認の対象になります。

立証資料は、法人なら登記事項証明書と役員の住民票の写し、個人事業主なら本人の住民票の写しです(18の3-75)。ただし、特定技能外国人の受入れに関する業務執行に直接関与しない役員については、住民票の写しに代えて「特定技能所属機関の役員に関する誓約書」(参考様式第1-23号)を出すことでも差し支えないとされています。非常勤の役員が多い会社では、この誓約書で書類の負担を軽くできます。

暴力団排除の観点からは、個人事業主本人、法人ならその役員について、所在地を管轄する都道府県警察本部に照会が行われます(18の3-86)。実習認定の取消しに関わる役員の経歴に疑義がある場合は、外国人技能実習機構にも照会されます(18の3-78)。照会の具体的な手順の一部は、開示版で黒塗りになっています。

特定技能の欠格が技人国の受入れにも及ぶ

2026年4月15日に一部改正された入管庁の「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」には、新しい注記が入っています。受入れ機関(派遣先等を含む)が、特定技能の欠格事由のうち暴行・脅迫・監禁、旅券・在留カードの取上げ、報酬の不払い、私生活の不当な制限、その他の著しい人権侵害に当たると認定された場合が対象です。技能実習で不正行為の通知・計画認定の取消しを受けた場合も含みます。これらの場合は、「受入れ停止期間中は、原則として」技人国の外国人を新たに受け入れることは認められないというものです。

審査要領の技人国の節には、この扱いは書かれていません。内部基準より新しい公表資料の記載として、特定技能での重大な違反は、ホワイトカラーの外国人採用まで止めるものと理解しておくべきです。技人国の受入れの基本は技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国)とは?【2026年最新】要件・職種一覧・不許可事例を完全解説で整理しています。

支援の担い手にも欠格の確認がある

受入れ機関だけでなく、支援を担う人と機関にも確認があります。自社で支援する場合、支援責任者と支援担当者は欠格事由に当たらない者であることに加え、外国人に対する指揮命令権を持たない中立な立場であることが必要です(18の3-121〜18の3-123)。また、雇用契約の締結日前5年以内とその後に、支援計画に基づく支援を怠ったことがないことも求められます(18の3-118〜18の3-123)。

支援を全部委託している登録支援機関が技能実習の監理団体で、監理許可を取り消された場合は、委託先の変更を指導され、従わなければ不許可とされます(18の3-152〜18の3-157)。自社支援の要件は特定技能の自社支援の要件とは?受入れ実績・支援責任者の条件と2027年4月の改正で扱っています。

欠格を理由に不許可になったら

在留資格の変更や更新が不許可になっても、行政不服審査法による審査請求はできません(同法7条1項10号の適用除外。入管庁の手続ページにも「不服申立方法 なし」と明記)。争うなら取消訴訟ですが、欠格事由は5年などの期間が過ぎるまで続くため、実務上は、外国人本人が欠格に当たらない別の受入れ機関に移る道を早めに探すことになります。不許可後の考え方は在留資格の不許可に不服申立てはできない?行政不服審査法の適用除外と取消訴訟を参照してください。非自発的離職者や行方不明者の基準は、欠格事由とは別に置かれています(特定技能の非自発的離職者|1人でも出すと受入れが止まる理由と退職勧奨)。

よくある質問

Q. どのような罰金刑を受けると、特定技能の受入れ機関になれなくなりますか?

労働基準法・職業安定法・入管法・最低賃金法・技能実習法などの労働関係の規定、暴力団対策法や刑法の傷害・暴行・脅迫等の罪、健康保険法・厚生年金保険法・雇用保険法などの規定による罰金刑で、執行を終わるなどしてから5年を経過しない場合です。拘禁刑以上の刑は罪名を問わず欠格事由になります。

Q. 役員が執行猶予付きの判決を受けています。欠格になりますか?

審査要領は、刑の執行を猶予された者は、執行猶予期間が経過すれば拘禁刑による欠格事由に該当しないとしています。法人の場合は役員1人でも該当すれば法人が欠格になるため、猶予期間の満了日を確認してください。

Q. 役員全員の住民票の写しが必要ですか?

原則として必要ですが、特定技能外国人の受入れに関する業務執行に直接関与しない役員については、住民票の写しに代えて「特定技能所属機関の役員に関する誓約書」(参考様式第1-23号)を出すことでも差し支えないとされています。

Q. 改善命令を受けたら、欠格になりますか?

入管の改善命令も、技能実習法の改善命令も、受けたことだけで直ちに欠格事由に当たるわけではありません。入管の改善命令で改善措置が終わっていなければ、期限までに改善報告をするよう指導されたうえで通常どおり審査されます。ただし、改善命令に従わない場合は不正行為の類型に当たります。

Q. 特定技能で欠格と認定されると、技人国の外国人も雇えなくなりますか?

入管庁の公表資料(2026年4月15日一部改正)は、暴行・旅券の取上げ・報酬の不払いなどの欠格事由に当たると認定された機関について、受入れ停止期間中は原則として技人国の外国人を新たに受け入れることを認めないとしています。

申請書を出す前にやること

まず、代表者と役員全員について、過去5年の刑事処分、技能実習での処分、他の会社で役員をしていた時期の処分歴を確認してください。次に、過去5年に旅券の保管、給与からの控除、貸付金の返済条件、失踪時の届出など、不正行為の類型に触れる運用がなかったかを社内で点検します。そのうえで欠格事由欄を記入し、業務に関与しない役員には誓約書を用意します。判断に迷う事実が見つかったら、記入する前に相談してください。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第18節の3 特定技能 18の3-72〜18の3-87(欠格事由)、18の3-118〜18の3-123(支援の帳簿・支援を怠ったこと・支援責任者の中立性)、18の3-152〜18の3-157(登録支援機関への委託)
  • 出入国在留管理庁 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan69.html)
  • 出入国在留管理庁 在留資格変更許可申請(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-2.html)
  • 出入国在留管理庁 在留期間更新許可申請(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html)