育成就労の受入れ人数枠は、育成就労法施行規則19条で、会社の常勤職員の総数に応じて決まります。監理型の基本人数枠は常勤職員3〜30人で9人、51〜100人で18人などで、技能実習のように1号・2号・3号ごとに分けず、在籍する育成就労外国人の合計で数えます。育成就労実施者が優良なら枠はおおむね2倍、さらに優良な監理支援機関の監理を受け、本店が「指定区域」(福岡県を含む地方)にあればおおむね3倍になります。これとは別に、分野ごとの受入れ見込数が国全体の上限として運用されるため、会社単位の枠と国の枠の二重の制限がかかります。
人数枠の根拠と、技能実習からの変更点
育成就労法9条1項10号は、育成就労計画の認定基準として、同時に受け入れる育成就労外国人の数が主務省令で定める数を超えないことを求めています。その数を定めたのが施行規則19条で、出入国在留管理庁・厚生労働省の「育成就労制度 運用要領」(令和8年4月公表、第4章は2026年8月一部改正)第4章第2節第11が解説しています。制度の施行日は2027年4月1日です。
技能実習の人数枠との大きな違いは二つあります。
一つ目は、区分ごとの枠がなくなったことです。技能実習では、団体監理型の基本人数枠が常勤30人以下で1号3人、2号はその2倍の6人、というように号ごとに決まっていました。育成就労には1号・2号の区別がないため、在籍する育成就労外国人の総数が、表の人数を超えないかで判断します。常勤30人以下の9人という数字は、技能実習の1号3人と2号6人を足した数と同じ水準です。
二つ目は、地方への配慮として「地方特別枠」が設けられたことです。大都市圏への過度の集中を避けるため、指定区域に本店がある場合に限って、最も大きい枠(表5)が使えます。
監理型の人数枠早見表(常勤職員数別)
運用要領の表2・表4・表5を一つの表に並べると次のとおりです。監理型育成就労と、継続安定体制が認められた単独型育成就労に適用されます。
| 常勤職員の総数 | 基本(表2) | 実施者が優良(表4) | 実施者・監理支援機関とも優良+指定区域(表5) |
|---|---|---|---|
| 1人 | 3人 | 4人 | 5人 |
| 2人 | 6人 | 7人 | 8人 |
| 3人 | 9人 | 10人 | 11人 |
| 4人 | 9人 | 12人 | 13人 |
| 5人 | 9人 | 15人 | 16人 |
| 6〜8人 | 9人 | 18人 | 19人(6人)・21人(7人)・24人(8人) |
| 9〜30人 | 9人 | 18人 | 27人 |
| 31〜40人 | 12人 | 24人 | 36人 |
| 41〜50人 | 15人 | 30人 | 45人 |
| 51〜100人 | 18人 | 36人 | 54人 |
| 101〜200人 | 30人 | 60人 | 90人 |
| 201〜300人 | 45人 | 90人 | 135人 |
| 301人以上 | 常勤の20分の3 | 常勤の10分の3 | 常勤の20分の9 |
常勤職員が1人や2人の小規模事業者でも3人・6人を受け入れられる表になっていますが、実際には受入れ体制の基準(育成就労責任者・指導員の選任など)を満たす必要があります。また、後述する介護や建設のように、分野ごとの告示で上乗せの制限がかかる場合があります。
優良な実施者は2倍、ただし監理支援機関の優良だけでは広がらない
表4は、育成就労実施者が施行規則19条1項2号の基準に適合する場合に使えます。基準は、技能・日本語能力の修得実績、育成就労を行わせる体制、待遇、法令違反や行方不明者の発生状況、相談・保護の体制、地域社会との共生に向けた取組を総合評価するもので、計画認定申請時に優良要件適合申告書(参考様式第1-36号)を出して立証します。優良要件の中身は公式案内をご確認ください。
ここで誤解されやすいのが、監理支援機関の優良との関係です。運用要領の適用表では、監理型で実施者が優良でない場合は、監理支援機関が優良でも表2(基本)のままです。実施者が優良で監理支援機関が優良でない場合、または指定区域外の場合は表4になります。表5が使えるのは、実施者と監理支援機関がともに優良で、かつ実施者の住所が指定区域にある場合だけです。技能実習では「実習実施者の優良」と「監理団体の一般監理事業」の両方がそろって初めて枠が広がりましたが、育成就労では実施者自身の優良が2倍枠の条件で、監理支援機関の優良は3倍枠のための追加条件という位置づけに変わっています。
計画認定時に優良である旨の通知を受けた実施者は、その後に認定取消しなどがなければ、一定期間は優良として扱われます。
地方特別枠と「指定区域」|九州は全域が対象
指定区域は告示で定められ、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県の8都府県以外の道県すべてと、8都府県のうち一部の市町村(埼玉県秩父市、東京都奥多摩町、兵庫県豊岡市など)が含まれます。福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄は全域が指定区域です。
住所の判断基準は、法人なら登記簿上の本店所在地、個人なら住民票上の住所です。本店が東京にあり、工場が福岡にある会社は、指定区域の枠を使えません。反対に、福岡に本店があれば、事業所が県外にあっても本店所在地で判断されます。複数の法人が共同で育成就労を行う場合は、すべての法人の住所が指定区域にある必要があります。
常勤職員の数え方
人数枠の基礎になる「常勤の職員」について、運用要領は正社員と同様の就業時間で継続的に勤務する職員を指すとし、次のどちらかに当たれば常勤として扱ってよいとしています。
- 所定労働日数が週5日以上かつ年間217日以上で、週所定労働時間が30時間以上
- 雇用保険の被保険者で、週所定労働時間が30時間以上
数えられない人も明記されています。外国にある事業所に所属する職員、育成就労外国人、技能実習生は常勤職員に含めません。派遣労働者は受入れ企業と雇用契約がないため含まれません。法人の取締役などの役員は原則として職員ではありませんが、取締役部長のように報酬を受けて使用される立場にあり、上の基準に当たれば含めることができます。移籍型出向者も常勤職員として扱えます。
常勤職員数は、本社・支社・事業所を含めた法人全体で数え、事業所ごとには算出しません。親会社と子会社など複数の法人で共同実施する場合は、各法人の常勤職員数と育成就労外国人数をそれぞれ合算します。運用要領の例では、常勤100人のA社と30人のB社が共同実施すると合計130人で枠は30人となり、A社20人・B社10人を受け入れている状態では、A社が単独で別の育成就労を始めることはできません。
特定技能1号の外国人は、運用要領の一般的な除外リストには入っていません。常勤として雇用されていれば、一般の分野では常勤職員に数えられる扱いです。ただし建設分野などの上乗せ基準では、1号特定技能外国人を除いた常勤職員数で上限を見る案が示されています(後述)。
2027年4月以降も残る技能実習生の数え方
施行日以降も、経過措置で技能実習を続ける人がいます。この人たちの扱いは施行規則附則6条で決まっています。
- 経過措置中の1号・2号技能実習生の数は、育成就労外国人の数とみなして人数枠に算入する
- 3号技能実習生は育成就労外国人の数に入れず、育成就労の人数枠の規制も受けない(技能実習側の人数枠の規制は受ける)
- 技能実習生は、常勤職員の数には含めない
常勤30人以下の会社で2号技能実習生が5人残っている場合、基本枠9人から5人を引いた4人までしか育成就労外国人を受け入れられません。移行期の採用計画では、技能実習生が何年何月に修了・移行するかを並べて、育成就労の受入れ時期を決める必要があります。技能実習側の人数枠は技能実習生の受け入れ人数枠|常勤職員数別の早見表と優良認定・介護・建設の特例で扱います。
人数枠の外で受け入れられる人
施行規則19条4項は、次の育成就労外国人を人数枠に数えないとしています。
- 「やむを得ない事情」があると認められて転籍してきた育成就労外国人
- 育成就労の期間が延長された計画にもとづく育成就労外国人
- 保護の観点から特別の理由があると認められる人(妊娠・出産などで中断していた人の再開、計画認定を取り消された他社の育成就労外国人の受入れ、優良でなくなったり常勤職員が減ったりして枠を超えたが本人が継続を希望する場合など)
本人の意向による転籍(いわゆる本人意向転籍)で受け入れる人は、この枠外の対象に挙がっていません。転籍者を受け入れる側の会社は、自社の枠に空きがあるかを先に確認しておく必要があります。枠外の扱いを受けるには、計画認定申請時に該当者が含まれる旨の説明書を付けます。なお、常勤職員の減少などで枠を超えた人を枠外として扱っている間は、新たな受入れはできません。転籍の制度は育成就労の転籍とは?人材流出を防ぐために受入れ企業が今から取るべき対策で解説しています。
単独型育成就労の人数枠
海外の子会社や取引先の職員を受け入れる単独型育成就労は、原則として常勤職員の20分の3(優良なら10分の3)で、計算結果が3未満なら0です。つまり基本では常勤20人以上、優良でも10人以上いないと受け入れられません。常勤10人の会社なら「10×3÷20=1.5」で3未満となり、受入れはできないと運用要領は例示しています。
主たる事業の資本金と常勤職員数がともに一定以上の場合(製造業・建設業などは資本金3億円超かつ常勤301人以上、2026年8月改正で「又は」から「かつ」に変更)、または受入れ実績があり過去1年に改善命令がなく常勤60人以上の場合は「継続安定体制」があるとして、監理型と同じ表を使えます。この適用を受けるには、計画認定申請時に理由書(参考様式第1-1号)と立証資料を出します。
分野別の上乗せ|介護は事業所ごと
分野によっては、告示で人数の上限が上乗せされます。出入国在留管理庁の有識者会議に示された上乗せ基準の案では、受入れ人数の上限を設ける分野として介護・建設・漁業・林業が挙げられていました。
介護分野は、令和8年厚生労働省告示第156号(2026年3月31日)で内容が確定しています。人数枠は法人全体ではなく事業所ごとに、その事業所の常勤介護職員(育成就労外国人とEPA介護福祉士候補者を除く)の数で決まります。監理型の基本は、常勤介護職員10人以下で3人、11〜20人で6人、21〜30人で9人、31〜40人で12人、41〜50人で15人、51〜100人で18人などです。優良な実施者はその2倍、優良な監理支援機関と指定区域の条件がそろえば3倍になります。そのうえで、事業所の育成就労外国人の総数は、その事業所の常勤介護職員の総数を超えられません。常勤介護職員2人のグループホームであれば、表の上では3人でも、実際の上限は2人です。
建設分野については、上記の案で、育成就労外国人の数が常勤職員(技能実習生・育成就労外国人・1号特定技能外国人を除く)の総数を超えないこと、ただし優良な実施者はこの限りでない(施行規則の枠は引き続き適用)という基準が示されています。林業にも同様の案があり、漁業は漁船1隻あたりの人数で制限する案です。これらの告示の確定内容は、本稿執筆時点で一次資料を確認できていません(公式資料では未確認)。
もう一つの上限|分野別の受入れ見込数
会社ごとの人数枠とは別に、国全体の上限があります。2026年1月23日に閣議決定された分野別運用方針では、特定技能と育成就労を合わせた受入れ見込数が123万1,900人とされ、そのうち育成就労は42万6,200人(2027年4月の制度開始から2029年3月末までの2年間)です。政府資料は、この見込数を、大きな経済情勢の変化がない限り分野ごとに在留する外国人の上限として運用するとしています。
育成就労の見込数が多い分野は、建設12万3,500人、工業製品製造業11万9,700人、飲食料品製造業6万1,400人、介護3万3,800人、農業2万6,300人などです。自動車運送業と航空は育成就労の受入れ見込数がありません。
分野の在留者数が見込数に近づけば、特定技能の外食業で2026年4月に起きたように、新規の受入れが止まることがあります。会社の人数枠に空きがあっても、分野の上限に達すれば受け入れられないという意味で、二重の制限になっています。
よくある質問
育成就労制度の受け入れ人数は?
会社単位では、監理型の基本で常勤職員3〜30人なら9人、31〜40人で12人、41〜50人で15人、51〜100人で18人です。国全体では、2029年3月末までの育成就労の受入れ見込数が42万6,200人と設定されています。
育成就労の人数上限は1年目・2年目・3年目ごとに決まりますか?
決まりません。技能実習の1号・2号・3号のような区分がないため、在籍している育成就労外国人の合計で上限を見ます。毎年同じ人数を採用すると、3年目には3学年分が同時に在籍することになるため、年間の採用人数は枠の3分の1程度を目安に計画すると、枠を超えにくくなります。
育成就労の介護の人数枠は?
事業所単位で、常勤介護職員の人数に応じて決まります。基本は10人以下で3人、11〜20人で6人、21〜30人で9人などで、どの場合も育成就労外国人の総数が事業所の常勤介護職員の総数を超えることはできません。
常勤職員に特定技能外国人を含めてよいですか?
一般の分野では、運用要領の除外対象(海外事業所の職員、育成就労外国人、技能実習生)に特定技能外国人は含まれていないため、常勤として雇用されていれば数えられます。建設分野などの上乗せ基準の案では1号特定技能外国人を除いて数えるとされており、分野ごとの告示を確認してください。
3年分の在籍人数で枠を確かめる
育成就労の人数枠は、表の数字自体は技能実習より単純になりましたが、数える対象が「3年分の合計」になったことで、採用計画の立て方が変わります。確認すべき点は、常勤職員の正確な数(役員・派遣・技能実習生の除外)、自社が優良・指定区域の条件に当たるか、経過措置で残る1号・2号技能実習生の人数、分野ごとの上乗せ基準、分野全体の見込数の消化状況です。
筆者は、2027年4月前後の採用を予定している会社は、技能実習生の修了予定と育成就労の受入れ予定を月単位で並べた表を一枚作っておくことをすすめます。人数枠は計画認定の段階で審査され、枠を超えた計画は認定されないためです。個別の事情で判断が変わることがあります。制度全体の準備は【2027年4月施行】育成就労制度とは?技能実習からの移行で企業がやるべき準備を解説にまとめています。
根拠資料
- 育成就労制度 運用要領 第4章 育成就労計画の認定等(令和8年8月改正)第2節第11 育成就労外国人の人数枠に関するもの(出入国在留管理庁・厚生労働省編、外国人技能実習機構掲載)
- 外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則の規定に基づき介護分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準等(令和8年厚生労働省告示第156号)
- 介護分野の育成就労における固有要件について(厚生労働省)
- 特定技能制度及び育成就労制度の受入れ見込数について(案)(出入国在留管理庁)
- 特定技能制度及び育成就労制度の上乗せ基準等(案)について(出入国在留管理庁)
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