配偶者ビザ(日本人の配偶者等)の申請を行政書士に依頼した場合の報酬は、日本行政書士会連合会の令和7年度報酬額統計調査(2026年1月実施、税込)で、居住資格の在留資格認定証明書交付申請が平均113,708円、在留資格変更許可申請が平均95,432円、在留期間更新許可申請が平均51,692円でした。この報酬とは別に、変更と更新では入管に納める手数料がかかり、2026年10月1日からは在留期間1年の許可で窓口33,000円(オンライン27,000円)に上がります。依頼するかどうかは、費用の総額と、夫婦の事情に説明が必要な点があるかどうかで決めるのが合理的です。
配偶者ビザの費用は「入管手数料」と「行政書士の報酬」に分かれる
配偶者ビザの費用を考えるときは、誰に払うお金かで2つに分けると整理しやすくなります。
1つは、国に納める手数料です。在留資格の変更許可と在留期間の更新許可には、入管法と政令で定められた手数料がかかり、自分で申請しても行政書士に依頼しても同じ額です。海外から配偶者を呼び寄せる在留資格認定証明書の交付申請には、手数料はかかりません。
もう1つは、行政書士に払う報酬です。報酬の額は各事務所が自由に決めており、公的な基準額はありません。書類の作成、収集の代行、入管への申請取次、追加資料への対応など、どこまでを依頼するかによって額が変わります。
これに加えて、どちらの場合でも、戸籍謄本、住民税の課税・納税証明書、住民票といった証明書の交付手数料と、相手国の結婚証明書の取得費用・翻訳費用がかかります。戸籍全部事項証明書は1通450円、住民票や課税証明書は市区町村ごとに1通数百円程度です。
入管手数料は2026年10月1日から在留期間に応じた額になる
2026年5月29日に成立した改正入管法(令和8年法律第32号)で、変更許可と更新許可の手数料の上限が1万円から10万円に引き上げられ、具体的な額を定める政令により、2026年10月1日から次の手数料が適用されます。
| 許可される在留期間 | 窓口申請 | オンライン申請 |
|---|---|---|
| 3月超6月以下 | 18,000円 | 15,000円 |
| 1年 | 33,000円 | 27,000円 |
| 1年超3年未満 | 48,000円 | 42,000円 |
| 3年以上5年未満 | 64,000円 | 56,000円 |
| 5年以上 | 75,000円 | 65,000円 |
配偶者ビザの在留期間は、6か月、1年、3年、5年のいずれかです。在留期間3年で更新が許可されれば窓口64,000円、5年なら75,000円になります。2026年9月30日までに受け付けられた申請は旧額(窓口6,000円、オンライン5,500円)が適用されます。手数料は許可されたときに納めるもので、不許可なら納める必要はありません。
行政書士が在留申請オンラインシステムで申請する場合も、オンライン申請の額が適用されます。手数料の改定の全体像と、会社が外国人社員の手数料を負担する場合の考え方は【2026年10月確定】在留資格の変更・更新手数料はいくらになる?でまとめています。
行政書士の報酬相場|日行連の令和7年度報酬額統計調査
日本行政書士会連合会は、5年に1度、会員を対象に報酬額統計調査を行っています。令和7年度調査(2026年1月実施)の金額は消費税込みで、立替金(証明書の取得費用や入管手数料など)を含みません。調査は在留資格を「居住資格」「就労資格」「非就労資格」「経営・管理」に分けて集計しており、身分や地位に基づく在留資格である配偶者ビザは「居住資格」の区分に当たると読めます。
| 申請の種類(居住資格) | 回答者数 | 平均 | 最頻値 | 最小値〜最大値 |
|---|---|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 117 | 113,708円 | 100,000円 | 10,000円〜330,000円 |
| 在留資格変更許可申請 | 95 | 95,432円 | 110,000円 | 10,000円〜253,000円 |
| 在留期間更新許可申請 | 114 | 51,692円 | 50,000円 | 10,000円〜253,000円 |
分布を見ると、認定証明書は10万円以上12.5万円未満の回答が35.0%で最も多く、更新は2.5万円以上5万円未満が36.8%で最も多くなっています。新規の申請(認定・変更)は更新の約2倍の報酬が相場ということです。
新規の申請の報酬が高いのは、作業量の違いによります。認定と変更では、交際の経緯から婚姻に至るまでを質問書で説明し、写真、通信記録、送金記録などで婚姻の実体を立証する必要があります。更新では、婚姻と同居が続いていること、生計が維持されていることを示せばよく、提出書類も定型的です。
最大値が25万円から33万円に達しているのは、過去に不許可歴がある、交際期間が短い、収入が不安定といった事情があり、説明書や立証資料の作成に時間がかかる案件が含まれているためと考えられます。事務所の料金表で「〇万円〜」と幅を持たせている場合は、どういう事情で加算されるのかを見積もりの段階で確認してください。
依頼した場合の総額の目安
入管手数料と報酬を合わせると、総額の目安は次のようになります(2026年10月1日以降の受付、窓口申請の場合)。
- 海外から呼び寄せる(認定証明書):報酬 約11.4万円(平均)+入管手数料なし。入国後、空港などで在留カードが交付される
- 日本国内で他の在留資格から変更し、1年が許可された:報酬 約9.5万円(平均)+手数料33,000円
- 1年の更新で、次も1年が許可された:報酬 約5.2万円(平均)+手数料33,000円
- 更新で3年が許可された:報酬 約5.2万円(平均)+手数料64,000円
2026年10月以降は、更新にかかる費用のうち入管手数料の比重が大きくなります。在留期間1年の更新であれば、報酬の平均5.2万円に対して手数料が3.3万円です。更新の都度この費用がかかるため、在留期間3年以上を目指せる状況かどうかも費用の見通しに影響します。在留期間の決まり方は配偶者ビザの在留期間1年・3年・5年はどう決まる?3年が出にくい理由で解説しています。
自分で申請しやすいケース・行政書士に依頼すべきケース
配偶者ビザは、本人や日本人配偶者が自分で申請することもできる手続です。出入国在留管理庁の提出書類一覧と質問書の様式は公開されており、在留期間の更新であれば、マイナンバーカードを持つ外国人本人が在留申請オンラインシステムで申請することもできます。
どちらを選ぶかについて、筆者は次の基準で考えることを勧めます。
自分で申請しやすいケース
- 2回目以降の更新で、前回から婚姻・同居・収入の状況に変化がない
- 交際期間が十分にあり、結婚式や互いの家族との面会などの記録がそろっている
- 日本人配偶者が正社員などで、住民税の課税・納税証明書で安定した収入が示せる
- 過去に在留資格の不許可や、オーバーステイなどの違反歴がない
更新の必要書類は配偶者ビザ更新の必要書類|住民税の証明書・身元保証書と審査で見られる点で扱っているので、自分で申請する場合の確認に使ってください。
行政書士に依頼すべきケース
- 交際期間が短い、マッチングアプリや結婚相談所で出会った、年齢差が大きいなど、婚姻の実体を丁寧に説明する必要がある
- 日本人配偶者の収入が低い、無職、転職直後など、生計の安定性の説明が必要
- 過去に配偶者ビザや他の在留資格で不許可になったことがある
- 外国人配偶者に在留期限切れや資格外活動違反などの経歴がある
- 短期滞在で来日中に配偶者ビザへの変更を希望している(原則として認められにくく、やむを得ない特別の事情の説明が必要)
- 在留期限が迫っていて、書類をそろえる時間がない
これらは、入管の審査で説明を求められやすい事情です。自分で申請して不許可になると、再申請では前回の申請内容との整合性も見られるため、最初の申請で説明を尽くすほうが結果的に早く済むことがあります。個別の事情で判断が変わるため、該当する事情がある場合は、申請の前に専門家に相談してください。
行政書士を選ぶときに確認すること
配偶者ビザの申請を依頼する場合に、見積もりと面談の段階で確認しておくべき点は次のとおりです。
1つ目は、申請取次の資格です。地方出入国在留管理局長に届け出た申請取次行政書士であれば、本人に代わって入管に書類を提出でき、本人は原則として出頭せずに済みます。申請取次の仕組みは【2026年法改正】在留資格の申請は行政書士に依頼すべき?申請取次とは何かで解説しています。
2つ目は、報酬に含まれる範囲です。書類の作成だけか、証明書の取得代行まで含むか、翻訳は含むか、追加資料の提出通知への対応は別料金か、不許可の場合に再申請の費用がどうなるか、を書面で確認してください。「許可率」や「返金保証」を掲げる事務所もありますが、返金の条件は事務所ごとに違います。
3つ目は、行政書士でない者への依頼の危険です。2026年1月1日に施行された改正行政書士法は、19条に「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言を加え、行政書士でない者が、コンサルティング料や会費などの名目で報酬を受けて官公署に提出する書類を作成することを禁止する趣旨を明確にしました。資格のない業者に申請書類の作成を依頼すると、依頼した側も不利益を受けるおそれがあります。
行政書士の報酬の考え方を在留資格全体で比べたい場合は在留資格申請を行政書士に依頼する費用の相場は?報酬の内訳と選び方も参考になります。
よくある質問
配偶者ビザの行政書士費用はいくらですか?
日本行政書士会連合会の令和7年度調査(税込・立替金を除く)では、居住資格の平均が、海外から呼び寄せる認定証明書で113,708円、国内での変更で95,432円、更新で51,692円でした。最も多い価格帯は、認定証明書が10万円台前半、更新が5万円前後です。
配偶者ビザの更新費用はいくらかかりますか?
自分で申請する場合は、入管手数料と証明書の取得費用だけです。2026年10月1日以降の受付分の手数料は、許可された在留期間が1年なら窓口33,000円(オンライン27,000円)、3年なら64,000円(56,000円)、5年なら75,000円(65,000円)です。行政書士に依頼する場合は、これに報酬(更新の平均51,692円)が加わります。
配偶者ビザの申請は自分でもできますか?
できます。提出書類の一覧と申請書・質問書の様式は出入国在留管理庁のウェブサイトで公開されています。婚姻の経緯や生計に説明が必要な事情がなければ、自分で申請する人も少なくありません。
配偶者ビザの行政書士のおすすめはどう選べばよいですか?
申請取次の届出をしているか、配偶者ビザの取扱いが多いか、報酬に含まれる範囲と追加料金の条件を書面で示してくれるか、の3点で比べるのが確実です。管轄の入管(九州であれば福岡出入国在留管理局)への申請に慣れているかどうかも、追加資料への対応の速さに関わります。
費用は「一度で許可を得られる確率」と合わせて比べる
配偶者ビザの費用を比べるとき、報酬の安さだけを見ると判断を誤ります。2026年10月以降は、入管手数料そのものが在留期間1年で3.3万円になり、不許可となって再申請すれば、そのたびに書類の取り直しと時間の負担が生じます。一方、事情に説明の必要がない更新であれば、報酬の5万円前後を払わずに自分で申請しても結果は変わりません。
筆者の考えでは、判断の軸は2つです。1つは、交際の経緯、収入、過去の在留歴のいずれかに、審査で説明を求められそうな点があるかどうか。もう1つは、在留期限までに書類をそろえる時間があるかどうかです。どちらにも当てはまらなければ自分で申請し、どちらかに当てはまる場合は、見積もりを取ったうえで依頼を検討する、という順序で考えると費用に見合う選択ができます。
根拠資料
- 報酬額の統計(令和7年度報酬額統計調査の結果、2026年1月実施)(日本行政書士会連合会)
- 令和8年入管法等改正法について(出入国在留管理庁)
- 在留手続の手数料(出入国在留管理庁)
- 在留資格「日本人の配偶者等」(出入国在留管理庁)
- 行政書士法(e-Gov法令検索)
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