2026年ものづくり補助金・新事業進出補助金はどうなるのか?新制度を補助金のプロが解説

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【本記事の取り扱いについて】
本記事は、2025年12月時点で公表されている政府予算案および過去の傾向に基づく予測を含みます。実際の申請にあたっては、必ず今後中小企業庁等から発表される最新の公募要領をご確認ください。


この記事の監修者
行政書士 保利 一晶

再構築補助金・生産性革命推進事業開始当初から補助金申請サポートに従事。2025年度のIT導入補助金においては採択率8割を達成。


2026年に向けて、ものづくり補助金と新事業進出補助金は、制度の前提そのものが大きく変わろうとしています。

これまでのように

・「設備を更新したい」
・「新しい事業に挑戦したい」

という理由だけでは、採択は難しくなります。

Table of Contents

ものづくり補助金と新事業進出補助金は統合と予想
なぜ今「統合」なのか?政策背景を読み解く

中小企業支援は「救済」から「選抜」へ

日本の中小企業政策は、今まさに大きな転換点を迎えています。コロナ禍で多くの企業を支えた「事業再構築補助金」のような救済型・損失補填型の支援は、その役割を終えようとしています。

これに代わり、2025年度(令和7年度)補正予算および2026年度(令和8年度)の中小企業支援の目玉として浮上しているのが、「革新的製品等開発・新事業進出支援補助金」という新たな枠組みです。

この記事では、中小企業庁 令和7年度補正予算案の事業概要等で示された「革新的製品開発や新事業進出支援(既存基金の活用1,200億円規模)」について解説します。この新制度は、従来の「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金(旧・事業再構築補助金)」を統合する形になると予測されています。

2026年度の支援スキームは、単なる設備更新や多角化の支援ではありません。「持続的な賃上げ」と「高付加価値化」を絶対条件とした、選別的な投資プログラムへと変わります。予算規模は基金を含めれば1兆円を超える巨大な財源が確保されていますが、その配分は「生存のための支援」から「成長のための選抜」へと厳格化されるでしょう。

この記事を通じて、政策転換の背景を読み解き、経営者の皆様が取るべき具体的な戦略をお伝えします。

新事業進出補助金は2026年で廃止?統合の可能性

2025年度(令和7年度)補正予算案の事業概要等では、革新的製品開発や新事業進出支援(既存基金の活用、1,200億円規模)といった枠組みが示唆されています。

この流れから、2026年は「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金(旧・事業再構築補助金の後継)」が、統合または一体運用される可能性が高いです。
※現時点では予測を含みます。制度名・枠組みは公募要領の発表で確定します。

統合のメリット|審査基準は「賃上げ・付加価値」で一本化へ

統合が進む場合、申請者側のメリットは大きく2つです。

  • 重複申請・制度選択の迷いが減る
  • 審査の物差しが「賃上げ」「付加価値」中心に整理される

裏を返すと、“基準が統一される=逃げ道が減る”ということでもあります。

従来の制度がどのように再編されるか、予測を整理しました。

ものづくり補助金

従来:製造プロセスの改善・試作開発支援
今後(予測):「革新的製品開発枠」として、技術的優位性の確立と生産性革命を重視


新事業進出補助金

・従来:コロナ禍での業態転換・事業再生
今後(予測):「新事業進出枠」として、成長市場への参入と高付加価値事業の創出に特化

特筆すべきは、今回の予算が単年度のものではなく「既存基金の活用」で賄われる点です。これにより、2026年度を通じて切れ目のない公募が可能になります。また、複数の補助金が「支援パッケージ」として統合されることで、重複申請の手間が減り、審査基準(特に賃上げ要件)が統一されることは確実です。

経済安全保障と国内投資への回帰

円安定着やサプライチェーン課題を背景に、国内投資(国内回帰)は国家的テーマです。

統合新制度が実現するなら、採択されやすいテーマは次の方向に寄りやすくなります。

製造業なら「国内での革新的製品開発」、サービス業なら「インバウンド需要等を獲得する新事業」が、採択されやすいテーマとなるでしょう。

新制度「革新的製品等開発・新事業進出支援補助金」の仕組み予測

2026年にスタートするこの制度は、旧ものづくり補助金と旧事業再構築補助金の「いいとこ取り」をしたハイブリッド型になると予想されます。具体的な仕組みを見ていきましょう。

申請類型は2つに整理される可能性

企業の成長フェーズに合わせて、大きく二つの類型が用意される可能性が高いです。

類型1:革新的製品・サービス開発枠(旧・ものづくり補助金の後継)


  • 概要: 既存事業の延長線上にある「深化」を支援します。
  • 対象: 製造業、建設業、ITサービス業などが中心。
  • ポイント: キーワードは「革新性」。単なる設備の更新や、他社でも使われている汎用的な機械の導入は対象外です。
  • 補助額(予測): 従業員数に応じ750万〜1,250万円。大幅な賃上げを行う場合は最大3,000万〜4,000万円程度まで増額される見込みです。

類型2:新事業進出枠(旧・事業再構築補助金の後継)


  • 概要: 既存事業の枠を超えた「探索」を支援します。
  • 対象: 全業種。特に市場縮小に悩む業種向け。
  • ポイント: キーワードは「市場の新規性」と「事業の再構築」。
  • 補助額(予測): 建物費などを含む大規模投資を想定し、最大6,000万〜8,000万円規模。賃上げ特例を使えば最大1億円規模も視野に入ります。

通りやすい枠の撤廃と審査の厳格化

かつての事業再構築補助金にあった「コロナ回復加速化枠」や「最低賃金枠」のような、要件が緩和された救済的な枠は、2026年は全廃される見込みです。

今後は類型による区別がなくなり、すべての申請がフラットに審査されます。「コロナで苦しいから」という言い訳は通用せず、純粋なビジネスプランの優劣で勝負が決まる厳しい環境になります。

建物費の扱いはどうなる?

注目すべきはやはり「建物費」がどうなるか?です。今後は「建物だけ」の投資は通りにくくなり、機械装置等との一体性(投資目的の説明)がより求められると考えられます。

  • 類型1(革新的製品開発): 従来通り、原則対象外(またはプレハブ等に限定)。
  • 類型2(新事業進出): 旧制度では主要な対象でしたが、ここにもメスが入ります。「機械装置の導入を伴わない、単なる建物の建設・改修」は認められない可能性が高いです。

つまり、「カフェをやるために内装工事だけする」のはNG。「新型焙煎機と抽出ロボットを導入し、それを動かすために店舗を改修する」ならOK、というイメージです。資産形成目的の不動産投資を排除する意図が明確です。

採択されるための「必須要件」を先に押さえる

2026年度の申請で最も怖いのは、加点項目ではありません。満たさないと申請資格すら失う、あるいは返還義務が生じる「必須要件」です。

賃上げ要件|もはや国との契約(未達はペナルティを受ける可能性)

賃上げは努力目標ではなく、守れなければ返還・ペナルティが発生する契約として扱われる流れです。

  • 給与支給総額の増加: 基本は年率平均1.5%以上。新事業進出などの上位枠では、年率平均6.0%以上が求められるケースもあります。
  • 事業場内最低賃金の引き上げ: 地域の最低賃金に対し、常に+30円〜+50円以上の水準をキープし続ける必要があります。
重要

複利に注意

賃上げ目標は「複利」で効いてきます。年率平均(CAGR)で目標を設定すると、毎年のベースアップが積み重なり、3〜5年後の固定費は劇的に増えます。「補助金をもらうために無理に賃上げする」のは危険です。「生産性が上がり、利益が出るから賃上げできる」というロジックがある企業だけが申請すべきです。

付加価値額要件|年率3.0%成長と“償却負担”の罠

補助事業期間(3〜5年)で、付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)を年率平均3.0%以上増やす計画が必要です。

注意点は、設備投資によって「減価償却費(分母)」が増えること。その負担を上回る利益と人件費を稼ぎ出さなければなりません。特に初年度は償却負担で赤字になりやすいため、精緻なシミュレーションが不可欠です。

「革新性」の定義を履き違えない

「既存プロセスの単なる改善」は補助対象外と明記される見込みです。単なる更新は「自己資金で実施すべき」と見られがちです。評価されるのは、技術・プロセス・提供価値に飛躍がある投資です。

NG例

「古い機械を最新機種に買い替えて、加工速度を20%上げる」

→ これは単なる更新。自己資金でやるべきと判断されます。

OK例

「職人の手作業だった工程に、自社プログラムの協働ロボットを導入。夜間無人稼働と超精密加工を実現し、航空宇宙分野に参入する」

→ 技術的飛躍(革新性)があり、評価されます。

2026年の公募はいつから?スケジュール予測

補助金はタイミングが命です。過去のデータと予算成立時期から、2026年のスケジュールを予測しました。

公募スケジュール予測

準備期(2025年12月〜2026年1月)

補正予算成立、具体的なPR資料公開。認定支援機関(銀行やコンサル)との契約、事業計画の骨子作成、GビズID取得を進めましょう。

第1四半期(2026年4月~6月)

 統合版・第1回公募開始の見込み。公募要領を読み込み、電子申請を完了させます。

第2四半期(2026年9月〜11月)

第1回採択発表、第2回公募開始。採択されたら交付申請へ。

第3四半期以降

 第3回、第4回と続きます。

年中いつでも申請できる?

財源が「基金」化されたことで、2026年は四半期ごとの公募(年3〜4回)が定着するでしょう。「今回の締め切りに間に合わないと終わり」ではありません。焦らず、事業計画が練り上がったタイミングで、直近の回にエントリーする余裕を持ちましょう。ただし「いつでも出せる」ほど準備は軽くないため、早い段階で骨子作りが必須です。

 審査スピードは上がる?

行政側も早期の経済効果を求めているため、審査期間は短縮される傾向にあります。AI審査の導入などで、申請から採択までの期間が短くなることが期待されます。ただし、交付決定前の「事前着手(発注)」は原則NGとなる見込みです。スケジュールには余裕を持ってください。

採択を勝ち取るための戦略

採択率30〜40%の狭き門を突破するための、プロの視点をお伝えします。

1.「設備リスト」ではなく「物語」を書く

申請書は「欲しい設備のリスト」ではなく「成長の物語」です。

SWOT分析で自社の「強み」と市場の「機会」を明確にし、それらが交わる場所に今回の投資があることを示してください。全く畑違いの事業(例:建設業がタピオカ店を始めるなど)は、強みが生かせないため低評価になります。また、「売れると思う」ではなく、「商圏人口◯人に対し、ターゲット層◯%を獲得すれば売上◯円」といった数字の根拠が必要です。

2.省力化と高付加価値化の「二兎」を追う

審査員が好むのは、人を増やさずに売上を倍にして賃金を引き上げる計画です。

「RPA導入で事務工数を90%削減」「自動搬送ロボットで夜間操業を実現」など、具体的な省力化効果を数値でアピールしましょう。人手不足の今、これは最強の武器になります。

3.金融機関を味方につける

補助金は後払いです。つなぎ融資の確保は必須ですし、金融機関の「確認書」が必要なケースも多いです。これは単なる手続きではなく、「プロが見て貸せる事業か」というフィルタリングです。早めにメインバンクに相談し、内諾を得ておくことが採択への近道です。

4 加点項目を確実にとる

競争が激しいと、わずかな点差が合否を分けます。以下の加点項目は準備しておきましょう。

  • 賃上げ加点: 要件以上の賃上げを表明する。
  • パートナーシップ構築宣言: 下請け取引の適正化を宣言する。
  • 健康経営優良法人: 従業員の健康管理への取り組み。
  • くるみん・えるぼし認定: 女性活躍やワークライフバランスの推進。

これらは取得に時間がかかるものもあるので、公募前から動き出す必要があります。

知っておくべきリスクと出口戦略

儲かったら返す?収益納付

補助事業で大きく利益が出た場合、補助金の一部を国に返す「収益納付」というルールがあります。「自己負担ゼロで設備が手に入る」わけではないことを理解しておきましょう。ただし、賃上げを大幅に達成すれば免除される特例もあるので、要チェックです。

目的外使用はNG

補助金で買った設備は、原則その事業専用です。「新事業のパン用オーブンで、既存事業のクッキーを焼く」のは、厳密には目的外使用になるリスクがあります。また、勝手に売ったり捨てたりすることもできません。事業撤退時のコストが高くなる点も頭に入れておきましょう。

監査は厳しくなっている

不正受給への監視は年々厳しくなっています。抜き打ち検査も増えており、経理書類の不備や賃上げ未達がバレれば、全額返還+ペナルティもあり得ます。5年間は書類を完璧に保存し、毎年の報告を怠らない体制が必要です。

おまけ:2026年度 統合補助金 主要要件比較(予測)

最後に、二つの類型の違いを一目でわかる表にまとめました。

項目類型1:
革新的製品開発
(旧・ものづくり)
類型2:
新事業進出
(旧・事業再構築)
事業の新規性必須
(製品・プロセスの革新)
必須
(新市場・新分野への進出)
対象経費機械装置、
システム構築費、
専門家経費
機械装置、
システム構築費、
建物費(限定的)
補助率中小 1/2、
小規模 2/3
1/2 〜 2/3
(賃上げ状況による傾斜あり)
補助上限額数千万円
(省力化・賃上げ規模連動)
〜1億円規模
大規模投資・賃上げ連動)
賃上げ要件給与総額 +1.5%以上/年給与総額 +1.5%〜6.0%/年(枠による)
付加価値額要件+3.0%以上/年+3.0%以上/年
事前着手原則不可原則不可
成果報告期間5年間5年間

さいごに-2026年を飛躍の年にするために-

革新的製品等開発・新事業進出支援補助金は、中小企業にとって「第二創業」とも言える挑戦を後押しする強力なツールです。

  • 「統合」をチャンスと捉える: 技術力と市場開拓力を掛け合わせれば、勝率は上がります。
  • 「賃上げ」を投資と考える: 人材確保と生産性向上のための投資と割り切りましょう。
  • 「準備」がすべて: 公募が始まってからでは遅いです。今すぐ動き出しましょう。

2026年は、淘汰されるか飛躍するか、中小企業の分水嶺になります。この新しい補助金を賢く使い、次のステージへ進んでください。

Q&A

2026年、ものづくり補助金はなくなる?

現時点では予測段階ですが、新事業進出補助金との統合または一体運用の可能性があり、最終的には公募要領で確定します。

新事業進出補助金は廃止される?

「名称が消える」可能性はありますが、支援自体が消えるというより、統合枠に整理される見方が有力です。

建物費は使えなくなる?

使える可能性はありますが、「機械導入等と不可分であること」がより強く求められる方向です。

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