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特定技能「航空」とは?グランドハンドリング・航空機整備の要件と試験

特定技能「航空」は、空港グランドハンドリングと航空機整備の2つの業務区分で外国人を受け入れる分野で、受入れ見込数は4,900人(令和11年3月末まで)です。技能試験はどちらの区分も公益社団法人日本航空技術協会(JAEA)が実施しますが、受入れ機関になれる事業者の条件は区分ごとにまったく別の法令で決まっています。グランドハンドリングは空港管理規則の承認、航空機整備は航空法の認定が起点で、ここを取り違えると協議会への加入もできません。

航空分野の2つの業務区分と、できる仕事

出入国在留管理庁の航空分野のページ(2026年7月17日現在)は、1号の業務を次のように定めています。

空港グランドハンドリングは、指導者の指示・監督を受けながら行う、航空機の地上走行支援業務、手荷物・貨物の取扱業務、手荷物・貨物の航空機への搭降載業務などです。航空機を駐機場へ誘導し、プッシュバックで押し出し、コンテナを積み下ろしする、いわゆるランプでの作業がここに入ります。

航空機整備は、指導者の指示・監督を受けながら行う、運航整備、機体整備、装備品・原動機整備における機体・装備品等の整備業務です。到着便の間に行う点検や、格納庫での定期整備、取り外したエンジンや部品の整備が対象です。

区分をまたいで働くことはできません。グランドハンドリングで在留する人に整備業務をさせるには、航空機整備の試験に合格し、在留資格の変更許可を受ける必要があります。

国土交通省の運用要領は、主たる業務に付随して行う関連業務として、事務作業、作業場所の整理整頓や清掃、積雪時の作業場所の除雪を例に挙げています。ただし「専ら関連業務に従事すること」は認められません。冬季の空港で除雪ばかりを任せるような配置は、この基準に触れます。

雇用形態は直接雇用に限られ、派遣は認められていません。

受入れ機関の条件は、区分ごとに別の法令で決まる

航空分野で最も誤解されやすいのがこの論点です。特定技能所属機関には全分野共通の基準に加えて分野固有の基準があり、航空分野では区分ごとに次の事業者に限られています(国土交通省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-航空分野の基準について-」)。

区分 受入れ機関になれる事業者
空港グランドハンドリング 空港管理規則12条1項若しくは12条の2第1項、又は13条1項の承認を受けた者で、空港グランドハンドリングを営む事業者
航空機整備 航空法20条1項3号・4号・7号の能力について国土交通大臣の認定を受けた者(認定事業場)、又はその者から業務の委託を受けた者

グランドハンドリングの側は、空港の中で営業するための承認が起点です。ここでいう空港管理規則の承認とは、国が管理する空港で構内営業や土地・施設の使用を行うために空港管理者から受ける許しを指します。航空会社の子会社や、航空会社から地上業務を受託する専門会社が通常これを持っています。

航空機整備の側は、航空法20条の事業場認定が起点です。認定事業場そのものか、認定事業場から整備業務の委託を受けた会社でなければ受け入れられません。部品の整備を請け負う中小の整備会社が受け入れる場合は、委託元の認定事業場との委託契約書が立証の中心になります。

福岡空港のように運営が民間に委託された空港(福岡空港は2019年4月から福岡国際空港株式会社が運営)では、構内営業の承認をどの主体が、どの規程に基づいて行っているかを確認する必要があります(公式資料では未確認)(運用要領は空港管理規則の承認を基準としており、コンセッション空港での読み替えは公開資料で確認できず)。福岡空港で地上業務を請け負う事業者が受入れを検討する場合、最初に国土交通省航空局の協議会窓口へ自社の承認の根拠を示して相談するのが近道です。

試験はどちらも日本航空技術協会、ただし中身は別

1号の技能水準は「航空分野特定技能1号評価試験」の該当区分に合格することで示します。実施主体は、グランドハンドリング・航空機整備ともに公益社団法人日本航空技術協会です。国土交通省が公表する試験実施要領から、1号試験の骨格を並べると次のとおりです。

項目 空港グランドハンドリング 航空機整備
学科 30問・45分(選択式) おおむね30問(真偽法又は選択法)
実技 15問・30分(判断等試験・計画立案等作業試験) 写真・イラスト等を用いた判断等試験
合格基準 学科・実技それぞれ65%以上 筆記・実技それぞれ65%以上
受験資格 試験日に17歳以上(国内受験は在留資格が必要) 同左

実施場所は国外が前提で、国内でも行われます。日本航空技術協会の試験サイトでは、2026年9月から10月にかけてインドネシア、フィリピン、フィジーでグランドハンドリング、モンゴルで航空機整備の試験が予定されており、国内会場として東京・大阪・名古屋・福岡・千葉が案内されています。掲載されている試験の数はグランドハンドリングが43回、航空機整備が9回で、受験機会には明らかな差があります。整備区分で人材を探す企業は、試験日程から逆算して採用時期を組む必要があります。申込みと受験料の支払いは協会サイトから行います。

日本語は、JFT-BasicでA2.2相当以上、又は日本語能力試験N4以上が必要です。特定技能試験の全体像は特定技能試験とは?分野別の試験一覧と合格から在留資格申請までの流れで扱っています。

技能実習から移行できるのはグランドハンドリングだけ

技能実習2号を良好に修了した人は、技能試験と日本語試験が免除されます。ただし航空分野で対応する技能実習の職種は「空港グランドハンドリング」だけで、航空機整備には対応職種がありません。整備区分は試験合格が唯一のルートです。

運用要領は、空港グランドハンドリング職種の技能実習2号良好修了者の免除を、2027年4月1日以降も当分の間続けるとしています。一方で、2027年4月1日に始まる育成就労制度では、航空は対象分野に入っていません(育成就労の分野・業務区分は2026年7月時点で17分野46区分)。技能実習のグランドハンドリングにも育成就労の受け皿がないため、施行後に新たに技能実習を始めることはできず、このルートは今いる実習生が修了した時点で細っていきます。長期的には、海外試験の合格者を採用するのが航空分野の標準的な入口になります。移行の判断基準は技能実習から特定技能への移行を参照してください。

航空分野特定技能協議会への加入

受入れ機関は、特定技能外国人を受け入れる前に、国土交通省が設置する「航空分野特定技能協議会」に加入しなければなりません。事務局は国土交通省航空局で、会費は不要です。登録支援機関に支援を委託する場合は、その登録支援機関も加入が必要です。

加入届出書は電子メールか郵送で出し、電子メールの場合は押印が要りません。送付先のアドレスがグランドハンドリングと航空機整備で分かれているため、区分を間違えないよう注意します。在留資格の申請には協議会の構成員であることの証明書が必要なので、加入は申請準備の早い段階で済ませておきます。雇用契約を結ぶ前の相談も受け付けています。協議会制度そのものの仕組みは特定技能の協議会とは?にまとめています。

在留資格の申請では、全分野共通の書類に加えて、航空分野の誓約書(分野参考様式第9-1号)と協議会の構成員証明書を出します。

受入れの手順

国外の試験合格者を採用する場合、手順はおおむね次の順になります。

  1. 自社が受入れ機関の分野固有基準(空港管理規則の承認、又は航空法の認定事業場・その受託者)を満たすことを確認する
  2. 航空分野特定技能協議会に加入し、構成員証明書を取得する
  3. 試験合格者と雇用契約を結び、1号特定技能外国人支援計画を作る(登録支援機関への委託も可)
  4. 事前ガイダンスと健康診断を行い、在留資格認定証明書交付申請をする
  5. 入国後、生活オリエンテーションなどの支援を行い、就労を始める

空港の制限区域内で働くため、在留資格の手続きとは別に、空港の立入証(IDカード)の発行手続きが要ります。制限区域の立入りに必要な保安教育や身元確認は空港ごとに定めがあり、入国から配属までの期間を左右します。

「特定技能の航空券代は誰が負担するのですか」という質問も多く見られます。入国時の渡航費の負担者を法令は定めておらず、雇用契約で決めます。帰国時は、本人が旅費を負担できないときに受入れ機関が負担することが基準省令で定められており、運用要領は帰国の原因を問わない(行方不明の場合を除く)としています。

特定技能2号への移行

2号は、グランドハンドリング・航空機整備のいずれも設けられています。2号の技能水準は「航空分野特定技能2号評価試験」の合格か、航空従事者技能証明(航空整備士などの国家資格)の取得です。実務経験の要件は区分で異なり、グランドハンドリングは技能者を指導しながら作業に従事した経験、航空機整備は専門的な知識と技量を要する作業を行った3年以上の経験が必要です。2号の日本語要件は、2027年4月1日以降「日本語教育の参照枠」B1相当以上になります。2号全般の条件は特定技能2号の条件とは?で整理しています。

よくある質問

特定技能「航空」の受入れ人数は何人ですか?

受入れ見込数は4,900人で、令和11年3月末までの受入れの上限として運用されます。2026年1月23日の閣議決定で改められた数字です。分野全体の在留者数の推移は、国土交通省が公表する実施状況報告書(令和元年度〜令和6年度)で確認できます。

特定技能「航空」の試験はどこが実施していますか?

公益社団法人日本航空技術協会(JAEA)です。空港グランドハンドリングと航空機整備のどちらの試験も同協会が実施し、日程は協会の試験サイトで公表されます。国外ではインドネシア、フィリピン、フィジー、モンゴルなどで、国内では東京・大阪・名古屋・福岡・千葉で実施例があります。

航空会社以外の会社でも受け入れられますか?

受け入れられます。条件は航空会社かどうかではなく、グランドハンドリングなら空港管理規則の承認を受けていること、整備なら航空法の認定事業場かその受託者であることです。空港の地上業務を受託する会社や、認定事業場から部品整備を請け負う整備会社も対象になり得ます。

空港の清掃やカウンター業務はできますか?

旅客カウンターでのチェックイン業務や機内清掃は、1号の業務として示されている範囲に含まれていません。作業場所の清掃は関連業務として付随的に行えますが、専ら清掃に従事させることは認められません。

採用の前に、自社がどの法令で空港に立っているかを確かめる

特定技能「航空」の要件を読み解くと、外国人本人の要件より先に、受入れ機関の資格が問われる設計になっていることがわかります。グランドハンドリングなら空港の構内営業の承認、整備なら航空法の事業場認定と、どちらも空港や航空機の安全を担う事業者としての許認可が前提です。

採用計画を立てる順番としては、自社の許認可の根拠を確認し、協議会に相談し、そのうえで区分に合った試験日程から採用時期を逆算するのが合理的です。整備区分は試験の回数が少なく技能実習からの移行ルートもないため、グランドハンドリングより1年ほど早く動き出す計画を筆者は勧めます。

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根拠資料


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