家族滞在ビザ(在留資格「家族滞在」)は、日本で働く外国人や留学生に扶養される配偶者と子が、日本で一緒に暮らすための在留資格です。呼べるのは法律上の配偶者と子だけで、親や兄弟は対象になりません。また、扶養者の在留資格によっては家族滞在そのものが使えず、特定技能1号と技能実習で在留する人は、原則として家族を家族滞在で呼ぶことができません。2027年4月1日からは、ここに育成就労と企業内転勤2号が加わります。
家族滞在とは|入管法が定める活動の範囲
家族滞在は、入管法別表第一の四の表に置かれた在留資格です。条文は、この在留資格で行える活動を次のように定めています。
一の表、二の表又は三の表の上欄の在留資格(外交、公用、特定技能(二の表の特定技能の項の下欄第一号に係るものに限る。)、技能実習及び短期滞在を除く。)をもつて在留する者又はこの表の留学の在留資格をもつて在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動
分解すると、要件は3つです。
- 扶養者が、条文に列挙された在留資格で日本に在留していること
- 申請人が、扶養者の配偶者または子であること
- 申請人が、扶養者の扶養を受けていること
ここでいう「日常的な活動」とは、家事や育児、子どもの通学など、家族として日本で生活するために行う活動を指します。収入を得る仕事はこの中に含まれないため、アルバイトをするには別途、資格外活動許可が必要です。
在留カードの「在留資格」欄に「家族滞在」と書かれ、「就労制限の有無」欄に「就労不可」とあるのはこのためです。裏面の「資格外活動許可欄」に「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」の記載があれば、その範囲でアルバイトができます。家族滞在の人を雇うときの時間管理は家族滞在ビザで働ける時間は?資格外活動許可と週28時間を超えた場合のリスクで扱います。
在留期間は、入管法施行規則別表第二で「五年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間」とされており、最長は5年です。他の就労資格のように「5年・3年・1年」といった決まった刻みが規則に列挙されているわけではありません。扶養者の在留期間を超える期間が出ることは通常なく、扶養者と同じか、それより短い期間になるのが一般的です。
扶養者の在留資格ごとに見る、家族滞在で呼べるか呼べないか
家族滞在の可否を決める最初の分かれ目は、扶養者の在留資格です。条文の除外規定と、上陸許可基準省令(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令)の家族滞在の項を合わせて整理すると、次のようになります。
| 扶養者の在留資格 | 家族滞在 | 補足 |
|---|---|---|
| 教授、芸術、宗教、報道 | 可 | 一の表の在留資格 |
| 高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、介護、興行、技能 | 可 | 高度専門職の配偶者は、就労できる「特定活動」を選ぶこともできる |
| 企業内転勤(1号) | 可 | 2027年4月1日以降も可 |
| 企業内転勤(2号) | 不可 | 2027年4月1日施行の改正法で新設・除外 |
| 特定技能2号 | 可 | 2号は家族帯同が認められる |
| 特定技能1号 | 不可 | 条文で明示的に除外 |
| 技能実習 | 不可 | 条文で除外。2027年4月1日以降は育成就労も除外 |
| 文化活動 | 可 | 三の表の在留資格 |
| 留学 | 条件付きで可 | 大学・大学院・短大・高専・専門学校(専門課程)の学生に限る。日本語学校生や高校生は上陸基準を満たさない |
| 外交、公用 | 不可 | 家族は「外交」「公用」の在留資格で在留する |
| 短期滞在 | 不可 | 短期の来日に家族を扶養して滞在させる仕組みはない |
| 家族滞在、特定活動、研修 | 不可 | 条文の列挙に含まれない。特定活動の家族は、告示で定められた「特定活動」で在留する |
| 日本人の配偶者等、永住者、定住者など(身分系) | 家族滞在ではない | 配偶者は「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」、子や連れ子は「定住者」などを使う |
特定技能1号・技能実習の家族が呼べない理由
特定技能1号と技能実習が除外されているのは、どちらも在留期間に上限があり、一定期間の就労や技能修得の後に帰国することを前提に設計された制度だからです。特定技能1号の通算在留期間は原則5年、技能実習は最長5年とされ、家族の帯同を認めない代わりに、制度の目的を限定しています。
同じ特定技能でも、2号は熟練した技能を要し、在留期間の更新に上限がないため、家族滞在で配偶者と子を呼べます。1号から2号に移行した時点で家族を呼べるようになる、というのが制度上の流れです。1号と2号の違いは特定技能1号と2号の違いとは?で比較しています。
なお、特定技能1号の外国人の家族であっても、もともと留学生同士の夫婦で、配偶者がすでに「家族滞在」などで日本にいた場合や、日本で子が生まれた場合には、個別の事情を踏まえて「特定活動」での在留が認められることがあります。これは告示で定められた類型ではなく、個々の事情によって判断されるものです。
2027年4月1日からの変更点|育成就労と企業内転勤2号
2024年6月21日に公布された「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第60号)は、2027年4月1日に施行されます。施行後の入管法別表第一の四の表の家族滞在の項は、除外する在留資格を「外交、公用、企業内転勤(二の表の企業内転勤の項の下欄第二号に係るものに限る。)、特定技能(同第一号に係るものに限る。)、育成就労及び短期滞在」と改めています(e-Gov法令検索の2027年4月1日施行版による)。
技能実習に代わって創設される育成就労は、特定技能1号の水準の人材を3年間で育てる制度で、技能実習と同じく家族の帯同は認められません。企業内転勤2号は、海外の事業所の職員を日本の事業所で技能修得させる活動のために新設される区分で、こちらも家族滞在の扶養者にはなれません。企業内転勤2号の詳細は企業内転勤2号とは?で解説しています。
従来の企業内転勤(施行後は1号)の家族は、引き続き家族滞在で呼べます。企業の人事担当者が海外子会社から社員を呼ぶ場合、同じ「企業内転勤」でも1号と2号で家族帯同の可否が分かれる点に注意してください。
留学生が家族を呼ぶ場合の条件
留学生の家族については、条文上は「留学の在留資格をもって在留する者」と広く書かれていますが、上陸許可基準省令の家族滞在の項が、扶養者の留学を「留学の項の下欄第一号イ又はロに該当するもの」に限っています。具体的には、大学(大学院・短大を含む)、これに準ずる機関、高等専門学校、専修学校の専門課程・専攻科に入学して教育を受ける人と、夜間の大学院で学ぶ人です。専ら日本語教育を受ける人(日本語学校の学生や大学の日本語別科生)は除かれます。
したがって、日本語学校に通う留学生が海外から配偶者を家族滞在で呼ぶことは、在留資格認定証明書の段階で基準を満たしません。上陸許可基準は、厳密には新たに入国する場面(在留資格認定証明書交付申請)に適用される基準ですが、変更申請でも実務上はこれに沿って判断されると考えておくのが安全です。
留学生が扶養者になる場合、奨学金や仕送り、預金で家族の生活費を賄えることを、預金残高証明書や奨学金の給付証明書で示す必要があります(出入国在留管理庁「在留資格『家族滞在』」提出書類)。留学生の資格外活動によるアルバイト収入は、週28時間以内という制限があるため、それだけで家族を扶養できると評価されることはまれです。
家族滞在の対象になる「配偶者」と「子」の範囲
家族滞在で呼べる家族は、配偶者と子に限られます。出入国在留管理庁の内部基準である入国・在留審査要領(情報公開請求で開示されたもの)の家族滞在の項は、それぞれの範囲を次のように説明しています。審査要領の性格と読み方は入国・在留審査要領とは?で解説しています。
配偶者
配偶者とは、現に婚姻が法律上有効に存続中の者をいい、離別した者、死別した者、内縁の者は含まれません。法律上の婚姻が成立していても、同居し、互いに協力し扶助し合って社会通念上の夫婦の共同生活を営むという婚姻の実体を伴っていない場合には、配偶者としての活動を行うものとはいえず、在留資格該当性は認められないとされています。
外国で有効に成立した同性婚の配偶者は、家族滞在の対象には含まれません。法務省入国管理局は2013年10月18日付けの通知(法務省管在第5357号)で、家族滞在の「配偶者」には外国で有効に成立した同性婚による配偶者は含まれないとしたうえで、その配偶者が「特定活動」で在留することは原則として認める取扱いを示しています。
婚姻の成立は、戸籍謄本、婚姻届受理証明書、結婚証明書などで証明します。国によっては婚姻を登録する制度や証明書の様式が日本と異なるため、本国の制度に沿った書類を用意することになります。
子
子には、嫡出子のほか、養子(普通養子・特別養子)と認知された非嫡出子が含まれます。成年に達した子も、扶養を受けている限り対象になり得ます。
ただし、成年に近い子や成年の子を新たに呼ぶ場合は、「扶養を受ける」状態にあるかどうかが厳しく見られます。本国で就労していた子や、日本に来た後に働くことが主な目的と見られる子は、扶養を受ける子とは評価されにくくなります。
親・兄弟・配偶者の連れ子
親や兄弟姉妹は、家族滞在の対象外です。本国の親を日本に呼ぶ場合は、短期滞在での親族訪問か、一定の条件を満たす高度専門職の親の帯同、または極めて限られた事情のもとでの「特定活動」(いわゆる老親扶養)を検討することになります。
配偶者の連れ子は、扶養者と養子縁組をしていれば「子」として家族滞在の対象になり得ます。養子縁組をしていない連れ子は、扶養者本人の子には当たりません。
審査要領が定める「扶養を受ける」の意味
家族滞在の審査で最も実質的に問われるのが、3つ目の要件である「扶養を受ける」ことです。入国・在留審査要領の家族滞在の項は、この言葉の意味を次のように説明しています。
- 扶養者が扶養の意思を有し、かつ、扶養することが可能な資金的裏付けを有すると認められること
- 配偶者の場合は、原則として同居を前提として扶養者に経済的に依存している状態にあること
- 子の場合は、扶養者の監護養育を受けている状態にあること
- 経済的に独立している配偶者または子としての活動は含まれないこと
ここで重要なのは、「扶養を受ける」が扶養者側の条件(意思と資力)と、申請人側の条件(依存と監護養育)の両方からなっている、という論点です。扶養者の年収が十分でも、申請人が日本でフルタイムに近い形で働いて自分の生活費を稼いでいれば、経済的に独立していると評価されます。反対に、申請人が働いていなくても、扶養者の収入が家族の生活費に足りなければ、扶養の資金的裏付けがないと判断されます。
扶養者の資力はどう見られるか
扶養者の資力について、審査要領や出入国在留管理庁の公表資料に、年収の具体的な金額は示されていません。提出書類として求められるのは、扶養者の在職証明書と、住民税の課税(または非課税)証明書・納税証明書(1年間の総所得と納税状況が記載されたもの)です(出入国在留管理庁「在留資格『家族滞在』」)。
審査では、扶養者の収入と、呼び寄せる家族の人数、住居の状況などを合わせて、日本で家族が生活していけるかが判断されます。子どもが複数いる家庭ほど、同じ年収でも評価は厳しくなります。扶養者の年収の考え方は家族滞在ビザの年収要件|扶養者の収入はいくら必要?審査の目安と試算例で詳しく扱います。
課税証明書は、前年1年間の所得に基づいて作られるため、入国直後の扶養者は日本での課税証明書を出せません。この場合は、雇用契約書や在職証明書で見込みの年収を示し、あわせて預金残高証明書などで当面の生活費があることを示すのが通常の方法です。
同居と経済的依存
配偶者について「原則として同居を前提として」とされている点は、日本での生活の実態を問うものです。扶養者が単身赴任で別の都市に住み、配偶者だけが別の場所で暮らしている、といった形は、合理的な理由がなければ扶養を受けているとは評価されにくくなります。
経済的依存の点で問題になりやすいのが、資格外活動の時間超過です。家族滞在の配偶者が週28時間を超えてアルバイトを続け、扶養者に近い額の収入を得ていると、更新申請の課税証明書で所得が確認され、経済的に独立しているのではないか、そもそも家族滞在の活動をしていないのではないかと疑われます。家族滞在の更新が不許可になる典型的な原因の1つです。
家族滞在の申請の種類と、在留中の届出
家族滞在の申請は、状況に応じて4つに分かれます。
- 在留資格認定証明書交付申請:海外にいる家族を新たに日本に呼ぶ場合。扶養者本人などが日本の地方出入国在留管理局に申請する
- 在留資格変更許可申請:留学などすでに日本にいる家族が家族滞在に切り替える場合
- 在留期間更新許可申請:家族滞在の在留期間を延長する場合
- 在留資格取得許可申請:日本で子が生まれた場合など。出生の日から30日以内に申請する
認定と変更で必要な書類は、申請書、写真、身分関係を証する文書、扶養者の在留カードまたは旅券の写し、扶養者の職業と収入を証する文書が基本です。写真は、2026年6月14日以降に交付される在留カードから1歳以上の人について必要になりました(出入国在留管理庁「在留資格『家族滞在』」)。
在留中の届出として、家族滞在の人は、扶養者と離婚または死別したときに14日以内に出入国在留管理庁長官に届け出る義務があります(入管法19条の16第3号の配偶者に関する届出)。この届出の対象は「家族滞在(配偶者として行う日常的な活動を行うことができる者に係るものに限る。)」と条文で定められており、子は対象外です。
扶養者の在留資格が変わったとき、家族はどうなるか
家族滞在は扶養者の在留資格に連動しているため、扶養者の状況が変わると家族の在留資格も影響を受けます。企業の人事担当者が見落としやすいのはこの場面です。
扶養者が技術・人文知識・国際業務から特定技能1号に変更した場合、家族滞在の前提となる在留資格がなくなります。家族は在留期間の満了まで在留を続けられますが、次の更新は家族滞在では認められません。扶養者の在留資格を変えるときは、家族の在留資格をどうするかを同時に考える必要があります。
扶養者が退職して帰国した場合や、扶養者の在留資格が取り消された場合も、家族は家族滞在の活動を続けられなくなります。
扶養者が永住許可を受けた場合も注意が必要です。家族滞在の扶養者は入管法別表第一の在留資格で在留する人に限られるため、扶養者が「永住者」になると、家族は家族滞在の該当性を失います。出入国在留管理庁の「永住者の配偶者等」のページも、身分関係に変更が生じている場合は速やかに申請するよう求めています。配偶者は「永住者の配偶者等」、子は条件によって「永住者の配偶者等」または「定住者」への変更を速やかに申請します。変更後は就労制限のない在留資格になるため、家族の就労の幅も広がります。
よくある質問
家族滞在ビザで家族を帯同できるのは誰ですか?
扶養者の法律上の配偶者と子(嫡出子・養子・認知された非嫡出子)です。親、兄弟姉妹、内縁の配偶者、婚約者は対象外です。扶養者の在留資格が特定技能1号、技能実習、外交、公用、短期滞在の場合は、配偶者と子であっても家族滞在で呼ぶことはできません。
家族滞在ビザの条件は?
扶養者が入管法の定める在留資格(就労資格の多く、文化活動、大学等の留学)で在留していること、申請人がその配偶者または子であること、申請人が扶養者の扶養を受けていることの3つです。扶養を受けているといえるには、扶養者に扶養の意思と資力があり、配偶者は原則として同居して経済的に依存し、子は監護養育を受けている必要があります。
家族滞在は何歳まで対象になりますか?
条文や審査要領に年齢の上限はなく、成年に達した子も扶養を受けていれば対象になり得ます。ただし、成年の子を新たに呼ぶ場合や、子が日本の学校を卒業した後は、経済的に独立していないか、扶養を受ける実態があるかが厳しく見られます。
家族滞在ビザでアルバイトはできますか?
資格外活動許可を受ければ、原則として週28時間以内でアルバイトができます。風俗営業等に当たる仕事はできません。時間を超えて働くと、資格外活動の違反になるだけでなく、扶養を受けているという家族滞在の前提そのものが疑われ、更新に影響します。
家族滞在の在留期間は何年ですか?
規則上は「5年を超えない範囲内で法務大臣が個々に指定する期間」で、最長は5年です。通常は扶養者の在留期間と同じか、それより短い期間が決定されます。
家族を呼ぶ前に確認すべき順番
家族滞在の相談を受けるとき、最初に確認すべきなのは扶養者の在留資格です。特定技能1号や技能実習、2027年4月以降の育成就労や企業内転勤2号であれば、配偶者と子がどれほど扶養を受けていても家族滞在は使えず、議論の出発点が変わります。
扶養者の在留資格が家族滞在の対象であれば、次に呼ぶ家族が配偶者と子の範囲に入るか、最後に扶養者の収入と家族の人数から見て扶養が成り立つかを確認します。この順番で見ていけば、申請が見込みのない形で進むことは避けられます。
企業として外国人社員の家族の呼び寄せを支援する場合、会社が関われるのは主に在職証明書の発行と、年収の見込みを示す書類の準備です。あわせて、社員の在留資格を変更する予定(特定技能1号への切替えや企業内転勤の区分)があるときは、家族の在留資格への影響を先に説明しておくと、後から家族が在留できなくなる事態を防げます。家族滞在が許可されるかどうかは個別の事情で判断が変わるため、扶養者の在留資格や収入に不安がある場合は、申請前に専門家に相談してください。
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根拠資料
- 出入国管理及び難民認定法 別表第一(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法 2027年4月1日施行版(令和6年法律第60号による改正後)(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(e-Gov法令検索)
- 在留資格「家族滞在」(出入国在留管理庁)
- 同性パートナーの在留資格(東京弁護士会・2022年12月9日。2013年10月18日法務省管在第5357号通知の紹介)
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