永住申請の審査期間は、出入国在留管理庁が示す標準処理期間では4か月から6か月ですが、実際の許可までの日数はその2倍近くかかっています。同庁が毎月公表する「在留審査処理期間」によると、永住許可は2026年7月許可分で申請から許可の告知まで平均310.2日、2025年4月から2026年7月までの16か月の平均は約296日でした。申請してから結果が出るまで10か月前後を見込み、そのあいだに今の在留期限が来るなら、永住申請とは別に在留期間の更新申請をしておく必要があります。
永住申請の審査期間|標準処理期間と実績の差
出入国在留管理庁の「永住許可申請」の手続案内は、標準処理期間を「4か月~6か月」としています。ここでいう標準処理期間とは、行政手続法6条に基づいて行政庁が定める、申請が届いてから処分をするまでに通常要すべき期間の目安を指します。法的に守らなければならない期限ではなく、この期間を過ぎたことだけで違法になるわけではありません。
実際の日数は、同庁が「在留審査処理期間」として公表している統計で確認できます。永住許可の欄を、公表されている16か月分について並べると次のようになります(「処分(告知)まで」は申請の受理から許可を告知するまで、「審査終了まで」は審査が終わるまでの平均日数)。
| 許可月 | 処分(告知)まで | 審査終了まで |
|---|---|---|
| 2025年4月 | 313.8日 | 274.4日 |
| 2025年6月 | 277.5日 | 265.9日 |
| 2025年8月 | 325.5日 | 311.3日 |
| 2025年9月 | 338.1日 | 324.8日 |
| 2025年11月 | 250.5日 | 238.4日 |
| 2026年1月 | 294.5日 | 277.5日 |
| 2026年3月 | 282.0日 | 269.6日 |
| 2026年4月 | 317.9日 | 305.5日 |
| 2026年5月 | 292.1日 | 276.8日 |
| 2026年6月 | 289.1日 | 276.0日 |
| 2026年7月 | 310.2日 | 294.8日 |
16か月分(表に載せていない月を含む)の「処分(告知)まで」を単純平均すると約296日です。最も短い月でも250日を切っておらず、標準処理期間の上限である6か月(約180日)を大きく超えた状態が続いています。
この統計を読むときは、次の3点に注意が必要です。
- 数字は許可された申請だけの平均で、不許可や取下げになった申請は含まれない
- 追加資料を求められた場合、その資料が提出されるまでの日数も含まれる
- 全国の平均で、地方出入国在留管理局ごとの数字は公表されていない
1つ目の点は見落とされがちです。審査が長引いた末に不許可になった申請は平均から外れているため、「許可を受けた人の平均が約300日」という数字として読むのが正確です。
「審査終了」と「告知」のあいだの約2週間
2026年7月許可分では、審査終了まで294.8日、告知まで310.2日で、約15日の差があります。この差は、審査が終わってから通知のハガキが届き、申請人が入管に出向いて許可を受けるまでの期間です。ハガキを受け取ってから来庁までの日数は申請人側の事情でも変わるため、仕事の都合がつきにくい人ほどこの差は広がります。
なぜ永住申請の審査は長いのか
審査が長い理由を出入国在留管理庁は公式に説明していません。統計と制度から言えるのは次のことです。
1つは、永住許可が在留期限のない地位を与える処分だという点です。更新や変更の審査は、次の在留期間を与えるかどうかの判断ですが、永住許可は一度許可すると原則として更新の審査がなくなります。入管法22条2項の素行善良・独立生計・国益適合の3要件について、直近5年分の課税・納税の状況、2年分の年金・医療保険の納付状況、身元保証人などを確認するため、1件あたりの審査に時間がかかります。要件の中身は永住権の条件とは?素行善良・独立生計・国益の3要件と原則10年在留で整理しています。
もう1つは、申請の件数です。2026年10月1日から永住許可の手数料が1万円から20万円に上がり(9月30日までに受け付けた申請は許可が後になっても1万円)、2026年2月24日にはガイドラインが改訂されて、2027年4月1日以降は原則として在留期間「5年」が必要になりました。こうした制度変更の前に申請を済ませようとする人が増えれば、その後の審査期間に影響が出ることは避けられません。今後の処理期間の見通しは(公式資料では未確認)で、公表される統計を月ごとに確認するのが確実です。
審査が長引きやすい申請
個々の申請の審査期間は、申請内容によって大きく変わります。長引きやすいのは次のような場合です。
- 追加資料の提出通知が届き、提出までに時間がかかった
- 転職直後で、在職期間が短い
- 出国日数が多く、日本に生活の本拠があるかを確認する必要がある
- 税金や年金の納付に遅れがあった時期があり、経緯の確認が必要になる
- 申請書に書いた経歴と、過去の在留申請の記載が食い違っている
追加資料の提出通知が届いた場合の対応は入管から資料提出通知書が届いたら?で解説しています。通知の期限内に出せば審査は続きますが、提出までの日数はそのまま審査期間に加算されます。
申請中に在留期限が来たら、更新申請が別に必要
永住申請の審査中に今の在留期限が来る場合は、期限までに在留期間更新許可申請を別に出さなければなりません。出入国在留管理庁の手続案内も、申請期間の欄で「永住許可申請中に在留期間が経過する場合は、在留期間の満了する日までに別途在留期間更新許可申請をすることが必要です」と明記しています。
ここで重要なのは、永住許可申請には、在留期限を過ぎても適法に在留できる特例期間の定めがないという論点です。在留期間の更新や在留資格の変更を期限内に申請した場合は、入管法20条6項(21条4項で準用)により、処分が出るまで、または期限から2か月を経過する日まで、引き続き在留できます。永住許可の根拠である入管法22条にはこの準用がないため、永住申請をしただけでは在留期限の到来を止められません。更新申請を忘れて期限を過ぎると、その時点で在留資格を失い、永住申請の審査を続ける前提そのものが崩れます。
約300日という審査期間を前提にすると、在留期限まで1年を切った時点で永住申請をする人は、ほぼ確実に審査中に更新を迎えます。更新申請は在留期限のおおむね3か月前から受け付けられるので、永住申請をした日に、更新申請の時期もカレンダーに入れておくのが確実です。
審査中の更新で注意すること
永住審査中の更新は、通常の更新と同じ書類で申請します。更新の手数料も通常どおりかかり、2026年10月1日以降の申請では許可される在留期間に応じて窓口で1年33,000円、3年以上5年未満64,000円、5年以上75,000円です(オンライン申請はそれぞれ27,000円、56,000円、65,000円)。
もう1つの注意点は、更新で許可される在留期間です。2026年2月24日改訂の永住許可ガイドラインは、2027年3月31日までは在留期間「3年」を最長の在留期間として扱い、2027年3月31日の時点で「3年」を持っている人は、その在留期間内に処分を受ける場合に限り、初回だけ最長の在留期間として扱うとしています。2026年秋に申請した人の結果は2027年4月以降になる可能性が高いため、審査中の更新で「3年」が出るか「1年」になるかは、永住の審査にも影響し得ます。最長の在留期間の要件は【2026年10月改定】永住許可の要件厳格化で何が変わる?でも扱っています。
審査中にしてはいけないこと・届け出ること
審査期間が長いぶん、そのあいだの生活の変化も審査の対象になります。永住申請は申請時点の状況だけでなく、許可を出す時点までの状況で判断されるためです。
審査中に起きやすい変化と対応は次のとおりです。
- 転職した:14日以内に所属機関(契約機関)に関する届出を出す。永住の審査では新しい勤務先の在職証明書などを求められることがある
- 引っ越した:14日以内に市区町村で住居地の届出をする。結果のハガキは申請書に書いた住所に届くため、入管にも住所変更を連絡しておく
- 長期の出国:再入国許可(みなし再入国を含む)を受けて出国する。出国が長く続くと、生活の本拠の判断に影響する
- 税金・年金:審査中も期限内の納付を続ける。審査中の滞納も消極的に評価される
特に年金と住民税は、会社員であれば給与天引きで問題になりにくい一方、退職して次の就職までに間が空いた場合に国民年金と国民健康保険の手続が漏れやすくなります。
結果通知のハガキ|許可のときに届くもの・持ち物
永住申請の結果は、申請書に書いた住所に届くハガキ(通知書)で知らされます。在留申請オンラインシステムでは永住許可申請を行えないため、窓口で申請した人は全員が郵送で通知を受けることになります。
許可の場合、ハガキには来庁する期間と持ち物が書かれています。一般的な持ち物は次のとおりです。
- 届いたハガキ
- 旅券(パスポート)
- 在留カード
- 手数料の収入印紙を貼った手数料納付書
手数料は、2026年9月30日までに受け付けた申請は10,000円、2026年10月1日以後に受け付けた申請は200,000円です。許可を受けた日から「永住者」の在留カードが交付され、在留期間の欄は「無期限」になります。永住者の在留カード自体には有効期間があり、別に更新の手続が必要です。
不許可の場合も、ハガキで来庁を求められるのが通常です。ハガキの文面だけでは許可か不許可かわかりにくいこともあります。ハガキの見分け方と、不許可理由の聞き方は入管から不許可のハガキが届いたら?で解説しています。
申請から許可までの全体の期間
永住権の取得までにかかる時間は、審査期間だけではありません。申請の準備を含めた全体の流れは次のようになります。
- 要件の確認:在留年数、在留期間、納税・年金の履歴を確認する(1〜2週間)
- 書類の収集:課税・納税証明書5年分、年金の記録、在職証明書、身元保証書などを集める(1〜2か月)
- 申請:住居地を管轄する地方出入国在留管理局の窓口に提出する
- 審査:統計上の平均で約10か月。追加資料の通知が届くことがある
- 結果通知と許可の受領:ハガキが届いてから来庁するまで2週間前後
書類の準備に1〜2か月、審査に約10か月を足すと、準備を始めてから永住者の在留カードを受け取るまで1年前後を見込むことになります。提出書類の一覧は永住申請の必要書類一覧|就労ビザ・配偶者ビザ別の提出書類と取得先で扱っています。審査期間を縮める方法は限られますが、提出書類を最初から揃え、追加資料の通知を受けないようにすることが、申請者の側でできるほぼ唯一の対策です。個別の事情で審査の進み方は変わるため、転職や長期出国の予定がある人は、申請の時期そのものを専門家と相談して決めるのが確実です。
よくある質問
東京や大阪での永住許可申請の審査期間は?
出入国在留管理庁が公表している処理期間の統計は全国の平均で、東京・大阪・名古屋・福岡などの地方出入国在留管理局ごとの数字は公表されていません。局ごとの差を公的な数字で比べることはできないため、全国平均の約300日を目安にするのが現実的です。
日本人の配偶者が永住申請する場合の審査期間は?
統計は申請人の在留資格別に分かれておらず、永住許可として一本で集計されています。日本人の配偶者等からの永住申請も、就労資格からの永住申請も、同じ約300日の平均の中に含まれます。
永住申請の審査状況を問い合わせることはできますか?
外国人在留総合インフォメーションセンターは手続の一般的な案内をする窓口で、個別の申請の審査の進み具合や結果の見通しを答える窓口ではありません。追加資料の提出通知が届いていない限り、審査中は結果を待つことになります。
永住申請中に在留期限が来たらどうなりますか?
在留期限までに在留期間更新許可申請をしていれば、更新の審査中は特例期間により在留できます。永住申請だけでは特例期間は生じないため、更新申請をせずに期限を過ぎると在留資格を失います。
永住申請中に海外へ出国できますか?
再入国許可(1年以内に戻る場合はみなし再入国許可)を受けて出国すれば、審査は続きます。ただし、結果のハガキは日本の住所に届くため、長期の出国中にハガキが届いて来庁の期間を過ぎることがないよう、家族に郵便の確認を頼んでおく必要があります。出国のルールは再入国許可とみなし再入国許可の違いで解説しています。
審査期間を前提に、申請の時期を逆算する
永住申請の期間について押さえるべき数字は、標準処理期間の「4〜6か月」ではなく、統計上の平均である約300日です。この数字を前提にすると、判断すべきことは3つに絞られます。審査中に在留期限が来るか、来るなら更新申請をいつ出すか、そして2027年4月1日の経過措置の切り替えをまたぐかどうかです。
外国人社員の永住申請を会社が支援する場合も、この10か月前後の期間に転職や長期の海外赴任が重ならないよう、人事異動の予定と申請の時期を本人とすり合わせておくと、審査中の変化による追加確認を避けやすくなります。
根拠資料
- 永住許可申請(手続案内・標準処理期間)(出入国在留管理庁)
- 在留審査処理期間(出入国在留管理庁)
- 在留審査処理期間(日数)令和8年7月許可分(出入国在留管理庁)
- 永住許可に関するガイドライン(2026年2月24日改訂)(出入国在留管理庁)
- オンラインによる申請手続に関するQ&A(出入国在留管理庁)
- 令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法 第20条・第21条・第22条(e-Gov法令検索)
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