日本の大学や専門学校を卒業した留学生が、就職先が決まらないまま卒業を迎えた場合、在留資格を「留学」から「特定活動(継続就職活動)」に変更すれば、在留期間6か月、更新1回で卒業後最長1年間、日本で就職活動を続けられます。条件は、卒業前から就職活動をしていること、在留状況に問題がないこと、そして卒業した学校の推薦状があることです。アルバイトは、変更後に資格外活動許可を取り直せば週28時間以内で認められます。
就職活動の特定活動とは|卒業後も「留学」のままでは残れない理由
ここでいう就職活動の特定活動とは、出入国在留管理庁が「継続就職活動」と呼んでいる取扱いを指します。告示に列挙された特定活動(告示特定活動)ではなく、法務大臣が個々に活動を指定する告示外の特定活動として運用されているものです。許可されると、パスポートに指定書が貼られ、そこに卒業前から続けている就職活動という活動内容が記載されます。
卒業した留学生が「留学」の在留資格のまま日本に残り続けられないのは、在留資格が活動に結びついているためです。「留学」は教育機関で教育を受ける活動のための在留資格で、卒業すればその活動は終わります。在留期限が残っていても、就学という活動を3か月以上行わないで在留していると、入管法22条の4第1項6号により在留資格の取消しの対象になり得ます。卒業後に就職活動を続けるなら、その活動に合った在留資格に切り替える必要がある、というのがこの制度の出発点です。
会社の都合で解雇された就労ビザの外国人が就職活動をする場合も特定活動が使われますが、要件と書類は別の取扱いです。解雇後のケースは会社都合で解雇された外国人の在留資格はどうなる?で解説しています。本記事は、留学生が卒業した後の就職活動に絞ります。
対象になる人|大学・専門学校・日本語学校(海外大卒者のみ)
出入国在留管理庁は、継続就職活動の対象を次の4類型に整理しています。
| 類型 | 対象者 | 追加の条件 |
|---|---|---|
| 継続就職活動大学生 | 日本の大学(短大・大学院を含む)、高等専門学校を卒業した人 | 別科生・聴講生・科目等履修生・研究生は対象外 |
| 継続就職活動専門学校生(専攻科) | 専修学校の専攻科を卒業した人 | 修得内容が技人国など就労資格の活動と関連すること |
| 継続就職活動専門学校生(専門課程) | 専門課程で専門士の称号を取得して卒業した人 | 修得内容が就労資格の活動と関連すること |
| 継続就職活動日本語教育機関留学生 | 海外の大学・大学院を卒業し、一定の要件を満たす日本語教育機関を卒業した人 | 学士以上の学位、出席率おおむね9割以上など |
どの類型にも共通するのが、「卒業前から引き続き行っている就職活動」を続けることを目的としている点です。卒業してから初めて就職活動を始める人は、この取扱いの前提から外れます。在学中に企業説明会へ参加した記録、応募書類の送付記録、面接の案内メールなどが、後で提出する「継続就職活動を行っていることを明らかにする資料」になります。
専門学校卒業者に「修得内容と就労資格の関連」が求められるのは、専門学校での学びが就職後の在留資格に結びつかなければ、就職活動を続けても就労ビザに変更できないためです。例えば、専門課程で学んだ内容が技人国の業務と関係しない場合、就職活動の在留を認めても出口がありません。この点は、就職先が決まった後の専攻と業務の関連性の審査と同じ考え方です。
日本語学校卒業者は「海外大卒」の場合に限られる
日本語教育機関の卒業者が対象になるのは、海外の大学・大学院を卒業して学士以上の学位を持つ人だけです。出入国在留管理庁が示す本人側の要件は、在籍していた日本語教育機関での出席状況がおおむね9割以上であること、就職活動を続けるための経費支弁能力があること、在籍中から日本での就職活動をしていること、卒業後も学校と定期的に面談して進捗を報告すること、学校から推薦状を得ていることです。
学校側にも要件があります。日本語教育機関認定法に基づく文部科学大臣の認定を受けた機関の留学のための課程であること(2029年3月31日までは、法務省告示で定める日本語教育機関であれば要件を満たすものとみなされます)、直近3年間の在籍管理が適切であること、職業紹介事業の許可・届出か就職を目的とするコースがあること、直近1年間で1名以上または直近3年間で2名以上の就職実績があることなどです。在籍管理については、不法残留や在留資格の取消しなどの問題在籍者の割合が5%を超える場合、適切に行われていないものとして扱われることがあると示されています。本人の努力だけでは満たせない要件なので、日本語学校の学生は、自分の学校がこの措置の対象かどうかを在学中に確かめておく必要があります。
在留期間は6か月、更新は1回|最長1年の数え方
継続就職活動の特定活動は、在留期間6か月で許可され、さらに1回の更新が認められます。出入国在留管理庁は、これにより「大学等を卒業後も就職活動のために1年間本邦に滞在することが可能」と説明しています。
実務でずれやすいのは、1年の起点です。例えば3月15日に卒業し、「留学」の在留期限が7月31日まで残っている人が、4月上旬に変更を許可されたとします。この場合、特定活動の6か月は許可の日から始まり、10月上旬までになります。更新でさらに6か月認められれば、翌年4月上旬までです。卒業から1年後ぴったりで終わるわけではなく、変更許可の時期で前後します。
更新の申請は、最初の6か月の在留期限が来る前に行います。更新の時点でも、大学などによる推薦状と、就職活動を続けていることを示す資料の提出が求められます。最初の6か月の間に活動の記録が途切れていると、更新の審査で説明を求められることになります。
卒業後2年目は地方公共団体の就職支援事業に参加する場合だけ
1年で就職が決まらなかった場合でも、地方公共団体が実施する就職支援事業の対象者になれば、卒業後2年目にさらに1年(6か月+更新1回)在留できる取扱いがあります。ただし、事業は出入国在留管理庁が設定する要件に適合するものに限られ、本人は地方公共団体から事業の対象者である旨の証明書を受ける必要があります。2年目の在留では、事業の一環として行うインターンシップも就職活動に含まれます。対象の事業があるかどうかは自治体ごとに違うため、在籍していた学校のキャリアセンターか自治体に確認するのが確実です。
必要書類|推薦状がないと申請できない
在留資格変更許可申請で出す主な書類は次のとおりです(大学卒業者の場合)。
- 在留資格変更許可申請書、写真1葉(2026年6月14日以降に交付される在留カードからは1歳以上に写真が必要)
- パスポートと在留カードの提示
- 在留中の一切の経費を支弁できることを示す資料(本人以外が支弁する場合は、その人の支弁能力と支弁することになった経緯の資料)
- 卒業証書の写しまたは卒業証明書
- 大学による継続就職活動についての推薦状
- 継続就職活動を行っていることを明らかにする資料
専門学校卒業者は、これに加えて専門士の称号を証する書類(専攻科卒業者を除く)、成績証明書、専門課程・専攻科で修得した内容の詳細を示す資料を出します。日本語教育機関卒業者は、出席状況の証明書、海外の大学の卒業証明書、学校と定期的に面談する旨の確認書、学校が要件を満たすことの確認資料が加わります。
卒業前でも、推薦状、卒業見込み証明書などがあれば変更申請はできます。この場合、許可を受けるときに卒業証書の写しか卒業証明書が必要です。卒業式を待って申請するより、卒業見込みの段階で申請しておく方が、在留期限との関係で余裕が生まれます。
推薦状の中身と学校に頼むタイミング
推薦状は出入国在留管理庁が参考様式を示しており、PDFとWordで入手できます。学校長などが出入国在留管理局長に宛てて、本人が卒業後も就職活動を行っていること、資格外活動をする場合は許可の範囲内で行うこと、その他日本の法令を守ることを指導していることを記載し、在留資格変更許可・在留期間更新許可・資格外活動許可・再入国許可を受けるのが適当な者として推薦する形式です。申請の種類のうち該当しないものは二重線で消します。
推薦状は学校が発行するものなので、本人が書けるものではありません。多くの大学では、キャリアセンターや留学生担当の部署に申込書と就職活動の記録を出し、面談を経て発行する手順になっています。学校が推薦を出せないと判断すれば、この取扱いは使えません。在学中の出席状況や資格外活動の時間超過など、在留状況に問題があると推薦を得にくくなるため、準備は卒業の数か月前から始める必要があります。
「就職活動を続けている資料」として何を出すか
「継続就職活動を行っていることを明らかにする資料」は「適宜」とされ、決まった書式はありません。在学中から卒業後までの活動が時系列で分かるものが適しています。具体的には、就職サイトの応募履歴の画面、企業からの面接案内や選考結果のメール、合同企業説明会の参加証、学校のキャリアセンターでの相談記録などです。応募した企業名と日付を一覧にした表を作り、裏付けのメールなどを添付すると、審査する側が活動の継続を確かめやすくなります。
大学院生で研究のため在学中に就職活動を十分に行えなかった場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署に相談するよう案内されています。
アルバイトは資格外活動許可を取り直せば週28時間以内
継続就職活動の特定活動は、就職活動のための在留資格で、それ自体では働けません。ただし、一定の要件を満たせば資格外活動許可を受けて、1週につき28時間以内のアルバイトができます。
注意が必要なのは、留学中に持っていた資格外活動許可が、特定活動への変更で引き継がれない点です。資格外活動許可は、そのとき持っている在留資格に対して与えられるものです。変更が許可されたら、改めて資格外活動許可を申請し、許可を受けてからアルバイトを再開します。許可前に働けば資格外活動違反になり、次の就労ビザへの変更審査で問題になります。
留学生の頃は、学則で定める長期休業期間中は1日8時間まで働けましたが、卒業した後は長期休業期間という考え方がありません。卒業後に春休みの感覚で週28時間を超えて働くと、違反になります。時間の数え方は「どの曜日から起算しても」1週28時間以内という基準です。
就職活動の一環として行うインターンシップは、報酬がある場合、28時間以内であれば通常の資格外活動許可で足り、28時間を超える場合は個別の資格外活動許可を受けることができます。報酬のないインターンシップであれば、資格外活動許可は不要です。
採用する企業が確認すること
継続就職活動中の人をアルバイトとして雇う企業は、在留カードの在留資格欄が「特定活動」であることに加え、パスポートの指定書の活動内容と、在留カード裏面の資格外活動許可欄を確認します。特定活動は指定書によって就労の可否が変わる在留資格なので、在留カードの表面だけでは判断できません。資格外活動許可がないまま働かせれば、雇った企業も不法就労助長罪(入管法73条の2)に問われるおそれがあります。
就職が決まったら|技人国への変更と内定者の特定活動
就職活動の結果、内定が出たら、就職先での業務に合った就労資格(多くは技術・人文知識・国際業務)への在留資格変更許可を申請します。変更の手順と書類は留学から技術・人文知識・国際業務への在留資格変更ガイドと共通するところが多くあります。
内定から入社までの期間が空く場合は、「就職内定者」としての特定活動に切り替えて採用まで待つ取扱いもあります。対象は「留学」の人と、継続就職活動の特定活動の人です。申請では、採用後の活動に応じた就労資格への変更申請に必要な資料に加えて、内定の事実と内定日を確認できる資料、連絡義務等の遵守が記載された誓約書などを出します。入社日に就労ビザが間に合わない場合の考え方は公式案内をご確認くださいで扱っています。
1年の期間内に就職が決まらなかった場合は、原則として帰国することになります。日本語教育機関の場合は、就職が決まらなかった学生や就職活動をやめる学生に学校が帰国指導を行うことが要件になっています。
手数料と申請の時期|2026年10月1日以降は6か月で1万5,000円から
在留資格の変更許可と在留期間の更新許可には手数料がかかります。2026年10月1日に改正入管法施行令が施行され、手数料は許可される在留期間の長さで決まる形に改定されます。継続就職活動の特定活動は在留期間6か月なので、「3月超6月以下」の区分に当たり、窓口申請で18,000円、オンライン申請で15,000円(別途決済手数料)です。2026年9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月1日以降になっても改定前の手数料(窓口6,000円、オンライン5,500円)です。
最長1年の中で変更と更新の2回の手続があるため、合計では窓口で36,000円、オンラインで30,000円に決済手数料が加わる計算になります。手数料改定の全体像は在留資格の変更・更新手数料はいくらになる?で解説しています。
申請の時期は、「留学」の在留期限が来る前が原則です。期限内に変更申請をしていれば、審査中に期限が過ぎても、処分がされる時か期限から2か月を経過する日のいずれか早い時まで、引き続き「留学」として在留できます(入管法20条6項)。この特例期間の仕組みは在留期間の特例期間とは?更新中に期限が過ぎても働ける期間と注意点で詳しく扱います。ただ、卒業後に長く申請しないまま過ごすと、前述の取消しの問題や、推薦状の前提となる「継続した活動」の説明が難しくなります。
よくある質問
特定活動(継続就職活動)でアルバイトはできますか?
できます。ただし、特定活動へ変更した後に改めて資格外活動許可を受ける必要があり、上限は1週28時間以内です。留学中に持っていた資格外活動許可は使えず、卒業後は長期休業期間中の1日8時間の扱いもありません。
就職活動の特定活動の在留期間はどのくらいですか?
在留期間は6か月で、更新が1回認められるため、卒業後最長1年です。地方公共団体の就職支援事業の対象者として証明書を受けた場合に限り、卒業後2年目にさらに6か月+更新1回の在留が認められる取扱いがあります。
卒業してから就職活動を始めても特定活動は取れますか?
この取扱いは「卒業前から引き続き行っている就職活動」を続ける人が対象です。在学中に就職活動をした記録がない場合、対象から外れる可能性が高くなります。在学中の応募記録や説明会の参加記録を残しておくことが、そのまま申請の資料になります。許否は在留状況などの個別の事情で判断が変わります。
必要書類で一番時間がかかるのは何ですか?
学校の推薦状です。学校ごとに申込みの手順と審査があり、発行まで数週間かかる学校もあります。卒業見込みの段階でも申請できるため、卒業の2〜3か月前には学校の担当部署に相談しておくと、在留期限に追われずに済みます。
就職活動中に一時帰国はできますか?
推薦状の様式には再入国許可も含まれており、在留期間内であれば、みなし再入国許可や再入国許可を使って一時出国することは可能です。ただし、在留期限を過ぎて日本の外にいると在留資格は失われます。出国の前に在留期限と更新の予定を確かめてください。
最長1年を「就職までの準備期間」として使うために
継続就職活動の特定活動は、卒業という区切りで在留の根拠を失う留学生に、就職先を決めるための時間を与える仕組みです。その時間は6か月ごとに区切られ、そのたびに学校の推薦と活動の記録が求められます。1年という長さより、6か月ごとに活動の継続を示し続けることが制度の実質です。
留学生本人にとっての判断軸は、在学中から就職活動の記録を残しているか、学校の推薦を得られる在留状況か、の2点です。採用する企業にとっては、内定を出した時点で本人の在留期限を確かめ、就労資格への変更申請を早めに進めることが、入社日を守る近道になります。
根拠資料
- 本邦の大学等を卒業した留学生が就職活動を行う場合(出入国在留管理庁)
- 大学等を卒業後就職活動のための滞在をご希望のみなさまへ(出入国在留管理庁)
- 継続就職活動についての推薦状 参考様式(出入国在留管理庁)
- インターンシップをご希望のみなさまへ(出入国在留管理庁)
- 2026年10月1日から外国人の在留手続に関する手数料が改定されます(出入国在留管理庁リーフレット)
- 出入国管理及び難民認定法(e-Gov法令検索)
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