【ITベンダー必読】IT導入補助金は2026年で終了?デジタル化・AI導入補助金で求められる対応とは

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【本記事の取り扱いについて】
本記事は、2025年12月時点で公表されている政府予算案および過去の傾向に基づく予測を含みます。実際の申請にあたっては、必ず今後中小企業庁等から発表される最新の公募要領をご確認ください。
長年、中小企業のIT化を支えてきたIT導入補助金が、2026年度(令和8年度)から大きな転換点を迎えます。中小企業庁の補正予算資料によると、名称がデジタル化・AI導入補助金(仮称)へと変更され、その名の通りAI(人工知能)の導入支援が強力に推し進められる見通しです。
これまでのIT導入補助金はなくなってしまうのか? AI以外のツールは対象外になるのか?
本記事では、2025年12月時点で判明している経済産業省の概算要求等の公開情報をもとに、新制度の全貌をいち早く予測・解説します。ベンダー様が今から準備すべき生き残り戦略まで、実績豊富な専門家の視点で深掘りします。
この記事の監修者
行政書士 保利 一晶
IT導入補助金制度開始当初から申請サポートに従事。2025年度においては採択率8割を達成。 IT導入補助金ツール登録、申請・ものづくり補助金等の採択支援および事業計画策定サポート。
IT導入補助金は「継続」しつつデジタル化・AI導入補助金へ。何が変わる?
結論から申し上げますと、2026年度以降、IT導入補助金は制度の趣旨を引き継ぎつつ、「デジタル化・AI導入補助金」として再編・継続されると思われます。
国の支援方針は、従来の業務デジタル化支援を土台としながら、AIを活用した生産性の飛躍的向上へと重点がシフトしていく見込みです。
名称変更の根拠とAI支援強化の背景
経済産業省・中小企業庁が公表している資料において、従来のIT導入補助金に代わる名称として中小企業デジタル化・AI導入支援事業といった文言が確認されています。

※上記リンク先などの公表資料に基づき解説しています。
政府はAI関連の人材育成や研究開発に巨額の予算を計上しており、補助金を通じて中小企業へのAI実装を加速させたいという強い意志がうかがえます。
AI以外の既存ITツールも引き続き対象になる見込み
多くの企業様が懸念されるのが、会計ソフトや勤怠管理などの従来ツールは対象外になるのか?という点です。 これについては、既存のITツールも引き続き補助対象になる可能性が極めて高いと推測されます。
多くの企業にとって、AI導入の前段階として業務データのデジタル化が不可欠で、過去の制度変更でも、急激な対象範囲の縮小は避けられてきました。
担当部署の中小企業庁経営支援部イノベーションチームは「基本的な仕組みはIT導入補助金と同じ。生産性向上に生成AIをはじめとするツールが大きく寄与するため、その思いを込めた」と説明しています。 (出典:ツギノジダイ)
ただし、AI機能を搭載したツールやAI活用枠に対して、補助率や上限額での優遇措置が設けられることはありえます。
なぜ国はAIを後押しするのか?
国がこれほどまでにAI導入を推進する背景には、人口減少・人手不足という待ったなしの構造的課題があります。
この方針は、内閣府が策定する「人工知能戦略(人工知能計画)」にも明確に示されています。

同計画では、AIを単なるIT技術ではなく、日本経済を支える基盤技術と位置づけ、労働力不足の補完、生産性向上、付加価値創出を同時に実現する手段として活用することが国家戦略として掲げられています。
特に、製造業・サービス業・中小企業において、「人がやらなくてもよい知的業務」をAIで代替・高度化し、限られた人材で経済規模を維持・拡大することが重要テーマとされています。
このような背景から、今後の補助金制度は単なるITツールの導入支援ではなく、「AIを活用した業務変革・経営変革を後押しする設計へとシフトしていく」と考えられます。
デジタル化・AI導入補助金は、まさにこの国家戦略を中小企業レベルで実装するための「政策ツール」と言えるでしょう。
ITベンダーが今やるべき3つの対策
制度名称にAIが入ることで、ITベンダーの提案活動にも変化が求められます。AIツールを持っていないから売れなくなるわけではありませんが、戦略の転換は必須です。
1. AI活用を見据えたストーリーで提案する
自社製品にAI機能が搭載されていなくても問題はありません。
重要なのは、そのツールが将来的なAI活用につながる役割を果たしているかを説明できることです。
2. 他社のAIツールと連携しセット提案を作る
自社開発にこだわらず、安価なAI-OCR、チャットボット、データ分析ツールなどを取り扱う他社とパートナーシップを組み、自社商材とセットで提案するパッケージを作りましょう。これによりAI導入支援の要件を満たしやすくなります。
3. 導入後の伴走支援を強化する
2025年度から活用支援が重視されている流れは継続・強化されます。 売って終わりではなく、導入したツールやAIを使いこなし、実際に生産性が上がったかまでコミットする姿勢が、採択率を高める鍵となります。また、導入効果を「感覚」ではなく数字で示せるよう、業務時間削減やコスト削減額を可視化するシミュレーションをあらかじめ用意しておくことも重要です。
このような定量的な説明ができるかどうかが、補助金審査だけでなく、顧客から選ばれるベンダーになるための大きな分かれ目となります。
どうしても「AI以外のツールは販売する予定はない」という方向けの記事はこちら
申請企業(中小企業)がやるべきこと
2026年度の公募開始を待ってから動くのでは、スタートダッシュに乗り遅れる可能性があります。
AI活用枠の新設や拡充が予想される中、審査の難易度や計画内容に求められる具体性は、今後さらに高まると考えられます。
ここでは、採択率を高めるために「今」着手すべきポイントを整理します。
①業務の棚卸しとAI活用領域の特定
単にAIを入れたいではなく、どの業務に時間がかかっているかを数値化してください。そのボトルネックをAIでどう解消するかという仮説を持つことが、説得力のある事業計画書の第一歩です。
②gBizIDプライムアカウントの取得
基本中の基本ですが、取得には数週間かかる場合があります。未取得の場合はすぐに申請を、取得済みの場合はパスワードや担当者の確認を行ってください。
③認定支援機関やベンダーへの早期相談
公募要領が出てからでは、優秀な支援者やベンダーは予約で埋まってしまいます。今の段階から来年度の構想として相談を持ちかけておくのが賢明です。
まとめ|IT導入補助金は「終了」ではなく「進化」へ。今、準備するかどうかが分かれ道
2026年度以降、IT導入補助金は突然終了するのではなく、制度の趣旨を引き継ぎながら「デジタル化・AI導入補助金」へと再編・進化していく可能性が高いと考えられます。
国は、人口減少・人手不足という構造的課題を背景に、 AIを単なるITツールではなく、生産性向上と付加価値創出を同時に実現する基盤技術として位置づけています。その国家戦略を、中小企業レベルで実装するための手段が本制度です。
この変化により、ITベンダーには次のような対応が求められます。
- ツール単体の機能説明ではなく、将来のAI活用まで見据えた提案ストーリー
- 自社開発にこだわらない、AIツールとの連携・セット提案
- 導入して終わりではなく、活用・効果まで伴走する支援体制
一方、申請企業(中小企業)側にとっても、「AIを入れたい」という漠然とした構想ではなく、 業務の棚卸し・ボトルネックの特定・AI活用の仮説を持った計画づくりが不可欠になります。
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