文部科学大臣の認定を受けた専門学校の学科(認定学科)を修了した外国人は、技術・人文知識・国際業務(技人国)の審査で、専攻科目と業務の関連性を「柔軟に判断する」扱いを受けます。入国・在留審査要領 第12編(開示版)15-10〜15-11に書かれた取扱いで、専門学校卒に原則として求められる「相当程度の関連性」の例外にあたります。
緩和の範囲は関連性の判断に限られます。業務が技人国の水準に達していること、専門士などの称号の要件、日本人と同等額以上の報酬といった他の要件は変わりません。認定の有無は学校の説明ではなく、学校が作る「認定学科修了証明書」と、文部科学省が入管に提供する「認定学科リスト」で確認されます。
採用する会社にとっての実務は、内定者の学科が認定学科かどうか、修了年度が対象に入るかを申請前に確かめることです。審査要領の該当部分には黒塗りが複数あり、読めない運用が残っている点も含めて整理します。
この記事でわかること
- 認定学科(外国人留学生キャリア形成促進プログラム)の位置づけ
- 通常の専門学校卒・大卒と比べて、何がどこまで緩和されるか
- 認定学科修了証明書と認定学科リストによる確認の手順
- 修了年度と認定のタイミング、黒塗りで読めない部分
認定学科とは何か
ここでいう認定学科とは、文部科学大臣の認定を受けた専修学校の専門課程の学科を指します。根拠は「専修学校の専門課程における外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定に関する規程」(令和5年文部科学省告示第53号)第2条です。審査要領はこの学科を「認定学科」、修了した人を「認定学科修了者」と呼んでいます(15-10〜15-11)。
認定の要件として審査要領が挙げているのは、企業等と連携して実習等の授業を行っていること、日本社会に関する理解を促進する環境が整備されていることなどです。留学生が日本で就職することを見据えた教育体制を持つ学科を、文部科学省が個別に認定する仕組みと理解してよいと筆者は考えています。認定要件の全体は文部科学省の告示で定められており、審査要領に書かれているのはその一部の例示です。
緩和の根拠:審査要領15-10〜15-11
技人国の基準省令第1号ロは、業務に必要な技術・知識に「関連する科目を専攻して」本邦の専修学校の専門課程を修了したことを求めています(15-8)。専修学校は職業に必要な能力を育てることを目的とする学校で、大学と設置目的が異なるため、審査要領は原則として専攻科目と業務の間に「相当程度の関連性」を求めています(15-10)。認定学科は、この原則に対するただし書きとして置かれています。
審査要領ではこう書かれている(第12編 15-10〜15-11)
「企業等と連携して実習等の授業を行っていることや、日本社会に関する理解を促進する環境が整備されていることなどを認定要件とする専門課程を修了し、質の高い教育を受けたことにより、修得した知識を応用できると考えられることから、専攻科目と従事しようとする業務の関連性について、柔軟に判断する。」
理由づけの核は「修得した知識を応用できる」という一点です。大学卒業者の関連性を緩やかに見る理由も、幅広い知識を業務に応用できるという点にありました。認定学科は、専門学校でありながら、この応用力の点で大学に近い評価を受けていることになります。
大卒・通常の専門学校卒との比較
関連性の判断は、最終学歴の種類ごとに次のように書き分けられています。
| 大学卒 | 認定学科修了 | 通常の専門学校卒 | |
|---|---|---|---|
| 関連性の基準 | 比較的緩やか | 柔軟に判断 | 原則として相当程度の関連性 |
| 推定の規定 | 特段の事情がない限り卒業をもって関連性を認めてよい(注) | 同様の注記は見当たらない | なし |
| 学歴の条件 | 学士・短期大学士以上の学位 | 専門士・高度専門士の称号(告示) | 専門士・高度専門士の称号(告示) |
| 追加の提出書類 | ― | 認定学科修了証明書 | ― |
表の2行目が、この記事で最も注意してほしい点です。大卒者には「特段の事情がない限り、大学を卒業していることをもって…関連性を認めて差し支えない」という(注)が付いていますが(15-10)、認定学科の部分には同じ文言が見当たりません。筆者は、認定学科修了者は通常の専門学校卒より関連性の幅が広く見られるものの、大卒者のように卒業の事実だけで関連性が推定されるところまでは書かれていない、と読んでいます。
公表資料の側では、この二つが並べて扱われています。「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」本文は、専修学校卒は相当程度の関連性を要するとしたうえで、認定専修学校専門課程の修了者は柔軟に判断するとしています。また、ホテル・旅館での就労を扱った別紙5は、大卒者と認定専修学校専門課程の修了者について、専攻との関連性を「比較的緩やかに」判断するとしています。
緩和されない要件
ここで重要なのは、関連性の緩和が技人国のほかの要件に波及しないという論点です。
一つ目は業務の水準です。技人国の業務は「学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務」でなければならず、「単に経験を積んだことにより有している知識では足りず、学問的・体系的な知識を必要とするもの」とされています(15-2)。公表されている専門学校卒の不許可例には、小売店での接客販売、工場で技能実習生とほぼ同じ業務、反復訓練で従事できる洋菓子製造などが並んでいます(別紙3)。これらは関連性より手前の、業務の水準で止まった例です。認定学科を修了していても、同じ業務なら結論は変わらないと考えるべきです。
二つ目は学歴の条件です。専修学校の学歴で申請する場合、告示(平成23年法務省告示第330号)により、本邦で専門課程の教育を受けて専門士または高度専門士と称できることが必要です(15-13)。専門士は修業年限2年以上・授業時間数1,700時間以上などの要件を満たした人に付与されます(1-14)。審査要領は認定学科について関連性の判断を柔軟にするとしているだけで、称号の要件を外すとは書いていません。
三つ目は報酬で、日本人が同じ業務に従事する場合と同等額以上の報酬が要件です(15-18〜15-19)。関連性がいくら柔軟に見られても、報酬が同時採用の日本人より低ければ不許可になり得ます。
入管はどう確認するか:修了証明書と認定学科リスト
審査要領は、認定学科修了者からの申請について、留意事項を番号付きで定めています(15-12〜15-13)。対象は在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請です。
- 申請人が在籍していた学校が作成した「認定学科修了証明書」の提出を求め、提出があれば文部科学省から提供される「認定学科リスト」で認定学科修了者かどうかを確認する
- 認定学科は新たな認定や認定取消によって増減するため、最新のリストを使う
- 認定学科かどうかは、学校のホームページ等ではなくリストで確認する
- 修了した後、同じ年度内に学科が認定を受けた場合は、その年度の修了者も認定学科修了者として扱う
- 関連性の判断は、認定学科でない専門課程の修了者と同様の立証資料で行ってよい
審査要領ではこう書かれている(第12編 15-12)
「ホームページ等によらず、認定学科リストによって行うこと。」
認定学科であるか否かの確認方法についての記述です。
最後の点は見落とされがちです。関連性の判断が柔軟になるといっても、提出する立証資料が特別に減るわけではありません。成績証明書などで履修内容を示し、業務との対応を説明する作業は、通常の専門学校卒と同じように必要です。
修了年度と認定のタイミング
学科の認定は年度の途中で行われることがあります。審査要領は、修了後に同じ年度内に学科が認定を受けた場合も、その年度の修了者を認定学科修了者として扱うとしています(15-13)。たとえば年度末に修了した後、同じ年度のうちに学科が認定を受ければ、その修了者は対象に入ります。
一方で、この取扱いには括弧書きで除外される場合が付されていますが、参照先の番号がOCRで判読しにくく、原本で確認が必要です【要確認】。年度をまたいで後から認定を受けた場合や、修了後に認定が取り消された場合の扱いも、読める範囲の審査要領には書かれていません【要確認】。修了年度が認定の前後にかかる人は、学校に修了時点の認定状況を確認し、修了証明書の記載を見てから申請の方針を決めるのが確実です。
黒塗りで読めない部分
審査要領のこの箇所は、情報公開請求で開示された版でも一部が黒塗りになっているとみられます。15-11の関連性の記述の直後、15-12の留意事項の途中、15-13の立証資料の記述の後に、意味をなさない文字列が入っています。認定学科に関する運用の一部がマスキングされている可能性がありますが、内容は分かりません。この記事で書いた取扱いは、読める部分に限られています。
通訳・接客の仕事に就く場合
2026年4月15日から、翻訳・通訳やホテルのフロントなど、主に言語能力を用いる対人業務では、CEFR・B2相当の言語能力が前提になりました(別紙4)。日本語でB2相当とみなされるものの一つに、日本の専修学校の専門課程の修了がありますが、専攻と業務に関連性がある場合に限られ、認定専修学校専門課程の修了者は柔軟に判断するとされています。カテゴリー3・4の機関では、申請時にこの証明資料が必要です。詳しくは通訳・翻訳・接客の技人国にCEFR B2が必要に(2026年4月15日〜)|大卒なら実務経験不要の例外もで扱っています。
よくある質問
Q. 認定学科を修了していれば、どんな職種でも技人国が取れますか?
取れるわけではありません。緩和されるのは専攻科目と業務の関連性の判断で、業務そのものが学術上の素養を要する一定水準以上の業務であることや、日本人と同等額以上の報酬を受けることといった他の要件はそのまま残ります。
Q. 自分の学科が認定学科かどうかは、どうやって確認されますか?
申請時に学校が作成した「認定学科修了証明書」を提出し、入管は文部科学省から提供される最新の「認定学科リスト」で確認します。審査要領は、学校のホームページ等によらず、リストによって確認するよう求めています。
Q. 卒業した後で学科が認定を受けた場合も対象になりますか?
修了した後、同じ年度内に学科が認定を受けた場合は、その年度の修了者も認定学科修了者として扱うとされています。年度をまたいで後から認定を受けた場合の扱いは審査要領に書かれていないため、個別の確認が必要です。
Q. 認定学科の修了者は、専門士の称号がなくても技人国の学歴要件を満たしますか?
審査要領は、認定学科修了者について関連性の判断を柔軟にするとしているだけで、専門士・高度専門士の称号の要件を外すとは書いていません。専修学校の学歴で申請する以上、告示の称号要件は満たす必要があると考えられます。
内定から申請までに会社がすること
内定を出したら、学校に対して、在籍した学科が認定学科かどうか、修了年度に認定が及ぶかを確認し、認定学科修了証明書の発行を依頼してください。あわせて、専門士の称号が付与されるか、成績証明書に記載される科目と担当業務がどう対応するかを整理します。認定学科であれば関連性の説明の幅は広がりますが、業務の水準と報酬の説明は通常の申請と同じ密度で用意する必要があります。
専門学校卒と大卒の関連性の違いは大卒と専門学校卒で違う「専攻と業務の関連性」|審査要領15-10の判断の差で比較しています。日本語課程を修了した人の扱いは日本語学校を卒業して技人国は取れる?専修学校の日本語課程と審査要領の取扱いで扱っています。留学からの変更申請の手順は留学から技術・人文知識・国際業務への在留資格変更ガイド|手順・必要書類・不許可対策で確認できます。修了年度と認定の時期が微妙な場合は、証明書を取り寄せる段階でご相談ください。
根拠資料
- 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第15節「技術・人文知識・国際業務」15-2、15-8、15-10〜15-13、15-18〜15-19
- 同 第2章第1節第5「学歴」1-14
- 出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan69.html
- 同 別紙3(許可・不許可事例)https://www.moj.go.jp/isa/content/001413912.pdf
- 同 別紙4(翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務)https://www.moj.go.jp/isa/content/001413643.pdf
- 同 別紙5(ホテル・旅館等において外国人が就労する場合)https://www.moj.go.jp/isa/content/001413644.pdf