育成就労の対象分野(育成就労産業分野)は、介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、宿泊、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、資源循環の17分野です。特定技能の19分野のうち、自動車運送業と航空の2分野は育成就労の対象になっていません。技能実習の移行対象職種のうち、空港グランドハンドリング、ボイラーメンテナンス、クリーニングの一般家庭用クリーニング作業は、育成就労に対応する業務区分がなく、2027年4月以降は同じ仕事で育成就労外国人を新たに受け入れることができません。
育成就労の17分野と業務区分の一覧
ここでいう育成就労産業分野とは、特定技能の特定産業分野のうち、外国人に就労を通じて技能を修得させることが相当な分野として、分野別運用方針で定められたものを指します。分野の中はさらに「業務区分」に分かれ、育成就労計画は業務区分ごとに作ります。
育成就労制度運用要領の別紙6「育成就労産業分野・業務区分の一覧」(2026年4月)は、17分野・46業務区分を次のとおり定めています。
| 分野 | 業務区分 | 所管省庁 |
|---|---|---|
| 介護 | 介護 | 厚生労働省 |
| ビルクリーニング | ビルクリーニング | 厚生労働省 |
| リネンサプライ | リネンサプライ | 厚生労働省 |
| 工業製品製造業 | 機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理、紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、RPF製造、陶磁器製品製造、印刷・製本、紡織製品製造、縫製、電線・ケーブル製造、プレハブ住宅製品製造、家具製造、定形・不定形耐火物製造、生コンクリート製造、ゴム製品製造、かばん製造(17区分) | 経済産業省 |
| 建設 | 土木、建築、ライフライン・設備 | 国土交通省 |
| 造船・舶用工業 | 造船、舶用機械、舶用電気電子機器 | 国土交通省 |
| 自動車整備 | 自動車整備、車体整備 | 国土交通省 |
| 宿泊 | 宿泊 | 国土交通省 |
| 鉄道 | 軌道整備、電気設備整備、車両整備、車両製造、運輸係員、駅・車両清掃 | 国土交通省 |
| 物流倉庫 | 物流倉庫 | 国土交通省 |
| 農業 | 耕種農業、畜産農業 | 農林水産省 |
| 漁業 | 漁業、養殖業 | 農林水産省 |
| 飲食料品製造業 | 飲食料品製造業、水産加工業 | 農林水産省 |
| 外食業 | 外食業 | 農林水産省 |
| 林業 | 林業 | 農林水産省 |
| 木材産業 | 木材産業 | 農林水産省 |
| 資源循環 | 廃棄物処分業(中間処理) | 環境省 |
リネンサプライ、物流倉庫、資源循環の3分野は、2026年1月23日の閣議決定で特定技能と育成就労の両方に新たに加わった分野です。出入国在留管理庁「育成就労制度の概要」(令和8年7月改訂)は、新規分野の受入れについて「上乗せ基準告示の公布・施行後、準備が整い次第、開始を予定」としており、3分野で育成就労の受入れがいつ実際に始まるかは告示の施行時期に左右されます。
自動車整備分野の車体整備と、飲食料品製造業分野の水産加工業は、従来の業務区分から切り分けて新設された区分です。同資料は、特定技能について2027年3月31日までは従前の業務区分で受け入れる経過措置を設けるとしています。
特定技能19分野との対応|自動車運送業と航空は育成就労の対象外
「育成就労制度の概要」は、育成就労の受入れ対象分野は特定技能の受入れ対象分野と原則一致させるとしつつ、「国内での育成になじまない分野」は対象外とする考え方を示しています。そのうえで、令和8年7月時点で育成就労産業分野として設定がないのは、自動車運送業分野と航空分野だけだと明記しています。
| 区分 | 分野数 | 分野 |
|---|---|---|
| 特定技能と育成就労の両方 | 17 | 上表の17分野 |
| 特定技能のみ | 2 | 自動車運送業(トラック・バス・タクシー運転者)、航空(空港グランドハンドリング・航空機整備) |
| 特定技能2号まで進める分野 | 11 | 分野別運用方針で2号を設けた分野(工業製品製造業は機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分のみ) |
自動車運送業は、運転免許と日本語の要件を満たした人が特定技能1号で入ってくる前提の分野で、技能実習にも対応する職種がありませんでした。トラック運転者を外国人で確保したい場合は、特定技能1号で受け入れることになります。
航空分野は、技能実習では空港グランドハンドリングが社内検定型の移行対象職種でしたが、育成就労には引き継がれていません。空港での地上支援業務は、2027年4月以降、特定技能1号での受入れが中心になります。
特定技能の分野一覧と受入れ見込数は特定技能の分野・職種一覧にまとめています。
技能実習の職種から移行できない仕事
技能実習の2号移行対象職種は、2026年7月29日時点で96職種174作業あります(外国人技能実習機構)。運用要領の別紙7「技能実習2号移行対象職種と育成就労における分野(業務区分)との関係性について」(2026年4月)は、このうちどの職種・作業が育成就労のどの業務区分に対応するかを一覧にしています。
別紙7と、出入国在留管理庁の有識者会議資料「育成就労制度の受入れ対象分野 育成イメージ」を突き合わせると、育成就労に対応する業務区分が示されていない職種・作業は次のとおりです。
| 技能実習の職種・作業 | 育成就労での扱い | 代わりの選択肢 |
|---|---|---|
| 空港グランドハンドリング(航空機地上支援、航空貨物取扱、客室清掃) | 航空分野が育成就労の対象外のため対応なし | 特定技能1号(航空分野) |
| ボイラーメンテナンス | 対応する業務区分の記載なし | 技人国など業務内容に合う別の在留資格を検討 |
| クリーニングのうち一般家庭用クリーニング | リネンサプライ区分に対応するのはリネンサプライ仕上げ作業のみ | リネンサプライ工場の仕上げ業務であれば育成就労・特定技能の対象 |
一般家庭用クリーニングは見落としやすい例です。技能実習のクリーニング職種は「リネンサプライ仕上げ」と「一般家庭用クリーニング」の2作業で構成されていましたが、育成就労のリネンサプライ区分に対応するのはリネンサプライ仕上げの1作業だけです(同資料は「1職種1作業」と記載)。街のクリーニング店で衣類を扱う業務は、リネンサプライ分野の業務区分に当たりません。
このほか、技能実習の1号だけで終わる職種(2号移行対象職種にない職種)で受け入れていた企業は、育成就労では17分野の業務区分に当たる仕事かどうかを改めて確認する必要があります。育成就労は3年間の育成を前提とする制度で、1年で終える受入れは想定されていません。
2026年4月以降に技能実習に追加された職種
別紙7の作成後、技能実習の移行対象職種には追加がありました。有識者会議資料は、タオル製造(工業製品製造業の縫製区分)、かばん製造(工業製品製造業のかばん製造区分)、管路更生(建設分野の土木区分)について、技能実習職種への追加申請中である旨を注記したうえで、対応する業務区分を示しています。
一方、2026年7月29日時点の移行対象職種一覧にある豆腐製造、化粧品製造(仕上工程管理)、陶磁器工業製品製造のタイル製造作業については、育成就労のどの業務区分に対応するかを筆者は一次資料で確認できていません(公式資料では未確認)。豆腐製造は特定技能の飲食料品製造業の対象業務と重なりますが、育成就労での扱いは別紙7の改訂版で確かめる必要があります。
技能実習とは別の分野に振り分けられる職種
別紙7を読むと、技能実習の職種名から想像する分野とは違う分野に振り分けられているものがあります。受入れ企業が育成就労計画を作るとき、分野を取り違えやすい例を挙げます。
- 医療・福祉施設給食製造:技能実習では食品製造関係の職種ですが、育成就労では外食業分野に対応します
- 食品製造関係の各職種(缶詰巻締、食鳥処理加工、水産加工、ハム・ソーセージ・ベーコン製造、パン製造、そう菜製造など):飲食料品製造業分野に対応し、経過措置として飲食料品製造業・水産加工業の両区分への移行が可能とされています
- 建築大工、タイル張り、機械加工、溶接、塗装など:複数の分野・業務区分に対応します。たとえば溶接は、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、鉄道の各区分に対応が示されています
複数の分野にまたがる職種では、実際に従事させる業務と事業所の業種で分野が決まります。同じ溶接でも、造船所で船体を組み立てるなら造船・舶用工業、建設現場なら建設です。分野ごとに上乗せ基準(協議会への加入、受入れ人数の上限など)が違うため、分野を決めてから計画の中身を固める順番になります。
分野ごとの転籍制限期間
育成就労では本人の意向による転籍が一定の要件のもとで認められ、そのうち転籍を制限できる期間(転籍制限期間)は分野別運用方針が1年以上2年以下の範囲で分野ごとに定めます。質問検索でも「どの分野で1年か」が繰り返し聞かれています。
出入国在留管理庁の分野別運用方針の資料(有識者会議資料)から読み取れる各分野の転籍制限期間は次のとおりです。
| 転籍制限期間 | 分野 |
|---|---|
| 1年 | ビルクリーニング、リネンサプライ、宿泊、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、林業、木材産業 |
| 2年 | 介護、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、飲食料品製造業、外食業、資源循環 |
2年の分野であっても、個々の受入れ企業は自らの判断で1年とすることができます。1年を超える期間を設定する場合は、1年経過後に分野別運用方針で定める昇給などの待遇向上策を講じることが認定基準になります(育成就労制度運用要領第4章第2節)。資料は施行前の検討段階のものを含むため、自社の分野については施行時点の分野別運用方針で最終確認してください。
転籍の要件の詳細は育成就労の転籍とは?で、日本語の要件は育成就労の日本語要件|入国時A1・1年目・転籍・特定技能移行時に必要なレベルで扱っています。
自社の仕事が育成就労の対象か確認する手順
自社の業務が育成就労の対象になるかは、次の順番で確認すると迷いにくくなります。
- 事業所の業種と、外国人に従事させる主な業務を書き出す
- 別紙6(分野・業務区分の一覧)で、該当しそうな分野と業務区分を探す
- 分野別運用方針と分野別の運用要領で、業務区分の「主たる技能」と、対象となる事業所の条件(日本標準産業分類など)を確認する
- 技能実習生を受け入れている企業は、別紙7で現在の職種・作業がどの業務区分に対応するかを確認する
- 分野所管省庁の上乗せ基準告示で、協議会への加入や人数枠の上乗せを確認する
3番目の確認が抜けると、業務は合っていても事業所の業種で対象外になることがあります。飲食料品製造業分野のように、特定技能と同じく日本標準産業分類で対象事業所を絞っている分野があるためです。
どの分野にも当たらない場合、育成就労の対象外という結論になります。この場合は、技能実習の経過措置の期間内で現在の実習を続けるか、特定技能や技人国など別の在留資格を検討することになります。技能実習の経過措置の日程は技能実習はいつ廃止?2027年4月以降の経過措置と今の実習生の扱いで整理しています。
よくある質問
育成就労の分野一覧は?
介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、宿泊、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、資源循環の17分野です(令和8年7月時点)。業務区分は46あり、工業製品製造業だけで17区分あります。
物流倉庫は育成就労の対象ですか?
対象です。物流倉庫分野は2026年1月23日の閣議決定で特定技能と育成就労に追加され、業務区分は「物流倉庫」の1区分です。技能実習に対応する職種はなく、新しく主たる技能が設定されました。受入れの開始は上乗せ基準告示の施行後とされているため、開始時期は分野所管省庁の案内で確認してください。
技能実習で受け入れていた職種は、すべて育成就労に移行できますか?
できない職種があります。空港グランドハンドリング、ボイラーメンテナンス、クリーニングの一般家庭用クリーニング作業は、育成就労に対応する業務区分が示されていません。なお、技能実習生本人が技能実習から育成就労へ在留資格を変更することもできません。現在の実習生は経過措置で技能実習を続け、その後は特定技能1号などへの移行を検討します。
育成就労の転籍制限はどの分野で1年ですか?
分野別運用方針の資料では、ビルクリーニング、リネンサプライ、宿泊、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、林業、木材産業が1年、それ以外の8分野が2年です。2年の分野でも受入れ企業が1年に設定することは可能で、2年とする場合は1年経過後の昇給などが必要になります。個別の事情で判断が変わる部分は、監理支援機関や分野所管省庁に確認してください。
分野の選択が育成就労計画のすべてを決める
育成就労の分野は、単に「どの仕事で受け入れるか」のラベルにとどまりません。分野と業務区分が決まると、主たる技能、1年目と3年目の試験、日本語の水準、転籍制限期間、協議会への加入、受入れ人数の上乗せが連動して決まります。技能実習の職種名のまま考えていると、医療・福祉施設給食製造が外食業に振り分けられるような違いを見落とします。
2027年4月以降の受入れを予定している企業は、いまの技能実習の職種を別紙7で読み替え、対応する業務区分がない場合は特定技能への切替えを含めた採用計画を組み直す段階にあります。制度全体の準備は【2027年4月施行】育成就労制度とは?にまとめています。
根拠資料
- 育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)(出入国在留管理庁)
- 運用要領 別紙6 育成就労産業分野・業務区分の一覧(2026年4月)(外国人技能実習機構掲載)
- 運用要領 別紙7 技能実習2号移行対象職種と育成就労における分野(業務区分)との関係性について(2026年4月)
- 育成就労制度の受入れ対象分野 育成イメージ(出入国在留管理庁、有識者会議資料1-3)
- 特定技能制度及び育成就労制度の分野別運用方針の作成について(出入国在留管理庁、有識者会議資料)
- 育成就労制度に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針(出入国在留管理庁)
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