しゅんせつ工事の許可要件について詳しく解説:取得のために知っておくべき条件と手続きガイド
しゅんせつ工事は、河川や湖、港湾、海などの水域から土砂や泥を掘り出し、水深を確保するための工事です。航路の確保や浚渫(しゅんせつ)土の再利用による埋め立てなど、港湾や河川の整備に不可欠な作業です。この工事を行うためには、一定の条件を満たして建設業の許可を取得する必要があります。
この記事では、「しゅんせつ工事」の許可を取得するための具体的な要件や取得方法について、詳しく解説します。
しゅんせつ工事とは?
しゅんせつ工事は、水域の底から泥や砂を掘り出して水深を確保する作業を指し、以下のような作業が含まれます。(参考:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方)
- 航路の浚渫:船舶が通行できるように、港湾や河川の航路を浚渫する工事
- 港湾施設の整備:港湾の水深を深くすることで、より大型の船舶が入港できるようにする工事
- 浚渫土の再利用:浚渫した土砂を用いて埋め立てを行い、新たな土地を造成する工事
- 河川の浚渫:洪水対策の一環として、河川の流れをスムーズにするために浚渫を行う工事
しゅんせつ工事は、水路の確保や河川の流れの改善、港湾の機能向上に重要な役割を果たします。
しゅんせつ工事業の許可が必要なケース
しゅんせつ工事業で許可が必要になるのは、1件の工事の請負金額が500万円以上(税込)の場合です。500万円未満の小規模な浚渫工事については、許可なしで業務を行うことが可能ですが、500万円以上の工事を受注するためには、建設業許可が必要です。
しゅんせつ工事業の許可要件
しゅんせつ工事業の許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
経営管理責任者の要件
経営管理責任者は、企業の経営者や役員で、建設業における経営業務の管理経験を持つ者です。具体的な条件は以下の通りです。
- 5年以上の建設業の経営業務の管理経験を有すること
- または、2年以上の役員経験に加え、5年以上の経営業務補助経験があること
この要件を満たす人物がいなければ、許可申請はできません。
専任技術者の要件
専任技術者は、工事現場での技術的な管理を行う責任者で、しゅんせつ工事業では次の資格や実務経験が必要です。
資格による要件
しゅんせつ工事の専任技術者として認められる資格は以下の通りです。
- 1級または2級土木施工管理技士
これらの資格を持つ者は、しゅんせつ工事業の専任技術者として認定されます。
実務経験による要件
資格がない場合でも、以下の実務経験を積むことで専任技術者として認められます。
- 指定学科の高等学校卒業者:5年以上のしゅんせつ工事に関する実務経験
- 指定学科の大学卒業者:3年以上のしゅんせつ工事に関する実務経験
- 指定学科以外の学歴:10年以上のしゅんせつ工事に関する実務経験
「指定学科」とは、土木工学、環境工学、河川工学など、建設業に関連する学科を指します。
財務的基盤の要件
許可を取得するためには、事業の財務基盤が安定していることが求められます。具体的には以下のいずれかを満たす必要があります。
- 500万円以上の純資産を有していること
- 銀行の融資証明書などで500万円以上の資金調達能力を証明できること
- 決算書で自己資本額が500万円以上であることを示すこと
社会保険の加入
建設業の許可を取得するためには、**社会保険(健康保険、厚生年金、雇用保険)**に適切に加入していることが条件です。社会保険に加入していない場合、許可申請は受理されません。
許可取得後の管理
しゅんせつ工事業の許可を取得した後も、定期的な管理と更新が必要です。建設業許可は通常5年ごとに更新が必要で、更新時には経営管理責任者や専任技術者の要件を満たしているか再確認されます。また、毎年の決算報告書の提出も義務付けられています。
よくある質問(FAQ)
Q1. しゅんせつ工事業の許可はいつ必要ですか?
A. 1件あたりの工事の請負金額が500万円以上の場合に許可が必要です。500万円未満の工事であれば、許可がなくても施工可能です。
Q2. しゅんせつ工事業の専任技術者には資格が必須ですか?
A. 資格がなくても、一定の実務経験があれば専任技術者として認められる場合があります。学歴に応じて、3年から10年の実務経験が必要です。
Q3. 建設業許可の取得に必要な資本金はどれくらいですか?
A. 許可取得には500万円以上の純資産またはそれに相当する財務基盤が必要です。資本金ではなく、企業の財務的安定性を示す証明が求められます。
Q4. 許可を取得するのにどれくらいの時間がかかりますか?
A. 許可申請から取得までは通常1~2か月程度ですが、書類の整備状況によってはそれ以上かかる場合もあります。
まとめ
しゅんせつ工事業の許可を取得するためには、経営管理責任者や専任技術者の資格や実務経験、財務基盤の安定性、そして社会保険への適切な加入など、さまざまな条件を満たす必要があります。許可を取得すれば、500万円以上の大規模工事を合法的に受注でき、事業の成長が見込めます。
これらの要件をしっかりと確認し、事前に適切な準備を行って申請を進めることが、成功への第一歩となります。
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