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日系三世とは?定住者ビザの対象範囲と日系二世・四世との違いを家系図で確認

日系三世とは、日本から海外へ移住した日本人(日系一世)の孫にあたる人を指します。日本の入管制度では、日系三世は法務省の定住者告示(平成2年法務省告示第132号)の3号または4号に当たる人として、在留資格「定住者」で日本に住み、職種の制限なく働くことができます。同じ日系人でも、二世は「日本人の配偶者等」、四世は原則として「特定活動(日系四世)」と、世代によって在留資格が変わる点が、この制度のいちばん分かりにくいところです。

日系三世とは|一世の孫、日本国籍を持たない日系人

ここでいう日系人とは、日本から海外に移住した日本人とその子孫で、移住先の国籍を持って暮らしている人を指します。世代は移住した本人を起点に数えます。

  • 日系一世:日本で生まれ、日本国籍を持って海外に移住した人
  • 日系二世:一世の子
  • 日系三世:一世の孫(二世の子)
  • 日系四世:一世のひ孫(三世の子)

ブラジル、ペルー、アルゼンチン、ボリビアなどの中南米諸国と、アメリカ(ハワイを含む)、カナダ、フィリピンなどに大きな日系社会があります。中南米への移住は明治から昭和にかけて続き、現在は三世・四世が中心の世代になっています。

日系三世は日本人ですか、という質問をよく受けます。国籍の点では、多くの日系三世は日本国籍を持っていません。外国で生まれて出生によって外国籍も取得した日本人の子は、出生の日から3か月以内に日本国籍を留保する意思を届け出なければ、出生の時にさかのぼって日本国籍を失います(国籍法12条、戸籍法104条)。一世や二世がこの届出をしていない場合、その子孫は日本国籍を持たない外国人として生まれることになります。日系人の在留資格の議論は、この「日本人の血を引いているが、日本国籍を持たない人」をどう受け入れるかという問題です。

日系三世の在留資格は「定住者」

在留資格「定住者」は、法務大臣が特別な理由を考慮して一定の在留期間を指定して居住を認める在留資格です(入管法別表第二)。このうち、あらかじめ告示で対象者が定められているものを告示定住といい、日系三世はその代表例として出入国在留管理庁のページにも挙げられています。

定住者には就労の制限がありません。単純作業を含むどの仕事にも就くことができ、在留カードの「就労制限の有無」欄は「就労制限なし」と記載されます。この点が、就労先や業務内容が限定される技術・人文知識・国際業務や特定技能との大きな違いです。在留資格ごとの就労範囲は外国人を採用できる在留資格の種類一覧で比較しています。

定住者の在留期間は、5年、3年、1年、6月のほか、法務大臣が個々に指定する5年を超えない期間です。日系三世が在留期間「5年」を希望する場合、出入国在留管理庁は、成人であれば一定の日本語能力を証明する書類の提出を求めています。具体的には、法務大臣が告示で定める日本語教育機関で6月以上の教育を受けたこと、「日本語教育の参照枠」のB1相当以上(日本語能力試験N2合格、N3合格かつ総合得点104点以上、BJTビジネス日本語能力テスト400点以上)、学校教育法1条の学校(幼稚園を除く)で1年以上の教育を受けたことのいずれかです。

定住者告示3号・4号の読み方

日系三世の根拠になるのは、定住者告示の3号と4号です。条文は次のとおりです(最近の改正は令和3年10月28日法務省告示第220号)。

  • 3号:日本人の子として出生した者の実子(第一号又は第八号に該当する者を除く。)であって素行が善良であるもの
  • 4号:日本人の子として出生した者でかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるものの実子の実子(第一号、第三号又は第八号に該当する者を除く。)であって素行が善良であるもの

どちらにも「日本人の子として出生した者」という言葉が出てきます。ここでいう「日本人の子として出生した者」とは、生まれた時点で父または母が日本国籍を持っていた人を指します。日本で生まれ育った一世は、当然この言葉に当てはまります。二世も、一世が日本国籍を持っている間に生まれていれば当てはまります。

3号は「二世の子」から数える

3号の対象は「日本人の子として出生した者」の実子です。一世が日本国籍を持っている間に二世が生まれていれば、二世は「日本人の子として出生した者」に当たり、その実子である三世は3号の対象になります。

同じ3号は、二世を対象とすることもあります。一世はそれ自体「日本人の子として出生した者」ですから、その実子である二世も文言上は3号に当てはまります。実務上意味を持つのは、一世が移住先で帰化するなどして日本国籍を失った後に生まれた二世です。この二世は生まれた時点で親が日本人ではないため「日本人の配偶者等」の対象にならず、3号の定住者として受け入れられます。

4号は「一世の孫」から数える

4号の対象は、「日本人の子として出生し、かつて日本国民として本籍を有したことがある者」の実子の実子、つまり孫です。一世を起点にすると、一世の孫である三世がこれに当たります。

4号が3号とは別に置かれているのは、二世が「日本人の子として出生した者」に当たらない場合でも三世を受け入れるためです。一世が日本国籍を失った後に二世が生まれていると、二世は「日本人の子として出生した者」ではないため、その子である三世は3号の対象になりません。4号は、二世の出生時の事情にかかわらず、日本に本籍を持っていた一世の孫であることを基準に三世を受け入れる規定です。

「素行が善良であること」

3号と4号には、どちらも「素行が善良であるもの」という条件が付いています。日本や本国での犯罪歴があると、日系三世であっても定住者として認められないことがあります。出入国在留管理庁は、日系三世の申請に本国の機関が発行した犯罪経歴証明書の提出を求めています。

家系図で見る日系二世・三世・四世の在留資格

一世を起点に、世代ごとの在留資格を家系図で示すと次のようになります。

日系一世(日本で出生・日本に本籍・海外へ移住)
 │
 ├─ 日系二世
 │    ・一世が日本国籍を持つ間に出生 → 日本人の配偶者等(日本人の子として出生した者)
 │    ・一世が日本国籍を失った後に出生 → 定住者(告示3号)
 │    ・国籍留保の届出をして日本国籍を保持 → 日本人(在留資格は不要)
 │
 ├─ 日系三世
 │    ・親(二世)が日本人の子として出生 → 定住者(告示3号)
 │    ・親(二世)が日本人の子として出生していない → 定住者(告示4号)
 │    ・親(二世)が日本国籍を保持している → 日本人の配偶者等(日本人の子)
 │
 └─ 日系四世
      ・日系三世の定住者に扶養される未成年・未婚の実子 → 定住者(告示6号)
      ・上記以外(18歳以上35歳以下など) → 特定活動(日系四世)

家系図の読み方で注意したいのは、世代の数え方と在留資格の区分が一対一に対応していないことです。親が日本国籍を持ち続けていた場合、三世であっても「日本人の子として出生した者」に当たり、日本人の配偶者等の対象になります。逆に、一世が早い時期に国籍を失っていれば、二世が定住者になります。在留資格を決めるのは、何世かという呼び名よりも、出生の時点で親が日本国籍を持っていたかどうかです。

日系二世とは|在留資格は原則「日本人の配偶者等」

日系二世は、一世の子です。在留資格「日本人の配偶者等」は、その対象に「日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者」を含んでいます(入管法別表第二)。一世が日本国籍を持っている間に生まれた二世は、この「日本人の子として出生した者」に当たるため、配偶者でなくても日本人の配偶者等の在留資格で在留します。名前から誤解されやすいのですが、日系二世の在留カードに「日本人の配偶者等」と書かれているのはこのためです。

日系四世とは|原則は特定活動、未成年の実子は定住者

日系四世は、定住者告示3号・4号の対象になりません。例外は、定住者告示6号です。6号ハは、3号・4号などの地位で許可を受け、1年以上の在留期間を指定されている定住者に扶養される、未成年で未婚の実子であって素行が善良なものを対象にしています。日系三世の定住者が日本で子を育てている場合、その子(四世)は未成年・未婚の間は定住者として在留できます。

それ以外の日系四世のために、出入国在留管理庁は2018年に「日系四世の受入制度」を設け、2023年12月28日に要件を一部改正しました。18歳以上35歳以下であること、入国時に一定の日本語能力(18歳から30歳は日本語能力試験N4相当、またはN5相当以上。31歳から35歳はN3相当以上)があること、家族を帯同しないこと、日系四世受入れサポーターの支援を受けることなどが要件で、在留は通算最長5年です。通算5年間の活動を適切に終え、N2相当の日本語能力を試験で証明するなどの要件を満たせば、「定住者」への変更が認められます。日系四世の受入制度の詳細は公式案内をご確認ください。

日系人の配偶者

日系人の配偶者も、定住者告示5号で定住者の対象になります。5号イは「日本人の配偶者等」で在留する日系二世(日本人の子として出生した者)の配偶者、5号ハは3号・4号の地位で許可を受けて1年以上の在留期間を持つ定住者(日系三世など)の配偶者であって素行が善良なものです。日系三世が夫婦で来日する場合、配偶者は5号ハの定住者として申請します。

日系三世であることの立証方法

日系三世の申請で最も手間がかかるのは、一世から本人までの親子関係を、日本と本国の書類でつなげて証明することです。出入国在留管理庁が「定住者(日系3世)」の在留資格認定証明書交付申請で求める身分関係の書類は、次のとおりです。

日本の市区町村で取得するもの:

  • 祖父母(日本人)の戸籍謄本または除籍謄本(全部事項証明書)
  • 婚姻届出受理証明書(祖父母と両親のもの)
  • 出生届出受理証明書(申請人のもの)
  • 死亡届出受理証明書(祖父母と両親のもの)

本国の機関が発行するもの:

  • 祖父母と両親の結婚証明書
  • 両親と申請人の出生証明書
  • 認知に係る証明書(ある人のみ)
  • 祖父母と父母が実在していたことを証明する公的な資料(旅券、死亡証明書、運転免許証など)
  • 申請人が本人であることを証明する公的な資料(身分証明書、運転免許証、軍役証明書、選挙人手帳など)
  • 申請人の犯罪経歴証明書

婚姻・出生・死亡の届出受理証明書は、日本の役所に届出をしている場合にだけ提出します。在外公館を通じて日本に婚姻や出生を届け出ていれば、その記録は一世の戸籍に反映され、届出受理証明書の対象になります。

戸籍と本国書類をどうつなげるか

立証の骨格は、一世の除籍謄本(または戸籍謄本)と、本国の出生証明書・結婚証明書の連鎖です。一世の除籍謄本で、一世が日本人の子として生まれ、日本に本籍を持っていたことを示します。次に、二世の出生証明書で一世と二世の親子関係を、申請人の出生証明書で二世と申請人の親子関係を示します。

実務で問題になりやすいのは、書類ごとに氏名の表記が違うことです。一世の名前が戸籍では漢字、本国の書類ではポルトガル語やスペイン語の綴り、さらに移住後に現地の名前(洗礼名など)を名乗っている、といったことは珍しくありません。出生日や出生地の記載がずれている書類もあります。こうした不一致は、旅券や身分証明書、死亡証明書など他の公的資料を添えて、同一人物であることを補強する必要があります。出入国在留管理庁が「祖父母及び父母が実在していたことを証明する公的な資料」を求めているのは、この補強のためと読めます。

一世の本籍地が分からない場合は、移住時の旅券や移住者名簿、日系団体の記録などから本籍地を探すことになります。戸籍の取得は、本籍地の市区町村に郵送で請求できるほか、2024年3月1日からは戸籍証明書等の広域交付により、本人や直系の親族であれば最寄りの市区町村窓口で請求できるようになりました。ただし広域交付の請求者は日本人の本人・配偶者・直系尊属・直系卑属に限られ、外国籍の日系三世本人が使えるかは個別に確認が必要です(公式資料では未確認)。

日系三世を雇用する企業が確認すること

日系三世の社員を採用する場合、企業が見るべき点は他の外国人と大きくは変わりません。在留カードで在留資格が「定住者」であること、就労制限欄が「就労制限なし」であること、在留期間の満了日が過ぎていないことを確認し、在留カード等番号失効情報照会で有効性を確かめます。

定住者は職種や業務の制限がないため、雇用契約の内容が在留資格の許可に影響することはありません。一方で、更新の審査では生計の安定や素行、住民税・社会保険料の納付状況などが見られます。在留期間の更新で見られる事情は在留期間更新の「相当の理由」とはで解説しています。

外国人雇用状況の届出(ハローワーク)は、定住者を雇う場合も必要です。特別永住者と異なり、定住者は届出の対象から除かれていません。

日系三世が永住を目指す場合、永住許可に関するガイドラインは「定住者」の在留資格で5年以上継続して在留していることを、原則10年の在留に代わる特例として定めています。永住の要件の見直しについては【2026年10月改定】永住許可の要件厳格化で何が変わる?で扱っています。

よくある質問

「日系三世」とはどういう意味ですか?

日本から海外に移住した日本人(日系一世)の孫にあたる人です。一世の子が二世、二世の子が三世になります。入管制度上は、一世が日本人の子として生まれ日本に本籍を持っていたこと、本人がその孫であることを戸籍と本国の書類で証明できる人が、定住者告示3号・4号の日系三世として扱われます。

日系三世の在留資格は?

在留資格「定住者」です。定住者告示3号(日本人の子として出生した者の実子)または4号(日本人の子として出生し、かつて日本に本籍を持っていた者の孫)に当たり、素行が善良であることが条件です。就労の制限はなく、在留期間は5年・3年・1年・6月などで、5年を希望する成人は日本語能力の証明書を出します。

日系三世は日本人ですか?

多くの場合、日本国籍を持たない外国人です。外国で生まれた日本人の子は、出生から3か月以内に国籍留保の届出をしないと日本国籍を失います。親(二世)が国籍を留保して日本国籍を持ち続けている場合は、三世も日本人の子として出生したことになり、国籍取得や在留資格の扱いが変わります。

日系二世とは?在留資格は何ですか?

一世の子です。一世が日本国籍を持っている間に生まれていれば「日本人の子として出生した者」として在留資格「日本人の配偶者等」の対象になります。一世が日本国籍を失った後に生まれた二世は、定住者告示3号の定住者になります。

日系四世は定住者になれますか?

日系四世は、原則として定住者告示3号・4号の対象になりません。日系三世の定住者に扶養される未成年・未婚の実子であれば告示6号で定住者になれます。それ以外は「特定活動(日系四世)」で最長5年在留し、N2相当の日本語能力などの要件を満たせば定住者へ変更できます。

「何世か」より「出生時に親が日本人だったか」で考える

日系人の在留資格を判断するときは、世代の呼び名から入ると誤ります。確認すべきなのは、一世が日本に本籍を持っていたか、二世が生まれた時点で一世が日本国籍を持っていたか、二世が国籍を留保したか、という3つの事実です。この3点が分かれば、本人が日本人の配偶者等、定住者(3号・4号・6号)、特定活動(日系四世)のどれに当たるかが決まります。

書類の準備では、一世の除籍謄本を早い段階で取り寄せることをお勧めします。本籍地が特定できれば、そこから二世・三世の出生や婚姻の届出の有無が分かり、本国で集めるべき書類の範囲も絞れます。氏名や生年月日の表記に食い違いがあるときは、申請前に補強資料をそろえる必要があり、個別の事情で必要な資料が変わります。

根拠資料


在留資格の申請・採用のご相談は、保利国際法務事務所の無料相談へ。福岡出入国在留管理局への申請取次に対応しています。