ものづくり補助金!事業化状況報告の書き方・収益納付と賃上げ要件についても行政書士が解説

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私たちは行政書士保利国際法務事務所です。最新の補助金情報や活用ノウハウを発信し、申請サポートを行っています。特に事業化状況報告については、専門チームを編成し、しっかりと対応しております。

ものづくり補助金の採択率は年々厳しくなっていますが、見事に採択されたこと、心よりお祝い申し上げます。採択後も手続きが続きますが、事業化状況報告については特に以下のようなお悩みを抱える方が多いです。

・事業化状況報告の書き方や提出タイミングが分からない

・国に納付(収益納付)があると聞いて不安

・賃上げ要件が達成できているか心配

本記事では、このような悩みを解決し、円滑な手続きができるよう、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。ぜひご一読ください。

 

事業化状況報告の義務内容

ものづくり補助金を受けた事業者様は、補助事業終了後も6年間にわたり、以下の内容を定期的に報告する義務があります(交付規程第23条・24条)

また、取得財産等管理台帳に記載された単価50万円(税抜き)以上の財産等について「成果活用型生産転用」や「財産処分」などを行う場合にも申請が必要となります。

・事業化状況・知的財産権等報告書
補助金を活用した事業の進捗や知的財産権の取得状況を報告します。

・事業化状況等の実態把握調査票
事業化状況に関する詳細情報を記入し、実態を把握するための調査票です。

・返還計算シート
必要に応じた収益納付額など、返還が必要な金額の計算を行います。

・直近の決算書
知的財産権に関する報告の場合は、交付決定から報告対象年度終了時点までの決算書も提出が必要です。

・報告年3月分の賃金台帳
補助金を活用した事業の賃上げ要件を確認するための賃金台帳を提出します。

これらの内容は、「事業化状況・知的財産権等報告システム」を通じて報告します。適切な報告は、補助金を受けた事業の透明性を保つために重要ですので、期限や内容に注意して手続きを進めましょう。それぞれの書き方は後ほど解説します。

 

事業化状況報告の提出期限は?

初めての事業化状況報告

報告期間は毎年4月1日~5月31日の2カ月間で、1回目の報告時期は補助金額が確定した時期で決まります。そのため、補助事業者様毎に開始時期は異なります。

補助金の額の確定を2月末までに受けた場合、次に迎える4月~5月に初めての事業化状況報告を行う必要があります。
※3月以降に確定を受けた場合は翌年の4月~5月が初めての報告年となります。詳しくはこちら

例)2024年2月末までに補助金の額の確定を受けた場合
 ➡2024年4月1日~2024年5月31日の間に報告

  2024年3月以降に補助金の額の確定を受けた場合
 ➡2025年4月1日~2025年5月31日の間に報告

 

全6回分の報告対象期間と入力期間
報告回数報告対象期間システム入力期間
※5月31日を超えると入力ができなくなります
1回目~令和 6年3月31日令和 6年4月1日~5月31日
2回目令和 6年4月1日 ~令和 7年3月31日令和 7年4月1日~5月31日
3回目令和 7年4月1日 ~令和 8年3月31日令和 8年4月1日~5月31日
4回目令和 8年4月1日 ~令和 9年3月31日令和 9年4月1日 ~5月31日
5回目令和 9年4月1日 ~令和10年3月31日令和10年4月1日~5月31日
6回目令和10年4月1日~令和11年3月31日令和11年4月1日~5月31日

 

賃上げ要件の提出タイミング

特に重要なのが、「賃上げ要件」の提出タイミングです。最低賃金引上げは「毎年3月分の賃金台帳で毎年確認」なのに対して、 給与支給総額の引き上げは「事業計画終了後に1回のみ判定」になっています。

最低賃金引上げは、毎年3月分の賃金台帳で、事業場内最低賃金を地域別最低賃金対比+30円以上になっている必要があります。(=「3 月末までに」地域別最低賃金対比+30 円上がっていることが補助要件)最低賃金は毎年変わりますので必ず確認が必要です。毎年7月~8月頃に最低賃金審議会にて審議・答申が行われたのち、都道府県労働局長により改定額が決定され、10月から新たな最低賃金が適用されます。

給与支給総額の年平均増加率の要件達成当否を判断するのは、事業計画が終了後の「1 回だけ」です。5年計画の場合、途中の経過は関係なく、5年後に合計7.5%上がっている必要があるということになります。

報告項目報告時期 確認時点
事業化状況 毎年直近決算
知的財産権等毎年3月
給与支給総額毎年直近決算
事業所内最低賃金毎年3月
 

事業化状況報告の注意点

補助事業の成果により収益が発生した場合、補助金額を上限として一部を収益納付する必要があります。また、報告において給与支給総額や最低賃金の増加目標が達成されていないと判断される場合、補助金の返還が求められるので注意しましょう(交付規程第25条)。

 

収益納付

事業化状況の報告から、事業の成果により収益が得られた場合、受領した補助金の額を上限として収益納付が必要です。ただし、決算が赤字の場合や賃上げが年平均成長率3%以上、地域別最低賃金に90円以上上乗せされている場合は、収益納付が免除されます。計算が複雑なため、専門家に相談することをおすすめします。

 

補助金返還
 

補助金返還は、事業化状況報告で給与支給総額や事業場内最低賃金が基本要件を満たさない場合に求められます。ただし、再生事業者は特定の条件下で返還が免除されることがあります。

  1. 給与支給総額の増加目標が未達の場合: 年平均成長率1.5%以上の増加が達成できない場合、導入した設備等の簿価又は時価のいずれか低い方の額のうち補助金額に対応する分(残存簿価等×補助金額/実際の購入金額)の返還を求められます。付加価値額の成長が年平均成長率の1/2を超えた場合や天災などの理由があれば、返還は免除されます。

  2. 賃上げ要件が未達の場合: 事業計画期間の毎年3月分の賃金台帳で、事業場内最低賃金を地域別最低賃金対比+30円以上の水準とする目標が達成できていない場合は、補助金額を事業計画年数で除した額の返還を求められます。付加価値額が1.5%未満または天災の理由がある場合、返還は免除されます。

 

次回補助金申請時の大幅減点

賃上げ要件未達の場合、未達報告を受けてから18か月、ものづくり補助金の次回公募と中小企業庁が所管する他の補助金への申請時に大幅に減点されることになっています。

 

事業化状況報告の書き方

事業化状況報告は交付申請や実績報告を行ったJグランツのログイン画面からは入ることができません。下記システムよりログインしましょう。

step.1 ログイン

 

令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
「事業化状況・知的財産権等報告システム」の URL
https://report.r1mono-system.jp/jigyo/Authority/LoginCompanies/

step.2「事業場内最低賃金」の登録

※ただし、猶予(※1)を行った場合は1年後ろにずれます。

 「猶予」とは?

補助事業実施年度の付加価値額及び賃金の引上げを求めず、目標値の達成年限を1年猶予します。猶予するかどうかは、1回目の事業場内最低賃金登録の際に補助事業者様が選択します。2回目以降は変更できませんのでご注意ください。
猶予可能対象:特別枠、特通(申請時は特別枠で採択は通常枠)の補助事業者様 及び 5次締切以降の全ての補助事業者様
(回復型賃上げ・雇用拡大枠、再生事業者を除く)

 

step.3「事業化状況・知的財産権等報告書の事業化状況及び知的財産権等」を登録

事業化状況の入力

①「事業化状況」の「未入力」をクリック
②補助事業の実施成果について、登録する直近の決算書の期間における事業化の有無を選択します。事業化有りの場合には、事業化の「段階」も選択
③登録する直近の決算書の期間における「知的財産権等の譲渡又は実施権の設定」の有無を選択
④登録をクリック

知的財産権等の入力

事業化状況での「知的財産権等の譲渡又は実施権の設定」の有無に関わらず、本事業で試作開発した技術(試作品)等や本事業で他社から取得した知的財産権等(取得財産等管理台帳に記載された財産)を活用して、
補助事業者様自ら出願(取得)した知的財産権等がある場合は、入力してください。(出願中に取消した場合も含む。)

 

①「知的財産権等」の「未入力」をクリック
②報告対象年度毎の出願・取得年数ではなく、交付決定から報告対象年度終了時点までに出願中・取得済みの全件数を記載
● 出願中や取得済みの知的財産権等がある場合 知的財産権等の追加をクリック
● 出願中や取得済みの知的財産権等がない場合 →現在の状況登録画面へ進むをクリック

本事業で試作開発した技術(試作品)等や本事業で他社から取得した知的財産権等(取得財産等管理台帳に記載された財産)を活用して、補助事業者様自ら出願(取得)した知的財産権等のみについて入力します。(出願中に取消した場合も含みます。)
③交付決定から報告対象年度終了時点までの「取得状況」、「種類」、「出願日」、「出願番号」、「出願人」、「審査請求日」、「登録番号」、「技術内容」、「備考」を入力
④登録をクリック

 

step.4 「現在の状況」を新規登録する

事業化状況報告と併せて登録する直近の決算書を基に登録を行います。

①事業化状況等の実態把握調査票の「現在の状況」の「未入力」をクリック

②現在(登録する直近の決算書)における会社全体の数値を入力
③登録する直近の決算書の期間における「最近の取組状況、成果、事業化の見通し」を記入
 事業化の有無にかかわらず、必ず記入してください。

④補助事業終了後の試作開発に係った「自己負担額」を入力
⑤登録をクリック

step.5 製品情報 を新規登録する

「補助事業の実施成果の事業化」を「事業化有り」(第1段階~第5段階)」とした場合や「知的財産権等の譲渡又は実施権の設定」を「有」とした場合は、製品情報を入力します。

①事業化状況等の実態把握調査票「製品情報」の「未入力」をクリック
②製品の追加をクリック
③製品ごとに「製品情報登録」と「原価算出表」を作成
④登録をクリック

 

step.6 「本年度返還」を新規登録する

①「本年度返還」の「未入力」をクリック

各種金額と、納付が必要な場合は納付額が表示されます。免除の判定結果が表示されます。


②内容を確認し、確認済

 

step.7「決算書」を新規登録する

事業化状況報告内容の「事業化有り」、「事業化無し」に関わらず、全ての補助事業者様は、事業化状況・知的財産権等報告書の他に、直近の「決算書」「製造原価報告書」「販売費及び一般管理費明細表(内訳)」を本システムに登録します。

 

①「事業化状況・知的財産権等報告書」をクリック
②「決算書」の「未入力」をクリック
③ファイルの選択をクリックし、パソコンに保存してある決算書のファイルを選択
④登録をクリック

 

step.8「完了年月日」の登録及び報告書を印刷する

「事業化状況・知的財産権等報告書」の完了年月日を登録します。
本システムに登録された「事業化状況・知的財産権等報告書」は、システムから出力し、A4判で印刷し、保管しておきましょう。

 

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。事業化状況報告は、採択後の補助金事業を成功させ、次回の申請においても有利に進めるための重要な手続きです。複雑な手続きや報告に不安を感じる場合は、ぜひ専門家のサポートを活用してください。

行政書士保利国際法務事務所では、最新の補助金情報や活用ノウハウを常に発信し、採択後の申請サポートにも注力しております。特に事業化状況報告に関しては、専門チームが迅速かつ確実に対応いたしますので、安心してお任せください。お困りの際は、お気軽にご相談ください。

 

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