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研究職・大学・学校の先生は技人国か|「教授」「研究」「教育」との線引き

大学や高等専門学校で研究や教育をする人は「教授」、小学校・中学校などの学校で教える人は「教育」、研究そのものを目的に働く人は「研究」です。技人国(技術・人文知識・国際業務)になるのは、民間企業の研究開発や、語学学校・社内研修での指導のように、これらに当たらない仕事です。

線を引く基準は在留資格ごとに違います。「教授」は契約先ではなく活動の場所で決まり、「研究」は活動の目的で決まり、「教育」は教育機関の種類で決まります。入国・在留審査要領 第12編(開示版)15-2〜15-3は、この3つと技人国の関係を短い条文でまとめて整理しており、ここを読めば迷いやすい場面の多くに答えが出ます。

この記事でわかること

  • 技人国より「教授」「研究」「教育」が優先される仕組み(入管法別表の括弧書き)
  • 大学での仕事が「教授」になる基準:契約先より活動の場所
  • 「研究」と技人国の研究開発を分ける基準:活動の目的
  • 学校の先生・ALT・語学講師・社内研修講師の在留資格
  • 学歴要件の違い(専門士・高度専門士)と高度専門職1号イとの関係

技人国は他の在留資格が優先される受け皿

ここでいう受け皿とは、ほかの在留資格に当たらない活動を最後に受け止める在留資格という位置づけを指します。技人国の活動を定めた入管法別表の条文には、括弧書きが付いています。ある活動が技人国に当たる場合でも、同時にほかの一定の在留資格に当たるなら、そちらを優先するという定めです。審査要領はこれを次のように説明しています。

申請人の行おうとする活動が「技術・人文知識・国際業務」に係る活動に該当する場合であっても、その活動が「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「企業内転勤」、「介護」及び「興行」のいずれかに係る活動に該当する場合は、これらの在留資格を決定する。

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第15節 15-2

大学の研究者も、民間企業の技術者も、学術上の素養を背景に専門的な知識を使って働く点では変わりません。技人国の定義だけを読めば、どちらも当てはまってしまいます。そこで入管法は、教授・研究・教育などの専用の在留資格に当たる活動を先に切り出し、残りを技人国で受け止める構造にしています。

実務上の意味は、申請の順序にあります。「技人国の要件を満たすか」を考える前に、「教授・研究・教育のどれかに当たらないか」を確認しなければなりません。技人国の要件を満たしていても、活動が教授に当たるなら技人国は決定されないからです。

大学で働くなら「教授」:決め手は活動の場所

「教授」の在留資格は、大学、これに準ずる機関、高等専門学校で研究、研究の指導、教育をする活動を対象とします(15-2〜15-3)。在留資格の名前は「教授」でも、職名が教授であることは要件になっていません。判断されるのは、研究・研究の指導・教育という活動の中身です。

なお、外国人が契約する機関がこれらの教育機関以外であっても、研究等を行う場所がこれらの教育機関である場合は、「教授」の在留資格となる。

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第15節 15-3

ここで重要なのは、雇用契約の相手方で決まるわけではないという論点です。民間企業に雇われた研究者が、共同研究のために大学の研究室に常駐して研究をする場合、契約先は企業でも、研究の場所が大学なので「教授」になります。企業側は「うちの社員だから技人国」と考えがちですが、審査要領の基準はそうなっていません。

反対に、大学に雇われていても、研究・研究の指導・教育をしない職員は「教授」の対象外です。大学の国際交流課で留学生の受入れ企画や翻訳を担当する職員がその例で、筆者はこの場合、技人国の業務として審査されると考えています。ただし、審査要領は「教育」との比較の箇所で、技人国を教育機関以外の機関で行う活動と書いているため(15-3)、大学の事務職員の扱いは個別に確認しておくのが安全です【要確認】。

「研究」との線引き:研究そのものが目的か

「研究」の在留資格と技人国は、どちらも研究的な仕事を含みます。審査要領は両者の違いを、活動の目的で説明しています。

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、その有する技術や知識を用いて、公私の機関の業務の遂行に直接資する活動であるのに対し、「研究」の在留資格は、その技術等の研究をすること自体を目的とする活動である点において相違する。

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第15節 15-3

メーカーの開発部門で新製品の設計や性能試験をする技術者は、会社の事業の遂行に直接役立つ仕事をしています。これは技人国の典型です。一方、公的な研究機関や企業の基礎研究所で、特定の製品化を前提とせずに研究そのものを行う研究者は、「研究」の性格が強くなります。

実際には、企業の研究所の仕事はこの2つの間にあることが多く、職名だけでは決まりません。申請書の職務内容の欄と、研究計画や所属部門の事業内容を示す資料から、活動の目的がどちらにあるかが判断されます。社内で「研究職」と呼んでいても、事業部門の製品開発を支える仕事であれば、技人国として職務内容を書くのが実態に合っています。

なお、同じ15-3は「医療」についても線を引いています。法律上の資格を持つ人が行う医療の業務は「医療」、特定の資格がなくても行える医療関係の業務は技人国に当たりうるとされています。医療系の研究職を採用する場合は、この区別も確認してください。

学校の先生は「教育」:教育機関の種類で決まる

「教育」の在留資格は、本邦の小学校、中学校等の教育機関で語学教育その他の教育をする活動を対象とします。審査要領は、技人国を教育機関以外の機関で自然科学・人文科学の業務に従事する活動として対比させています(15-3)。

この区別を語学の先生に当てはめると、勤め先によって在留資格が分かれます。公立中学校で英語の授業を担当するなら「教育」、英会話スクールや企業の社内研修で英語を教えるなら技人国です。技人国の場合、語学の指導は国際業務の対象業務で、原則として関連業務の実務経験3年が必要ですが、大学を卒業していれば実務経験は要りません。審査要領はその理由を、翻訳・通訳・語学の指導は外国人の母国語に関するものが通常で、実務経験がなくても行えるためと説明しています(15-18)。

JETプログラムの参加者は、この区別がよく表れる例です。審査要領は、参加者の大部分が日本の教員免許を持たず、教員以外の職として高校の教員の補助者等として語学指導をしていることを踏まえています。そのうえで、「教育」の上陸許可基準にある「これら以外の教育機関において教員以外の職について教育をする活動」はこの活動を念頭に置いたものだと書いています(第12編 1-32〜1-33)。

JETプログラムの職種 付与される在留資格
ALT(語学指導等に従事する外国青年) 教育
CIR(国際交流活動に従事する外国青年) 技術・人文知識・国際業務
SEA(スポーツ国際交流に従事する外国青年) 技能

同じプログラムの参加者でも、学校で教えるALTは「教育」、自治体で国際交流の業務に当たるCIRは技人国です。JETの経験者が同じ職種で再び就労を希望する場合、JET在職証明書で経験者と確認できれば、学歴等の立証資料は求めない扱いもあります(1-33〜1-34)。

語学講師を技人国で雇う場合には、2026年4月15日からの言語能力の審査にも目を配る必要があります。公表資料は、翻訳・通訳やホテルフロントなど主に言語能力を使う対人業務でCEFR B2相当を前提とするとしています。語学の指導がこの対人業務にどこまで含まれるかは、公表資料の例示からは明らかではありません【要確認】。最新の扱いは通訳・翻訳・接客の技人国にCEFR B2が必要に(2026年4月15日〜)|大卒なら実務経験不要の例外もで確認してください。

仕事の場面ごとの早見表

ここまでの基準を、相談の多い場面に当てはめると次のようになります。最終的な判断は職務内容の実態によるため、表は入口の整理として使ってください。

働く場所・仕事 在留資格 根拠
大学・高専で講義や研究をする 教授 15-2〜15-3
企業に雇われ、大学の研究室で共同研究をする 教授 15-3(場所で判断)
公的研究機関で研究そのものを行う 研究 15-3(目的で判断)
メーカーの開発部門で製品開発をする 技術・人文知識・国際業務 15-3(業務の遂行に直接資する)
公立の小中学校で語学を教える 教育 15-3
英会話スクール・社内研修で語学を教える 技術・人文知識・国際業務 15-3、15-18
JETのALT/CIR 教育/技術・人文知識・国際業務 1-33

どの在留資格が合うかを取り違えると、要件を満たしていても申請が通りません。採用できる在留資格の全体像は外国人を採用できる在留資格の種類一覧|企業が選ぶべきビザをわかりやすく解説にまとめています。

学歴要件はどう違うか

技人国・研究・教育は、学歴要件の組み立てが似ています。いずれも「大学を卒業し」「これと同等以上の教育を受け」「本邦の専修学校の専門課程を修了」のいずれかを求める構造で、「大学を卒業し」には短期大学士も含まれます(第12編 1-10)。専修学校の専門課程の修了について定めた告示(平成23年法務省告示第330号)は、技人国だけでなく「研究」「教育」の上陸基準省令にも適用されます(15-13)。

違いが出るのは専門学校卒の扱いです。技人国では専門士の称号で足りますが、「研究」の上陸許可基準に適合するには高度専門士の称号が必要とされています(1-14)。また技人国でも、専門学校卒の場合は専攻科目と業務に相当程度の関連性が求められ、大学卒より厳しく判断されます(15-10)。関連性の判断の差は大卒と専門学校卒で違う「専攻と業務の関連性」|審査要領15-10の判断の差で詳しく扱っています。

高度専門職との関係にも触れておきます。高度専門職1号イの「研究、研究の指導若しくは教育」は「教授」と同じ意味ですが、活動の場を教育機関に限らないため、民間企業の社内研修で教育をする活動も含まれます(第9節 9-3〜9-4)。一方、1号ロは技人国と同じ範囲から「国際業務」を除いたものです。語学の指導は国際業務に当たるため1号ロの対象から外れ、社内研修の講師として高度専門職を考えるなら1号イの検討になります。区分の全体は高度専門職ビザとは?1号イ・ロ・ハの違い・ポイント制・優遇措置を審査要領で解説で解説しています。

区分を取り違えて申請したら

活動が「教授」に当たるのに技人国で申請すると、技人国の学歴や報酬の要件を満たしていても、括弧書きによって技人国の在留資格該当性が否定されます。在留資格の変更・更新の不許可には、行政不服審査法の審査請求ができません(同法7条1項10号の適用除外。入管庁の手続ページにも「不服申立方法:なし」と表示されています)。争うなら取消訴訟ですが、実務上は正しい在留資格で申請し直すことになり、その分だけ入社や着任が遅れます。不許可後の選択肢は在留資格の不許可に不服申立てはできない?行政不服審査法の適用除外と取消訴訟で整理しています。

よくある質問

Q. 民間企業の社員が大学で共同研究をする場合、在留資格は何になりますか?

研究を行う場所が大学・これに準ずる機関・高等専門学校であれば「教授」です。入国・在留審査要領 第12編(開示版)15-3は、契約する機関が教育機関以外であっても、研究等を行う場所がこれらの教育機関である場合は「教授」になるとしています。

Q. 英会話スクールの講師は「教育」ですか、技人国ですか?

技人国です。「教育」は小学校・中学校等の教育機関で語学教育その他の教育をする活動で、それ以外の機関での業務は技人国に当たるとされています(15-3)。語学の指導は国際業務の対象業務で、大学を卒業していれば3年の実務経験は要りません(15-18)。

Q. 企業の研究開発部門で働く場合は「研究」ですか?

製品開発など会社の業務の遂行に直接役立つ研究開発であれば、技人国で審査されるのが基本です。審査要領は、技人国は業務の遂行に直接資する活動、「研究」は研究をすること自体を目的とする活動である点で異なると整理しています(15-3)。

Q. JETプログラムのALTとCIRは同じ在留資格ですか?

違います。審査要領はALT(語学指導等に従事する外国青年)には「教育」を付与するとしています。CIR(国際交流活動に従事する外国青年)には「技術・人文知識・国際業務」、SEA(スポーツ国際交流員)には「技能」です(第12編 1-33)。

採用前に確認すること

研究者や講師を採用するときは、まず「どこで」「何のために」働くのかを一文で書き出してください。場所が大学・高専なら「教授」、目的が研究そのものなら「研究」、場所が小中学校等の教育機関なら「教育」を先に検討します。いずれにも当たらないことを確認してから技人国の要件に進む、という順序が審査要領の組み立てに沿っています。職務内容の書き方で判断が分かれる場面では、申請前に専門家に確認することをおすすめします。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第15節「技術・人文知識・国際業務」15-2〜15-3(他の在留資格との関係)、15-10、15-13(専修学校の告示)、15-18(第2号の大卒特例)
  • 同 第1節「全般事項」1-10(大学を卒業し)、1-14(専門士・高度専門士)、1-32〜1-34(JETプログラム)
  • 同 第9節「高度専門職」9-3〜9-4(1号イ・1号ロの該当範囲)
  • 出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」別紙4(翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務)https://www.moj.go.jp/isa/content/001413643.pdf
  • 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」手続ページ https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-2.html