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日本人の配偶者の帰化条件|居住3年・婚姻3年で認められる簡易帰化

日本人と結婚している外国人の帰化は、国籍法7条のいわゆる簡易帰化の対象になり、「日本に引き続き3年以上住んでいる」か「婚姻から3年が経ち、日本に引き続き1年以上住んでいる」かのどちらかを満たせば、一般の帰化で求められる「引き続き5年以上の住所」と「18歳以上」の条件を満たさなくても申請できます。緩和されるのはこの2つだけで、素行・生計・重国籍防止・憲法遵守の条件と日本語能力は、一般の申請者と同じ基準で見られます。2026年4月1日から法務省が始めた「原則10年以上の在留」の運用が配偶者にも及ぶのかは公表資料に書かれておらず、この記事ではその点も含めて、条文・法務局の案内・法務大臣会見から確認できる範囲を整理します。

日本人の配偶者の帰化条件は国籍法7条の「居住3年」か「婚姻3年・居住1年」

まず条文を確認します。国籍法7条は次のように定めています。

日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。

前段と後段で、2つのルートが用意されていることがわかります。

ルート 条文 日本での居住 婚姻期間 典型的なケース
居住3年ルート 7条前段 引き続き3年以上の住所または居所+現に住所 年数の定めなし 留学・就労で来日し、日本で日本人と結婚した人
婚姻3年ルート 7条後段 引き続き1年以上の住所 婚姻の日から3年経過 海外で結婚して暮らし、その後日本に移った人

どちらのルートでも、緩和されるのは5条1項1号(引き続き5年以上日本に住所を有すること)と2号(18歳以上で本国法によって行為能力を有すること)です。10代で日本人と結婚した人でも、年齢の条件で門前払いにはなりません。

居住3年ルートでは「結婚してから3年」は求められていない

前段の条文は、配偶者であることと、3年以上の居住を求めているだけです。婚姻期間の長さは書かれていません。そのため、留学生として3年以上日本に住み、その後に日本人と結婚した人は、結婚した直後でも居住の年数としては条件を満たします。

この点は誤解が多いところです。「日本人と結婚して3年経たないと帰化できない」という説明を見かけますが、条文上それが必要なのは後段の婚姻3年ルートだけです。もちろん、婚姻から日が浅い場合は、審査で婚姻の実態を慎重に確かめられることになります。年数の条件を満たすことと、許可が見込めることは別の問題です。

「住所」と「居所」の違い

前段は「住所又は居所」、後段は「住所」と書き分けています。ここでいう住所とは生活の本拠のこと、居所とは生活の本拠とまでは言えないものの、ある程度継続して住んでいる場所のことを指します。東京法務局は一般の帰化の住所条件について、正当な在留資格を持って住んでいることが必要だと説明しており、配偶者の場合も在留資格のある適法な居住が前提になります。

実務で問題になるのは、「引き続き」が途切れていないかです。長期の出国があると、居住の継続が切れたと扱われることがあります。何日以上の出国で途切れるかは国籍法に書かれておらず、法務局の審査で個別に判断されます。海外出張や里帰りが多い人は、出入国の記録を先に整理しておくと相談がスムーズです。

緩和されない条件|素行・生計・重国籍・憲法遵守と日本語

国籍法7条が外しているのは住所と年齢の条件だけです。残りの条件は5条1項のとおり求められます。

  1. 素行が善良であること(3号)
  2. 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること(4号)
  3. 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと(5号)
  4. 日本国憲法やその下に成立した政府を暴力で破壊することを企てたことがないこと(6号)

このほか、東京法務局の「帰化について」(2026年4月1日更新)は、日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話及び読み書き)を持っていることを、日本社会への融和の一部として求めています。国籍法に日本語の条文はありませんが、審査では面接や書類の記載を通じて確認されます。

素行条件で見られること

素行条件は、前科の有無だけで判断されるものではありません。東京法務局は、犯罪歴の有無や態様、納税状況、社会への迷惑の有無などを総合的に考慮すると説明しています。

配偶者の申請で見落とされやすいのが、日本人配偶者側の状況です。配偶者が自営業で所得税や住民税を滞納している、国民年金を払っていない、といった事情は、生計を一にする世帯の問題として審査に響くことがあります。東京法務局の添付書類の案内では、配偶者が収入や資産を持っている場合、配偶者についても同様の書類を求めています。

交通違反も確認されます。東京法務局は運転記録証明書(5年間)の提出を求めており、軽い違反でも回数が多いと説明を求められます。

生計条件は世帯単位|配偶者に収入があれば本人は無収入でもよい

生計条件は、条文が「生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能」と書いているとおり、世帯で判断されます。東京法務局も、申請者本人に収入がなくても、配偶者や親族の資産・技能で安定した生活を送れるなら条件を満たすと説明しています。

ここで押さえておきたいのは、生計条件は国籍法7条では緩和されないという点です。生計条件まで緩和されるのは8条(日本国民の子、日本国民の養子で縁組時に本国法で未成年だった人など)に限られます。専業主婦・専業主夫として暮らしている配偶者でも申請できるのは、7条の緩和ではなく、生計条件がもともと世帯で判断される仕組みだからです。

年収について「いくら以上」という数字は、国籍法にも法務局の公表資料にもありません。世帯の人数、住居費、借入れの状況などから、将来にわたって安定した生活が見込めるかを見られます。

重国籍防止条件|本国の国籍を失う手続き

帰化すると、原則として元の国籍を失う必要があります。国によっては、外国籍の取得で自動的に国籍を失う国もあれば、離脱の手続きが必要な国、容易に離脱を認めない国もあります。国籍法5条2項は、本人の意思で国籍を失えない場合で、日本国民との親族関係や境遇に特別な事情があるときは、この条件を満たさなくても許可できると定めています。日本人の配偶者は「日本国民との親族関係」に当たり得る立場ですが、適用されるかは個別の判断です。

2026年4月からの「原則10年」の運用は配偶者に及ぶか(公式資料では未確認)

2026年3月27日の法務大臣閣議後記者会見で、法務大臣は4月1日から帰化の審査の運用を見直すと述べました。会見の概要によると、中身は2つです。

  • 日本社会への融和の要件について、原則として10年以上在留し、日本社会に融和していることを必要とする
  • 素行条件と生計条件について、税金や社会保険料の納付状況を確認する期間を延ばす

大臣はこれを、国籍法の改正によらない「法務大臣の裁量の範囲内」の運用と説明しています。

10年の運用:公表資料に配偶者の扱いは書かれていない

問題は、国籍法6条から8条の簡易帰化の対象者にも「原則10年」が及ぶかです。会見の概要には、簡易帰化の対象者の扱いについての発言がありません。東京法務局の「帰化について」の記載も、国籍法5条の6つの条件を並べたあとに「なお」として簡易帰化による緩和に触れ、その後に「また」として日本語能力と「10年以上在留していることなど」の融和の要件を書く構成になっています。この書き方からは、融和の要件が簡易帰化の対象者にも同じ年数で適用されるのか、読み取れません。

国籍法7条は、配偶者について3年・1年という具体的な年数を法律で定めています。運用で一律に10年を求めると、法律があえて短い年数を置いた意味がなくなるため、配偶者には従来どおりの年数で申請を受け付けていると考えるのが自然だと筆者は考えます。ただし、法務省・法務局がこの点を公式に説明した資料は、2026年9月29日時点で確認できていません(公式資料では未確認)。

福岡法務局の「帰化について」のページは2024年7月24日更新のままで、住所条件は「引き続き5年以上」の記載にとどまっています(2026年9月29日時点)。九州で申請する人は、初回相談の際に、配偶者の年数の扱いを担当官に直接確認するのが確実です。

確認期間の延長:配偶者にも及ぶと考えて準備する

もう一方の、税金・社会保険料の確認期間の延長は、配偶者にも及ぶと考えるべきです。東京法務局の添付書類の案内(2026年9月4日更新)は、申請者の類型を分けずに次の期間を示しています。

  • 住民税の課税証明書・納税証明書:直近5年分(令和8年9月〜令和9年5月の申請なら、課税証明書は令和4〜8年度、納税証明書は令和3〜7年度)
  • 公的年金・国民健康保険などの保険料の納付証明書:直近2年分
  • 運転記録証明書:5年間

以前は住民税の証明が1年分で済んでいたため、日本に来て数年の配偶者は、居住年数が短いぶん確認される年数も短く済みました。今は、日本に住んでいる期間が5年に満たない場合でも、在住期間の全部について納付状況が見られることになります。来日してからの住民税に未納や遅れがないかを、申請前に市区町村の窓口で確認しておくことをお勧めします。

2026年4月の見直し全体については帰化の厳格化|2026年4月から何が変わった?居住10年・納税5年確認と申請中の扱いで詳しく取り上げています。

申請の流れと必要書類|配偶者ならではの書類

帰化の申請先は、住所地を管轄する法務局・地方法務局です。福岡県内なら福岡法務局の本局・支局が窓口になります。流れは一般の帰化と変わりません。

  1. 法務局に電話で相談を予約する(福岡法務局は、必要書類を事前に準備したうえで予約して来庁するよう案内しています)
  2. 本国・日本の役所から書類を集め、相談で確認を受けながら申請書類を作成する
  3. 本人が法務局に出頭して申請する(15歳以上は本人出頭)
  4. 書類審査のあと、面接を受ける
  5. 法務大臣の許可が官報に告示され、告示の日に日本国籍を取得する

申請手数料はかかりません。法務省は標準処理期間を「ありません」としており、相談から許可まで1年以上かかることも珍しくありません。

配偶者の申請で一般の申請と違ってくるのは、身分関係の書類です。東京法務局の案内では、配偶者が日本国民の場合、配偶者の戸籍(除籍)謄本(全部事項証明書)の提出を求めています。本人の婚姻証明書、以前の婚姻がある場合は離婚証明書も必要です。配偶者に収入があれば、配偶者の在勤証明書や給与明細、源泉徴収票など、収入を示す書類も揃えることになります。

面接では、本人だけでなく配偶者から話を聞くこともあります。水戸地方法務局は、書類だけでは確認できなかった事項を聴取するもので、対象は本人と配偶者だと説明しています。交際の経緯や家庭での生活について、夫婦の説明が食い違わないようにしておく必要があります。

帰化の審査中も、在留資格の期限は進みます。日本人の配偶者等の在留資格の更新は、帰化の手続きとは別に行わなければなりません。更新の時期は在留資格の変更・更新はいつまでに申請する?で確認できます。

永住者の配偶者・日本人と離婚した人はどうなるか

国籍法7条の対象は「日本国民の配偶者たる外国人」です。配偶者が永住者や特別永住者の場合は7条に当たらず、原則として一般の帰化の条件(5条)で判断されます。夫婦そろって帰化を申請し、一方が先に許可されても、その時点で他方が当然に7条の対象になるわけではありません。

配偶者であることは、申請時点だけでなく許可の時点まで続いていることが前提になります。審査中に離婚した場合や、日本人配偶者が亡くなった場合は、7条の緩和が使えなくなる可能性があり、その時点で法務局に申し出る必要があります。一般の条件(5年の居住など)を満たしていれば、そちらの条件で審査が続くこともあります。

帰化か永住か|日本人の配偶者が選ぶときの判断軸

日本人の配偶者には、永住許可という選択肢もあります。永住許可に関するガイドライン(2026年2月24日改訂)は、日本人の配偶者について、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上日本に在留していれば、原則10年の在留要件を満たさなくてよいとしています。年数の条件は帰化の婚姻3年ルートとよく似ています。

ただし、永住についても、2026年8月に配偶者の特例を見直すガイドライン改定案がパブリックコメントに付されました(婚姻5年・在留3年とする案)。改定の内容と時期は確定しておらず(公式資料では未確認)、詳しくは日本人の配偶者の永住権|実体婚3年・在留1年の特例と在留期間3年の壁で扱っています。帰化の側でも運用が動いているため、どちらを選ぶかは、年数だけでなく次の点で考えることをお勧めします。

  • 国籍:帰化すると日本国籍になり、元の国籍は原則として失う。永住は外国籍のまま
  • 在留手続き:帰化すれば在留カードの更新は不要。永住者は在留カードの更新(有効期間の到来ごと)が続く
  • 取消しのリスク:永住許可は2027年4月1日から、公租公課の故意の不払いなどで取り消せる事由が加わる。帰化による国籍は、この種の取消しの対象にはならない
  • 選挙権・公務員:選挙権は日本国籍が前提
  • 家族への影響:子どもの国籍、本国での相続や不動産の扱いが変わる国がある

永住許可の最新の動きは【2026年10月改定】永住許可の要件厳格化で何が変わる?で解説しています。

よくある質問

日本人配偶者が帰化するには年収はいくら必要ですか?

法律や法務局の公表資料に、年収の基準額はありません。生計条件は世帯単位で判断されるため、本人に収入がなくても、日本人配偶者の収入で安定した生活ができていれば条件を満たし得ます。見られるのは金額の多さより、収入が継続して見込めるか、税金・社会保険料をきちんと納めているか、無理な借入れがないかです。

日本人配偶者ビザ(日本人の配偶者等)から帰化するにはどうすればいいですか?

在留資格が「日本人の配偶者等」であることは帰化の条件ではありませんが、日本人と婚姻していれば国籍法7条の対象になります。まず、居住3年ルートか婚姻3年ルートのどちらかで年数を満たしているかを確認し、住所地を管轄する法務局に初回相談を予約します。相談で案内された書類を集め、本人が出頭して申請します。申請中も在留資格の更新は必要です。

日本人と結婚して3年経っていなくても帰化できますか?

日本での居住が引き続き3年以上あれば、国籍法7条前段により、婚姻期間の長さにかかわらず申請できます。留学や就労で3年以上日本に住んだあとに結婚した人が典型です。ただし、婚姻から日が浅いと、婚姻の実態について面接などで詳しく確認されることがあります。

永住者の配偶者は簡易帰化できますか?

国籍法7条の対象は日本国民の配偶者に限られるため、配偶者が永住者の場合は7条の緩和は使えません。原則として国籍法5条の一般の条件で判断され、2026年4月以降は原則10年以上の在留も求められます。日本生まれなど、6条の別の緩和に当たる場合は別です。

帰化した配偶者の戸籍はどうなりますか?

帰化が許可されると、告示の日から1か月以内に市区町村へ帰化届を出し、戸籍が作られます。日本人配偶者の氏を名乗る場合は配偶者の戸籍に入り、新しい氏を定める場合は夫婦で新しい戸籍を作るのが基本です。氏の選び方で戸籍の扱いが変わるため、帰化届の前に市区町村の戸籍窓口で確認しておくと安心です。

日本人の配偶者が帰化を考えたら、まず確かめる3つのこと

配偶者の帰化は、条文上の年数が短いぶん、「すぐに申請できる」と考えられがちです。実際には、年数以外の条件は一般の申請と同じ重さで見られ、2026年4月以降は納付状況を確認する期間も延びました。申請の準備に入る前に、次の3点を確かめておくと、初回相談で具体的な助言を受けやすくなります。

1つ目は、居住3年ルートと婚姻3年ルートのどちらで年数を満たすのか、長期の出国で継続が途切れていないか。2つ目は、本人と配偶者の住民税が直近5年分、年金・健康保険料が直近2年分、期限内に納められているか。3つ目は、帰化と永住のどちらが家族の将来に合っているか。

とくに2つ目は、日本人配偶者の側の納付状況も見られる点が見落とされやすいところです。筆者は、配偶者の帰化で準備に時間がかかるのは、年数の計算より、夫婦2人分の納付記録と身分関係の書類を揃える作業だと考えています。「原則10年」の運用が配偶者に及ぶかは法務局で確認し、及ばないとしても、納付の確認期間は延びている前提で準備を進めてください。許可されるかどうかは、個別の事情によって判断が変わります。

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根拠資料


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