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数次ビザとは|日本の商用・文化人・一般の発給条件と有効期間、招へい理由書

数次ビザとは、査証の有効期間内であれば何度でも日本に入国できる短期滞在の査証で、外務省の資料では有効期間は国籍と類型に応じて1年・3年・5年・10年のいずれか、1回の滞在は15日・30日・90日のいずれかとされています。誰でも申請できるものではなく、「商用目的」「文化人・知識人等」「一般(観光・親族訪問など)」「相当な高所得」といった類型ごとに、国籍別の発給条件が決まっています。企業が海外の取引先を年に何度も呼ぶなら、一次ビザを毎回取るより、条件に当てはまるかどうかを先に確かめる価値があります。

数次ビザとは|一次ビザとの違い

ここでいう査証(ビザ)とは、日本の在外公館が「この人の旅券は有効で、日本に入国しても差し支えない」と推薦する書類を指します。査証には、1回の入国に使うと使用済みになる一次有効査証と、有効期間内なら繰り返し使える数次有効査証があります。

項目 一次ビザ 数次ビザ
入国できる回数 1回 有効期間内なら何度でも
査証の有効期間 基本的に発給日から3か月 1年・3年・5年・10年のいずれか(国籍・類型で異なる)
1回の滞在期間 15日・30日・90日 15日・30日・90日(類型で異なる)
手数料(2026年7月1日以降) 約15,000円 約30,000円

一次ビザの有効期間が「基本的に発給日から3か月」であることは、外務省の「査証(ビザ)のよくある質問」に記載があります。手数料は外務省の2026年6月24日の案内により、2026年7月1日から一次有効が約15,000円、数次有効が約30,000円に改定されました。現地通貨の額は国ごとに決まり、国籍によっては減免や別額があります。例えば在フィリピン日本国大使館の査証案内(2026年6月24日更新)は、フィリピン国籍者の短期滞在査証を無料としています。

混同しやすいのが、「査証の有効期間」と「1回の滞在期間」です。たとえば有効期間5年・滞在期間30日の数次ビザなら、5年のあいだ何度でも入国でき、1回の入国ごとに最長30日滞在できます。5年間ずっと日本にいられるという意味ではありません。

もう1つの区別は、査証と在留資格の関係です。査証はあくまで上陸申請の要件の1つで、外務省は「入国を保証するものではありません」と明記しています。入国時には空港の入国審査官が上陸審査を行い、在留資格「短期滞在」と在留期間を決めます。在留期間は入管法施行規則別表第二で90日・30日・15日とされ、2026年9月1日施行の改正(令和8年法務省令第48号)で、90日を超えない範囲の日単位で指定される場合も加わりました。短期滞在そのものの仕組みは短期滞在ビザとは?90日・30日・15日の違いと2026年9月からの日単位指定で扱っています。

数次ビザが必要になるのは査証免除国以外の国籍者

外務省の「ビザ免除国・地域(短期滞在)」(2025年9月1日更新)によれば、査証免除の対象は74の国・地域です。米国・韓国・台湾・欧州の多くの国などの旅券を持つ人は、短期滞在であればそもそも査証が要らないため、数次ビザを検討する必要はありません。インドネシアとタイは免除期間が15日なので、それを超えて滞在する予定があれば査証を取ることになります。

数次ビザが話題になるのは、中国・フィリピン・ベトナム・インド・ロシアなど、短期滞在でも査証が必要な国籍の人を繰り返し呼ぶ場面です。外務省は国籍別に案内ページを分けており、中国・フィリピン・ベトナム・ロシア・CIS諸国などには個別のページがあり、それ以外は「その他の国・地域」にまとめられています(外務省「ビザ(査証)」ページ、2026年6月24日更新)。

数次ビザの4つの類型と発給条件

数次ビザの発給条件は、全国籍に共通のルールが1つあるわけではありません。外務省の資料を並べると、類型は次の4つに整理できます。国によっては用意されていない類型もあります。

商用目的の数次ビザ

企業が取引先や海外子会社の社員を呼ぶ場合に最も使われるのがこの類型です。外務省の「商用目的/文化人・知識人等に対する数次査証一覧表」(令和6年4月1日現在)は、主な発給要件として、国営企業や株式市場上場企業などでの在職歴と、過去の商用目的での訪日歴を挙げています。1回の滞在は90日以内、日本での報酬を伴う活動は認められません。

国籍別の条件は、フィリピンの手続概要がわかりやすい例です。次のいずれかに当たる人と、その配偶者・子が対象です。

  • 国公営企業の常勤者
  • 株式市場上場企業(第三国・地域の市場を含む)の常勤者
  • 在外公館がある都市の日系企業商工会の会員企業で、日本に経営基盤を持つ日系企業の常勤者
  • 株式上場企業が出資する合弁企業・子会社・支店等の常勤者
  • 日本の株式上場企業と恒常的な取引実績がある企業の常勤者
  • 過去3年間に日本への商用渡航歴があり、かつG7(日本を除く)への複数回の短期滞在歴がある有職者
  • 過去3年間に日本への商用渡航歴が3回以上ある有職者

滞在期間は15日・30日・90日、査証の有効期間は1年・3年・5年・10年とされています。中国国籍者の手続概要(2021年12月作成)も、国営大中型企業・上場企業・日系企業の会員企業・合弁企業や子会社・上場企業と恒常的な取引がある企業の常勤者、日本への商用渡航歴とG7への複数回の渡航歴がある有職者を挙げており、枠組みはほぼ同じです。中国国籍者の類型ごとの有効期間の標準は、同じ資料の中に「原則3年」とする記載と「1年、3年、5年又は10年」とする記載が読み取れ、現時点の運用は現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。

ここで重要なのは、会社の規模や取引実績そのものが要件になっている点です。日本側が中小企業でも、申請人の勤務先が上場企業なら要件を満たし得ますし、逆に申請人が小さな会社の社員なら、過去3年の商用渡航歴を積み上げるルートになります。取引先を呼ぶ最初の数回は一次ビザで来日してもらい、渡航歴ができた段階で数次に切り替えるのが現実的な順序になります。

文化人・知識人等の数次ビザ

研究者、芸術家、弁護士・公認会計士などの国家資格保有者、大学の講師以上、研究所・美術館の課長職以上、国会議員など、一定の地位や業績がある人の類型です。フィリピンの手続概要では「相当程度の業績が認められる芸術家・研究者」などと書かれています。学会や共同研究で繰り返し来日する大学関係者が典型で、提出するのは在職証明書など要件に当たることを示す資料と、渡航目的を説明する資料です。

一般(観光・親族訪問など)の数次ビザ

商用でも文化人でもない人、たとえば日本に住む家族を訪ねる親や、観光で繰り返し来日する人向けの類型です。フィリピン国籍者の場合、次のいずれかに当たる人が対象です。

  1. 過去3年間に日本への短期滞在での渡航歴があり、渡航費用の支弁能力がある人
  2. 過去3年間に日本への短期滞在での渡航歴があり、G7(日本を除く)への短期滞在での渡航歴が複数回ある人
  3. 十分な経済力がある人(とその配偶者・子)

有効期間は最長5年、1回の滞在は15日または30日です。親族訪問で90日近く滞在したい人には、一般の数次ビザでは期間が足りないことがあります。長めの滞在を予定するなら、その回は一次ビザで申請するほうが目的に合う場合もあります。親族を呼ぶときの一次ビザの手続は親族訪問ビザの必要書類と申請の流れ|親・兄弟を日本に呼ぶ方法と招へい人の書類で扱っています。

相当な高所得者の数次ビザ

フィリピン国籍者向けの手続概要(2024年6月10日作成)では、「相当な高所得を有する」人とその配偶者・子を対象に、有効期間5年・1回の滞在90日の数次ビザが案内されています。立証資料は在職証明書、直近6か月分の銀行口座明細書、所得証明書、公的年金証明書などです。年収の具体額は資料に書かれておらず、基準額は現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。中国国籍者についても「相当な高所得/十分な経済力を有する者」の類型が案内されていますが、外務省のページで確認できたのは中国国外に住む中国国籍者向けの手続概要でした。中国国内居住者の扱いは申請する公館の案内で確かめてください。

数次ビザの必要書類と日本側が用意するもの

申請人側の書類は、類型を問わず旅券と査証申請書(写真貼付)が共通です。商用目的なら、在職期間・給与・役職を記載した在職証明書、要件に当たることを示す資料(上場を示す資料、取引実績の資料など)、渡航目的を説明する資料が加わります。中国国籍者の場合は、戸口簿の写し、居住証、営業許可証の写し、出張命令書なども求められます。配偶者・子が申請する場合は、婚姻証明書や出生証明書など家族関係を示す資料が必要です。

日本側(招へい人)が用意する書類は、国籍や類型によって要否が変わります。外務省の国籍別ページには、身元保証書、招へい理由書(1次)、招へい理由書(数次)、申請人名簿、会社・団体概要説明書、滞在予定表の様式が掲載されています。招へい理由書や身元保証書への押印は2020年11月3日から不要になっています。

注意したいのは、数次ビザの申請でも「日本側の書類が必ず要る」とは限らない点です。上場企業の常勤者のように申請人側の資料で要件を示せる場合は、日本側の書類を求めない国もあります。どの書類が必要かは、申請人の国籍の手続概要と、申請先の在外公館の案内で確認するのが確実です。

招へい理由書(数次)の書き方

外務省の「招へい理由書(数次)」の様式は、招へい人の住所・氏名・連絡先(会社が招へいする場合は担当者)、申請人の国籍・職業・氏名・性別・生年月日を書いたうえで、次の4項目を記入する形になっています。

  1. 招へい目的
  2. 招へい経緯
  3. 申請人との関係
  4. 数次査証を必要とする理由・今後の訪日予定

一次用の様式と違うのは、4つ目の「数次査証を必要とする理由・今後の訪日予定」です。審査する側が知りたいのは、なぜ1回で済まないのか、という一点です。「取引が多いため」とだけ書くより、「当社福岡工場で製造する部品の品質確認のため、四半期ごとに年4回、各回5日程度の来日を予定」のように、頻度・1回の日数・目的を具体的に書くほうが伝わります。今後の訪日予定は確定していなくても、年間の見込みを示すことはできます。

招へい経緯には、取引開始の時期、これまでの来日の実績(日付・目的)、今回の申請に至った事情を時系列で書きます。申請人との関係には、取引先・親会社・子会社といった関係を書き、会社・団体概要説明書や取引の資料と整合させます。記入欄が足りなければ別紙を付けて構いません。一次用の招へい理由書の書き方は招へい理由書の書き方と例文|家族・友人・恋人を呼ぶときの記入例で詳しく扱っています。

数次ビザが不許可になったとき

外務省は、査証の発給を拒否した場合に具体的な理由を回答していません。理由を開示すると、不正な目的で入国しようとする人が審査をかいくぐるために悪用するおそれがあるという説明です。また、拒否後6か月以内に同じ目的で申請しても受理されません。

不許可を避けるうえで効くのは、類型の要件に当たることを資料で示せているかと、招へい理由書に書いた内容と申請人側の資料が一致しているかの2点です。たとえば「年4回来日予定」と書きながら、過去の来日歴が1回もない場合は、商用の類型の要件(過去3年の渡航歴など)に当たるかどうかが問題になります。要件に当たらないなら、無理に数次で申請せず、一次ビザで実績を積んでから申請し直すのが順当です。個別の事情で判断が変わるため、迷うときは申請前に在外公館の案内を確認するか、専門家に相談してください。

標準処理期間は、申請内容に特に問題がなければ受理の翌日から5業務日です。追加の確認が必要な場合は、数週間から数か月かかることもあると外務省は案内しています。

数次ビザで来日した人ができること・できないこと

数次ビザで入国した人の在留資格は短期滞在で、報酬を受ける活動はできません。一覧表にも「日本国内における報酬を伴う事業活動は認められない」とあります。会議への出席、商談、契約の調印、工場の視察といった活動は短期滞在の範囲ですが、日本の会社から給料を受けて働くことや、日本の工場で製造作業に従事することは範囲外です。海外の社員を日本で継続的に働かせるなら、企業内転勤などの就労資格が必要になります。在留資格ごとにできる仕事は外国人を採用できる在留資格の種類一覧で整理しています。

数次ビザの有効期間が長くても、短い間隔で入国を繰り返すと、上陸審査で滞在目的を詳しく確認されることがあります。数次ビザは「入国の手続を簡単にする」ためのもので、上陸審査を省くものではありません。

よくある質問

数次ビザの読み方は?

「すうじビザ」と読みます。外務省の資料では「数次有効の短期滞在査証」「数次査証」と表記され、英語では multiple-entry visa、民間ではマルチビザとも呼ばれます。

一次ビザと数次ビザの違いは?

一次ビザは1回の入国で使用済みになり、有効期間は基本的に発給日から3か月です。数次ビザは1年〜10年の有効期間内なら何度でも入国できます。1回の滞在期間はどちらも15日・30日・90日の範囲で決まります。2026年7月1日以降の手数料は一次が約15,000円、数次が約30,000円です。

数次ビザの滞在期間は?

1回の入国ごとの滞在は、類型に応じて15日・30日・90日のいずれかです。フィリピン国籍者の一般の数次ビザは15日または30日、商用・文化人と高所得者は90日まで認められる類型があります。査証に記載された期間と、入国時にパスポートに押される上陸許可の証印で確認してください。

短期滞在数次ビザとは何ですか?

短期滞在(観光・商用・親族訪問など、報酬を受けない90日以内の滞在)の目的で、一定期間内に何度でも入国できる査証です。就労や留学のための査証は数次ではなく、在留資格認定証明書を使う別の手続になります。

日本側の会社が数次ビザの申請でできることは?

招へい理由書(数次)、会社・団体概要説明書、滞在予定表などの作成です。どれが必要かは国籍と類型によって違います。取引実績を示す資料(契約書、請求書、過去の来日記録)を整理して渡しておくと、申請人が要件を立証しやすくなります。

取引先を繰り返し呼ぶ会社が先に確認すること

数次ビザを検討するとき、会社が最初に確かめるべきなのは、申請人の国籍が査証免除の対象かどうか、対象外なら申請人がどの類型に当たるかの2点です。査証免除国の人なら査証そのものが要りませんし、類型に当たらない人には、数次ビザは出ません。

類型に当たりそうなら、次に勤務先の属性(上場企業か、日系企業か)と、過去3年の来日歴を確認します。筆者は、取引先を初めて呼ぶ段階では一次ビザで確実に来日してもらい、その来日記録を数次申請の材料にする進め方を勧めます。1回ごとの招へい理由書に書いた目的と実績が積み重なるほど、数次の「必要とする理由」に説得力が出るからです。

来日後に日本で働いてもらう計画があるなら、短期滞在の枠を超える前に就労資格の手続を始めてください。福岡の企業が外国人を受け入れるときの相談先は福岡で外国人を採用したい企業へにまとめています。

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根拠資料


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