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ベトナム特定技能の手続き|DOLAB推薦者表が要る人・要らない人と国内在住者の流れ

ベトナム人を特定技能で雇うときは、日本側の在留資格の手続に加えて、ベトナム政府が発行する「推薦者表(特定技能外国人表)」を入管に出す必要があります。ベトナムから新たに呼ぶ場合は認定送出機関を通じてDOLAB(ベトナム内務省海外労働管理局)の承認を受け、日本に住んでいる人を採用する場合は駐日ベトナム大使館で承認を受けます。ただし国内在住者について推薦者表が必要なのは、2024年6月27日以降、元技能実習生と2年以上の課程を修了した留学生に限られ、すでに「特定技能」で在留している人の転職や更新では要りません。

ベトナムの特定技能人材と協力覚書(MOC)

出入国在留管理庁の統計では、2025年12月末の特定技能在留者は39万296人で、そのうちベトナム国籍は16万4,352人(42.1%)と最も多くなっています。技能実習からの移行者が多いことが、この比率の背景にあります。

ベトナム人の受入れに特有の手続があるのは、日本とベトナムが特定技能に関する協力覚書(MOC)を交わしているためです。MOCは2019年7月1日に東京で交換され、悪質な仲介事業者の排除と、保証金・違約金の徴収などの情報共有を目的にしています。このMOCの中で、ベトナム側が自国の法令に従って必要な手続を済ませた人であることを示す書類(推薦者表)を、日本側が在留諸申請で確認することが定められました。2024年3月25日には、推薦者表の様式(別添1)が両国の合意で変更されています。

ここでいう推薦者表とは、ベトナム国籍の人が海外で働くためのベトナム側の手続を完了したことを、ベトナム政府が証明する文書を指します。日本の入管が発行するものではなく、入管は提出された推薦者表を確認する立場にあります。

ベトナム国内では、2022年1月1日に「契約に基づいて外国で働くベトナム人労働者に関する法律(法律69/2020/QH14号)」が施行されています。送出機関の手数料の上限や、受入れ側が負担すべき費用はこの法律と通達で決まっており、日本側の制度とは別に守る必要があります。

推薦者表が必要な場面・不要な場面

推薦者表の要否は、申請の種類と、その人がいまどの在留資格で日本にいるかで決まります。出入国在留管理庁「ベトナムに関する情報」の記載を整理すると次のとおりです。

場面 推薦者表 承認・発行する機関
ベトナムから新たに呼ぶ(在留資格認定証明書交付申請) 必要(MOC添付様式1) DOLAB(認定送出機関を通じて申請)
技能実習2号・3号の修了者(修了見込みを含む)が特定技能へ変更 必要(MOC添付様式2) 駐日ベトナム大使館
日本国内で少なくとも2年間の課程を修了した留学生(見込みを含む)が特定技能へ変更 必要(同上) 駐日ベトナム大使館
上記以外の在留資格からの変更(例:2年未満の課程の留学生、家族滞在など) 不要 ―
すでに「特定技能」で在留中の人の転職・分野変更・更新 不要 ―

表の3行目と4行目の線引きは、2024年6月27日から「当面の間」の取扱いとして入管庁が示したものです。それ以前は、国内在住者の変更申請で広く推薦者表が求められていたため、古い解説記事では「国内在住のベトナム人は全員必要」と書かれていることがあります。

推薦者表が不要な人でも、在留資格が「留学」で2年以上の課程の修了者に当たらない場合は、今の課程を修了した、または修了見込みであることの証明書(卒業証明書など)を出すよう求められています。また入管は、申請後にこれまでの在留状況を確認し、追加書類を求めることがあるとしています。推薦者表が要らないことは、審査が軽くなることを意味しません。

大使館の交付対象から外れる人はどうなるか

駐日ベトナム大使館が推薦者表の交付対象にしているのは、技能実習2号・3号を修了した(または修了見込みの)技能実習生と、日本の学校で最低2年間の課程を修了した(または修了見込みの)留学生で、いずれも受入れ先が決まっている人です。民間の解説では、実習先から失踪した人、2号を良好に修了していない人、日本語学校だけに通った人などは推薦者表の発行が難しい、と書かれてきました。

2024年6月27日以降の入管庁の取扱いでは、推薦者表の提出が必要なのは上の2つの類型だけで、それ以外の人は推薦者表なしで変更申請ができます。たとえば日本語学校(2年未満の課程)の留学生が特定技能の試験に合格した場合、推薦者表は求められず、代わりに今の課程の修了(見込み)証明書を出すことになります。

一方で、技能実習2号・3号の修了者は推薦者表の提出が必要な類型に入っているため、大使館の審査を通らなければ変更申請に進めません。実習先を離れた経緯や在留状況に問題がある人については、推薦者表の問題とは別に、入管の審査で在留状況が確認されます。失踪歴や資格外活動の時間超過がある人の採用は、推薦者表の要否より先に、変更が許可される見込みそのものを検討する必要があります。

特定技能で在留している人の転職については、推薦者表は不要でも在留資格変更許可申請そのものは必要です。手続の流れは特定技能の外国人は転職できる?在留資格変更許可の手続き・必要書類・審査期間で扱っています。

ベトナムから新たに呼ぶ場合の流れ

海外在住のベトナム人を呼ぶ場合、入管庁の「手続の解説」は6つの段階を示しています。日本側の手続とベトナム側の手続が交互に出てくるため、どちらの窓口が何を担うかを分けて把握しておくと混乱しません。

1. 認定送出機関との労働者提供契約

受入れ機関は、DOLABが認定した送出機関と「労働者提供契約」を結びます。契約には募集する業種・人数・労働条件などを定め、送出機関を通じてDOLABに承認申請を出し、承認を得る必要があります。ベトナム側は基本的に認定送出機関の利用を求めているとされ、インドネシアのように直接採用の選択肢が明示されている国とは扱いが違います。認定送出機関の一覧(Excel)と、認定を喪失・一時停止された送出機関の一覧(PDF)は入管庁のベトナムのページに掲載されています。ただし入管庁自身が、相手国からの情報提供の時期によって最新でない場合があると注記しています。

労働者提供契約の内容について、入管庁は駐日ベトナム大使館労働管理部に問い合わせるよう案内しています。

2. 雇用契約の締結

認定送出機関は、労働者提供契約にもとづく求人情報で人材を募集し、受入れ機関は紹介を受けた人と特定技能の雇用契約を結びます。ここで注意したいのは、入管庁のフローチャートの注記です。認定送出機関が求職者の人選を行う行為は「あっせん」に当たるため、日本国内の職業紹介事業者としての許可が必要になるとされています。受入れ機関が使う職業紹介事業者だけでなく、送出機関も職業安定法に抵触しないことが求められる、というのが入管庁の説明です。

3. DOLABでの推薦者表の承認

本人は、認定送出機関を通じてDOLABから推薦者表(MOC添付様式1)の承認を受けます。受入れ機関は、本人または送出機関に推薦者表を送ってもらうよう依頼します。様式1の仮訳には「この推薦状は、署名日から1年間有効」と書かれており、承認から申請までに時間が空くと使えなくなる点に注意が必要です。

推薦者表には、送出機関の名称・認定番号、受入れ機関の名称・法人番号、職業紹介事業者を使う場合はその許可番号、労働期間、本人の氏名・旅券番号・職種・出国予定日が記載されます。入管に出す申請書や雇用契約書と、ここに書かれた内容が食い違わないよう照合してください。

4. 在留資格認定証明書の交付申請

受入れ機関は、2021年2月15日以降の申請では推薦者表を他の必要書類とともに地方出入国在留管理官署へ出します。福岡の企業であれば福岡出入国在留管理局が窓口です。証明書が交付されたら、原本(電子交付の場合はその通知)を本人に送ります。交付後の流れは在留資格認定証明書が交付されたら?入国までの流れと企業の手続きを解説で解説しています。

5. 査証申請から入国まで

本人は在ベトナム日本国大使館で特定技能の査証を申請し、上陸審査を経て「特定技能」の在留資格を得ます。フローチャートの注記によれば、ベトナム側は出国の少なくとも5日前までに、送出機関と本人との間で労働者海外派遣契約を結ぶことを求めているとのことです。

日本に住んでいるベトナム人を採用する場合の流れ

国内在住者の場合、送出機関は登場しません。流れは、雇用契約の締結、駐日ベトナム大使館での推薦者表の承認(対象者のみ)、地方出入国在留管理官署への在留資格変更許可申請、の3段階です。推薦者表の申請者になれるのは、本人、受入れ機関、職業紹介事業者、登録支援機関のいずれかとされています。

駐日ベトナム大使館の案内によれば、申請は郵送のみで受け付けています。必要書類は次のとおりです。

  • 特定技能外国人表交付申請書(添付1)
  • 旅券の身分事項ページの写し
  • MOCにもとづく特定技能外国人表(添付2)
  • 技能実習生の場合は技能実習2号・3号の修了証明書の写し、または修了見込証明書、専門級・随時3級の合格証明書、評価調書のいずれかの写し
  • 留学生の場合は2年以上の課程の卒業証明書・修了証書の写し(修了見込証明書は修了前3か月以内発行の原本のみ)
  • 特定技能の技能試験・日本語試験の合格証明書の写し(技能実習生は職種を変える場合)
  • 発行後3か月以内の住民票の写し(国籍・在留資格・在留期間の記載があるもの)
  • 返信用封筒(切手付き、またはレターパック)

大使館は、完全な書類を受け取ってから5勤務日以内に、承認済みの推薦者表を郵送で送るとしています。手数料は無料です。住民票に在留資格などの記載がないと不備として返送されることがあるため、住民票は項目を指定して取得してください。

修了見込みの段階で発行された推薦者表には、その旨が記載されます。この場合、元留学生は教育機関が発行した修了(卒業)証明書を入管に追加で出します。元技能実習生は、技能実習2号を良好に修了したことの書類を提出するため、別に修了証明書を出す必要はありません。技能実習からの移行要件は技能実習から特定技能への移行は可能?「良好に修了」の判断・試験免除と2027年4月の変更点を参照してください。

技能実習の終了日と特定技能の開始日の間が空く場合は、移行準備の特定活動を使うことがあります。この特定活動の要件は特定活動から特定技能へ|移行準備の特定活動(6か月・就労可)の要件と試験未合格時の扱いで扱います。

日本側の要件は国籍で変わらない

推薦者表はあくまでベトナム側の手続の証明で、日本側の審査基準が国籍で緩くなったり厳しくなったりするわけではありません。受入れ機関の基準、雇用契約の基準、1号特定技能外国人支援計画、技能試験・日本語試験の合格(または技能実習2号良好修了による免除)は、ほかの国籍と同じく審査されます。制度全体の要件は特定技能とは?1号・2号の違い・対象分野・受入れ手続きにまとめています。

実務で見落とされやすいのは、日本側の基準とベトナム側の法令が別々に費用のルールを定めている点です。日本の特定技能基準省令は、本人や家族が保証金を取られたり、違約金を定める契約を結ばされたりしていないことを雇用契約の基準にしています。これに加えて、ベトナムの法律69/2020/QH14号は、送出機関が労働者から受け取るサービス料の上限を、契約期間12か月ごとに賃金1か月分、36か月以上の契約では賃金3か月分と定めています(厚生労働省作成の概要資料による)。受入れ側がサービス料の一部を払った場合、本人から受け取れるのは不足分だけです。筆者は、送出機関との契約書の段階で、受入れ機関がいくら払い、本人がいくら払うのかを書面で確認しておくべきだと考えます。本人の負担額が上限を超えている疑いがあると、日本側では保証金・違約金の基準に、ベトナム側では法令違反に、それぞれ波及するおそれがあるためです。

費用の目安

ベトナム人を特定技能で受け入れる費用は、どのルートを使うかで大きく変わります。公的に決まっているものを先に挙げると、次のとおりです。

  • 駐日ベトナム大使館の推薦者表:無料
  • 在留資格認定証明書交付申請:入管への手数料はかからない(2026年9月時点)
  • 在留資格変更許可申請:2026年10月1日以降は許可される在留期間に応じた手数料

これ以外に、送出機関への費用、職業紹介手数料、登録支援機関への支援委託費、渡航費などがかかります。送出機関への費用は労働者提供契約で決まり、公的な相場はありません。帰国時の旅費は、本人が払えない場合に受入れ機関が負担する仕組みになっています。

よくある質問

ベトナム人の特定技能で永住できる期間は何年ですか?

永住許可に関するガイドラインは、原則10年の在留のうち就労資格または居住資格で5年以上を求めていますが、その就労資格から「特定技能1号」と「技能実習」は除かれています。特定技能1号だけを何年続けても、この5年には数えられません。特定技能2号に移行すると就労資格として扱われるため、2号での在留期間が5年に数えられます。永住の条件の詳細は永住権の条件とは?素行善良・独立生計・国益の3要件と原則10年在留で扱います。

ベトナム人の特定技能の在留期間は何年ですか?

特定技能1号は通算5年が上限で、1回に許可される期間は3年を超えない範囲で個別に指定されます。特定技能2号には通算の上限がなく、更新を続けられます。国籍による違いはありません。

ベトナムの特定技能の認定送り出し機関はどこですか?

出入国在留管理庁の「ベトナムに関する情報」のページに、ベトナム政府から提供された認定送出機関の一覧(Excel)が掲載されています。認定を喪失・一時停止された送出機関の一覧も同じページにあります。契約前に両方を確認し、DOLABの認定番号が推薦者表に記載される番号と一致するかも見てください。

推薦者表の審査期間はどのくらいですか?

駐日ベトナム大使館(国内在住者向け)は、完全な書類を受け取ってから5勤務日以内に郵送で発送するとしています。郵送の往復期間は別にかかります。DOLAB(海外在住者向け)の処理期間は公表されておらず、送出機関に確認することになります(公式資料では未確認)。

特定技能の雇用契約書はベトナム語で書けますか?

雇用契約書は、本人が十分に理解できる言語で作成し、内容を説明することが求められています。入管庁の参考様式にはベトナム語版があり、日本語との併記で使えます。入管に出すときは日本語の記載がある様式を使ってください。

採用ルートを決める段階で推薦者表の要否を確かめる

ベトナム人の特定技能採用では、どのルートで誰を採るかを決めた時点で、推薦者表の要否と発行元が決まります。海外から呼ぶならDOLAB認定送出機関との労働者提供契約が出発点になり、国内の元技能実習生や専門学校・大学の卒業予定者を採るなら大使館への郵送申請が入管申請の前に入ります。すでに特定技能で働いている人の転職であれば、推薦者表は要りません。

見落とされやすいのは、推薦者表の有効期間と記載内容です。承認から申請までの期間、雇用契約書・申請書との記載の一致、送出機関に払う費用と本人負担の内訳を、申請前に一度そろえて確認することをおすすめします。ベトナム側の運用は変わることがあるため、入管庁のページの更新と大使館の案内を、採用のたびに見直してください。個別の事情で必要書類や判断が変わることがあります。

根拠資料


在留資格の申請・採用のご相談は、保利国際法務事務所の無料相談へ。福岡出入国在留管理局への申請取次に対応しています。