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高度専門職の職歴ポイント|実務経験の数え方と1号ロ・1号ハの違い

高度専門職の職歴ポイントは、これから従事する業務と同じ業務に、職業として何年従事してきたかで決まります。1号イ・1号ロは3年以上で5点、10年以上で20点。1号ハは「事業の経営又は管理」の経験で数え、3年以上で10点、10年以上で25点です。

数え方で最も誤解が多いのは、大学での専攻期間の扱いです。技術・人文知識・国際業務の実務経験要件では大学等で関連科目を専攻した期間を含められますが、高度専門職の職歴ポイントでは専攻期間も研究期間も数えません。在学中のアルバイトも対象外です。入国・在留審査要領は、職歴ポイントを「職業経験により培った高度な能力や資質を評価するもの」と位置づけており、学校で過ごした時間はその評価の外に置かれています。

この記事でわかること

  • 1号イ・1号ロ・1号ハそれぞれの職歴の配点
  • 実務経験に数える期間と数えない期間
  • 技術・人文知識・国際業務の実務経験要件との考え方の違い
  • 1号ハで数える「経営又は管理」の経験の範囲
  • 在職証明書など、職歴を立証する資料の条件

職歴ポイントの配点

入管庁が公表しているポイント計算表の職歴の配点は、次のとおりです。

実務経験の年数 1号イ・1号ロ 1号ハ
10年以上 20点 25点
7年以上10年未満 15点 20点
5年以上7年未満 10点 15点
3年以上5年未満 5点 10点
3年未満 0点 0点

出典:出入国在留管理庁「ポイント計算表」(資料16)

入国・在留審査要領 第12編(開示版)第9節の職歴の表は、1号イの表(9-9)がOCRで欠落し、1号ロの表(9-24)も点数欄が読み取れません。1号ハの表(9-30)で読み取れるのは「5年以上7年未満」の15点だけで、これは公表資料の配点と一致しています。点数は公表資料に拠り、審査要領は「実務経験」の意味を確かめるために使います。

1号ハの配点が高いのは、1号ハに年齢の項がなく、年収も1,000万円以上でなければ点数が付かない構造になっているためです(9-30〜9-31)。経営者・管理者は年功序列的な賃金体系を前提にしないという整理で、そのぶん経験年数の評価が厚くなっています。ポイント制全体の組み立ては高度専門職ポイント計算表の使い方と落とし穴|年収・学歴の数え方と立証資料で扱っています。

「実務経験」に数える期間

職歴の項でいう実務経験の意味は、上陸基準省令の「教育」などの基準にいう実務経験と同じだとされています(9-9)。審査要領は、数える期間と数えない期間を次のように書き分けています。

審査要領ではこう書かれている

実務経験には、職業活動として当該業務に従事した期間が該当し、教育機関(夜間学部を除く。)に所属している間にアルバイト的に従事した期間は含まない。

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第9節 9-9〜9-10

基準は「職業活動として」従事したかどうかです。正社員に限るとは書かれていませんが、学生が学業のかたわら働いた期間は、その業務が申請に係る業務と同じでも数えません。夜間学部に在籍していた期間は例外で、昼間に職業として働いていれば実務経験に入ります。学生時代のアルバイトやインターンの扱いは、技術・人文知識・国際業務と共通する論点として就労ビザの実務経験年数の数え方|アルバイト・インターンは職歴に入るかで詳しく扱っています。

審査要領の定義には、経験を積んだ国や地域の限定はありません。母国の企業で積んだ経験も、日本での経験も、同じ業務に職業として従事した期間であれば通算して数えます。

技人国の実務経験とは数え方が違う

技術・人文知識・国際業務の上陸基準は、学歴がない人に10年以上の実務経験を求め、その10年に大学等で関連科目を専攻した期間を含めてよいとしています。高度専門職の職歴ポイントは、この扱いをとりません。

審査要領ではこう書かれている

「研究」、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に係る上陸基準省令において、大学等教育機関における「研究の期間」や「専攻期間」を実務経験に含む旨規定しているのとは異なり、本項にいう「実務経験」にはこれら教育機関における研究期間・専攻期間は含まれない。

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第9節 9-10

理由として審査要領が挙げるのは、制度の目的の違いです。技術・人文知識・国際業務の基準は「学歴又は実務経験」のいずれかを満たせばよいという作りで、学歴の代わりに経験を認めるものです。職歴ポイントは、学歴とは別の項目として、職業経験で培った能力を評価します。学歴の項で大学を評価したうえで、職歴の項でもう一度大学の年数を数えれば、同じ期間を二重に評価することになります。

技人国の実務経験要件 高度専門職の職歴ポイント
役割 学歴がない場合の代わりの要件 学歴とは別に職業経験を評価する項目
大学等での専攻期間 含めてよい 含まない
大学院での研究期間 含めてよい(「研究」の基準) 含まない
在学中のアルバイト 含まない(夜間学部を除く) 含まない(夜間学部を除く)

実務上の影響がはっきり出るのは、技人国の10年要件を専攻期間の算入で満たしてきた人です。たとえば専門学校で2年学び、その後8年働いた人は、技人国の審査では10年として扱われる余地がありますが、高度専門職の職歴ポイントは8年で15点です。技人国の実務経験要件は技人国の実務経験10年要件|学歴がなくても申請できる場合と在学期間の算入で扱っています。

関連のない職歴は数えない

1号ロの表の各段は、いずれも「従事する業務について」何年以上の実務経験があること、と書かれています(9-24)。数えるのは、高度専門職として従事しようとする業務と同じ業務の経験です。立証資料の表も、求める資料を「従事しようとする業務に従事した期間及び業務の内容を明らかにする資料」としています(9-41)。

転職を重ねてきた人は、経歴を業務の中身で仕分ける必要があります。営業職を3年経験した後にシステム開発へ移って6年という人が、システムエンジニアとして1号ロを申請する場合、職歴として主張できるのは開発の6年が中心になると筆者は考えます。どこまでを同じ業務とみるかは提出資料から判断されるため、在職証明書には職種名だけでなく、担当した業務の内容まで書いてもらうことが大切です。

ここで重要なのは、職歴の年数は「業務」に結びつき、「勤務先」には結びつかないという論点です。同じ会社に12年いても、その間に職種が変わっていれば、申請に係る業務の経験は12年より短くなります。反対に、勤務先を何度変えていても、同じ業務を続けていれば通算できます。

1号ロと1号ハで違う「経験」の中身

1号ハの職歴の項は「事業の経営又は管理について」の実務経験を数えます。その意味は、上陸基準省令の在留資格「経営・管理」の基準にいう「事業の経営又は管理」に関する経験と同じだとされています(9-31)。1号ロが専門的・技術的な業務の経験を数えるのに対し、1号ハは経営者・管理者としての経験を数えるという違いです。

ここでいう「管理」は、役員に限りません。入管庁の高度人材ポイント制Q&Aは、1号ハについて、会社の規模や役員であることは要件でないとし、部相当以上の管理職も該当しうるとしています(Q26)。部長として部門を率いてきた期間は、1号ハの職歴の候補になります。

「経営・管理」の基準では、経営・管理の経験年数に、本邦外での経歴、日本での「経営・管理」の活動期間、起業準備の「特定活動」を指定されていた期間を含めるとされています(第10節 10-10)。1号ハの職歴にも起業準備の特定活動の期間を数えられるかは、第9節に明記がありません【要確認】。

1号ロ 1号ハ
数える経験 従事する業務(自然科学・人文科学の知識・技術を要する業務)の経験 事業の経営又は管理の経験
配点の上限 20点(10年以上) 25点(10年以上)
年齢の項 あり なし
年収の項 年齢に応じて400万円以上から 1,000万円以上から

同じ人でも、どの区分で申請するかによって、数える経歴が入れ替わります。技術者として10年働いた後に開発部長を4年務めている人は、1号ロなら技術者としての経験を、1号ハなら部長としての経験を中心に数えることになります。1号ロは他の活動と重なる活動を除外していないため、1号ハに相当する活動をする人も対象になり得るとされ、どの区分で審査するかは申請人が出したポイント計算表の種別で決まります(9-37)。職歴と年収の組合せで点数の高い方を選ぶのが基本です。

計算例:専攻期間を除くと何点変わるか

職歴ポイントの数え方の違いを、1号ロで申請する人の例で示します。筆者作成の計算例で、学歴・年収・年齢の点数も公表のポイント計算表に沿って入れています。

Aさん Bさん
経歴 大学4年(情報工学・学士)、卒業後に開発職8年、33歳 日本の専門学校2年(専門士)、卒業後に開発職9年、31歳
学歴 10点 0点(専門士は対象外)
職歴 15点(8年) 15点(9年。専攻期間2年は数えない)
年収 650万円:20点 560万円:15点
年齢 10点(34歳まで) 10点(34歳まで)
小計 55点 40点

Bさんは、技術・人文知識・国際業務であれば専門士として学歴要件を満たし、経歴の説明に困ることはありません。高度専門職では、専攻期間を職歴に足すこともできず、専門士は学歴ポイントの対象にもならないため、特別加算を積まなければ70点は遠い計算です。日本の専門学校卒業は「本邦の大学」卒業の加算にも当たりません。日本語能力試験N1の15点などを加えられるかが分かれ目になります。

年齢との関係も見ておきます。1号ロの年齢の項は29歳まで15点、34歳まで10点、39歳まで5点で、職歴を積むほど年齢の点数は下がります。職歴が5年から7年に届くと5点増えますが、その間に年齢区分が一つ上がれば5点減るため、合計は変わりません。年収の基準も年齢で変わるため、高度専門職の年収ポイント|残業代・見込み年収と年収300万円要件とあわせて確認してください。

年数を数える基準日

ポイントは、変更・更新の申請であれば申請の時点を基準に計算し、申請時点で70点に達していれば許可の時点でも達しているものとみなされます(9-7)。在留資格認定証明書交付申請では、申請書に記載した入国予定年月日を基準に計算し、審査中に入国予定年月日を過ぎた場合などは、新しい入国予定年月日で計算し直します(9-7)。職歴が7年や10年の区切りの直前にある人は、どの日を基準に年数を数えるのかを申請前に確認しておくと、区分の読み違いを防げます。

職歴の立証資料

職歴の立証資料について、審査要領の表は、従事しようとする業務に従事した期間と業務の内容を明らかにする資料で、「所属していた機関作成のもの」を求めています(9-41)。本人が書いた履歴書や職務経歴書だけでは、職歴ポイントの立証になりません。

  • 在籍した会社が作成した在職証明書(退職済みなら退職証明書)
  • 在籍期間を年月日まで記載したもの
  • 職種名に加えて、担当した業務の内容を記載したもの
  • 管理職としての経験を主張する場合は、役職と管理していた範囲がわかるもの

ポイントの立証は、合計70点以上に届く分だけ出せば足ります(9-40)。職歴を使わなくても70点に届く人は、職歴の資料を省けます。ただし、1年後の永住許可申請を考えている人は80点分の立証が必要になるため、職歴が80点の決め手になる人は省かないでください。JICAが実施する1年以上の研修の修了者は、学歴・職歴を証明する資料を原則として求められませんが、職歴のポイントを希望する場合は疎明資料が必要です(9-22)。

過去の申請で提出した資料は、発行から1年以上たっていても転用が認められています(9-41)。退職した会社から在職証明書を取り直すのが難しい人は、以前の申請で出した資料が使えないかを先に確認してください。

職歴10年はJ-Skipの要件にもなる

職歴は、ポイント制とは別枠の特別高度人材制度(J-Skip)でも要件になります。1号イ・1号ロでは、年収2,000万円以上に加えて、修士以上の学位か、従事する業務について10年以上の実務経験のどちらかが必要です。1号ハでは、事業の経営又は管理について5年以上の実務経験と、年収4,000万円以上が求められます(9-52〜9-53、入管庁「特別高度人材制度(J-Skip)」)。この場合の実務経験も、職業として従事した期間で数えることになります。制度の詳細は特別高度人材制度(J-Skip)とは?年収2,000万円の要件・優遇措置・永住1年を解説で扱っています。

よくある質問

Q. 大学で専攻した期間は、高度専門職の職歴に含められますか?

含められません。審査要領は、技術・人文知識・国際業務の基準と異なり、高度専門職の職歴ポイントには大学等での研究期間・専攻期間を含まないとしています。職業として業務に従事した期間だけを数えます。

Q. 学生時代のアルバイトは職歴に入りますか?

入りません。教育機関に在籍している間にアルバイト的に従事した期間は、実務経験に含まないとされています。夜間学部に在籍していた期間は例外です。

Q. 1号ハの職歴は役員の経験でなければいけませんか?

役員に限られません。1号ハの職歴は「事業の経営又は管理」の経験で数え、入管庁のQ&Aは、役員であることは1号ハの要件でないとし、部相当以上の管理職も該当しうるとしています。

Q. 職歴の証明は自分で書いた職務経歴書でよいですか?

職歴ポイントの立証には、在籍していた機関が作成した資料が求められます。在籍期間と業務の内容を記載した在職証明書を、各勤務先から取り寄せてください。

申請前に確認すること

まず、卒業後の経歴を勤務先ごとではなく業務の中身ごとに並べ、申請する業務と同じ業務に職業として従事した期間を年月単位で数えてください。在学中の期間は、夜間学部の場合を除いて外します。そのうえで、1号ロと1号ハのどちらで数えた方が職歴と年収の合計が高くなるかを比べ、使う職歴について各勤務先の在職証明書を取り寄せます。7年や10年の区切りに近い人は、基準日によって点数が変わるため、申請の時期も含めて専門家に相談することを勧めます。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第9節 高度専門職 9-7(ポイント計算の基準時点)、9-9〜9-10(1号イ 職歴の項)、9-22(JICA研修修了者)、9-24(1号ロ 職歴の項)、9-30〜9-31(1号ハ 職歴・年収の項)、9-37(区分とポイント計算表の種別)、9-40〜9-41(立証資料)、9-52〜9-53(特別高度人材)
  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第10節 経営・管理 10-10(経営・管理の経験)
  • 出入国在留管理庁 ポイント計算表(https://www.moj.go.jp/isa/content/930001657.pdf)
  • 出入国在留管理庁 高度人材ポイント制Q&A(Q26)(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/newimmiact_3_qa.html)
  • 出入国在留管理庁 特別高度人材制度(J-Skip)(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri01_00009.html)