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外国人求人票の書き方|国籍不問・日本語レベル・在留資格要件の記載例と職業安定法の注意点

外国人を採用するための求人票は、「国籍」で応募を絞らず、「在留資格」と「業務に必要な能力」で条件を書くのが基本です。「日本人のみ」「〇〇国籍の方歓迎」といった書き方は、厚生労働省の外国人雇用管理指針が求める「国籍による条件を付すなど差別的取扱いをしない」という考え方に反します。一方で、「日本で就労可能な在留資格をお持ちの方」と書くことは、入管法を守るための正当な条件です。この記事では、正社員・アルバイト・特定技能の場面ごとに記載例を示しながら、求人票の業務内容が後の就労ビザの審査にどう影響するかまで整理します。

求人票で守るべき2つのルール

外国人向けの求人票を書くとき、根拠になるルールは大きく2つあります。

1つは職業安定法です。同法3条は、何人も国籍などを理由に職業紹介や職業指導について差別的な取扱いを受けない、という均等待遇の原則を定めています。5条の3は、求人の際に業務内容、契約期間、就業場所、労働時間、賃金、社会保険の適用などの労働条件を明示することを求め、5条の4は、求人情報について虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならないと定めています。5条の4の的確表示の義務は、2022年10月1日施行の改正で、求人メディアや自社サイトでの募集にも明確に及ぶようになりました。

もう1つは、厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(外国人雇用管理指針)です。第四の一「外国人労働者の募集及び採用の適正化」は、事業主に次のことを求めています。

  • 募集に応じた外国人に、業務の内容、労働契約の期間、就業の場所、労働時間や休日、賃金、労働・社会保険の適用などを書面で明示すること
  • 国外に住む人を募集する場合は、渡航・帰国の旅費の負担の有無や割合、住居の確保などの条件をあらかじめ明確にするよう努めること
  • 職業紹介事業者からあっせんを受ける場合、国籍による条件を付すなど差別的取扱いをしないよう十分留意すること
  • 採用前に、採用後に従事させる業務が在留資格上認められることを確認すること
  • 在留資格の範囲内で、外国人がその能力を発揮できるよう公平な採用選考に努めること

この5つを求人票の言葉に置き換えると、「国籍で絞らない」「在留資格で条件を書く」「労働条件は具体的に書く」の3点に集約されます。指針の全体像は公式案内をご確認くださいで扱っています。

国籍の書き方|「国籍不問」は書いてよいか

「国籍不問」と書くこと自体に問題はありません。国籍で差別しないことを示す表現として、ハローワークの求人でも広く使われています。問題になるのは、国籍を条件として書く場合です。

表現 評価 理由
国籍不問 適切 国籍で差別しないことを示す
日本人のみ/外国人不可 不適切 国籍による差別的取扱いに当たる
ベトナム国籍の方歓迎 不適切 特定の国籍を優遇する条件になる
ベトナム語が話せる方歓迎 適切 業務に必要な言語能力を条件にしている
日本で就労可能な在留資格をお持ちの方 適切 入管法を守るための条件
英語ネイティブの方 注意 国籍の代わりに使うと差別と受け取られうる。「英語で商談ができる方(CEFR C1程度)」のように能力で書く

ここで重要なのは、国籍と言語能力を分けて書くという点です。ベトナムとの取引があってベトナム語の話せる人がほしい場合、条件にすべきは国籍ではなくベトナム語の能力です。日本で育ったベトナム語話者や、ベトナムに留学した日本人も応募できる書き方にしておくと、差別の問題を避けられるうえ、応募者の幅も広がります。

採用の段階での国籍差別について、労働基準法3条(国籍による労働条件の差別禁止)は雇い入れた後の労働条件に関する規定と解されており、採用そのものには直接及ばないという考え方があります。ただ、職業安定法の均等待遇の原則と外国人雇用管理指針はいずれも募集の段階を対象にしており、「労基法の対象外だから国籍で絞ってよい」ということにはなりません。

在留資格要件の記載例

在留資格の条件は、雇用形態と採用ルートによって書き方が変わります。代表的な場面ごとの例を示します。

正社員(国内在住者を中途採用する場合)

応募資格:日本国内で就労可能な在留資格をお持ちの方(永住者、日本人の配偶者等、定住者、技術・人文知識・国際業務など)。在留資格の変更が必要な方はご相談ください。

就労制限のない在留資格の人と、就労ビザで働く人の両方を想定した書き方です。技人国などで転職してくる人は、業務内容が今の在留資格の範囲に入るかを採用前に確認する必要があります。在留資格ごとの就労範囲は外国人を採用できる在留資格の種類一覧で整理しています。

正社員(留学生の新卒採用・海外から呼ぶ場合)

応募資格:大学・大学院または日本の専門学校(専門士)を卒業見込み・卒業した方で、専攻が本求人の業務と関連する方。就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の申請は当社が行います。

留学生や海外在住者は、採用が決まってから就労ビザを取るのが通常です。この場合、求人票に「就労ビザを取得できる方」と書いても、応募者には自分が当てはまるか判断できません。技人国であれば学歴と専攻、または10年以上の実務経験という要件があるため、その要件を応募資格として具体的に書いておくと、採用後に就労ビザが取れないという事態を避けられます。指針も、留学生であることを理由に新卒採用の対象から外さないよう求めています(第七の三)。

アルバイト(留学生・家族滞在の人)

応募資格:日本で就労可能な在留資格をお持ちの方。留学・家族滞在の方は資格外活動許可をお持ちの方(週28時間以内の勤務となります)。

留学生や家族滞在の人を雇う場合、資格外活動許可がないと働けず、許可があっても週28時間以内に限られます。シフトの組み方に影響するため、求人票の段階で明記しておくのが親切です。「週5日・1日8時間」のようなシフトを前提にした求人に留学生を応募させると、採用後に条件が合わず、行き違いが生じます。

特定技能

応募資格:特定技能1号(飲食料品製造業分野)の在留資格をお持ちの方、または飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験と日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)に合格している方。

特定技能は分野ごとに在留資格が分かれているため、分野名まで書きます。他の分野の特定技能で在留している人は、分野を変えるには試験の合格と在留資格変更の許可が必要です。

日本語レベルの書き方|「日常会話レベル」を避ける

外国人向けの求人票でいちばん行き違いが多いのが日本語レベルの書き方です。「日常会話レベル」「ビジネスレベル」という表現は、書き手と読み手で想定がずれやすく、採用後に「思っていたより話せない」という不満の原因になります。

日本語の能力は、試験名と級で書くのが確実です。代表的なのは日本語能力試験(JLPT)で、N1からN5までの5段階があり、N1が最も難しいレベルです。国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)は特定技能の日本語試験として使われ、A2レベルの判定があります。

日本語:日本語能力試験N2以上、または同等の日本語能力(社内の打合せ・メールを日本語で行います)

試験の級と一緒に、実際の業務でどの程度の日本語を使うかを書き添えると、応募者が自分で判断しやすくなります。試験の合格証を持たない人の中にも、日本での生活や仕事で高い日本語力を身につけた人はいるため、「または同等の日本語能力」と幅を持たせる書き方が現実的です。

通訳・翻訳・接客の求人は在留資格の要件に注意

2026年4月15日から、技人国で通訳・翻訳や語学を使う接客などの業務に就く場合、その言語についてCEFRのB2相当の能力が求められるようになりました。通訳や外国人客の接客を主な業務にする求人では、求人票の言語要件を在留資格の要件と合わせておかないと、採用後に就労ビザが取れない可能性があります。詳細は通訳・翻訳・接客の技人国にCEFR B2が必要に(2026年4月15日〜)で解説しています。

業務内容と賃金は「就労ビザの申請書」と食い違わないように書く

外国人向けの求人票には、日本人向けの求人票にはない役割があります。採用後に就労ビザを申請するとき、入管は申請書や雇用契約書に書かれた業務内容を審査しますが、会社の求人情報がインターネット上に公開されていれば、それも審査の材料になりえます。

たとえば、求人票に「未経験歓迎・ホールスタッフ・皿洗いなど店舗業務全般」と書いておきながら、技人国の申請書には「海外店舗展開のためのマーケティング業務」と書けば、実際の業務は単純作業ではないかと疑われます。筆者は、就労ビザの申請を前提にした求人では、求人票の業務内容を申請書に書く職務内容と同じ粒度で書くようすすめています。技人国で認められる業務の範囲は技術・人文知識・国際業務ビザでできる仕事とは?で整理しています。

賃金についても同じことが言えます。技人国や特定技能では、日本人が同じ仕事をする場合と同等額以上の報酬が要件です。外国人向けの求人だけ賃金を低く設定していると、在留資格の要件を満たさないうえ、指針の均等待遇(国籍を理由とした労働条件の差別禁止)にも反します。報酬の比べ方は就労ビザの「日本人と同等額以上の報酬」とはを参照してください。

求人票に書いておくと応募者が判断しやすい項目

在留資格と日本語レベルのほかに、外国人の応募者が知りたい情報は日本人とは少し違います。次の項目は、書いておくと応募後の行き違いが減ります。

  • 就労ビザの申請を会社が行うか、費用を誰が負担するか
  • 社宅・寮の有無と、本人負担の家賃や光熱費の額
  • 国外から来る場合の渡航費・帰国費の負担
  • 社会保険・雇用保険の加入(国籍を問わず要件を満たせば加入する)
  • 一時帰国のための休暇の取り方

渡航費や帰国費、住居の条件は、指針が国外居住者の募集で「あらかじめ明確にする」よう求めている事項です。後から説明すると「聞いていなかった」という不信につながりやすいため、求人票か募集要項の段階で書いておくのが安全です。

求人を出す場所による違い

外国人向けの求人は、ハローワーク、民間の外国人向け求人サイト、人材紹介会社、自社サイトなどで出せます。どこで出す場合も、職業安定法の明示義務と的確表示の義務はかかります。

ハローワークに求人を申し込む場合、法令に違反する内容の求人は受理されないことがあり、国籍を条件にした求人は窓口で修正を求められます。外国人の採用を専門に扱う窓口として、厚生労働省は外国人雇用サービスセンターや、ハローワークの外国人雇用サービスコーナーを設けています。福岡県内の窓口の場所は福岡労働局のウェブサイトで確認してください(公式資料では未確認)。

人材紹介会社を使う場合、指針は、許可や届出のある職業紹介事業者から紹介を受け、違約金や保証金を徴収する契約を結ぶ事業者や、労働者派遣法に違反する事業者からは紹介を受けないよう求めています。海外の送出機関が本人から高額の手数料を取っていないかも、確認しておくべき点です。

よくある質問

外国人に求人を出す方法は?

ハローワーク、外国人向けの求人サイト、人材紹介会社、自社サイト、学校の求人票(留学生向け)などで出せます。どの方法でも、国籍で応募を制限せず、在留資格と業務に必要な能力で条件を書くことが基本です。

外国人の求人募集の注意点は?

国籍を条件にしないこと、在留資格の条件を具体的に書くこと、日本語レベルを試験名と業務の実態で示すこと、業務内容と賃金を就労ビザの申請内容と合わせることの4点です。国外から呼ぶ場合は、渡航費や住居の条件もあらかじめ明示します。

求人票に「日本人のみ」と書くと違法ですか?

外国人雇用管理指針や職業安定法の均等待遇の考え方に反し、ハローワークでは受理されない書き方です。罰則の有無にかかわらず、国籍で応募を制限する表現は避けるべきです。業務上どうしても日本語の高い能力が必要なら、国籍ではなく日本語能力を条件にします。

「就労ビザ取得可能な方」と書けば十分ですか?

応募者が自分で判断できないため、十分とは言えません。技人国であれば学歴・専攻・実務経験、特定技能であれば分野と試験の合格など、就労ビザの要件を応募資格として具体的に書く必要があります。要件に当てはまるかどうかは学歴や職歴など個別の事情で判断が変わるため、迷う応募者には面接の前に書類で確認するのが確実です。

求人票は「採用の入口」であると同時に「審査の入口」

外国人向けの求人票を書く作業は、日本人向けの求人票に「国籍不問」と一行足すことではありません。国籍でなく在留資格で条件を書き、あいまいな日本語レベルを試験名と業務の実態に置き換え、業務内容と賃金を就労ビザの申請内容とそろえる。この3つを押さえた求人票は、応募者との行き違いを減らすと同時に、採用後の在留資格の審査でも会社の説明を裏づける資料になります。

筆者がすすめているのは、求人票を書き上げた段階で、同じ内容で就労ビザの申請書の職務内容欄が書けるかを確かめることです。書けないなら、業務内容か在留資格の選び方のどちらかを見直す必要があります。面接で確認すべきことは公式案内をご確認くださいで整理しています。

根拠資料


在留資格の申請・採用のご相談は、保利国際法務事務所の無料相談へ。福岡出入国在留管理局への申請取次に対応しています。