特定技能の随時届出とは、特定技能所属機関(受入れ企業)が、雇用契約や支援の状況に変化があったときに、その事由が生じた日から14日以内に出入国在留管理庁へ出す届出です。根拠は入管法19条の18第1項で、届出の種類は6つあります。年1回の定期届出とは別の義務で、届け出ない、または虚偽の届出をすると30万円以下の罰金か10万円以下の過料の対象になり、一定期間、新たな受入れができなくなることもあります。本記事では、2026年8月20日改正の「特定技能外国人受入れに関する運用要領」と、出入国在留管理庁の随時届出Q&A(2025年6月)をもとに、どの場面でどの届出が必要かを早見表で整理します。
特定技能の随時届出は6種類
ここでいう随時届出とは、入管法19条の18第1項が特定技能所属機関に課している届出のうち、事由が生じるたびに行うもの(決まった提出時期がないもの)を指します。出入国在留管理庁は次の6種類に整理しています。
| 番号 | 届出の種類 | 様式 | 届け出る場面 |
|---|---|---|---|
| (1) | 特定技能雇用契約に係る届出 | 第3-1-1号(変更)、第3-1-2号(終了・締結) | 雇用契約を変更した、終了した、同じ会社で新たに締結した |
| (2) | 支援計画変更に係る届出 | 第3-2号 | 支援責任者・担当者、委託先の登録支援機関、支援内容が変わった |
| (3) | 支援委託契約に係る届出 | 第3-3-1号(変更)、第3-3-2号(終了・締結) | 登録支援機関との委託契約を締結・変更・終了した |
| (4) | 受入れ困難に係る届出 | 第3-4号 | 受入れの継続が難しくなった(会社都合の解雇予告、1か月以上の休業、行方不明、死亡など) |
| (5) | 基準不適合に係る届出 | 第3-5号 | 税・社会保険料の滞納、非自発的離職の発生など、受入れ機関の基準を満たさなくなった |
| (6) | 支援計画の実施困難に係る届出 | 第3-7号 | 自社支援で、計画どおりの支援ができなかった、行政機関に相談した |
(1)から(3)は法律の条文(19条の18第1項1号から3号)に直接書かれた届出で、(4)から(6)は同項4号を受けて施行規則19条の17第6項が定めたものです。提出期限はいずれも「事由が生じた日から14日以内」で、(5)と(6)は「知った日(認知の日)から14日以内」と読みます。
定期届出との違い
定期届出は、毎年4月1日から翌年3月31日までの受入れ・活動・支援の状況を、翌年5月31日までにまとめて届け出るものです(入管法19条の18第2項)。2025年4月の制度変更で、それまでの四半期ごとから年1回に変わりました。定期届出は状況報告、随時届出は変化の報告という役割分担です。
定期届出では、1年間に受け入れた特定技能外国人の在籍状況や労働条件をまとめて報告します。その間に退職や契約変更があったのに随時届出を出していなければ、定期届出の内容との食い違いから出し忘れが分かることになります。定期届出の書き方は【2026年】特定技能の定期届出とは?で解説しています。
場面別の早見表|この事由ならどの届出か
実務で迷うのは、1つの出来事で複数の届出が必要になる場面です。代表的なものを、運用要領と随時届出Q&Aの記載に沿って並べると次のとおりです。
| 出来事 | 必要な随時届出 | 補足 |
|---|---|---|
| 本人の自己都合退職 | (1)契約終了 | 受入れ困難の届出は不要(Q&A A5-1) |
| 会社都合の解雇・雇止め | (4)受入れ困難→(1)契約終了 | 解雇予告をした時点で(4)、退職日から14日以内に(1) |
| 行方不明 | (4)受入れ困難→(1)契約終了 | (4)に「行方不明が判明した際の状況説明書」(第5-15号)を添付 |
| 産休・育休・病気などで1か月以上休む | (4)受入れ困難 | 「1か月以上の活動未実施期間が生じた際の状況説明書」(第5-14号)を添付 |
| 許可から1か月経っても就労を開始していない | (4)受入れ困難 | 雇用開始の遅れ自体は(1)の変更届出不要(Q&A A2-12) |
| 基本賃金の減額、手当の廃止 | (1)契約変更 | 昇給による増額は不要(Q&A A2-24) |
| 別の事業所への転勤 | (1)契約変更 | 連絡先だけの変更は不要。雇用条件書で部署まで指定していれば部署異動も届出 |
| 一時帰国のため契約をいったん終了し、戻ってから再契約 | (1)契約終了、(1)新たな契約締結 | 本人都合でなければ(4)も必要 |
| 登録支援機関を変更 | (3)委託契約の終了・締結、(2)支援計画変更 | 第3-3-2号の「契約の終了」と「契約の締結」の両欄を記入 |
| 自社支援から登録支援機関への全部委託に切替え | (3)委託契約の締結、(2)支援計画変更 | |
| 支援責任者が退任した | (2)支援計画変更 | 支援担当者の人数が減った場合も届出 |
| 社会保険料・税の滞納が発生 | (5)基準不適合 | 態様や程度を問わず届け出る |
| 同じ業務の日本人社員を会社都合で離職させた | (5)基準不適合 | 非自発的離職は受入れ停止につながる |
| 「特定技能」以外の在留資格に変更(引き続き雇用) | (1)契約終了 | 自己都合でない場合は(4)も |
会社都合で契約を終える場合は、契約が終わる前に受入れ困難の届出を出す、という順番が決まっています。随時届出Q&AのA2-37は、解雇の予告など契約終了が見込まれる事由が発生した時点で受入れ困難の届出を出し、その後、実際の終了日から14日以内に契約終了の届出を出すよう求めています。退職日まで待ってから両方をまとめて出すと、受入れ困難の届出は期限を過ぎていることになります。
非自発的離職が受入れ全体に与える影響は特定技能の非自発的離職者|1人でも出すと受入れが止まる理由と退職勧奨、行方不明の場合の考え方は特定技能外国人が行方不明になったらで扱っています。
雇用契約の変更届出が必要な場合・不要な場合
(1)のうち契約変更の届出は、雇用条件書(参考様式第1-6号)のⅠからⅨの欄ごとに、運用要領の別表で要否が示されています。軽微な変更は届出不要とされ(入管法19条の18第1項1号括弧書)、全体としては本人に不利になる変更が届出の対象です。
届出が必要な主な変更は次のとおりです。
- 雇用契約期間を当初より短くする、契約更新の有無を「自動的に更新する」以外に変える
- 就業場所(事業所)を変える、派遣先を追加・変更する、直接雇用と派遣雇用を切り替える
- 同じ分野の中で業務区分を変える
- 1年単位の変形労働時間制を採用・廃止する、所定労働時間数や所定労働日数を変える(年間所定労働日数を減らす場合を除く)、フルタイムでなくなる
- 年間休日日数や休暇日数を減らす
- 基本賃金の減額、支給方法の変更(日給制から月給制への変更で支給額が増える場合も含む)、手当の廃止・減額、割増賃金率の引下げ、固定残業代の導入・廃止
- 口座振込から通貨払への変更、賃金控除の「無」「有」の切替え、控除項目の追加
- 昇給・賞与・退職金を「有」から「無」にする、賞与・退職金の減額
- 退職に関する事項の変更
- 健康保険・厚生年金保険の適用事業所になった・ならなくなった
届出が不要な主なものは、昇給による基本賃金の増額、休暇日数や休業手当の支給率の引上げ、始業・終業時刻だけの変更(所定労働時間が変わらない場合)、うるう年による年間休日日数の増減、会社の名称・住所の変更です。会社の名称や住所が変わったときは、会社側の随時届出は不要ですが、本人が所属機関に関する届出(入管法19条の16)を出す必要があります。
見落としやすいのが、在留期間更新のタイミングで労働条件を改定した場合です。随時届出Q&AのA2-6は、更新申請に改定後の雇用条件書を添付していても、会社の届出義務を果たしたことにはならないとしています。更新申請は本人の申請で、随時届出は会社の義務だからです。変更の効力が生じた日(Q&A A2-7によれば、合意した日ではなく新しい条件が適用される日)から14日以内に、別途届け出ます。
雇用条件書そのものの書き方は特定技能の雇用契約書・雇用条件書の書き方|参考様式の記入例と注意点で解説しています。
提出方法と提出先|電子届出が原則になりつつある
随時届出の提出方法は、次の3つです。
- 出入国在留管理庁電子届出システムでオンライン提出する
- 地方出入国在留管理局の窓口に持参する
- 郵送する
提出先は、特定技能所属機関の住所(法人は登記上の本店所在地)を管轄する地方出入国在留管理局です。九州7県(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島)に本店がある会社は、福岡出入国在留管理局の就労・永住審査部門が担当です。随時届出Q&A(2025年6月)は、持参の場合は福岡市中央区舞鶴3-5-25の福岡第1法務総合庁舎、郵送の場合は〒814-0005 福岡市早良区祖原14-15を提出先として示しています。郵送するときは封筒に「特定技能届出書在中」などと書き、届出書を作成した役職員の身分証明書の写しを同封します。沖縄県は那覇支局の管轄です。
ここで重要なのは、2026年8月20日改正の運用要領が、持参や郵送で届出を行うと「在留諸申請及び届出における提出書類の省略を認める機関ではなくなる」と明記した点です。提出書類の省略とは、一定の基準を満たす機関が、在留資格の申請のたびに登記事項証明書や納税証明書などの適格性書類を出さなくてよい扱いを指します。この扱いを受けるには、在留諸申請をオンライン申請で、各種届出を電子届出で行っていることが条件の1つになっています。運用要領は、電子届出の利用者登録に一定の期間がかかるため、提出期限の3か月前には登録を申請するよう求めています。
電子届出システムの利用者登録は、在留申請オンラインシステムとは?企業の利用申出から申請までの流れで扱うオンライン申請の利用申出とは別の手続です。両方を早めに済ませておくことをお勧めします。
14日を過ぎたら|遅延理由書を付けて速やかに出す
随時届出Q&AのA1-3によれば、郵送の場合、14日以内の消印では足りず、14日以内に地方出入国在留管理局に到達している必要があります。
期限を過ぎてしまった場合も、届出は受け付けられます。A1-4は、速やかに提出し、届出が遅れた理由を説明する文書を必ず添付するよう求めています。期限を過ぎたからといって出さずにおくと、届出義務違反の状態が続くだけです。
届出を怠った場合の不利益は3つの層に分かれます。
| 対象 | 不利益 | 根拠 |
|---|---|---|
| (1)雇用契約に係る届出の不届・虚偽 | 30万円以下の罰金(法人にも両罰規定) | 入管法71条の4第1号、76条の2 |
| (2)から(6)の届出の不届・虚偽 | 10万円以下の過料 | 入管法77条の2第1号 |
| いずれの届出も | 一定期間、特定技能雇用契約の締結ができなくなる場合がある | 特定技能基準省令2条1項4号(随時届出Q&A A1-6) |
罰金や過料より実務上重いのは、3つ目の受入れ停止です。出入国在留管理庁は、届出が適正に履行されていない場合、特定技能外国人を受け入れることができなくなると届出のページで明記しています。
誰が作成し、誰が提出するか
随時届出の義務者は特定技能所属機関です。出入国在留管理庁の届出のページは、登録支援機関と支援委託契約を結んでいても、登録支援機関が届出を行うことはできないとしています。
届出書の作成を外部に委任できるのは、行政書士または弁護士に限られます(随時届出Q&A A1-7)。委任した場合は、委任関係を示す委任状を添付し、届出書の作成者署名欄には行政書士・弁護士が署名します。2026年1月1日施行の改正行政書士法で、報酬を得て官公署に提出する書類を作成できる者の範囲が条文上明確化されたこともあり、登録支援機関に届出書の作成まで任せている会社は、体制を見直す時期に来ています。
作成された届出書を窓口に持参する人や郵送する人については、特段の規定はありません(A1-10)。役職員以外が持参する場合は、提出者の氏名・連絡先と会社との関係を示す資料(任意書式の委任状など)を添えます。
本人とハローワークへの届出も並行して動く
随時届出は会社から入管への届出ですが、同じ出来事で別の届出も発生します。退職を例にとると、次の3つが並行します。
- 会社→入管:特定技能雇用契約の終了に係る届出(14日以内)
- 本人→入管:所属機関に関する届出(契約の終了、14日以内。入管法19条の16)
- 会社→ハローワーク:外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者であれば資格喪失届で兼ねる)
運用要領は、受入れ困難の届出に添付する経緯説明書(参考様式第5-11号)で、本人に対して「雇用契約終了について本人も14日以内に届け出る必要があること」を情報提供したかどうかを記載するよう求めています。会社の届出と本人の届出は別物で、本人の届出を会社が代わりに出したことにはなりません。本人側の届出は所属機関に関する届出とは?転職・退職時に本人が14日以内に出す届出、ハローワークへの届出は外国人雇用状況の届出とは?で解説しています。
よくある質問
特定技能の随時届出の提出先はどこですか?
会社の住所(法人は登記上の本店所在地)を管轄する地方出入国在留管理局です。事業所が福岡にあっても本店が東京にあれば、東京出入国在留管理局が提出先になります。九州7県に本店がある会社は福岡出入国在留管理局です。電子届出システムを使えば、管轄を意識せずにオンラインで提出できます。
特定技能外国人が退職したとき、会社はどの届出を出しますか?
本人の自己都合退職であれば、特定技能雇用契約の終了に係る届出(参考様式第3-1-2号)を退職日から14日以内に出します。会社都合の解雇や雇止めの場合は、解雇予告などの時点で受入れ困難に係る届出(第3-4号)を先に出し、退職後に契約終了の届出を出します。登録支援機関に支援を全部委託していた場合は、第3-1-2号の該当欄に記載すれば、支援委託契約の終了の届出は別に出さなくて済みます。
一時帰国のときに随時届出は必要ですか?
雇用契約を継続したまま年次有給休暇などで一時帰国する場合は、随時届出は不要です。一時帰国を理由にいったん雇用契約を終了する場合は、再雇用の予定があっても契約終了の届出が必要で、戻ってから再契約したときは新たな契約締結の届出も必要になります。本人が再入国許可を受けずに出国した場合や、許可の期限内に戻らなかった場合も、契約終了として届け出ます。
随時届出を14日以内に出せなかった場合はどうなりますか?
期限後でも提出できます。遅延の理由を説明する文書を添付して、速やかに出してください。雇用契約に係る届出を怠ると30万円以下の罰金、それ以外の随時届出は10万円以下の過料の対象です。一定期間、新たな特定技能雇用契約を結べなくなる可能性もあります。
随時届出は登録支援機関に任せられますか?
届出の義務者は特定技能所属機関で、登録支援機関が届出者になることはできません。届出書の作成を報酬を得て委任できるのは、行政書士と弁護士です。登録支援機関には、支援の実施状況など届出に必要な情報の提供を依頼する、という役割分担になります。
「届け出るかどうか」より「いつの時点で届け出るか」を社内で決めておく
随時届出で問題が起きるのは、届出の種類を知らなかったからというより、届出の起点になる日を社内の誰も把握していなかったからというケースが多いと筆者は考えています。解雇予告をした日、休業が1か月を超えた日、本人と連絡が取れなくなった日、社会保険料の納期限を過ぎた日は、いずれも人事・経理・現場の別々の担当者が最初に知る情報です。
判断軸としては、次の2つを社内規程や業務フローに書き込んでおくと、14日の期限を守りやすくなります。1つは、特定技能外国人の労働条件・在籍・勤怠に関わる変化を、発生した日のうちに届出担当者へ伝える経路を決めておくこと。もう1つは、電子届出の利用者登録を済ませ、提出書類の省略を受けられる状態を保っておくことです。後者は届出の手間だけでなく、次の在留諸申請の負担にも効いてきます。個別の事情で必要な届出の組合せが変わる場面もあるため、判断に迷うときは、期限内に専門家へ確認してください。
根拠資料
- 特定技能所属機関・登録支援機関による届出(出入国在留管理庁)
- 特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)(出入国在留管理庁・2025年6月)
- 特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和8年8月・出入国在留管理庁)
- 特定技能関係の申請・届出様式一覧(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法 第19条の18・第71条の4・第77条の2(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 第19条の17(e-Gov法令検索)
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