不法就労助長罪リスクを防ぐ 入管コンプライアンス「10のセルフ診断」

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2026年7月の入管職員226人の定員増決定や、同年6月の「特定在留カード」運用開始など、外国人雇用に対する国や出入国在留管理庁(入管庁)による在留管理や、調査・摘発体制の強化が進んでいます。
企業にとって外国人材の活用は欠かせませんが、「知らなかった」という確認不足であっても、「過失がなかった」と認められなければ重い刑事罰に問われる可能性があるのが出入国管理及び難民認定法(入管法)が規定する「不法就労助長罪」の恐ろしい点です。
本記事では、最新の入管動向や、法改正により大幅な厳罰化が決定した不法就労助長罪(2027年4月1日施行予定)などを踏まえ、企業を守るための「10のセルフ診断」と具体的な対策を解説します。

1. 厳罰化・人員増・DX化の「3つの監視網」

日本国内の人手不足を背景に、外国人材の活用は今や企業成長に欠かせない戦略となっています。しかしその一方で、外国人雇用における複雑なルール(入管法等)を正確に把握し、運用できている企業ばかりではありません。

1.1 ① 厳罰化:罰則の上限引き上げと、知らなくても問われる過失責任

2027年(令和9年)4月1日より、不法就労助長罪の罰則が「5年以下の拘禁刑(※従来の懲役・禁錮に相当)または500万円以下の罰金/併科あり」(現行:3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金/併科あり)へと引き上げられます。
また、不法就労助長罪は過失責任が問われます。外国人が不法就労であることを「知らなかった」と主張しても、確認を怠ったことに落ち度(過失)がなかったと認められなければ、処罰を免れることはできません。

加えて入管法には従前から、違反行為をおこなった従業員だけでなく、法人(会社)に対しても罰金刑を科す両罰規定が存在します。今回の不法就労助長罪の厳罰化に伴い、同罪に関して法人に科される罰金の上限も、500万円以下の罰金(現行:300万円以下の罰金)へと引き上げられることになります。
企業にとって、500万円以下の罰金だけでも大きな痛手ですが、より深刻なのは、その刑罰をきっかけに将来の外国人材の受け入れまで制限される点です。企業が罰金以上の刑に処された場合、その後5年間にわたり、特定技能や今後開始される育成就労などの外国人労働者を雇用できなくなり、実質的な事業停止につながりかねません。

1.2 ② 監査の強化:入管の定員「226人」増で摘発体制強化へ

2026年7月の閣議決定により、不法滞在者の摘発や在留審査の厳格化を強力に推し進めるため、入管庁の定員を緊急的に226人(入国審査官176人、入国警備官50人)増員することが決定しました。現在、今年度中の人員確保に向けた採用活動が強化されており、今後、企業への調査や摘発体制は拡大していく見込みです。
現状においても、摘発の対象は悪質なブローカーだけでなく、不法就労者が稼働しやすい建設業、製造業、飲食業などの一般的な企業やその下請け・派遣先に広く及んでいますが、今回の増員により、一般企業に対するチェックの目はさらに厳しくなると考えられます。

1.3 ③ DX化:在留カードとマイナンバーの一体化等による在留管理の厳格化

2026年6月14日より、外国人の利便性向上や行政の効率化を目的として、在留カードとマイナンバーカードが一体化した「特定在留カード」の運用が開始されました。さらに、行政間のデータ連携基盤である「公共サービスメッシュ」は2026年1月にすでに稼働を開始しており、入管庁との本格的なシステム連携(入管DX)は、2027年(令和9年)3月以降に予定されています。これにより、入管庁と各行政機関のシステムが直接紐づくことになります。
制度の主目的は利便性の向上とされていますが、実態としては、行政間のデータ連携が進むことで、国民健康保険料や国民年金保険料の納付情報、地方税の課税情報、医療保険の被保険者資格情報などが在留審査の参考資料として直接参照される予定です。さらに、国税・地方税の納税情報や生活保護に関する情報連携の活用についても、今後の検討事項として位置付けられており、将来的に外国人の就労、納税、社会保障の実態がこれまで以上に把握されやすくなる可能性があります。

※特定在留カードの取得は希望者のみ(任意)です。同カードの取得を希望しない場合、次に更新等を行うタイミングでは、マイナンバーなしの新たなデザイン(新様式)の在留カードを受け取ることになります。

出典:出入国在留管理庁のウェブサイトに掲載されているリーフレット

2. 今すぐできる入管コンプライアンスのセルフ診断

2027年4月の入管法改正による厳罰化に備え、貴社の不法就労を未然に防ぐための確認・管理体制は万全でしょうか? 経営を揺るがしかねない重大なペナルティを回避するためにも、以下の10項目で現在の社内運用をチェックしてみましょう。

2.1 採用活動(面接)時のチェック(入口管理)
☑ チェック①:面接時に在留カードの原本提示を求め、顔写真と照合する

なぜ重要か:入社日(稼働開始日)ではなく、採用を決定する面接時点での適法な在留資格の確認が第一関門です。原本確認を怠ったまま雇用してしまうと、万一不法就労が発生した際、入管法上の不法就労助長罪において、事業主側の過失(落ち度)が認定されてしまうおそれが強まります。

対応のヒント:「後で本人からスマホ画像を送らせる」「派遣会社から送られてきたコピーだけで確認を済ませる」といった方法はコンプライアンス上、望ましくありません。必ず面接の場で、本人の同意を得た上で原本の提示を受け、プライバシーに配慮しつつ、顔と写真が一致していることを丁寧に確認しましょう。確認した実績(担当者名、日時など)を社内シートに記録として残しておくことが、自社を守るコンプライアンスの第一歩となります。

☑ チェック②:公式アプリを用いて、ICチップの偽造・失効を確認する

なぜ重要か:近年、目視だけでは本物と区別がつかない極めて精巧な偽造在留カードが確認されています。不法就労助長罪の過失判断においては、公的に提供されている確認手段(読取アプリ)を適切に使用していたかが重視されます。

対応のヒント:出入国在留管理庁が無料で提供している「在留カード等読取アプリケーション」を社内端末に導入し、ICチップの情報を読み取って券面と照合しましょう。あわせて、インターネット上の「在留カード等番号失効情報照会」での有効性確認も同時に実施することが推奨されています。なお、社内担当者の確認漏れを防ぐためにも、外国人採用フローの共通ルールとして、対象者全員に一律で実施することが重要です。

【お役立ち情報】
すでにご紹介した特定在留カードを所持している外国人の場合は、デジタル庁が提供する「マイナンバーカード対面確認アプリ」を用いて、ICチップ内の在留期間等の情報を確認することも可能です。

出典:出入国在留管理庁のウェブサイトに掲載されている資料
☑ チェック③:留学生・家族滞在者の資格外活動許可の有無を確認する

なぜ重要か:在留資格が留学や家族滞在の外国人は原則として就労が認められていませんが、別途「資格外活動許可」を得ていれば、原則として週28時間以内(風俗営業等の従事を除く)の範囲でアルバイト雇用が可能です。この許可の有無を事前に正しく把握することは、法令を遵守し、双方が安心して働ける適正な雇用環境を整えるために不可欠なステップです。

対応のヒント:従来の在留カードでは、表面の「就労制限の有無」欄に「就労不可」とあっても、カード裏面の「資格外活動許可欄」に許可スタンプが押されていれば就労可能です。

新しく開始された特定在留カードの場合は、資格外活動許可の有無がカード表面の右下(追記欄)等に「許可(週28時間以内・風俗営業不可)」と印字される仕様に変更されています。新旧どちらの様式のカードであっても、資格外活動許可の記載の有無は見落とさないようにしましょう。

2.2 労務管理のチェック(就業中の管理)
☑ チェック④:留学生の「週28時間以内」の労働時間管理(掛け持ち含む)

なぜ重要か:採用時に資格外活動許可を確認しただけで安心していませんか?就業開始後、この制限時間を超えて働かせると、留学生本人だけでなく、雇用した企業側も不法就労助長罪で処罰される可能性が高まります。

対応のヒント:他社での労働時間を合算して、週28時間以内に収めなければなりません。「他社でそこまで働いているとは知らなかった」という言い訳は一切通用しないため、採用面接時だけでなく、毎月のシフト作成時にも、他社での掛け持ちの有無や実労働時間を定期的に自社で確認・記録しておく体制づくりが必須です。
ただし、在籍する教育機関の規定による長期休業期間(夏休みや冬休み等)中に限り、特例として「1日8時間まで(週40時間以内)」の就労が包括的に認められます。

☑ チェック⑤:就労ビザ(専門職等)と実際の業務内容の適合性確認

なぜ重要か:通訳などの就労ビザを持っていても、許可された専門業務以外(工場ライン等の単純労働など)をさせることは違法(活動範囲の逸脱)となるためです。

対応ヒント:在留カードの券面を見るだけでなく、雇用契約書の業務内容と、現場で実際に任せている業務にズレがないか定期的に点検します。

☑ チェック⑥:派遣社員受け入れ時のコンプライアンス管理

なぜ重要か:外部から派遣労働者を受け入れて現場で働かせる際、企業は入管法と労働者派遣法(派遣法)という、異なる2つの法律に配慮する必要があります。以下の2段階の確認プロセスを社内ルールとして確立することが有効です。

対応のヒント:

  • 第1段階:事前段階(契約による書面での担保)…派遣契約を締結する際、派遣契約書の中に「派遣元は、配属する労働者が適法に就労できる在留資格を有していることを確認・保証する」という旨の条項を明記し、派遣会社側での事前確認プロセス(確認書等の提出)を契約のシステムとして担保しておきます。
  • 第2段階:当日段階(就業開始時の原本確認)…外国人従業員が初めて現場に出勤してきた日(初出勤時)に、派遣先企業の担当者が直接本人の同意を得て、在留カード原本の提示を受けます。その際、出入国在留管理庁が無料で提供している「在留カード等読取アプリケーション」を用いてICチップ内の情報を読み取り、券面と照合します。
  • 就労資格証明書の活用:派遣されてきた本人が、入管庁が発行する就労資格証明書の写しを所持している場合は、それを提示してもらう(または派遣元経由で提示を求める)ことも、客観的な適法性の確認手段として有効です 。

ただし、同証明書の取得・提示は外国人の任意(義務ではない)であるため 、所持していない場合は在留カード(原本)の記載事項と、自社で実際に指示する現場の業務内容が一致しているかを突き合わせて確認しましょう。

☑ チェック⑦:在留期限の「3ヶ月前(更新受付開始)アラート」の運用

なぜ重要か:気づかぬうちに期限が切れ、オーバーステイ状態で働かせてしまうのを防ぐためです。在留期間の更新申請は、期限の3ヶ月前から可能になるため、このタイミングで手続きに着手するのが最も安全です。

対応ヒント:人事システムや共有カレンダーに期限を入力し、更新手続きが可能となる3ヶ月前の時点で担当者や外国人本人のスマートフォンに自動通知がいく仕組みを作ります。

☑ チェック⑧:定期的な社内教育と、社内相談・報告体制の確立

なぜ重要か:本社の人事や総務部門だけが入管法を理解していても、外国人スタッフが実際に稼働する「現場(店舗、工場、事業所など)」の責任者と連携が取れていなければ、意図しないコンプライアンス違反を防ぐことはできません。現場が「これって法律上大丈夫かな?」と疑問に思った際、一人で抱え込まず、本社の管理部門などへすぐに相談・報告(エスカレーション)できる社内体制をあらかじめ整えておくことが、自社と外国人スタッフ双方の適法な就労環境を守るために極めて重要です。

対応ヒント

(1)現場責任者への定期的な教育:現場の店長やエリアマネージャー、工場長などに対し、留学生の週28時間制限(掛け持ち合算)や、在留資格に定められた範囲外の業務(例:技術・人文知識・国際業務のビザを持つスタッフに、単純労働を指示するなど)が法律で禁じられていることを、社内研修等で定期的に周知・教育しましょう。

(2)社内相談(エスカレーション)ルートの整備:「在留カードの更新期限が近づいているが、本人が手続きを進めているか不安だ」「他社との掛け持ちのシフト管理が難しい」など、現場で生じた些細な疑問や不安を、本社のコンプライアンス担当窓口へ速やかに相談・共有できる共通フォーマットやホットラインを確立しておきます。

(3)万一のトラブル時の行政相談フロー:面接時に明らかな偽造在留カードが提示されるなど、違法な状況に遭遇してしまった際、現場担当者の独断で処理させず、本社の管理部門の統括のもと、最寄りの地方出入国在留管理官署(入管局)などの適切な窓口へ相談・連携を図るための手順をマニュアル化しておきましょう。

2.3 退職時などのチェック(出口管理)
☑ チェック⑨:ハローワークへの「外国人雇用状況届出」の徹底

なぜ重要か:外国人スタッフが退職(離職)した際、企業がハローワークへ届け出ることは法律上の義務であり、怠ったり虚偽の報告をしたりした場合は、30万円以下の罰金の対象となります。退職時の届出をうっかり忘れてしまう企業が多く見られるため、確実な手続きが必要です。

対応ヒント:雇用時だけでなく、退職時や解雇時にも漏れなくハローワークへ提出しましょう。なお、退職時の提出期限は、退職する外国人スタッフの雇用形態によって以下のように異なりますので注意してください。

  • 正社員など(雇用保険の被保険者):退職した日の翌日から起算して「10日以内」(資格喪失届と同時に提出)
  • アルバイトなど(雇用保険の対象外):退職した日の属する月の「翌月末日まで」
出典:厚生労働省のウェブサイトに掲載されている資料
☑ チェック⑩:外国人本人による入管庁への「所属機関等に関する届出」の案内・リマインド

なぜ重要か:自社の名称・所在地の変更、会社の合併・消滅、あるいは外国人スタッフ本人が退職・転職や別会社へ出向(相当期間)する際、その対象となる外国人スタッフ本人が入管庁へ14日以内に「所属機関等に関する届出」を行う法的義務があります。本人がこの届出を怠った場合、次回の在留期間更新(ビザ更新)の審査において不利に扱われるリスクが生じます。自社で雇用していた(している)外国人スタッフが将来にわたって不利益を被らないよう、会社側がこの手続きの必要性を本人にしっかり案内・リマインドする仕組みが不可欠です。

対応のヒント:自社が移転や社名変更をした場合、または外国人スタッフ本人が退職や他社へ出向をする場合は、「あなた自身が、退職(または出向・会社の変更)から14日以内に入管庁へ届出を行う必要があります」と、対象となる外国人スタッフ本人へ忘れずにアナウンス・案内しましょう。届出は、入管庁の「出入国在留管理庁電子届出システムポータルサイト」から24時間いつでも、外国人本人がオンラインで簡単に手続き可能です。
なお、雇用主である企業としては、チェック⑨で述べた通り、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」を行う義務があるため、法律の除外規定(二重届出の免除)により入管庁への「所属機関による届出」を行う必要はありません。

所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A

セルフ診断の判定結果は、いかがでしたか?

すべて「はい」の企業👍
現在の管理体制は概ね良好です。今後の法改正やシステムの変更(マイナンバー連携等)に注意しながら適正な運用を継続してください。

1つでも「いいえ」「分からない」があった企業
結果的に不法就労を助長してしまうリスクが潜んでいます。そのままにせず、社内の管理体制や現場の運用を見直すようにしてください。見直しに当たっては、行政書士、社会保険労務士、弁護士など、課題や分野に応じた専門家に相談・依頼することも望ましいです。

3. 現場でよく起きがちな違法事例

先のチェックリストで「いいえ」があった場合、企業には、どのような事態を招く恐れが潜んでいるのでしょうか。
不法就労が疑われる場合、外国人スタッフを雇用(または受け入れ)している現場に対して、入管庁や警察などの関係機関による合同調査が行われることがあります。万一、そこで働くスタッフの不法就労が発覚した場合、対象となるスタッフの身柄が収容・摘発されかねません。その結果、自社の業務がその瞬間にストップするだけでなく、当該外国人を雇用していた企業に対する不法就労助長罪の捜査へと発展してしまうおそれがあるのです。
企業のどのような確認不足がこうした事態を招いてしまうのか、出入国在留管理庁が公表している実際の最新摘発事例と、そこから学ぶべき再発防止策を見てみましょう。

3.1 事例①:他人名義・偽造在留カードによる身分偽装
  • 事案: 在留カードの再交付申請制度を悪用して他人名義の在留カードを取得・行使するなど、巧妙に身分を偽装して不法滞在を隠蔽しようとする事案が相次いで発生しました。各地方出入国在留管理官署の協力・連携により、同事案の中心人物と目された外国人が偽造在留カード行使容疑で摘発されています。
  • 企業が負うリスク: このように制度の隙間を突いた巧妙な身分偽装が行われた場合、採用担当者が目視だけでカードの真贋や本人性(本当に目の前の本人のカードなのか)を見破ることは極めて困難です。目視確認だけで済ませていた場合、結果的に不法就労者を稼働させてしまい、企業側も確認不足として責任を問われるおそれがあります。
  • 再発防止策: 本人の言葉やカードの見た目だけを鵜呑みにせず、面接時には必ず本人が持参したカード原本を手に取り、入管庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」を用いてICチップの読み取りを実施するとともに、カードに記録された顔写真と本人が同一人物であるかをしっかり照合・確認しましょう。
3.2 事例②:不法残留者(オーバーステイ)の雇用
  • 事案: 埼玉県内のトルコ人が経営する解体業者において、複数の不法滞在外国人が現場で稼働していることが判明しました。不法残留外国人からの供述を基に関係機関が合同調査を行った結果、同社で働いていたベトナム人10人が、不法残留および資格外活動容疑で摘発される事態となりました。
  • 企業が負うリスク: 雇用開始時だけでなく、日常的な期限管理を怠っていると、雇用している外国人スタッフがいつの間にか在留期限を過ぎて「オーバーステイ(不法残留)」状態になっていても気づくことができません。この状態で稼働を継続させた場合、企業も不法就労助長罪で処罰の対象となる場合があります。
  • 再発防止策: 採用時の徹底した在留期限の確認はもちろん、雇用後も人事システムや共有カレンダー等を用いて各スタッフの在留期限をデータベース化し、期限の「3ヶ月前(更新受付開始)」のタイミングで自動的に管理担当者へ通知がいくアラート体制を社内に構築しておくことが有効です。
3.3 事例③:派遣での業務内容の不一致(専門職ビザでの単純労働)
  • 事案: 専門的な知識やスキルを要する「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)を持つ複数の外国人(スリランカ人)が、現場において集団でクリーニング工員(現場での単純作業)として稼働していました。これを受け、強制調査が実施され、労働者を送り出していた派遣元事業者の代表取締役(自身も「経営・管理」の在留資格を持つスリランカ人)が、不法就労助長容疑で摘発されました。
  • 企業が負うリスク: 派遣元から専門職(通訳など)として適法に送り出された外国人スタッフであっても、派遣先(自社)の現場において、人手不足を理由に安易に現場の応援や手伝いと称してビザの活動範囲外である単純労働(クリーニング工員やライン作業など)を指示・常態化させていると、現場で実際に作業をさせている派遣先企業(指揮命令者)が 処罰の対象と評価されるリスクがあります。
  • 再発防止策: 専門職の派遣労働者を受け入れる際は、契約時に取り決めた専門業務(例:通訳、技術指導等)以外の現場労働(応援や手伝いを含む単純作業)を勝手に行わせないよう、受け入れ現場の責任者(店長や工場長等)に対して入管法のルールを徹底して教育します。その上で、現場任せにせず、本社の管理部門が定期的に実態のヒアリングや巡回点検(モニタリング)を行い、契約書通りの専門業務に適正に従事しているかダブルチェックする体制を構築しましょう。

4. 手遅れになる前に客観的な目でリスクを摘み取ろう

2027年に控える入管法厳罰化や今後の在留管理DXの推進により、外国人雇用における企業の管理責任とコンプライアンスの要求水準は飛躍的に高まっています。「知らなかった」「派遣会社に任せていた」という言い訳は通用しないでしょう。
入管法は非常に複雑かつ広範であり、在留資格と実業務の適合性判断などには高度な専門的知識を要することも多いです。社内のリソースだけで完璧な管理体制を構築・維持することは、人事担当者にとって大きな負担となることもあります。自社の運用に不安な部分や判断に迷うケースがある場合は、入管業務や外国人労務に精通した外部の専門家(行政書士や弁護士など)にアドバイスを求め、客観的な視点で管理体制を見直すことが有効なリスクヘッジとなるでしょう。
自社の外国人雇用体制に不安を感じられた際は、まずは現状の課題を洗い出し、適正な雇用管理の第一歩を踏み出すためのご相談をご検討ください。

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