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興行ビザの必要書類と申請の流れ|区分別の一覧と招へい契約書・公演計画・報酬の立証

興行ビザ(在留資格「興行」)の必要書類は、どの区分でも共通する「申請書・写真・返信用封筒」「出演者の経歴を示す資料」「招へい機関の登記事項証明書・決算書」「興行契約書と報酬を示す文書」「公演の日程表やチラシ」に、区分ごとの資料を足して組み立てます。上乗せの中身が大きく違うのは、演劇等の興行の基準1号ハ(施設・招へい機関・出演施設の運営者の資料がすべて必要)と、1号イのカテゴリー1(過去の交付実績があり、提出書類が大幅に減る)です。

海外から出演者を呼ぶ場合、申請は在留資格認定証明書交付申請から始まります。認定証明書の交付申請に手数料はかかりませんが、標準処理期間は1か月から3か月で、交付後は3か月以内に入国する必要があります。本稿では、出入国在留管理庁が区分ごとに公表している提出書類をもとに、書類の一覧と、公演日から逆算した準備のスケジュールを整理します。区分の選び方そのものは興行ビザとは|2023年8月改正後の1号イ・ロ・ハ・2号・3号と招へい機関の要件で扱っています。

まず区分を決める|書類は区分で変わる

興行の上陸許可基準は、2023年8月1日の改正で次の構成になっています。

  • 1号イ:一定の要件を満たす招へい機関が、風俗営業の施設以外で行う演劇等の公演
  • 1号ロ:公的機関の主催、客席100人以上の施設、1日50万円以上の報酬で30日以内など、類型化された演劇等の公演
  • 1号ハ:イ・ロのどちらにも当たらない演劇等の公演
  • 2号:スポーツなど、演劇等以外の興行
  • 3号:広告・放送番組・映画・商業用写真・録音録画などの芸能活動

書類の準備を始める前に、公演の会場、報酬額、招へい機関(出演者と契約する日本側の機関)の3つを確定させてください。会場と報酬額で1号ロに当たるかどうかが決まり、招へい機関の実績で1号イかハかが決まります。区分を決めずに書類を集めると、1号ハで必要になる出演施設の図面や運営者の決算書を後から取り寄せることになり、公演日に間に合わなくなります。

どの区分でも必要になる共通書類

出入国在留管理庁が区分ごとに公表している認定証明書交付申請の提出書類には、次のものが共通して含まれています。

  • 在留資格認定証明書交付申請書(出演者1人につき1通)
  • 写真1葉(縦4cm×横3cm、指定の規格を満たすもの)
  • 返信用封筒(定形封筒に宛先を書き、簡易書留用の切手を貼ったもの)
  • 滞在日程表、公演日程表、公演の内容を知らせる広告・チラシなどの参考資料

返信用封筒は、紙の認定証明書を郵送で受け取る場合に必要です。現在は認定証明書を電子メールで受け取ることもでき、オンライン申請も利用できます。海外の出演者に証明書を届ける時間を短くしたい場合は、電子交付を選ぶと郵送の日数を省けます。

外国語で作成された書類には、訳文を添付します(入管法施行規則62条)。出演者の経歴書、海外の公演記録、外国の事務所との契約書などが対象になるため、翻訳の時間も準備の日程に入れておいてください。

区分別の提出書類一覧

区分ごとの上乗せ書類を並べると、次のようになります(出入国在留管理庁の各区分のページをもとに整理)。

書類 1号イ(カテゴリー1) 1号イ(カテゴリー2) 1号ロ 1号ハ 2号 3号
出演者の経歴書・活動歴の資料 ― ○ ○ ○ ○ ○(芸能活動の実績)
招へい機関の登記事項証明書・決算書 ○(変更がなければ省略可) ○ ○ ○ ○ ○
招へい機関の経営者・職員の名簿 ○ ○ ○(従業員名簿) ○ ○ ○
経営者等の興行業務3年以上の経験の資料 ○(変更がなければ省略可) ○ ― ○ ― ―
欠格事由・報酬全額支払いの申立書 ○ ○ ― ○ ― ―
風営法の営業施設以外であることの申立書 ― ○ ― ― ― ―
施設の資料(営業許可書・図面・写真) ― ○ ○ ○ ○ ―
興行契約書の写し ― ○ ○ ○ ○(請負契約書等) ―
活動の内容・期間・地位・報酬を証する文書 ― ○ ○ ○ ○(雇用契約書・出演承諾書) ○(雇用契約書・出演承諾書)
出演施設の運営機関の資料 ― ― ― ○ ○(施設の登記・決算) ―
過去3年間の報酬支払いの証拠 ― ― ― ○ ― ―

1号イ|カテゴリー1は書類が大幅に減る

1号イの申請機関は、2023年12月1日から2つのカテゴリーに分けられています。過去に1号イに適合するとして在留資格認定証明書の交付を受けたことのある招へい機関がカテゴリー1、それ以外がカテゴリー2です。

カテゴリー1の機関は、登記事項証明書、決算書、経営者の興行業務経験の資料を、前回から変更がなければ省略できます。出演者の経歴書、施設の資料、興行契約書も、カテゴリー1の書類一覧には入っていません。必要なのは、経営者・常勤職員の名簿と、経営者等が欠格事由に当たらず過去の報酬を全額支払っていることの申立書、それに日程表などの参考資料が中心です。

カテゴリー2の機関は、これに加えて、公演の施設が風営法の営業(接待飲食等営業など)を営む施設以外であることの申立書、出演者の経歴書と活動歴の資料、施設の概要資料(営業許可書、図面、写真など)、興行契約書の写し、活動の内容・期間・地位・報酬を証する文書を提出します。初めて1号イで申請する機関はカテゴリー2になるため、書類の量は1号ハに近くなります。

1号ロ|該当する類型を示す資料が要になる

1号ロは、公演が類型のどれに当たるかを示すことが審査の中心です。提出書類は、出演者の経歴書、招へい機関の登記事項証明書・決算書・従業員名簿・概要資料、施設の営業許可書・図面(間取りなどを記載したもの)・写真(客席・控室・外観など)、興行契約書の写し、活動の内容・期間・地位・報酬を証する文書です。

客席100人以上の施設で申請する場合は、図面と写真で収容人員と飲食提供の方法を示します。出入国在留管理庁は、客席のないライブハウスでもスタンディングで100人以上を収容できれば認められる、客がバーカウンターで飲み物を受け取り自分で運ぶ形は客席での飲食提供に当たらない、と案内しています。会場の消防法上の収容人員の資料や、ドリンクの提供方法を説明する書面を添えると、類型への当てはめが伝わりやすくなります。報酬1日50万円以上の類型で申請する場合は、契約書で報酬額と支払方法、公演日数を明確にします。

1号ハ|三方向すべての資料が必要

1号ハは、出演者・招へい機関・出演施設の三方向の要件を審査するため、書類も最も多くなります。出入国在留管理庁の一覧では、招へい機関の資料(登記事項証明書、決算書、概要資料)、施設の資料(営業許可書、図面、写真)、興行契約書(招へい機関と出演施設の間の契約を含む)、活動の内容・期間・地位・報酬を証する文書に加えて、次のものが求められています。

  • 招へい機関の経営者・職員の名簿、興行業務3年以上の経験を証する資料、欠格事由に当たらないことの申立書、過去3年間の報酬支払いの証拠
  • 出演施設を運営する機関の登記事項証明書、決算書、経営者・職員の名簿、欠格事由に当たらないことの申立書

報酬を証する文書では、支払時期、支払方法、控除額とその根拠まで明記することが求められています。1号ハは月額20万円以上の報酬が基準なので、控除(寮費や渡航費の立替えなど)を差し引いた後の手取りがいくらになるのかを説明できるようにしておく必要があります。

2号・3号|報酬と実績の資料が中心

2号(スポーツなど)は、出演者の経歴、招へい機関の登記事項証明書・決算書・従業員名簿、興行施設の資料(営業許可書、図面、写真、従業員名簿、施設の登記事項証明書・決算書)、請負契約書(該当する場合)、雇用契約書や出演承諾書の写しを提出します。

3号(芸能活動)は、施設の資料が不要な代わりに、芸能活動上の実績を証する資料が求められます。出入国在留管理庁は、資格証明書、経歴証明書、CDジャケット、ポスター、新聞の切り抜きなどを例に挙げています。受入れ機関の資料(登記事項証明書、決算書、従業員名簿、案内書)と、雇用契約書または出演承諾書の写しを合わせて提出します。

2号・3号の基準は日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けることです。比較の対象となる日本人の報酬をどう示すかは、就労ビザの「日本人と同等額以上の報酬」とはで考え方を整理しています。

招へい契約書・公演計画・報酬|審査で見られる3つの書類

区分を問わず、審査の中身を決めるのは、興行契約書、公演の計画、報酬の資料の3つです。

ここでいう興行契約書とは、出演者(または出演者が所属する外国の事務所)と日本の招へい機関の間で、出演の内容と対価を定めた契約書を指します。契約書には、出演者の氏名、公演の名称・会場・日程、報酬の額と支払方法、渡航費・滞在費の負担者を明記します。外国の事務所と一括で契約する場合は、出演者個人がいくら受け取るのかが分からない契約書になりがちです。基準に報酬額がある区分(1号ハの月額20万円、1号ロの1日50万円、2号・3号の日本人同等額)では、個人の受取額を別の書面で示す必要があります。

公演の計画は、滞在日程表と公演日程表で示します。入国日から出国日まで、どの日にどの会場で出演するか、リハーサルや移動の日はどこか、を日単位で書きます。在留期間は公演日程に応じて30日、3月などから決まるため、日程表は在留期間を決める根拠にもなります。チラシや告知ページは、公演が実在することを示す資料として有効です。

報酬の資料は、招へい機関が報酬を払えることの裏付けも含みます。決算書の提出が求められるのはそのためで、設立直後で決算書がない機関は、事業計画書や預金残高の資料で支払能力を説明することになります。

申請の流れと、公演日から逆算するスケジュール

海外から出演者を呼ぶ場合の流れは、次の4段階です。

  1. 招へい機関(または依頼を受けた行政書士など)が、地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請を行う
  2. 認定証明書が交付されたら、出演者に電子メールで転送するか、紙の証明書を郵送する
  3. 出演者が現地の日本大使館・総領事館で査証を申請し、発給を受ける
  4. 交付日から3か月以内に来日し、空港で上陸許可を受ける

認定証明書の標準処理期間は1か月から3か月です。1号イについては、出入国在留管理庁が処理期間の試行として、申請内容に問題がなければ、カテゴリー1は申請から2週間以内(従業員に変更がある場合は3週間以内)、カテゴリー2は1か月以内に交付するとしています。査証の審査には、外務省の案内で、申請内容に特に問題がなければ在外公館が申請を受理してから概ね1週間かかります。

短期の来日公演で、準備の目安を組むと次のようになります。

時期(公演日から逆算) やること
4か月前 会場・報酬額・招へい機関を確定し、区分を決める。契約書の案を作る
3か月前 書類を揃えて認定証明書交付申請(1号ロ・ハ・2号・3号)
1〜2か月前 1号イのカテゴリー2は、遅くともこの時期に申請
1か月前 認定証明書を受け取り、出演者が査証を申請
2週間前 査証の発給。航空券の確定

認定証明書は交付から3か月で効力を失うため、あまり早く申請すると、公演日の前に期限が切れるおそれがあります。公演日の3か月前を申請の目安にし、1号イのカテゴリー1のように処理が早い場合は、その分だけ後ろにずらすことができます。交付後の手続は在留資格認定証明書が交付されたら?で解説しています。

費用|申請手数料・査証手数料・専門家報酬

興行ビザの取得にかかる費用は、次の3つに分かれます。

1つ目は入管の手数料です。在留資格認定証明書の交付申請には手数料がかかりません。すでに日本にいる人が在留期間を更新したり、他の在留資格から変更したりする場合は、許可のときに手数料を納めます。2026年10月1日以降、在留期間3月以下の許可は10,000円、3月を超え6月以下は窓口18,000円・オンライン15,000円、1年は窓口33,000円・オンライン27,000円です。

2つ目は査証の手数料です。外務省は2026年7月1日から査証手数料を改定しており、一次査証は約15,000円です。国籍によっては、相互主義により免除・減額されることがあります。

3つ目は専門家に依頼する場合の報酬です。日本行政書士会連合会の令和7年度報酬額統計調査(2026年1月実施、税込)では、就労資格の在留資格認定証明書交付申請の平均が120,174円でした。興行は区分によって書類の量が大きく違うため、1号ハのように施設や運営者の資料まで必要な申請では、平均より高くなる傾向があると筆者は考えます。報酬の相場の見方は在留資格申請を行政書士に依頼する費用の相場は?も参照してください。

更新と変更の必要書類

興行の在留資格で日本にいる人が、公演の延長などで在留期間を更新する場合の提出書類は、出入国在留管理庁の案内では次のとおりです(1号イ・2号・3号で共通の構成)。

  • 在留期間更新許可申請書、写真
  • 旅券・在留カードの提示
  • 在職証明書、雇用契約書の写しなど、活動の内容と期間を証する文書
  • 興行契約書の写し
  • 住民税の課税(非課税)証明書と納税証明書(1年間の総所得と納税状況が記載されたもの)
  • 前回の申請から出演施設が変わった場合は、変更後の施設の概要資料
  • 活動日程表

在留期間が短く住民税の証明書がまだ出ない人は、その旨を説明したうえで、出せる資料を提出することになります(公式資料では未確認)。他の在留資格から興行へ変更する場合は、認定証明書交付申請と同じ区分・カテゴリーの書類に、旅券・在留カードの提示と写真を加えます。

よくある質問

興行ビザの申請に必要な書類は?

共通して必要なのは、申請書、写真、返信用封筒、出演者の経歴資料、招へい機関の登記事項証明書と決算書、興行契約書、報酬を示す文書、公演日程表やチラシです。1号ハでは出演施設とその運営機関の資料、1号イでは経営者の経験の資料と申立書が加わり、1号イのカテゴリー1は多くの書類を省略できます。

興行ビザの費用はいくらですか?

海外から呼ぶ場合の在留資格認定証明書交付申請には手数料がかかりません。査証の手数料は2026年7月1日以降、一次査証で約15,000円です(国籍により免除・減額あり)。行政書士に依頼する場合の報酬は、日行連の統計で就労資格の認定申請の平均が約12万円です。

興行ビザは何日かかる?

認定証明書の標準処理期間は1か月から3か月です。1号イはカテゴリー1で2週間以内、カテゴリー2で1か月以内に交付する処理期間の試行が行われています。これに査証の審査(問題がなければ受理から概ね1週間)と、証明書を届ける日数が加わります。

興行ビザが下りないとどうなる?

認定証明書が交付されなければ、出演者は興行の在留資格で入国できず、公演に出演できません。報酬を受ける出演を短期滞在で行うことはできないため、公演の中止や出演者の変更を迫られます。不交付の理由を確認して再申請する方法は在留資格認定証明書が不交付になる理由とは?で解説しています。

書類を揃える前に、契約書を先に固める

興行ビザの書類準備で後戻りが起きるのは、会場や報酬額が決まる前に申請書類を集め始めたときです。区分は会場と報酬額と招へい機関で決まり、その区分が書類の一覧を決め、書類の中心にあるのが興行契約書です。

筆者は、招へい機関の担当者に、まず興行契約書の案を作り、報酬額、支払方法、控除の有無、渡航費と滞在費の負担者、公演の会場と日程を1枚で確定させることを勧めています。この契約書が固まれば、区分の判断も、報酬の立証も、日程表の作成も、ほぼ自動的に決まります。初めて出演者を呼ぶ機関や、1号ハに当たる公演は、個別の事情で必要な資料が増えることがあるため、公演の4か月前には準備を始めてください。

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根拠資料


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