技人国ビザの更新許可申請は、在留期間の満了日の3か月前から可能になります。初回の在留資格認定さえ通れば更新は流れ作業だと考えている担当者は少なくありませんが、実際には会社のカテゴリーが切り替わっていたり、日々の業務が当初の説明から少しずつ離れていったりすると、更新の場面で審査が厳しくなるケースがあります。初回の審査より更新の審査のほうが油断できない、というのが実務上の感触です。
ここでは、会社の区分(カテゴリー1〜4)ごとの必要書類、申請できる時期、転職・業務変更がある場合の確認事項、単純労働をしていた場合の扱い、そして2026年4月15日に公表された、翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務に関する資料も確認します。当事務所が更新審査の現場で実際に求められた「タイムスケジュールの提出」「指揮命令系統図の提出」の事例もあわせて紹介します。
この記事でわかること
- 更新申請ができる時期と、申請できる人
- 会社のカテゴリー1〜4別の必要書類一覧
- 転職あり・業務変更ありの場合に追加で求められる書類
- 単純労働をしていた場合に更新できるかどうか
- 2026年4月15日に公表された言語能力に関する制度資料
- 当事務所が経験した「タイムスケジュール」「指揮命令系統図」提出の実例
技人国ビザの更新、まず押さえるべき基本
更新許可申請ができるのは、在留期間の満了日の3か月前からです。この期限は動きません。
「まだ余裕がある」と考えているうちに時間が過ぎ、満了日ぎりぎりで駆け込む会社は少なくありません。受付自体はしてもらえますが、追加資料を求められた瞬間に時間切れのリスクが高まります。3か月前になったらすぐに動き出す、という構えが安全です。
申請できるのは、原則として本人か、地方出入国在留管理局長から申請取次の承認を受けた行政書士などの取次者に限られます。会社の担当者が窓口に行って本人の代わりに提出することはできません。この点を誤解している人事担当者に、これまで何度も出会ってきました。
申請先はどこか
住居地を管轄する地方出入国在留管理局(支局・出張所を含む)に申請します。福岡在住であれば福岡出入国在留管理局です。当事務所は同局への申請取次資格(取次(福)行17第26号)を持っており、書類作成から窓口対応まで一括で対応しています。
更新申請の一般的な流れ
流れを整理すると、次のとおりです。全体像を先に把握しておくことで、二度手間を避けられます。
- 在留期間満了日の3か月前になったら、自社のカテゴリーを確認する
- 会社側で必要な資料(決算文書、登記事項証明書、法定調書合計表など)を準備する
- 本人側で必要な資料(住民税の課税・納税証明書、パスポート、在留カードなど)を準備する
- 業務内容説明書・雇用契約書の写しなど、業務の実態を示す資料を整える
- 地方出入国在留管理局に申請書一式を提出する
- 審査(追加資料を求められることがある)
- 結果の交付(在留カードの更新、または不許可通知)
審査期間は案件によって幅があります。目安は2週間から2か月で、繁忙期や追加資料の照会が入ればそれ以上に伸びます。申請できる期間に入ったら早めに動くことが重要です。
更新の手数料と、更新にかかる期間の目安
問い合わせの多い論点なので明記します。在留期間更新許可申請の手数料は、許可された場合に収入印紙で4,000円です。不許可なら手数料はかかりません。行政書士の報酬は別途発生しますが、当事務所では事前に見積もりを提示しており、いきなり高額請求になることはありません。審査期間は前述のとおり2週間から2か月が目安ですが、あくまで目安であり確約できるものではない、という点は正直にお伝えしておきます。
会社のカテゴリー別・更新に必要な書類
技人国ビザの必要書類は、勤務先の会社がどのカテゴリーに属するかで大きく変わります。ここを飛ばして「とりあえず在職証明書と決算書だけ」で済まそうとすると、あとから追加提出を求められて余計に時間がかかります。まず自社のカテゴリーを確認することから始めてください。
| カテゴリー | 該当する会社の目安 |
|---|---|
| カテゴリー1 | 上場企業、給与所得の源泉徴収税額等の年間合計額が1,000万円以上ある団体・個人など |
| カテゴリー2 | 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表における源泉徴収税額が1,500万円以上ある団体・個人 |
| カテゴリー3 | 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出している団体・個人(カテゴリー1・2に該当しないもの) |
| カテゴリー4 | 上記のいずれにも該当しない団体・個人(新設会社など) |
カテゴリー1・2は、提出書類が比較的シンプルで済みます。カテゴリー3・4になると、会社の実態を細かく示す資料が求められ、新設会社であれば事業計画書まで求められることがあります。
全カテゴリー共通で必要な書類
- 在留期間更新許可申請書
- 写真(縦4cm×横3cm、申請前3か月以内撮影)
- パスポート・在留カード(提示)
- 住民税の課税(又は非課税)証明書および納税証明書
- 該当カテゴリーを証明する資料
カテゴリー3・4で追加される書類
- 申請人の活動の内容等を明らかにする資料(雇用契約書の写し、辞令、業務内容説明書など)
- 登記事項証明書
- 事業内容を明らかにする資料(会社案内・パンフレットなど)
- 直近の年度の決算文書の写し(新規事業の場合は事業計画書)
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(提出できない場合はその理由を明らかにする資料)
カテゴリー3・4であることが、そのまま不許可につながるわけではありません。ただし、審査官が会社の実態を確認できる材料が相対的に少ないぶん、資料の作り込みで差が出やすい傾向があります。業務内容説明書と組織図の精度を上げておくことで、結果は変わってきます。
もう少し踏み込むと、カテゴリー1・2の会社は「一定規模以上の納税実績がある」という事実だけで、会社としての信用をある程度証明できています。業務内容の説明が多少簡潔であっても、審査官は深く疑いません。一方カテゴリー3・4は、その裏付けが薄いため、決算書や事業内容資料を丁寧に読み込まれます。同じ職種、同じ業務内容の申請でも、カテゴリーが違うだけで審査の掘り下げ方はまったく異なります。
特にカテゴリー4の新設会社は、決算文書自体がまだ存在しないことがあります。その場合は事業計画書で代替できますが、内容に具体性がなければ事業の継続性そのものを疑われます。売上の根拠、取引先の状況、資金繰りの見通しは、ある程度具体的に書き込んでおくべきです。
転職・業務内容の変更がある場合の追加確認事項
更新のタイミングで相談を受けることが多いのが、「転職した」「部署異動で業務が変わった」というケースです。これを黙って通常の更新書類だけで出そうとすると、審査が長引く原因になります。
| 状況 | 追加で確認・準備すべきこと |
|---|---|
| 転職なし、職務変更あり | 新しい業務内容が学歴・職歴と関連していることを示す業務内容説明書、辞令の写し |
| 転職あり、職務変更なし | 転職先の登記事項証明書、決算文書、事業内容資料、雇用契約書 |
| 転職あり、かつ職務も変更 | 上記の両方に加えて、なぜその職務に転換したのか合理性を説明する資料 |
「変わった理由」と「変わっても学歴・職歴との関連性が保たれていること」。この2点を、審査官が読んですぐ理解できる形で示す必要があります。曖昧にしたまま提出すれば審査は長引き、不許可の要因にもなり得ます。丁寧に説明しておくことをおすすめします。
単純労働をしていた場合、更新はできるのか
相談件数の多い論点です。結論は、実際の業務が単純作業に偏っていると判断されれば、更新は認められません。技人国は「専門的・技術的な知識を要する業務」に従事することが前提の在留資格であり、レジ打ち、品出し、単純な倉庫内作業が中心であれば、制度の趣旨に合いません。
ただし「専門的な仕事だから通る、単純作業だから通らない」という単純な二択で考えるのは危険です。実際には、専門性のある業務をしているにもかかわらず、書類の書き方の問題で単純作業に見えてしまっているケースが少なくありません。
当事務所が経験した実例
ご相談いただいた案件で、実際には専門性のある業務内容にもかかわらず、これまでの業務内容説明書の書き方が原因で、入管側から単純作業と誤認されかけたことがありました。業務の各工程で何を判断し、どんな専門知識を使っているのかを一つひとつ言語化して書き直したところ、無事に理解を得ることができました。※上記は当事務所で取り扱った実際の相談内容をもとにしていますが、個別の状況により結果は異なります。同様の結果を保証するものではありません。
更新のタイミングで、「業務内容が、専門性の伝わる書き方になっているか」を一度見直すことをおすすめします。本人が実際にやっている作業をそのまま羅列するだけでは、専門性は伝わりません。
審査官が見ているのは肩書きではなく、実際に何をしているかです。肩書きが「システムエンジニア」でも、実態が終日データ入力だけであれば単純作業と見なされます。逆に肩書きが「一般事務」でも、実態が契約書の英文チェックや海外取引先とのやり取りが中心であれば、国際業務として認められる余地があります。もっとも、肩書きと実態がずれていること自体が信用を損ねる要因になるため、採用の段階から肩書きと業務内容を一致させておくことが望ましい進め方です。
技人国と特定技能、更新のタイミングで見直す会社も
更新の相談を受けていると、業務内容が実は技人国よりも特定技能に近い会社に出会うことがあります。無理に技人国のまま更新を通そうとするより、実態に合った在留資格に切り替えたほうが、長期的にはリスクを抑えられるケースです。
| 比較項目 | 技術・人文知識・国際業務 | 特定技能 |
|---|---|---|
| 求められる業務 | 専門的・技術的知識を要する業務 | 特定産業分野で定められた技能を要する業務 |
| 学歴要件 | 原則として大学卒業または専門学校卒業以上 | 技能試験・日本語試験の合格(分野により異なる) |
| 単純作業の可否 | 不可(専門業務であること) | 現場作業も対象になり得る |
もっとも、切り替えには別途の要件確認が必要で、簡単に乗り換えられるものではありません。いずれにしても、更新のタイミングで一度「この方の業務は本当に技人国が適切か」を確認しておくことで、次回以降のトラブルを減らせます。
2026年4月15日に公表された言語能力に関する制度資料
※以下は出入国在留管理庁の告示・公表資料をもとにした解説です。実際の適用範囲や条件は正式な告示で必ず確認してください。制度の細部は今後変更される可能性があります。
2026年4月15日以降、カテゴリー3・4に分類される企業に所属し、主に言語能力を用いて対人業務等に従事する外国人材については、日本語能力を証明する資料の提出が求められる見込みです。目安はCEFRのB2相当、日本語能力試験でいえばN2相当のレベル感になります。
| 項目 | 見込まれる取扱い |
|---|---|
| 対象となる企業 | カテゴリー3・4に該当する企業 |
| 対象となる業務 | 主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合 |
| 求められる水準の目安 | CEFR B2相当(日本語能力試験N2相当のレベル感) |
| 対象となる手続 | 在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請・在留資格取得許可申請 |
更新申請でこの要件に引っかかりそうな方は、まず「自社がカテゴリー3・4に該当するか」「本人の業務が主に言語能力を用いた対人業務にあたるか」を確認するところから始めてください。該当しない業務であれば従来どおりの書類で問題ありません。対人業務の比重が高い方は、早めに証明資料の準備に入ることをおすすめします。日本語能力試験の受験機会は限られているため、更新の直前になって慌てても間に合わないことがあります。
更新審査で「会社の実態」を問われた実例
技人国の更新審査では、書類上の整合性だけでなく、会社としての体制がきちんと機能しているかを問われることがあります。当事務所が実際に経験した例を2つ紹介します。
1日のタイムスケジュールの提出を求められたケース
ある更新申請で、入管から「申請人の1日の業務の流れをタイムスケジュール形式で示してほしい」という指摘を受けたことがあります。業務内容説明書に「専門業務に従事」とだけ書いても、それが1日の大半を占めているのかは審査官には伝わりません。時間単位で業務を可視化することで専門性の比重が伝わり、無事に更新できました。※上記は当事務所で取り扱った実際の相談内容をもとにしていますが、個別の状況により結果は異なります。同様の結果を保証するものではありません。
指揮命令系統図の提出を求められたケース
組織のなかで申請人が誰の指示のもと、どのポジションで働いているのかを示す指揮命令系統図の提出を求められた案件もありました。派遣形態や、部署をまたいで業務を行っている場合、組織図だけでは実際の指揮命令関係が伝わりにくくなります。図に落とし込んで整理したことで審査官の疑問点が解消され、許可に至りました。※上記は当事務所で取り扱った実際の相談内容をもとにしていますが、個別の状況により結果は異なります。同様の結果を保証するものではありません。
この2つの事例に共通するのは、求められてから慌てて作るのではなく、あらかじめ準備しておけばよりスムーズに進められたという点です。更新申請の段階で、業務内容説明書に加えてタイムスケジュールや組織図・指揮命令系統図まで整えておけば、追加の指摘を受けるリスクはかなり下がります。
更新申請でつまずきやすいポイント比較
| つまずきポイント | よくある原因 | 対応の方向性 |
|---|---|---|
| 業務内容が単純作業に見える | 業務内容説明書が作業の羅列になっている | 工程ごとの判断・専門知識の使用箇所を明示する |
| 住民税の未納 | 在留状況が悪いと判断される材料になる | 申請前に納税状況を必ず確認する |
| 組織の指揮命令関係が不明瞭 | 派遣・出向・部署異動などで実態が見えにくい | 指揮命令系統図をあらかじめ用意しておく |
| カテゴリー判定を誤っている | 前年の源泉徴収税額を確認していない | 経理部門と事前にすり合わせる |
よくある質問(FAQ)
Q. 更新はいつから申請できますか?
在留期間満了日の3か月前からです。ぎりぎりになって慌てる会社をこれまで数多く見てきました。早めの準備をおすすめします。
Q. 転職していても更新できますか?
要件を満たせば更新できます。ただし転職先の会社の資料が追加で必要になる点は承知しておいてください。
Q. 単純労働をしていたら更新できませんか?
実態が単純作業であれば、更新は難しくなります。ただし、専門性のある業務であっても書類の書き方が原因で単純作業に見えてしまっているだけのこともよくあります。まずは説明書の見直しから始めてください。
Q. 2026年4月の日本語要件はすべての技人国が対象ですか?
出入国在留管理庁の告示ベースでは、カテゴリー3・4かつ主に言語能力を用いた対人業務に従事する場合が対象とされる見込みです。詳細は正式な告示を確認してください。
Q. 更新が不許可になったらどうすればいいですか?
不許可理由通知書を確認し、原因を特定するところから始めます。詳しい対処法は技術・人文知識・国際業務ビザの不許可事例|理由と対処法を行政書士が解説【不許可後に許可を得た事例あり】で解説しています。
Q. 更新の手数料はいくらですか?
許可された場合、収入印紙で4,000円です。不許可の場合は手数料はかかりません。行政書士に依頼する場合の報酬は別途発生しますが、当事務所では事前に見積もりを提示します。
Q. 更新にはどれくらいの期間がかかりますか?
目安は2週間から2か月です。追加資料の照会が入れば、それ以上に伸びることもあります。満了日ぎりぎりではなく、3か月前になったらすぐに準備を始めておくと安心です。
Q. 何年ごとに更新が必要ですか?
在留期間は5年・3年・1年・3か月のいずれかで決定されます。何年になるかは会社のカテゴリーや在留状況によって審査官が判断するため、一律「何年ごと」とは言い切れません。在留カードに記載された期間を必ず確認してください。
Q. 在留カードの更新にも同じ書類が必要ですか?
在留カードは在留期間更新許可申請の結果として新しいものが交付されます。別途「在留カード更新」という独立した手続きがあるわけではなく、この記事で紹介した更新申請の書類がそのまま必要書類になります。
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保利国際法務事務所|代表 保利一晶(行政書士)|福岡県行政書士会 第16402476号|福岡出入国在留管理局 取次(福)行17第26号
〒815-0037 福岡県福岡市南区玉川町13-3(西鉄高宮駅徒歩5分)|TEL 050-5526-5506(365日9:00〜21:00)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の在留資格申請の許可を保証するものではありません。最新の制度内容は出入国在留管理庁の公表情報を必ずご確認ください。