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在留カードの偽造の見分け方|法務省が示すホログラム・透かし・MOJ文字の確認

在留カードの偽造を見分けるには、出入国在留管理庁(法務省の外局)がリーフレット「『在留カード』の主な記載内容」で示している4つの偽造防止対策を目視で確かめ、そのうえで「在留カード等読取アプリケーション」でICチップの情報と券面を照合します。目視で見る4点は、カードを上下に傾けたときの「MOJ」の周囲の色変化、左端の色変化、左右に傾けたときに立体的に動く「MOJ」のホログラム、強い光に透かしたときに見える「MOJMOJ…」の透かし文字です。ただし、精巧な偽造カードは目視だけでは見抜けないことがあり、入管庁自身もICチップの確認を勧めています。この記事では、目視の確認方法を1つずつ説明したうえで、偽造と気付いたときの通報先と、採用の前に止めるための社内の手順を整理します。

在留カードの偽造が企業の問題になる理由

在留カードは、日本に中長期間在留する外国人に出入国在留管理庁が交付するカードで、在留資格、在留期間の満了日、就労制限の有無などが記載されています。企業が外国人を採用するとき、その人が働ける在留資格を持っているかを確かめる主な手段が、この在留カードの確認です。

偽造カードが使われる典型は、就労できない人(在留期限が切れた人、短期滞在で入国した人、留学で週28時間を超えて働きたい人など)が、就労制限のない在留資格や「永住者」「定住者」と記載された偽のカードを示して働こうとする場面です。実在する他人の在留カード番号を使い、氏名・写真・在留資格の欄だけを差し替えた偽造カードも確認されています。入管庁は読取アプリの導入目的として「近年、券面の偽造技術の精巧化、有効な在留カード番号を使用した偽変造在留カード作成事案が発生する」と説明しています。

企業にとっての問題は、偽造カードを見抜けずに雇った場合でも、責任を免れるとは限らない点です。入管法73条の2は、不法就労をさせた事業主を不法就労助長罪で処罰し、同条2項は、働かせた外国人が就労できないことを知らなかったとしても、知らなかったことに過失があれば処罰を免れないと定めています。罰則は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、2027年4月1日からは5年以下・500万円以下に引き上げられます。在留カードを目視しただけで済ませていた、写しを取っていなかった、といった事情は、過失を否定する材料になりにくくなります。制度の詳細は不法就労助長罪とは?企業が問われる責任・罰則と防ぐための確認方法で解説しています。

目視で見る4つの偽造防止対策

出入国在留管理庁のリーフレット「『在留カード』の主な記載内容」は、券面の偽変造防止対策として次の4つを図入りで示しています。いずれも原本を手に取らないと確認できません。コピーやスマートフォンの画像では確認できないので、面接の場で原本を預からずに本人の手元で傾けてもらう形で確認します。

1. 「MOJ」の周囲の絵柄がピンクからグリーンに変わる

カードを上下方向に傾けると、表面の「MOJ」の文字の周囲の絵柄が、ピンクからグリーンに変化します。見る角度によって色が変わる特殊なインクが使われているためです。平らに置いたまま見ても分からないので、手に持って手前と奥に傾けながら見ます。

2. カードの左端がグリーンからピンクに変わる

同じくカードを上下方向に傾けると、表面の左端の部分の色が、グリーンからピンクに変化します。1と同じ仕組みで、色の変わる方向が逆になっています。1と2を同時に確認すると、傾けたときに2か所の色が入れ替わるように見えます。

3. 「MOJ」のホログラムが立体的に動き、文字の白黒が反転する

カードを左右に傾けると、銀色の「MOJ」のホログラムが3D的に左右に動きます。また、見る角度を90度変える(カードを縦にして見る)と、ホログラムの文字の白黒が反転します。平面に印刷しただけの偽造カードでは、ホログラムの動きや白黒の反転が再現されにくい部分です。

4. 強い光に透かすと「MOJMOJ…」の透かし文字が見える

暗い場所で、カードの表面側から強い光を直に当てて透かして見ると、「MOJMOJ・・・」と並んだ透かし文字が見えます。スマートフォンのライトを使えば確認できますが、光を当てる向きは表面側からです。

4つのうち、面接の場で短時間に確認しやすいのは1と3です。2と4は、事務所に戻ってから写しを取るときに合わせて確認すると、見落としを減らせます。出入国在留管理庁は、目視による真偽の判断方法を紹介する映像を「動画ライブラリー」で公開しているので、採用担当者が一度見ておくと、実物を手にしたときの判断がしやすくなります。

目視と合わせて確認する記載の不自然さ

偽造防止対策とは別に、記載内容の不自然さも手がかりになります。いずれも偽造を断定するものではなく、違和感があれば読取アプリでの確認に進む、という位置づけです。

  • 在留資格と就労制限の組み合わせ:「留学」なのに「就労制限なし」、「永住者」なのに「就労不可」など、在留資格と就労制限欄の組み合わせが制度上ありえない
  • 有効期間と年齢:有効期間の満了日が本人の年齢や在留資格から見て不自然(永住者のカードの有効期間は、2026年6月13日以前の交付分は交付から7年、6月14日以降の交付分は交付日後の10回目の誕生日まで)
  • 交付者の表示:2019年4月1日以降に交付されたカードの交付者は「出入国在留管理庁長官」で、それ以前は「法務大臣」。交付年月日と交付者の表示が食い違っている
  • フォント・文字間隔:同じ欄の文字の大きさや間隔がそろっていない、写真の周囲に貼り合わせた跡がある

2026年6月14日以降に交付された新様式のカードでは、「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」「交付年月日」が券面から消え、ICチップにだけ記録されるようになりました。新様式のカードに「在留期間 3年」などと書かれていれば、それだけで不自然です。一方で、旧様式と新様式が混在する期間は、見慣れない券面を「偽造かもしれない」と誤認しやすい時期でもあります。新様式の券面で、先に挙げた4つの偽造防止対策がどう引き継がれたかについて、出入国在留管理庁の公表資料で確認できる記述は、2026年9月29日時点で見当たりません(公式資料では未確認)。新様式のカードは、目視の結果にかかわらず読取アプリでの確認を必ず行う運用にしておくのが安全です。

目視の限界を補う2つの公式ツール

目視は入口にすぎません。出入国在留管理庁は、真偽を確かめる手段として2つの無料ツールを用意しています。

1つ目は、在留カード等読取アプリケーションです。スマートフォン(NFC Type B対応のAndroid 12.0以降、iOS 16.0以降)か、パソコンと非接触型ICカードリーダがあれば使えます。在留カードのICチップを読み取り、チップに記録された顔写真・氏名・在留資格・就労制限などを画面に表示します。ICチップの情報には出入国在留管理庁長官の電子署名が施されており、偽造・改ざんされたチップでは真正性の確認でエラーになります。券面の写真や記載とチップの情報が一致しなければ、券面が差し替えられていると判断できます。読取アプリの操作手順は在留カード読み取りアプリの使い方|ICチップで偽造を見分ける手順と結果画面で扱います。

2つ目は、在留カード等番号失効情報照会です。カード番号と有効期間の満了日を入力すると、その番号が失効していないかが分かります。ただし、実在する他人の番号を使った偽造カードでは「失効していません」と表示されるため、照会だけでは偽造を否定できません。照会の使い方と限界は在留カード等番号失効情報照会の使い方|採用時に有効性を確認する方法で説明しています。

目視・読取アプリ・失効照会はそれぞれ見ているものが違います。目視はカードの物理的な作り、読取アプリはICチップと券面の一致、失効照会は番号の有効性です。3つを組み合わせたとき、はじめて「確認を尽くした」と説明できる状態になると筆者は考えます。

偽造と気付いたときの対応と通報先

確認の結果、偽造の疑いが強いと判断した場合は、次の順で対応します。

最初に、その人を就労させないことです。採用手続を止め、すでに働いている場合は就労をやめてもらいます。本人に事情を聞くのは構いませんが、カードを取り上げて保管することは避けます。在留カードの携帯義務は本人にあり(入管法23条)、厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」も、事業主が旅券等を保管しないよう求めています。確認の記録として、読取アプリの結果画面や、表裏の写しを残しておきます。

次に、出入国在留管理庁へ情報を提供します。最寄りの地方出入国在留管理官署に連絡するほか、出入国在留管理庁のウェブサイトの「入管法違反者に関する情報提供」から、オンラインで情報を送ることもできます。九州の企業であれば、福岡出入国在留管理局(福岡市中央区舞鶴3-5-25 福岡第1法務総合庁舎)とその出張所が窓口です。本人が偽造カードを行使した疑いがあり、身の危険を感じるなど緊急性が高い場合は、警察に通報します。福岡出入国在留管理局の所在地と管轄は福岡出入国在留管理局への行き方・予約方法で整理しています。

偽造カードに関わった本人の側の罰則は重く定められています。入管法73条の3は、行使の目的で在留カードを偽造・変造した者、偽造カードを行使した者、提供・収受した者を、1年以上10年以下の拘禁刑に処すると定めています。行使の目的で偽造カードを所持しただけでも、73条の4により5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。他人名義の本物の在留カードを使った場合は、73条の6により1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金になります。偽造カードの売買を持ちかけられた、偽造カードの作成を仲介する人がいる、といった情報も、同じ窓口に提供できます。

雇用前に止めるための社内フロー

偽造カードの問題は、見分ける技術よりも、確認の手順が決まっているかどうかで結果が分かれます。採用担当者が1人で判断する形では、繁忙期に確認が省かれやすいからです。筆者が勧めるのは、次の5段階を採用の手順書に組み込み、どの段階を誰がいつ行ったかを記録に残す方法です。

段階 行うこと 記録に残すもの
1 面接前 在留カード原本を持参するよう案内する(写しでの提出は受け付けない) 案内文
2 面接時 原本の表裏を目視し、4つの偽造防止対策と記載の不自然さを確認する チェックシート(確認者・日時)
3 内定前 読取アプリでICチップを読み取り、券面と照合する。失効情報照会も行う 読取結果の画面、照会結果の画面
4 入社時 表裏の写しを取り、就労制限・在留資格と業務の適合、満了日を人事台帳に登録する 写し、台帳
5 入社後 満了日の3か月前に更新の案内をし、更新後の新しいカードで2〜4をやり直す 更新時の確認記録

3の読取アプリの確認を内定の前に置いているのは、内定を出した後に偽造が判明すると、取消しの手続や本人とのトラブルが生じやすいからです。スマートフォンが対応していない場合に備えて、非接触型ICカードリーダを1台、人事部に置いておくと、担当者が替わっても手順が止まりません。

派遣や業務委託で外国人を受け入れる場合も、自社が直接雇用しないから確認は不要、とはなりません。派遣先も不法就労助長罪の「働かせた者」に当たり得るため、派遣元が在留カードを確認した記録の写しを受け取る、といった取決めを契約に入れておきます。

よくある質問

在留カードの偽造を見分けるアプリはありますか?

出入国在留管理庁が無料で配布している「在留カード等読取アプリケーション」があります。Google PlayとApp Storeのほか、Windows版・macOS版もあります。ICチップの情報を読み取って、偽造・改ざんされていないかを確認し、券面と照合できます。民間の類似アプリもありますが、確認の記録として説明しやすいのは国が配布するアプリです。

在留カードの偽造チェックはスマホでできますか?

できます。NFC Type Bに対応したスマートフォン(Android 12.0以降、iOS 16.0以降)に読取アプリを入れ、カードをかざすとICチップを読み取れます。iPadには対応していません。目視の4つの確認も、スマートフォンのライトがあれば透かし文字まで確認できます。

在留カードを偽造すると懲役何年ですか?

入管法73条の3により、行使の目的で偽造・変造した者は1年以上10年以下の拘禁刑です(2025年6月1日から懲役は拘禁刑に一本化されています)。偽造カードを使った者、提供・収受した者も同じ刑です。行使の目的での所持は5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。偽造カードを使って働いた本人は、これとは別に不法就労や退去強制の問題にもなります。

在留カードの偽造はどこに通報すればよいですか?

最寄りの地方出入国在留管理官署か、出入国在留管理庁ウェブサイトの「入管法違反者に関する情報提供」です。緊急性が高い場合は警察に通報します。通報の前に、読取アプリの結果や写しなど、偽造と判断した根拠を記録に残しておくと、その後のやり取りが円滑になります。

「見抜く力」より「確認を省かない仕組み」を

在留カードの偽造の見分け方を調べる人の多くは、見た目で本物と偽物を区別するコツを知りたいのだと思います。入管庁が示す4つの偽造防止対策は、そのための確かな手がかりです。ただ、精巧な偽造カードは目視だけでは見抜けないことがあり、2026年6月以降は新旧の様式が混在して、見た目の判断はさらに難しくなっています。

判断の軸は、目視で違和感を拾い、読取アプリで確かめ、その結果を記録に残す、という手順が毎回省かれずに回っているかどうかです。この手順が回っていれば、万一偽造カードに行き当たっても、会社として確認を尽くしたことを説明できます。採用の手順書づくりや、偽造が疑われるカードへの対応に迷うときは、申請取次の行政書士に相談することもできます。

根拠資料


在留資格の申請・採用のご相談は、保利国際法務事務所の無料相談へ。福岡出入国在留管理局への申請取次に対応しています。