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介護施設で技人国の外国人ができる業務・できない業務|「介護」との関係

技人国(技術・人文知識・国際業務)の外国人は、介護施設で入浴や食事の介助などの介護業務をすることはできません。入国・在留審査要領 第12編(開示版)15-4がこのことを明文で書いており、解釈の余地はほとんどありません。

一方で、介護施設の仕事は介助だけではありません。経理、人事労務、施設運営の企画や広報、外国人介護職員のための通訳・翻訳など、学術上の素養を必要とする業務であれば技人国の対象になりえます。介護業務そのものを担ってもらいたいなら、在留資格「介護」か特定技能「介護」を選ぶことになります。

この記事でわかること

  • 審査要領15-4が技人国で「できない」と明記している業務
  • 介護施設で技人国に当たりうる業務と、その説明の仕方
  • 「少しだけ介助を手伝う」運用が危うい理由
  • 通訳・翻訳の職員として雇うときのB2要件と必要性の説明
  • 在留資格「介護」・特定技能「介護」との使い分け

審査要領が明記している「できない業務」

技人国と介護の関係について、審査要領は2つのことを書いています。一つは、介護福祉士の資格を持つ人が介護業務をする場合は在留資格「介護」に当たること。もう一つは、技人国では介護施設での介助等の介護業務ができないことです。

介護福祉士の資格を有する者が、本邦の病院、介護施設等で介護業務を行う場合のほか、ケアマネージャーとしての業務に従事する場合は、在留資格「介護」に該当する。なお、在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、介護施設における入浴、食事の介助等の介護業務を行うことはできない。

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第15節 15-4

前半は、他の在留資格との優先関係の話です。入管法は、技人国に当たる活動でも「介護」に当たるならそちらを決定すると定めています(15-2)。介護福祉士の資格者が介護施設で介護業務に就くなら、在留資格は「介護」であり、技人国を選ぶ余地はありません。

後半は、資格の有無にかかわらず、技人国の活動の範囲から介護業務を外すという記述です。例として挙げられているのは入浴と食事の介助ですが、「等の介護業務」とあるため、排せつの介助や移乗の介助など、利用者の身体に直接関わる介護業務全般が含まれると読むのが自然です。

介助が技人国に当たらない理由

技人国の対象になる業務の水準について、審査要領は次のように定義しています。ここでいう「自然科学・人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務」とは、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務を指します。具体的には、「単に経験を積んだことにより有している知識では足りず、学問的・体系的な知識を必要とするもの」でなければなりません(15-2)。

出入国在留管理庁の「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について(令和8年4月改定)も、求人の採用基準に「未経験可、すぐに慣れます。」と書かれるような業務は対象にならないとしています。学歴・実務経験の要件を満たしていない日本人従業員が一般的に従事している業務も同様です。介護業務に専門性がないという意味ではありません。介護の専門性は、介護福祉士という国家資格と在留資格「介護」、それに特定技能「介護」という別の枠組みで受け止められている、という制度上の割り振りです。

この割り振りを理解しておくと、「大卒の外国人だから介護施設で幅広く働いてもらえる」という発想が成り立たないことがわかります。技人国で問われるのは本人の学歴だけでなく、実際に就く業務の中身だからです。

介護施設で技人国に当たりうる業務

介護施設の運営にも、学問的・体系的な知識を必要とする仕事はあります。審査要領15-1〜15-2が代表例として挙げる学問分野(会計学、経営学、法学、商学、情報工学など)と結びつけると、次のような業務が考えられます。表は筆者の整理で、実際の審査は職務内容と業務量で判断されます。

業務 関連する分野 審査で見られる点
経理・財務(決算・予算管理) 会計学、経営学(人文知識) 会計の知識を使う業務が主か。単純な入力作業だけでは足りない
人事労務・採用・研修の企画 経営学、法学(人文知識) 労務管理や制度設計に関わるか
施設運営の企画・広報・マーケティング 経営学、商学(人文知識) 企画立案や分析が主か。チラシ配布などの作業が中心でないか
介護記録システム・ICT機器の導入と管理 情報学、情報工学(技術) システムの設計・運用管理に当たるか
外国人介護職員のための通訳・翻訳、教材作成 外国の文化に基盤を有する思考又は感受性(国際業務) 通訳の必要性とB2相当の言語能力

ここで重要なのは、業務量という論点です。定員が数十名の施設で経理専任の常勤職員を置く必要が本当にあるのか、審査ではこの点が問われます。公表資料は、技人国の活動を在留期間全体で判断するとし、該当する業務がごく一部で残りが反復訓練で従事できる業務であれば非該当になると書いています。複数の施設を運営する法人の本部で経理や人事を担う、といった形のほうが、業務量を説明しやすくなります。

専攻との関連性も通常どおり審査されます。大学卒であれば関連性は比較的緩やかに判断されますが、専門学校卒では専攻科目と業務に相当程度の関連性が求められます(15-10)。介護福祉系の専門学校を出た人を施設の経理で雇う場合、専攻と業務のつながりを説明するのは難しくなります。

「少しだけ介助を手伝う」運用が危うい理由

相談で多いのは、「普段は事務だが、人手が足りないときだけ介助に入ってもらいたい」という希望です。ホテルについては、フロント業務中に団体客の荷物を運ぶなど一時的に技人国に当たらない業務をしても直ちに問題にはしない、という公表資料があります(明確化等について 別紙5)。

しかし筆者は、この考え方を介護施設の介助にそのまま当てはめるのは危険だと考えています。ホテルの荷物運びは審査要領に個別の記述がないのに対し、介護施設の介助は15-4が技人国で「行うことはできない」と名指ししているからです。例外を認める余地を残した書き方になっていない以上、介助をシフトに組み込む運用は避けるべきです。

採用当初の研修についても同じ注意が要ります。審査要領と公表資料は、日本人の大卒社員にも同じように行う研修で、在留期間の大半を占めないものであれば、技人国に当たらない業務の研修を認めています(15-23〜15-24、別紙1)。ただ、介護現場での介助の研修がこの枠組みで認められるかは、15-4の明文との関係で判断が示されていません【要確認】。現場を知ってもらう目的なら、介助をしない見学や同行にとどめるのが安全です。研修の一般的な条件は入社後の現場研修は技人国でできる?審査要領が認める「採用当初の実務研修」の条件で扱っています。

実態として介助が常態化すれば、更新の審査で技人国の活動を続けていないと判断されるおそれがあります。在留資格の範囲外の就労をさせた会社は、不法就労助長罪に問われる可能性もあります。そのリスクは不法就労助長罪とは?企業が問われる責任・罰則と防ぐための確認方法を解説で解説しています。

通訳・翻訳の職員として雇う場合

外国人の介護職員が増えた施設では、母国語で業務を説明できる職員を技人国で雇いたいという相談があります。この場合、国際業務の対象業務である翻訳・通訳として審査されます。大学を卒業していれば3年の実務経験は要りません(15-18)。

注意点は2つあります。第一に、2026年4月15日から、主に言語能力を使う対人業務ではCEFR B2相当の言語能力が前提になりました。日本語であればJLPT N2以上、BJT 400点以上などで、母国語であれば母国語であることで足ります。カテゴリー3・4の施設は申請時に証明資料を出し、カテゴリー1・2も審査の過程で求められることがあります。詳しくは通訳・翻訳・接客の技人国にCEFR B2が必要に(2026年4月15日〜)|大卒なら実務経験不要の例外もを参照してください。

第二に、通訳の必要性です。公表されている許可・不許可事例(明確化等について 別紙3)には、通訳の必要性が認められずに不許可になった例があります。施設に何人の外国人職員がいて、どの言語で、どの場面の通訳や翻訳が必要なのかを数字で示すことが求められます。外国人職員が数名しかいないのに通訳専任の常勤職員を置く、という計画は説明がつきにくくなります。

介護業務を担ってもらうなら

介助を含む介護業務に外国人を就けたい場合、選択肢になるのは在留資格「介護」と特定技能「介護」です。3つの在留資格を介護施設での業務の観点で並べると、次のようになります。

技術・人文知識・国際業務 介護 特定技能1号(介護分野)
入浴・食事等の介助 不可(15-4) 可 可
主な要件 学歴または実務経験、専攻との関連性 介護福祉士の資格 分野の技能試験と日本語試験(介護日本語評価試験を含む)
事務・企画業務 主な業務にできる ― ―

特定技能は19の特定産業分野で受け入れる制度で、介護はその一つです。2号の対象分野には介護が含まれていません。介護分野の1号では、技能実習2号を良好に修了した人でも、介護職種・介護作業の技能実習でなければ介護日本語評価試験は免除されません(第12編 第18節の3 18の3-14〜18の3-17)。要件の詳細は特定技能「介護」とは?受入れ要件・人員配置・他の介護系資格との違いを完全解説で解説しています。

当事務所で求められた資料から

技人国の審査では、専門業務が実際に仕事の中心になっているかが確かめられます。介護施設の事務職員のように、周囲に技人国に当たらない業務が多い職場ほど、この確認は丁寧になります。

ケース:1日のタイムスケジュールの提出を求められた
入管から、対象者の1日の業務内容を時間単位で示すよう求められた事案がありました。専門業務がどの程度の比重を占めているかを確認するための資料要求です。介護施設で技人国の職員を雇う場合も、経理や企画の業務が1日の大半を占め、介助の時間が含まれていないことを、時間割の形で説明できるよう準備しておくことをおすすめします。

※上記は当事務所で取り扱った実際の相談内容をもとにしていますが、個別の状況により結果は異なります。同様の結果を保証するものではありません。

あわせて、職務分掌や組織図で、本人が介護職員の配置とは別の部署に属していることを示しておくと、介護業務に入らない体制であることが伝わりやすくなります。

よくある質問

Q. 人手が足りない日だけ、技人国の職員に食事介助を手伝ってもらうことはできますか?

できません。入国・在留審査要領 第12編(開示版)15-4は、技人国では「介護施設における入浴、食事の介助等の介護業務を行うことはできない」と明記しています。介助が常態化すれば更新の審査で活動の実態が問われ、会社側も不法就労助長罪に問われるおそれがあります。

Q. 介護福祉士の資格を持つ外国人を、技人国で雇うことはできますか?

介護業務に就いてもらうなら、技人国は使えません。介護福祉士の資格を持つ人が病院や介護施設で介護業務を行う場合やケアマネージャーの業務に従事する場合は在留資格「介護」に当たり、技人国に当たる活動でも「介護」が優先されます(15-2、15-4)。

Q. 介護施設の事務職として技人国で雇えますか?

経理、人事労務、施設運営の企画・広報など、学問的・体系的な知識を必要とする業務が主な仕事であれば、技人国で審査を受けられます。事務の業務量が常勤の仕事として成り立つこと、介護業務が含まれないことを職務内容で示す必要があります。

Q. 外国人介護職員の通訳として技人国で雇う場合、何に注意すればよいですか?

通訳が必要な理由(外国人職員の人数や言語など)を具体的に示すことと、2026年4月15日から求められているCEFR B2相当の言語能力を証明することです。カテゴリー3・4の施設は、申請時にB2相当の証明資料を提出します。

雇用契約を結ぶ前に確認すること

最初に、その外国人に任せたい業務を書き出し、介助が1つでも含まれていないかを確認してください。含まれているなら、技人国をやめて在留資格「介護」か特定技能「介護」を検討します。含まれていないなら、その業務が学問的・体系的な知識を要するものか、常勤の仕事として成り立つ業務量があるか、本人の専攻とつながるかを順に確かめる段階に進みます。現場の人員配置表と照らして、介助に入らざるを得ない場面が生じないかまで見ておくと、採用後の運用で迷わずに済みます。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第15節「技術・人文知識・国際業務」15-1〜15-2(該当範囲・用語の意義)、15-4(介護との関係)、15-10(専攻との関連性)、15-18(第2号の大卒特例)、15-23〜15-24(採用当初の実務研修)
  • 同 第18節の3「特定技能」18の3-14〜18の3-17(日本語能力水準)
  • 出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」(令和8年4月改定)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan69.html
  • 同 別紙1(実務研修)https://www.moj.go.jp/isa/content/001413640.pdf/別紙3(許可・不許可事例)https://www.moj.go.jp/isa/content/001413912.pdf/別紙4(言語能力を用いる対人業務)https://www.moj.go.jp/isa/content/001413643.pdf/別紙5(ホテル・旅館等)https://www.moj.go.jp/isa/content/001413644.pdf
  • 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」ページ https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html
  • 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月)https://www.moj.go.jp/isa/content/001468647.pdf